RAIDEN
-19xx 夏-
サウスタウン中心部から少し離れた所にあるスタジアム。
陽はビルの谷間に顔を隠し、空には闇が迫って来ている。
駐車場は満車。近くの地下鉄の駅からも続々と観衆が押し寄せている。
バラバラバラ・・・・・
上空にはTV局のヘリコプターがゆっくりと旋廻している。
レポーターが少し興奮気味に叫んでいる。
「えー、只今サウスタウンスーパースタジアムの上空です。
今夜、遂にSWFタッグ王座が決定します!
ビッグベア・ビッグボンバーダーVSスタンハリケーン・ブルドーザーブラッド!
会場は超満員、会場に入りきれない観客は、特設巨大モニターの前に群がっています!
さあ!まもなく決戦の火蓋が切って落とされます!!!」
バラバラバラ・・・・
中央に設置されたリングが、ナイター証明に煌々と照らし出されている。
会場内 一瞬、証明が落ちた後、リング中央に現れたリングアナウンサーにスポットライトが当たる。
「レディースandジェントルメン!
只今よりSWFタッグ王座決定戦、
ビッグベア・ビッグボンバーダーVSスタンハリケーン・ブルドーザーブラッドを行います!!!」
再び会場が暗闇に包まれ、観客のどよめきがリングをを埋め尽くす。
ヴシュゥゥゥ!!
花道の奥から花火が吹き上がり、二つの影が床下からせり上がってきた。
地鳴りのような歓声が会場を包む。
実況のアナウンサーが叫ぶ。
「さあ!まずはハリケーン・ブラッド組の入場です!
左拳を高々と掲げるハリケーン!その腕から繰り出されるラリアットは、大岩をも砕く!
ベア・ボンバーダーの大いなる野望、SWFタッグトーナメント完全制覇、
オールKO勝利を阻止出来るのでしょうか!」
そして、また会場が闇に包まれる。
息を呑む観客、一瞬の静寂・・・
ゴオオォォーー!!
先ほどとは反対側の花道の奥から火柱が上がる。
大歓声の会場。
「そして、その大いなる野望に向けて、ベア・ボンバーダー組の入場だ!」
・・・・・・・・・・・・・
歓声がどよめきに変わった。
床下からせり上がってきた人影は一人しかいないからだ。
「おおっと!これはどうした事だ!ベアの姿が見えないぞ!?
ボンバーダーが一人で入場してきます!
ベアに何かアクシデントでも起こったのか!?」
ざわめく観客、激しいブーイングが飛び交う。
ボンバーダーがリングに上がり、リングアナウンサーのマイクを奪うと、激しい口調で喋り出した。
「聞いてくれ!ベアの野郎 逃げ出しやがった!!!
奴はハリケーンに八百長試合を頼んだが、断られたもんだから、ビビッたんだ!
今までの試合も何度も八百長があったらしい・・
チクショウ!こうなったら俺一人でも戦ってやるぜ!
ハリケーン!ブラッド!かかってきやがれ!!!
ベアがいないと何もできねぇなんて言わせねぇぞ!!!」
興奮した表情の奥に、どす黒い笑みが見えたような気がした。
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1時間ほど前
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ベア・ボンバーダー控え室
ウォーミングアップを終え、ベンチに座り呼吸を整えるベア。
ガン!!
いきなり後頭部に衝撃が走る。
「ぐぁあ!」
倒れ込むベア。
追い討ちを掛けるように何度もパイプ椅子で殴られる。
数人から蹴り、拳が飛んでくる。
薄れ行く意識の中で誰かの声を聞いた。
「ハァハァハァ・・・・人気が有るからっていい気になりやがって・・・
てめぇなんかSWFから消してやる!明日の新聞を楽しみにしているんだな!
もっとも、生きていればの話だがな!ぐはははは!」
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翌日、スポーツ新聞の一面はSWFタッグマッチの話題で埋め尽くされた。
『ビッグベア敵前逃亡!』
『八百長は本当だった!ハリケーン、八百長の申し込みがあった事を証言』
『ボンバーダー孤軍奮闘するも、惜しくも敗れ去る
しかし、勝利と変わらない価値ある試合』
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「・・さん!・・・・さん!ライデンさん!
起きて下さい!間も無く試合会場に着きますよ!」
隣に居た黒尽くめの男に揺り起こされた。
目を開けると、移動している車の中だった。
あぁ、今からKOFの準決勝だったな・・・・
「ライデンさん、少し魘されていたようですけど大丈夫ですか?」
ライデンと呼ばれたマスクを被った大男は、うーん・・と、伸びをして答えた。
「あぁ、少し夢を見ていたんだ・・・あまり思い出したくない昔の事さ・・・・
試合には影響無い。今日の相手は誰だ?」
黒尽くめの男が答える。
「えぇ、名前は『テリーボガード』聖八極拳にマーシャルアーツをミックスしたスタイルです。
先日の決勝トーナメント1回戦で、ホアジャイを簡単にKOしました。
まだ若いですが、なかなかの腕を持っているようです。」
大男のマスクの下の目が明るく輝く。
「そうか、久々に活きのいい奴が相手だな!」
「油断すると足元をすくわれますよ?」
「油断?誰に言ってるんだ?俺はいつも真剣だぜ。」
大男は鼻で笑って答えた。
「失礼しました。さ、会場に到着しましたよ。」
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会場には、餓えた狼の様な目をした若者がが立っていた。
「ずいぶんとガキだな。お家へ帰ってママのオッパイでもしゃぶってな!」
大男は笑い飛ばした。しかし、目は笑っていなかった。威嚇するように若者を睨む。
「へっ!数分後に倒れているのはお前の方だぜ!」
若者は不敵な笑みを浮かべながら大男を睨み返す。
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『Ready FIGHT!!!』
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