伝説の龍
サウスタウン・・・・パオパオカフェ・・・・昼下がり・・・・
バタン!!!
勢い良く入り口が開かれ、大男が入ってきた。
中にいた客の一人に、後ろからおもむろに抱きつく。
「俺の相手になる奴はいねぇのかよ! テリーッ、もう一度勝負してくれよ。」
いきなり抱き付かれた客は、胸につかえたホットドッグを飲み込み、答える
「勘弁してくれよ!お前にやられた背骨が完治してないんだよ。治ったらいくらでも相手してやるよ。
おい、リチャード。なに笑ってんだよ!」
大男・・・ビッグベアは退屈していた。
闇の帝王ウォルフガングクラウザーに勝利した後、SWFトーナメントに参戦したが、満足させてくれる相手はいなかった。
かつて自分を倒した男、テリーボガードはケガをしている。
KOFに参戦した連中は世界各地に散らばり、連絡が取れない・・・・・・・・・・
退屈だ・・・
SWFでちょっくら本気を出しすぎてしまったらしい。その後挑戦者が現れない。
裏社会に頼もうにも、今は混乱している。ギースハワードを自ら倒してしまった。
退屈だ・・・・・
ため息をつきながら部屋に戻ると、手紙が届いていた。
差出人は山田十平衛
『前略
この前海岸を散歩していたら、ずぶ濡れの金髪男が倒れていたんじゃ。
こいつは記憶を無くしている様で、自分の名前すらわからんらしい。
年齢は20代半ばと言った所かの。
金髪は地毛のようで、顔立ちは東洋人系。流暢な日本語を話すから、たぶんハーフじゃろう。
とりあえずうちの道場で面倒を見ている。
先日、稽古を見学させていると、自分もやりたいと言い出した。
弟子に手合わせさせてみたんじゃが、なんと「極限流」の使い手じゃった。
しかも物凄く強いんじゃ!ワシもおしい所で負けてしまった。
これ程強い極限流使いなら、師範クラスじゃろうと思い問い合わせてみたんじゃが、行方不明になった奴はおらんらしい。
そこでじゃな。お前さんが退屈していると耳にしたんじゃが、どうじゃ?
退屈しのぎに日本に遊びに来ないか?』
!!!!
ベアは目を輝かせた。
挑戦者現る!
数日後・・・・日本・・・・・・・・
熊本空港に降り立つベア。
「ふう、やっとついたぜ」
辺りを見渡すが、迎えに来ている筈の十平衛は見当たらない。
「おかしいな、到着時間は教えたんだけどな。それにしても、なんで日本の夏はこんなにジメジメしてるんだ?」
「おおーい!ここじゃここじゃぁ〜」
人ごみの中から聞いた事のある声がするが、何処にいるかは見えなかった。
「どこだ?」
きょろきょろ探してみるが、全く見つからない。
「おい!ここじゃよ」
いきなり足元から声がした。
びっくりして下を見ると、十平衛がいた。
「すまんの。道が混雑しておって少し遅れてしもうた。それにしてもお前さんはでかいのぉ〜。すぐ判ったワイ。」
かっかっか・・・と、独特の高笑い。
「あんたは小さすぎて、全然判らなかったよ。」
ベアも大笑いする。
十平衛の家に向う車中・・・・・・・・
「手紙にも書いたが、極限流は知っておるよな?」
「ああ。話には聞いた事はあるが、実際には見た事がないな。」
「うむ、あの流派は修行が非常に厳しくて、体得できる奴は少ないんじゃ。規模は小さいが、実力派が多い。
それで、ウチに来た龍なんじゃが・・・あぁ、記憶喪失の極限流使いの事じゃ。名無しの権兵衛じゃ可哀想なんで、仮に付けた名前じゃ。
その龍なんじゃが、昔どこかで見たような気がするんじゃよ。
思い出したのが、若い頃の2代目「Mr.KARATE」こと坂崎亮にそっくりなんじゃ。
20年ほど前にアメリカに柔道の指導に行った時の事じゃ。
彼の父親の琢磨殿とは旧知の仲だったから、ついでに極限流道場を訪ねてみたんじゃ。
そうしたら、琢磨殿は失踪中だと言うのじゃよ。
その頃、琢磨殿は裏社会のゴタゴタに巻き込まれていたらしいのぉ。
おっと、話が逸れてしまったな。
その時に対応してくれたのが、坂崎亮殿という訳じゃ。
練習を見学させてもらったんじゃが、いやぁ若いのに物凄い実力者じゃったよ。」
十平衛は自分で調べた事を簡単に説明してくれた。
極限流の師範クラスで行方不明者はいない。
現在の坂崎亮は40代。
子供はいるが、まだ10歳くらい。
ひと通り説明を聞いたベアは、
「まぁ俺が満足できる相手なら、どこの誰だろうと関係ないけどな。」
期待に胸を弾ませる。
そうこうしている間に、十平衛の家へ到着した。
古めかしいが、歴史を感じさせる大きな日本家屋。
併設されている道場からは、柔道の練習の音と共に気合の入った声が聞こえてくる。
「まぁまぁ、遠いところをよくいらっしゃいました〜」
十平衛の婦人がにこやかに迎えてくれた。
どうぞこちらへ、と応接間に通される。
「おい、龍は何をしておる?」
十平衛が冷たい麦茶を出してくれた婦人に聞く。
「今はロードワークに行ってるみたいですよ。もうそろそろ戻ってくるんじゃないかしら。」
少し緊張していたベアは、龍がいないと聞いて少々気が抜けた。
龍と言う男はいったいどんなヤツなんだろうか?
