書評データベース(2001年度3,4月分)

【あ行】

<本紹介>
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【ジャンル】短編小説集
【著書名】 おめでとう
【著者名】 川上弘美
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2000年11月20日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】きんめ鯛を手土産に恋しいタマヨさんを訪ねる“あたし”の旅。終電
      の去った線路で、男を思いつつ口ずさむでたらめな歌。家庭をもつ身
      の二人が、鴨鍋をはさんでさしむかう冬の一日。ぽっかりあかるく深
      々せつない12の恋の物語。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
 本書はカバー文にも書いているように12の物語が収録されている短編集。いず
れも決しておめでたくない内容ですが、切ない恋の物語になっています。短編とし
ては、あまりにも淡々と描かれてすぎていて、印象に残る作品というのも少ないで
すが、設定は中々凝っていました。もう少し物語に喜怒哀楽がハッキリしてくれる
と良かったです。

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリー
【著書名】 アンジュ
【著者名】 佐藤亜有子
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2000年10月30日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】夜更けにかかってくる匿名電話。しかし、その声は、かつて自分が誰
      よりも愛した男を思わせた……。欺瞞、嫉妬、断罪。愛の力に抗えず、
      さまよう魂の物語。待望のミステリー長編!
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 宮森安寿は16歳でデビューを飾り、海外での活動経験も持つ美貌のチェリスト。
そして弁護士の阿部祐介は、ほんの6週間前に安寿に婚約を承諾してもらったばか
りだというのに、その夜突然安寿から婚約解消を告げられた。理由は夜更けにかか
ってくる、ストーカーまがいの匿名電話の男に会いたいからだと言い、その声の主
は、かつて自分が誰よりも愛した人に違いないからとのことだった。そして9月初
めの金曜日の夜11時近くに、その男が待っているはずの六本木のバーへ安寿と祐
介を乗せたタクシーは動き出していた。そして殺人が起こった……。
 著者のデビュー作『ボディ・レンタル』は読んだことがあるのですが、本書はそ
のデビュー作とは全く違ったミステリーで、展開も中々凝っています。ネタバレに
なるので詳しくは書けませんが、主人公である安寿の複雑な家庭環境が事件に大き
く関っていて、最後まで目が離せない作品でした。単なる犯人探しというだけでな
く、事件の背景も細かく描写されていて読みごたえのあるミステリーでした。

<本紹介>
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【ジャンル】生活
【著書名】 頭のいい失業生活の知恵
【著者名】 佐藤治彦
【出版社】 日本文芸社
【初 刊】 1999年10月25日
【金 額】 1200円+税
【カバー文】タダで最大ひと月に33万円お金がもらえる失業保険と、退職・転職
      の得する裏ワザ満載! 退職から再就職、独立まで、元気が出る失業
      生活ガイド。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 本書はタイトルそのままに失業生活での知恵をまとめた内容。失業給付を最大限
増やす方法、辞表を出すタイミング、退職願いの書き方、退職時のトラブル解決法、
生活の節約術、再就職活動のコツ、税金の知識……など幅広く取り上げていて、失
業生活をしていなくても役立つ内容が多かったです。

<本紹介>
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【ジャンル】対談集
【著書名】 いきなりハッピー
【著者名】 石川三千花
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2000年11月20日
【金 額】 1286円+税
【カバー文】クレア好評連載の対談が一冊に! アラーキー、ダンカン、UA、近
      田春夫らとの爆笑トークに加え、著者のエッセイ、イラストも収録。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
 本書は10人の著名人との対談を中心に、エッセイも加えた一冊。イラストレー
ターでもある著者のイラストも良かったですが、対談との間に書かれている「見た
とこ勝負」というエッセイは面白い視点でした。対談は特別面白くはなかったです
が、気楽に読める一冊です。

