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な、なんだ、このタイトル! だれが翁だってんだ! こら、これ書いたの誰だ! けしからん! まったく、何かというと人を年寄り扱いしおって、わしはまだまだ頑張れるぞ! あ、いや、これは失礼しました。文士の岸田吟香です。いや、ヘレンちゃんたちにしてみれば、化粧品屋のオヤジかな。ふむむ。 以前は、新聞の主筆なんぞやってたんだがね、最近は文章書くのも億劫になってきたわい。だいたい、記者なんかやってると、人間がすねてくる。それでも、松本栄子くんのように、熱望して記者になりたいという人間も居るなあ。彼女は、どうも足尾で起きておる鉱毒事件を糾弾したくて仕方が無いようだが、まあ、いずれ面倒を見てやろうかね。 おっと、話がそれてしまったな。 ヘレンちゃんたちのことを話さなければいかんのだったね。 あの娘の父親のジョサイアとは、もう二十年来の腐れ縁だな。維新直後のどたばたしてた頃、まだ精力的だった私は、仮名垣君や河鍋の師匠、それに月岡の師匠、そしてジョサイア君などと一緒に、よく遊び、不思議な世界のことを語らったものだ。 まさか、その娘が、私を本当に不思議な世界に連れて行ってくれることになるとは思わなかったがね。 かつて、新聞屋として駆け回っていた頃、いろいろな不思議を見聞したが、儂自身はあいにく変なものは見えんのじゃ。 だが、やはり以前暁斎師匠から聞かされてきたあの奇妙な世界、そして芳年師匠から聞かされた不思議な世界を、こうして実体験できることになったのだから、長生きはするもんじゃね。 しまった、自分で年寄りだと認めてしまったではないか、むむむ。 |
イラスト予定 |
仮名垣魯文 戯作書きとして、わしが一番好きじゃった男だ。最近は、もう創作活動も止め、まったく元気がないようで心配しておるのだが、昔は暁斎師匠の家に入り浸っておった。 当然、ジョーとも仲がいいので、あれも今の魯文を心配しておる。 実は、かつては、あやつも新聞を発行しておって、わしの好敵手であったが、とにかく面白い男じゃった。 月岡芳年 暁斎師匠の弟弟子にあたる男でな、血みどろ絵の名手じゃった。惜しくも二年前に他界してしまったが、この男は狂気と正気の狭間を行き来して、やはり普通の人間には見えぬ世界を見てきたようじゃな。 晩年に描いた絵には、多くの実見した幽霊画がある。是非ヘレンちゃんたちに合わせたかったものじゃ。 福地桜痴 偏屈の代名詞のような男じゃったなあ。新聞屋として、ワンマンの限りを尽くした結果、会社を追い出された哀れな男じゃが、宮武外骨君と大喧嘩をしていた頃は、面白くて両方を応援したものだ。いや、立場上、儂は福地君を応援しなければいけなかったのだが、宮武君の言っていることの方が、どう見ても正論なんじゃな。どうも明治の社会は歪んでおるのう。 こやつも、暁斎師匠と共通の遊び友達じゃったよ。 岡倉天心 日本の美術を守ろうと必死になってい居る男じゃ。もちろん、あの日本美術学校を作ったのもこやつじゃ。本当なら、暁斎師匠はこの学校の日本画の初代の講師になるはずじゃった。 今、岡倉君は、芳年師匠の記念碑を作る為に、あちこち声をかけておるようじゃな、無論、わしも一口乗るつもりじゃよ。ただのう、儂は、あの岡倉君と仲のいいフェノロサと言う男が苦手なんじゃな。むむむ。 |
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