もうすぐ会える。
そう思うと胸が高鳴る。
しばらくすると、玄関の方から誰かの気配がした。
「お、龍が帰ってきたようじゃな。」
呼びに行く十平衛。
「おーい龍!ちょっと応接間に来てくれんかー」
はーい と返事があった後に、端整な顔立ちの青年がやってきた。
「紹介しよう。こいつが極限流使いの龍じゃ。」
かるく会釈をし、挨拶を交わす。
「あんた、記憶喪失なんだってな。」
ベアが尋ねる。
「えぇ。皆さんと練習しているうちに、武者修行の旅をしているところまでは思い出したんですが、
それ以外は、なかなか思い出せないんですよ。」
「記憶が無いのに、武道ができるなんてすごいな。」
「どうやら体が覚えているようで、自然に動くと言うかなんというか・・・・
強い人と組み手をしていると、何か思い出しそうになるんですよね。」
物静かな立ち居振る舞いの中に、強者だけが放つオーラのような物をベアは感じ取っていた。
ゾクゾクッ!と鳥肌が立つ。強者に出会えた喜びで、鼓動が早くなる。
「よし!じゃぁ早速、あんたの記憶回復の手助けをするか!
爺さん、道場を貸りるぞ!」
「ちょっと待て、あんまり興奮するな。お前さん方に暴れられたら、道場が壊れてしまうわい。」
十平衛が口を挿む。
「ベアも長旅で疲れているようだし、今日はゆっくりしておれ。
明日、別の場所を準備しておいてやるよ。」
「むぅ。そ、そうか・・・」
ベアは少し不満そうな顔をするが、道場が壊れると言うのでは十平衛に従うしかなかった。
翌日・・・・・・・
近くの海岸に綺麗に畳が敷き詰められていた。
「どうじゃ。ここなら思いっきり暴れられるじゃろ?」
海岸には畳を運んだ道場の練習生達が、これから始まる出来事を今か、今かと待ち構えている。
何が始まるのか?と思った通りすがりの野次馬も集まってきた。
「よし、そろそろ始めるかの。ルールは、制限時間無しの一本勝負。
どちらかが降参するか、気絶するまでじゃ。
ワシが立会人を務める。」
対峙するベアと龍。緊迫した空気が張り詰める。
「それでは・・・・始めぇ!!」
龍がいきなり飛び掛った。
空中で回転しながらの2連続の蹴り。
すかさずガードをするが、非常に重たい攻撃。
ガードした腕が痺れる。
間髪入れず、残像が残るほどのパンチの連続攻撃。
ガードの隙間からヒットする。
ラッシュの終わり際の一瞬の隙を突き、カウンター気味にパンチを当て、間合いを取るベア。
そして間合いを詰め、投げを狙う。
龍の右手に氣が集まり、虎の形をした氣弾が襲い掛かる。
「!」
ガードしようとした腕が上がらない!
「ぐあぁ!!」
手数で押す龍。隙を突き、大きな一撃で反撃するベア。
素早い上に、重い攻撃の龍。次第にベアを圧倒していく。
しかし、ベアは笑っていた。
強い相手にめぐり合えた喜び。
この地球上にはまだまだ強い相手が存在するという希望。
「ぐあぁ!」
再び氣弾を喰らい、倒れるベア。
追い討ちをかけようと飛び込んでくる龍。
龍に少し油断があったのか。ベアの太い両腕が龍を羽交い絞めにする!