<本紹介>
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【ジャンル】生活
【著書名】 伊東家も知らない! 裏ネタ・裏ワザ100連発
【著者名】 生活の知恵研究会
【出版社】 衆芸社
【初 刊】 2000年12月10日
【金 額】 1200円+税
【満足度】 ★☆
End------------------------------------------------
 タイトルにもあるように、本書は生活の中での裏ワザや裏ネタを集めたもの。タ
イトルにひかれて図書館から借りて読みましたが、生活の中で活かされる裏ワザは
少なく、この内容ならテレビの「伊東家の食卓」の方が充実しています。字が大き
くて1ページをイラストに使っているため非常に読みやすいですが、買ってまで読
んで試そうとは思わない中身でした。

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリー
【著書名】 悪意
【著者名】 東野圭吾
【出版社】 講談社文庫
【初 刊】 2001年1月15日
【金 額】 629円+税
【カバー文】人気作家・日高邦彦が仕事場で殺された。第一発見者は、妻の理恵と
      被害者の幼なじみである野々口修。犯行現場に赴いた刑事・加賀恭一
      郎の推理、逮捕された犯人が決して語らない動機とは。人はなぜ、人
      を殺すのか。超一流のフー&ホワイダニットによってミステリの本質
      を深く掘り下げた東野文学の最高峰。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は殺害された日高邦彦の幼なじみであり児童作家の野々口修の手記と刑事の
加賀恭一郎の記録とが交互に書かれ、事件の様相が次第に浮き彫りにされていくミ
ステリー。殺害された日高邦彦は人気作家で、近々妻と共にカナダに移住を計画し
ていた。そして野々口は最後の別れに日高家を訪ねるが、ある訪問者とすれ違う。
日高の作品のモデルとなった人物の遺族であるが、死者のプラスバシーを侵害され
たとして係争中だった遺族の抗議の後で日高は殺され、第一発見者となり事件に巻
き込まれた野々口はこの事件を記録しておこうと手記を書き始める。一方刑事の加
賀は、かつて野々口と同じ中学で教鞭を取っていた過去を持っていた。真実の追究
には決して手を抜かない加賀は、やがて野々口の叙述と現実の捜査から、日高殺し
の犯人を野々口と断定することとなるが、犯人の動機探しを捜査で突き詰めていく。
 物語の焦点は犯行の動機探しでもあり、事件そのものだけでなく複雑な様相と過
去を幾重にも絡められている。野々口の手記がある時は嘘であったり、嘘と思えば
正直だったりするのだが、それが人間の底知れぬ悪意を描きながら、記録すること
に封じ込められた男の悲劇でもあり、加賀刑事の事件を追及していく執念とがうま
く描かれています。

<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 狼は瞑らない
【著者名】 樋口明雄
【出版社】 角川春樹事務所
【初 刊】 2000年11月28日
【金 額】 2100円+税
【カバー文】佐伯鷹志は、かつて警視庁警備部警護課に在籍し、SP(セキュリテ
      ィ・ポリス)として、政治家の警護をしていたエリート警察官だった。
      いまは一線を退き、北アルプスと立山連峰に挟まれた、広大な山岳地
      帯で遭難者を救助する、山岳警備隊の隊員となって久しい。その佐伯
      を狙う謎の暗殺集団。彼らは、警察と政界の闇の部分を知りすぎた佐
      伯を消すために送り込まれた、“掃除屋”と呼ばれる男たちだった。
      そして、幾重にも張りめぐらされた非情の罠。風速四十五メートルの
      大型台風に襲われ、下界と完全に孤絶した、標高二千メートルを超え
      る険峻な山岳地帯を舞台に、過去を背負った男たちの、決死のサバイ
      バルが始まる!
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 あらすじはカバー文で詳しく書かれているので省略しますが、雪山を舞台に男達
の戦いを描いた物語です。主人公が狙われているのは、汚職に染まっている現総理
の過去を知りすぎたためで、そのため命を狙われることに。次々に悪天候の雪山で
危機があり、興奮のラストまで一気に読み進みます。迫力もあり、スピード感もあ
る作品ではありますが、山中の様子は詳しいものの、銃撃戦がアッサリ描かれてい
た欠点はありますが、主人公の過去と見えない敵との戦いには興奮と感動が味わえ
ます。約450ページの分厚い作品でしたが、一気に読み終える程の面白さがあり
ます。

