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どうも皆さんこんにちは。 何か、誤解があるようですが、私たちは侵略者などではありません。 むしろ、西欧で不当なる扱いを受けたので、この東洋の島国に、新しい自分たちの楽園を作るべく、奔走している、真摯な宗教家に過ぎません。 たまたま、私どもの信じているのが、悪魔であるというだけで、何故こうも迫害されなければいけないのでしょう。 それは、私たちは、人も殺しますし、生贄も捧げますけど、それは、悪魔さんが要求してくるからであって、別に喜び勇んでやってるわけじゃないですから、誤解のありませんように。 私たちの目的は、単に自分だけがいい目をみたいということでして、その所為で皆さんのご迷惑かけたとしても、それは仕方の無いことですねえ。 そもそも、この国が何であたしたちに住みいいかと申しますとですね。あの、憎むべきキリスト教徒の絶対数が少ない。 それなのに、枢機卿区があるので、攻撃しやすい。 東京は首都なのに、霊的防御がされていない。なんてな事情があるわけですよ。 これだけ条件が揃っていたら、来るなと言うほうが無理でしょ? だから、まあ、ちょっと大目に見てくれてもいいと思うんだけどなあ。 あの小娘たちは、本気でうちら潰しにかかるんだもの、嫌になりますよ。 皆さん、我々は悪くなんてありませんよね? え? 悪いに決まってるだろ、たこって、あんた、いったい……ああ! ヘレンだ! ヘレンが来たあ! 逃げろ! |
![]() 渋江 画 |
| 「親分、あいつらにげちゃったみたいですぜ」 「ちぇっ、今日こそ尻尾がつかめるって思ってたのに」 「あら、愛子ちゃん、これ何かしらあ?」 「なになに? 真奈ちゃんどれどれ?」 「美七ちゃん、見えないじゃない!」 「あ、ヘレンごめん。これでいい?」 「お。見えたぜい!」 「九、勝手に頭に乗らない!」 「でもおいら重さないから重くないですよ親分」 「そういう問題じゃないでしょ!」 「本みたいねえ、すごくごつですけどお」 「開いてみましょうよ!」 「なんか怖そう」 「大丈夫だと思いますわあ。じゃあ開けますわよお」 「……」 「悪魔崇拝の心得?」 「これってつまり?」 「あいつらの教科書」 「らしいですわねえ」 「親分、どうすんだ、これ?」 「そうねえ、渋江さんにでもあげたら喜ぶかしら」 「でもその前に、ちょっとだけ読んでみようよヘレン」 「そうね、ちょっとだけね。なんか、難しそうだから〜」 |
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悪魔とは、この世界を作った神に敵対する存在である。 我らが崇拝する悪魔の総帥は、かつて天使として神に仕えたが、その化みの傲慢なる態度に怒りをおぼえ、天界を追放されるや、果敢に天界への反撃を目指す悪の総帥として悪魔の名を冠されたのである。 我々は、その神を淘汰すべき悪魔の軍団の一員として生きることを、悪魔達と契約し、その恩恵にあずかるものである。 そもそも、この世の最初は、善も悪もなかった。そのいびつなる観念を人間に植え付けたものこそ、あの憎むべき神であり、天界の天使どもなのだ。この世界に数多居る、その天使の庇護を得る人間こそが、我々が優先して抹殺しなければならぬ存在である。 そして我々は、彼らを抹殺した後の地上に、悪魔の楽園たる地獄を再現し、ここで悪魔軍団の結集を図るのである。 悪魔が目指すのは、天界の破滅しかない。 それはすなわち、この世界の破壊を意味する。 つまり我々悪魔教徒は、世界破壊のための尖兵なのである。 では、悪魔教徒として何をすればいいかを簡単に述べよう。 まず、七つの大罪のことごとくに手を染めよ。 悪徳の限りを尽くせ。 死を恐れるな、死せばその魂は悪魔さまの糧となるのだ。 そして、金を蓄え、他の人間を堕落させよ。 すべての人間に怠惰の美徳を享受させよ。 悪徳こそ、人間の栄え。そして悪魔の美である。 生贄を捧げよ。そして自ら傷を負え。 破滅の日は近い。悪魔を崇め、神を侮辱せよ! |
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「悪魔は親そ百万の種族から成立する、これそう読むんでしょ?」 「はい、そうでんす美七江さん。今日の振袖綺羅でありますね」 「ものすごい数ね、人間は五族平和って言う程度だから少ないのに」 「ふうん、悪魔にはいっぱい種類があるんだね親分」 「そうねえ。階級とかもあって、軍隊みたいね。どうなの渋江さん?」 「え? 悪魔の世界でありますか? それはでありますね、軍隊というより、欧州の貴族社会に近く。その軍事組織は。古代ローマに倣っているとか、どっかの本にかいてあったでんす」 「げ、苦手そう、そういう本」 「そうねえ。ヘレンが読みそうな本じゃないわねえ」 「あたし勉強が嫌いなわけじゃないわよ、美七ちゃん!」 「ほんとかしら?」 「あたぼうよ!」 「じゃあさ、宿題にしてあげるから、渋江さんに本借りて、悪魔の主だった奴、調べてきなさいよ!」 「げげ!」 「大丈夫ですかい親分、髪の毛が立ってますぜ!」 「決まり決まり! じゃ、もし完成しなかったら、あたしと真奈ちゃんに、お汁粉おごってね〜」 「あれ? 自分はどうなるんでありましょう?」 「逆よ、完成したら、あたしの作ったおむすびあげるね」 「へ、へ、ヘレンさん、時分は、美七江さんのおむすびのためなら何でも協力するであります!」 「親分、このあんちゃん、そんなに飢えてるのか?」 「し〜、本人が聞いたら、落ち込むでしょ」 「おおお、まずはアスデモウスからです、ヘレンさん!」 「あちゃあ、すっかり燃えてるよ、もう美七ちゃんたら〜」 「いいのいいの、ヘレンもたまにはお勉強よ〜」 |
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