「ぐっっっ!!!」
龍の背骨がきしむ。
「どうだ!このままじゃ背骨が折れちまうぞ!降参するか?!」
「くっ・・・なんの!!!」
ベアに肘打ちを喰らわせ、かろうじてベアハッグから脱出する龍。
一旦膝を付きベアを見上げると・・・
そこには大きく息を吸い、両手を交差するベアがいた。
そして・・・・・
ぶおおおぉぉぉぉ!!!
灼熱の炎が龍を襲う。
「うああぁぁー!」
龍が仰向けに倒れた。気絶しているように見えた。
「ハァハァ・・・・・どうだ!爺さん!俺の勝ちだろ?」
「・・・・いや、まだじゃ!」
ゆらり、と立ち上がる龍。
先ほどまでとは雰囲気が違っていた。
強大なオーラが龍を包んでいるように見える。
「こ、これは・・・!」
「覇王・・・・・」
青白い氣が龍の両手に集まり、凝縮される。
「翔吼拳!!」
巨大な氣の塊が迫ってきた。
かろうじて避け、距離を置くベア。
「おおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
叫ぶ龍の体が白く光る!
「やばい!」
危険を感じたベアは、ガードを固める。
次の瞬間、離れていたはずの龍が目の前にいた。
「・・・・・う・・・・・・・・・・・・ここは・・・」
気が付くと、室内で寝ていた。
「お、気が付いたか。ウチの寝室じゃよ。」
十平衛が覗き込む。
「2日も目を覚まさないから、心配しとったんじゃ。無事でなによりじゃ。」
2日?いったい何が起こったんだ?
状況が判断できない。
「爺さん、俺は・・・・・」
「おお、龍の猛ラッシュを喰らって気絶したんじゃ。
あれは、キムの鳳凰脚のような技じゃった。」
「そうか、俺は負けたのか・・・・・」
「ふ・・ふはは・・・ぅわっはははははは!!!」
大笑いするベアに驚く十平衛。
「おい、大丈夫か?打ち所が悪くておかしくなってしもうたか?」
「はっはっは・・・・いやいや、強いやつと戦えて嬉しくってな。
でも、負けるとやっぱり悔しいんだよ。こんな気持ちはしばらく味わっていなかったなーなんて思ったら・・・な。
よーし、回復したらリベンジだ!爺さん、しばらくやっかいになるぜ。」
十平衛の顔が少し曇った。
「いや、あのな、龍はもういないんじゃ。」
「なに!どこへ行ったんだ!」
「さあのぉ・・・・・あの後、何か思い出したようで、行かなきゃならないところがあると言って、旅立ってしもうた。
どこへ行くとも言わず行ってしもうたからのぉ。
お前さんの炎で火傷を負っていたから、引き止めたんじゃが・・・・・・・・・」
「・・・・・・そうか・・・・・・・・・・・・」
落胆するベア。
数週間後・・・・・・・・・・・・・
サウスタウン・・・・
極限流頭首 坂崎邸・・・・・・・・・・
子供が坂崎亮に駄々をこねている。
「ねぇパパぁ〜、アニメ見せてよぅ〜」
「ちょっと待ってくれ・・・・こいつ、どこかで・・・・・・・・」
夕食の後片付けをしている婦人がリョウに尋ねる。
「あら?あなたがプロレス中継を見るなんて珍しいわね。」
「ん?あぁ・・・・このビッグベアってレスラーがな・・・
15年以上前かな?武者修行の旅で世界を巡っていた頃だ。
中国から台湾に船で行こうとしていたんだけど、その船が難破してしまって日本に流れ着いたんだ。
はずみで記憶喪失になっていたみたいで、よく思い出せないんだが、その時戦った相手じゃないかな?なんて思って・・・
でも、年齢的におかしいんだよなぁ・・・うーん・・・不思議なこともあるもんだなぁ。」
消えかかった腕の火傷の跡とTVに映るビッグベアを見比べながら、何度も首を傾ける。
同じ頃、パオパオカフェでは・・・・・・・
勢い良く扉をを開けて入ってきたベアが後ろからテリーに抱きつく。
「俺の相手になる奴はいねぇのかよ! テリーッ、もう一度勝負してくれよ。」
また退屈な日々が続きそうだ・・・・・・・・・・・・
あとがき
俺の中では、龍虎2で若ギースが出ているので、KOFシリーズで龍虎キャラと餓狼キャラが同年代と言う設定は納得してません。
と言う訳で、ガロスペのドリームマッチはタイムスリップだ!と言うことで無理矢理まとめてみました。
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