【か行】

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 空山(くうざん)
【著者名】 帚木蓬生
【出版社】 講談社
【初 刊】 2000年6月9日
【金 額】 2000円+税
【カバー文】死んだ恋人の面影を追って訪ねた美しい山で、巨大なごみ処理センタ
      ーの建設が進められていた。立ち上がった女性市議と地元の住民に、
      何ができるのか。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 物語は、風光明媚な山の麓に大規模な産業廃棄施設の建設案が突如浮上した。利
害が絡み合って、計画は水面化で進行していく。この建設に反対する地元住民と新
人の女性市議は一体どう立ち向かっていくのかを描いた作品。
 問題になっているゴミ問題に真正面から取り組んだ作品でもありますが、約45
0ページの本書は読んでいても重く感じました。産廃施設に絡む利害や、地元住民
の行動など問題がしっかり描かれているものの、余分な描写も多く感じて、作品と
してはいい作品だとは思いますが、個人的には特別良かったともいえない作品でし
た。

<本紹介>
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【ジャンル】コラム
【著書名】 巨泉日記
【著者名】 大橋巨泉
【出版社】 講談社
【初 刊】 2000年10月20日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】冬はオセアニア、夏はカナダで過ごす……日本にいるのは春と秋。週
      に3日はゴルフクラブを握る。近著『巨泉 人生の選択』でセミ・リ
      タイア生活の極意を説く。あの元大人気司会者・大橋巨泉は、毎日な
      にを考え、どう暮らしているのか。「週刊現代」で好評連載中のコラ
      ム「内遊外歓」から精選、単行本化!
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 以前にも紹介した『巨泉 人生の選択』はカバー文にもあるように、セミ・リタ
イア生活を中心に書かれていたものですが、本書はその内容とダブっている部分も
あるものの、政治・経済・スポーツ・社会……と幅広いジャンルについてのコラム
が書かれています。中でも日本のプロ野球・巨人軍について書かれている「プロ野
球ボイコット宣言」や外国と日本の違いなど、著者の意見に納得させられる部分も
多く、前著のよりもこちらの方が興味深い内容でした。

<本紹介>
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【ジャンル】リレーエッセイ
【著書名】 恋をする人しない人
【著者名】 柴門ふみ+北川悦吏子
【出版社】 PHP研究所
【初 刊】 2000年11月2日
【金 額】 1250円+税
【カバー文】「東京ラブストーリー」の柴門ふみと「ビューティフルライフ」の北
      川悦吏子が、恋の王道、愛の知恵を語ります。恋愛の教祖様と恋愛の
      神様の至上の恋愛対論。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
 本書は恋愛をテーマに2人の著者がリレー形式のように相手の書いたことへの意
見も交えながら書いていくというエッセイ。恋愛がテーマではありますが、単なる
恋愛論ではなく、自分の考えを元にして書かれているのですが、内容がいかにも女
性向きで、柴門ふみのエッセイは好きなだけに図書館から借りて読みましたが、独
身女性向きのエッセイで、読んでいてもあまり面白くはなかったです。

<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 グレイ
【著者名】 延江 浩
【出版社】 中央公論新社
【初 刊】 2000年10月25日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】DJに届いた一枚のファクスは、封印された哀しみの扉を開ける合図
      だった。気鋭のTOKYOFMプロデューサーが放つ新感覚都市小説。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 人気ナンバーワンのラジオパーソナリティ・大黒マキ。その彼女をサポートする
ディレクターの小田ルリ子の2人のラジオ番組に殺人予告が送り付けられた。そし
て、その予告通りの場所で連続殺人事件が始まった。警察と共に事件を調べていく
中、ある番組関係者が浮上する。果たして犯人は?
 物語はラジオ番組を舞台に殺人が起きるサスペンス。著者はTOKYOFMのプ
ロデューサーであることもあり、番組製作やその舞台裏の様子を物語に交えて、中
々興味深いサスペンスでありますが、犯人の殺人動機についての描写がイマイチだ
ったのと、ラストが今一つ盛り上がりに欠けており、展開としては良かっただけに
この点が少々残念です。

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリー
【著書名】 顔のない男
【著者名】 北森 鴻
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2000年10月30日
【金 額】 1429円+税
【カバー文】一人の男が殺された。被害者の足どりを追う刑事たちの焦燥は深まる
      ばかりだった。名前も住所もわかっていながら周囲には彼を知るもの
      がいなかった……。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 都内の公園で死体となって発見された空木精作は、名前も住所もわかっていなが
ら経歴の掴めぬ男で、そのため事件の背景が全く見えてこないため捜査は難航して
いた。だが偶然に空木のノートを発見した刑事・原口と又吉により、その背後に横
たわる数々の事件が暴き出される……。
 物語の冒頭から死体として登場する空木は近所付き合いもなく、親の遺産で生活
していたため、だれ一人として経歴がわからず、そのため事件捜査は難航する。そ
の「顔のない男」のノートを刑事が見つけることから、その殺人の動機や背後の事
件が徐々に明かされるというミステリーですが、物語の設定の巧さが光る作品です。
殺された空木は一体何者だったのか、そして事件の背後に横たわる数々の事件とは
何かも丹念に描かれていて、ミステリーとしても楽しめる作品です。

<本紹介>
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【ジャンル】ガイドブック
【著書名】 北のラーメン屋104軒 --札幌&近郊編--
【著者名】 野坂郡司
【出版社】 イベント工学研究所
【初 刊】 2000年7月25日
【金 額】 1000円+税
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 タイトルでわかるように、本書は札幌近郊の厳選したラーメン屋を取り上げたガ
イドブック。著者は北海道のローカル番組でラーメン奉行を担当しているだけに、
ここに出ているラーメン屋は一般のガイドブックには載っていない味の名店がズラ
リと載っています。また各ページ全てカラーで、その店自慢のラーメンもカラー写
真で載せている他、店への住所や地図も載っています。

<本紹介>
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【ジャンル】コミック
【著書名】 刑務所の中
【著者名】 花輪和一
【出版社】 青林工藝舎
【初 刊】 2000年7月25日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】懲役3年! 拳銃不法所持により3年間の獄中生活を送ったマンガ家
      が、記憶をたよりに再現した獄中実録マンガ。『アックス』連載の異
      色話題作、遂に単行本化!
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 昨年話題となった本書をようやく買うことができ、一気に読みました。その本書
ですが、カバー文にも書いていますが、モデルガン趣味が高じて拳銃不法所持で逮
捕され、懲役3年の実刑に服した著者のユニークな獄中記。刑務所の中では何が行
われ、食事や作業など服役囚の生活の細部が、著者の記憶力によってマンガとして
再現されています。コミックではありますが、何度も読み返したくなる面白さがあ
り、細かな記録と心情告白が見事なまでに描かれていて獄中記という異色コミック
ですが、コミックとしては意表をつかれる面白さでした。あまりコミックはここで
は紹介しませんが、本書はお勧めできる価値ある作品として紹介します。

<本紹介>
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【ジャンル】体験記
【著書名】 「ご破産」で願いましては。
      --地獄の相続・借金苦・自宅競売からのサバイバル--
【著者名】 花井愛子
【出版社】 小学館文庫
【初 刊】 2001年1月1日
【金 額】 533円+税
【カバー文】少女小説作家として短期間に著書約二百冊、総売上げ二千万部を達成
      した花井愛子。その巨額印税収入を一部の親戚や身内が狙った! 母
      の死に続く父の死を、悲しむ間もなく発生した遺産相続トラブル。同
      時にバブルが崩壊し、所有不動産価格は急落、収入も極端に減少した。
      ローン返済が行き詰まった自宅マンションは、不良債権化して競売へ。
      電気も止まり、所持金百円単位の生活に追い込まれた結果、ついに自
      己破産を決意する……。実は誰にでも起こりうる金銭バトル。その地
      獄の体験を当事者ならではの迫力でつづる、背筋も凍る一冊!
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 内容はカバー文でも細かく書かれていますが、月収1000万円の売れっ子少女
小説作家が、一転して多額の借金を抱えて自己破産するまでの現実を一部始終書い
ているのが本書です。両親のためにと月収1000万円時代も含め貯めたお金で、
一軒家を含めマンションなどの不動産に替えたものの、両親の死でその遺産に群が
り資産をむしり取る親族達、バブル崩壊により不動産の価値は無くなり、多額の借
金を抱えることとなり、少女小説化としての人気も凋落して収入も減少し、借金の
利子だけ増えることになり……と、決して他人事とは思えない程のドキュメントで
す。特に著者の周囲で、知らない親戚が増え、恐ろしいまでに資産をむしり取る様
は、人間ここまで金銭に汚くなれるものかと呆れてしまうほどだが、人気作家から
の大金持ちから自己破産までの転落人生は読んでいて辛くなるものの、波乱万丈の
衝撃さを随所に感じる体験記でした。

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリー
【著書名】 黒い嵐の惨劇 --気象予報士の罠--
【著者名】 川田弥一郎
【出版社】 祥伝社
【初 刊】 2000年6月10日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】気象予報士試験会場で受験生の大瀬古が謀殺された。彼が食べた弁当
      に青酸が仕込まれていたのだ。大瀬古は絶命寸前、なぜか、かつて集
      中豪雨の地下駐車場で溺死した岸名という男の名を呟いた……。毒殺
      現場を目撃した添町友音は、気象情報会社エオリアンでアルバイトを
      しながら、密かに事件の真相を追った。エオリアン内部でも、以前給
      茶ポットに硼酸が混入される怪事件が発生しており、また所属する二
      人の天気キャスター麻生春菜子と依藤千咲子が対立していた。やがて
      友音と春菜子が、台風が直撃する御前崎に向かった嵐の夜、また新た
      な難事件が……。推理界の異才が先端ビジネスの現場を舞台に放つ、
      空前の本格“気象情報”ミステリー!
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 物語のあらすじはカバー文で詳しく書かれていますが、物語では気象予報ビジネ
スを巡って連続殺人が起こります。そして雨・風・雲が単なる舞台設定の描写では
なく、事件の謎を解く大きな鍵になっています。連続して起きる殺人事件を結び鍵
は何なのか、そして真相を握る気象トリックもミステリーとして楽しむことのでき
る作品です。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 ギャングスタードライブ
【著者名】 戸梶圭太
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2000年5月10日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】ダンサーくずれの女とヒモ暮らしの男が引き起こした11歳の少女を
      をめぐるちんけな誘拐事件。そこに大藪春彦かぶれのやくざとなぜか
      普通のサラリーマンのおじさんが加わって……。嵐の山路で、ダメな
      やつらのノンストッブのカーチェイスが始まった。流血あり、反吐あ
      り。笑いあり、涙なし。でも感動あり。疾走感溢れる、これぞ「B級
      ノベル」!
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 ダンサーくずれの敏子と、ヒモ暮らしをしていて敏子とは腐れ縁が続いている一
生が、敏子の母親の友人から500万円で誘拐を引き受けた。誘拐するのは依頼者
の実の子で、やくざの元夫から子供を誘拐してほしいという依頼だった。簡単な仕
事のはずだったのに、子供をさらった途端に依頼人が死亡。そして覚えがないのに
謎の人物がやくざの父親へ1億円の身代金を要求した。敏子と一生は、運悪く巻き
込まれたサラリーマンと、大藪春彦にかぶれたやくざから必死の逃亡を計るが……。
 カバー文にもありますが、物語は流血あり、笑いありとハチャメチャな展開でも
あるのですが、迫力あるカーチェイスもあり、スピード感溢れる作品です。著者の
作品では『溺れる魚』を読んでいますが、その作品よりも面白く、ワクワクしなが
ら読むことができました。

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリー
【著書名】 硝子の絆
【著者名】 浜田文人
【出版社】 角川春樹事務所(HARUKI NOVELS)
【初 刊】 2000年10月8日
【金 額】 1143円+税
【カバー文】「ボク、恐喝されてる」……夕刊さくら報道部記者・大澤一郎は自分
      の耳を疑った。一人息子の譲が、名門私立高校の四人組から強請をう
      けているというのだ。四人のリーダー的存在である若村祐樹宅へ向か
      った二人だったが、待っていたのは無惨な姿に変わり果てた祐樹の死
      体だった。警察の容疑の目が譲に向けられる中、息子の事実を確信す
      る大澤は、祐樹の仲間三人や、譲の恋人・麗奈と接触、事件の裏側を
      探るのだったが、そこに浮かび上がってきたのは、若者たちを翻弄す
      る、大人たちの醜い世界だった……。親子・友人・学校・社会……歪
      みきった関係に苦悩する者たちの姿を描く長編ミステリー。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 物語のあらすじはカバー文でも書かれていますが、主人公は少年殺害の容疑をか
けられた父と息子。息子の無実を晴らすために真相を究明する新聞記者の父親と、
両親が離婚してから父親と暮らす息子と父親の絆の復活を物語で表現しています。
事件については細かなことはネタバレになるので書きませんが、少々点と線が繋が
りすぎていると感じましたが、大人達の醜い世界が事件背景にあり、その大人達と
子供達との世界を巧くミステリーとしています。

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリー
【著書名】 駒場の七つの迷宮
【著者名】 小森健太郎
【出版社】 光文社(KAPPA NOVELS)
【初 刊】 2000年8月30日
【金 額】 838円+税
【カバー文】東大駒場キャンパスには七つの迷宮がある。その全てに足を踏み入れ
      たとき、明らかになる真相とは!? 新興宗教サークル『思索と超越研
      究会』に所属する東大生・葛城陵治は、朝の勧誘活動中に不思議な女
      性と出会う。彼女・鈴葦素亜羅はいくつもの宗教をかけもちして天才
      的な勧誘活動を行なう、人呼んで<勧誘女王>だった。彼女の独特な
      考え方に戸惑いつつ惹かれる葛城。やがて素亜羅も入会した葛城たち
      のサークルは、駒場寮での死体発見に始まる奇怪な事件の連鎖に遭遇
      する! 新本格推理の雄・小森健太郎が母校・東京大学を舞台に巻き
      起こす怪事件。この迷宮に、出口はあるのか!?
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 物語は東京大学のキャンパスを舞台とする新興宗教サークルに所属する主人公の
身の回りで起きる奇怪な事件の数々を描いたミステリー。詳しい設定は本書を読ん
でほしいですが、主人公は父親の会社の倒産により伯父が起こした新興宗教の信者
とならざるをえない立場となり、東京大学への学費も新興宗教の教祖である伯父が
大学内で勧誘をすることで出してくれていた。その主人公がいくつもの宗教を掛け
持ちする勧誘女王と呼ばれる素亜羅と出会ったことで、様々な事件に遭遇する。最
初は駒場寮での死体発見から始まり、自分の所属するサークルの仲間達が次々に襲
われていった。犯人探しと共に真相究明する陵治だが、事件の真相、そして素亜羅
の正体とは何か?
 東京大学と新興宗教を舞台としたミステリーとは、その設定がまずは面白かった
ですが、事件の真相というよりもその背景が楽しめたミステリーです。最後に明ら
かになるヒロインといえる素亜羅の正体は意外というか、意表をついていますが、
あとがきにも書かれていて今後出される続編での陵治と素亜羅の物語も読んでみた
いと感じました。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ハードボイルド
【著書名】 心では重すぎる
【著者名】 大沢在昌
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2000年11月30日
【金 額】 2000円+税
【カバー文】心に比べれば、人間の体なんてのは軽いものさ……。失踪した人気漫
      画家を追う私立探偵・佐久間公の前に立ちはだかる謎の美少女。薬物、
      新興宗教……。渋谷、この街から新たな物語が始まる。真っ向から
      “現代”に挑んだ、怒涛の1300枚!
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 薬物中毒患者の更生施設で働く佐久間の本業は私立探偵。その佐久間のもとに、
失踪した漫画家からサインを貰ってきてほしいという依頼が舞い込んだ。調査を開
始した佐久間は謎の女子高生と出会うのだが、それが渋谷を舞台とした命懸けの調
査に繋がることに。
 本書は750ページ強というボリュームで、読み終えるのにも時間がかかりまし
たが、そのボリュームと中身の質が伴っている良質のハードボイルド。主人公・佐
久間公はシリーズ化されており、その最新作が本書ですが、過去のシリーズでの出
来事を巧くフラッシュバックさせながら、渋谷を舞台とした物語を描いています。
その物語は非常に込み入っていて、説明するのも難しいですが、失踪した漫画家を
探す依頼を受けた主人公が出会う謎の女子高生、そして主人公が働く更生施設にい
る薬物中毒患者、更に失踪した漫画家とその弟のヤクザ、渋谷の裏で動くヤクザの
抗争が全て線で繋がれており、更には新興宗教が絡んでいるというスケールの大き
な作品。内容の密度の濃さは勿論のこと、主人公の佐久間公の存在感をたっぷりと
表現しているハードボイルドで読み応えとしては満点。ラストの続きをもう少し描
いてほしかったため5つ星とはしませんでしたが、シリーズを読んできているだけ
に、シリーズ最新作としては大満足のいく作品でした。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】エッセイ
【著書名】 こんな患者はよそへ行け --わがまま先生の辛い外来日記--
【著者名】 大峡弘義
【出版社】 文芸社
【初 刊】 2000年12月1日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】「少しでも、良い診療を行いたい!」 小児科医でもある著者が明か
      す「わがまま」な患者への苦言・提言。医者の立場から鋭く突っ込ん
      だ患者の在り方、本音大爆発!
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 サブタイトルには「わがまま先生の辛い外来日記」とあり、著者は本書の中でも
わがまま先生と書いていますが、決してわがままな医者ではなく、患者思いのいい
医者である著者が、わがままな患者とのエピソードを中心に書いたのが本書。自己
中心的な患者がいかに多いか、そして自分勝手な解釈を言う患者、薬の処方に関る
ことなのに嘘を言う患者……と、その苦労が感じられるエッセイです。仕事の立場
が違うとはいえ、客商売をしている自分の身で考えても迷惑なお客のこともつい考
えてしまいましたが、わがままな人はどこに行ってもわがままなのだろうし、それ
を本人は気づかないのでしょうね。医者もつくづく大変な仕事だと思いました。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】自伝
【著書名】 君ならできる
【著者名】 小出義雄
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2000年10月5日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】「高橋尚子、おまえは世界一になれるよ」 小出監督は本書の中でレ
      ース展開を正確に予言していた。平凡な記録の少女を金メダリストに
      変えた小出マジックの秘密。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
 昨年のシドニーオリンピック後に出版された本書は当時テレビやマスコミでも大
きく取り上げられていましたが、本書で書かれている内容もワイドショーなどで放
送されたものが多く、特別興味深いと思えるところは少なかったです。それでも最
後のあとがきとして書かれているオリンピック女子マラソンでのレース展開の読み
は流石でしたし、読みやすさは多くの人にも受け入れられたのでしょう。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】エッセイ
【著書名】 こんな私でよかったら…… --借金女王のビンボー日記III--
【著者名】 中村うさぎ
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2000年10月31日
【金 額】 1200円+税
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は雑誌「ChouChou」に連載されていた「中村うさぎのびんぼう日記」
をまとめたもの。最近では小説家としてよりも、借金エッセイの方ですっかり著名
になった著者ですが、本書は借金ネタだけでなく、下ネタやらウンコやオナラネタ
までも堂々と書き、最初から最後まで笑ってしまうエッセイです。

<本紹介>
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【ジャンル】ホラーミステリー
【著書名】 恐怖
【著者名】 筒井康隆
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2001年1月10日
【金 額】 1048円+税
【カバー文】とある地方都市で起きた文化人連続殺人事件。次は俺か……。パニッ
      クに陥った作家の狂気を通して「恐怖」の根源に迫った快作!
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 地方都市・姥坂市に住む作家・村田勘市は帰宅途中、町田美都画伯の死体を発見
する。そして翌朝、今度は建築評論家の南條郁雄が殺害された。犯人は姥坂市の文
化人を狙う殺人鬼なのか?
 物語は主人公の作家・村田勘市のパニックに陥った恐怖を描いた作品。ブラック
ユーモアのあるミステリーで、主人公の恐怖の表現なども筒井康隆らしさが出てい
ます。恐怖と主題としたためか、殺人の経緯や捜査などの描写をもっと多く描いて
ほしかったですが、主人公の恐怖は読み手にも伝わってくる作品です。

<本紹介>
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【ジャンル】ホラーミステリー
【著書名】 薬師(くすし)
【著者名】 和田はつ子
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2000年9月30日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】“日本人の薬膳”という本に関る文化人類学者・日下部のまわりで起
      きる連続殺人事件。次々と発見される患部を抉り取られた末期癌患者
      たちの異様な死体。これらの事件に秘められたものは何なのか。女性
      刑事・水野薫の協力を得て、事件を追う日下部が辿り着いたのは、か
      つてある村で行われていた人食の歴史だった……。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
 物語は、文化人類学者・日下部の周囲で砒素混入事件と連続殺人事件が起こり、
警視庁の女性刑事・水野薫の協力を得た日下部は事件を追い、かつて人肉を薬とし
て食べていた村へと辿り着き、闇に隠された歴史が死を招いていることを知る。カ
バー文で面白そうだと思い、図書館から借りて読みましたが、ホラーとしての設定
は良いものの、事件や捜査の描写がイマイチで恐怖をそれほど感じず、やや期待ハ
ズレに終わった作品。もう少しゾクゾクする感じを味わいたかったですが、何か中
途半端な印象を受けた作品です。

【さ行】

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】エッセイ
【著書名】 魚が見た夢
【著者名】 柳 美里
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2000年10月30日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】私記『命』が大反響の今……もっとも注目される小説家の愛、過去、
      家族を明かす感動のエッセイ集。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 本書は8年間にわたり書いた短い文章のエッセイをまとめたもので、著者の23
歳から32歳までが書かれています。カバー文にも書いているように、家族の話が
殆どで、楽しいことは殆どなく、辛かったことや哀しかったことが圧倒しています。
『命』にも書かれているような子供のことや同居し亡くなられた東由多加のことは
最後の一部分でしか書かれていないのは残念でした。

<本紹介>
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【ジャンル】競馬ノンフィクション
【著書名】 スペシャルウィーク --最強馬の証明--
【著者名】 木村俊太
【出版社】 ザ・マサダ
【初 刊】 2000年11月1日
【金 額】 1500円+税
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書はタイトルにもなっていて、昨年の天皇賞やジャパンカップを勝ち引退したス
ペシャルウィークと関係者のドキュメント。誕生と同時に亡くなった母馬の出産状況
から、デビューに向けての調整、そしてデビューから日本ダービー制覇、5歳時のG
Iレースでの活躍、そして引退……と一冊に様々な秘話を交えたスポーツノンフィク
ションとなっています。多くの関係者への丹念な取材から、スペシャルウィークの宿
命のドラマは、競馬ファンならずとも心に残るドラマといえるでしょう。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 彗星の住人
【著者名】 島田雅彦
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2000年11月25日
【金 額】 2000円+税
【カバー文】1894年長崎、蝶々さんと呼ばれた芸者の悲恋から全ては始まった。
      息子JBは母の幻を追い、米国、満州、焼跡の日本を彷徨う。三代目
      蔵人はマッカーサーの愛人に魂を奪われる。四代目カヲルは禁断の恋
      に呪われ、歴史の闇に葬られる。恋の遺伝子に導かれ、血族四代の欲
      望は世紀を越える。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
 物語は4代にわたる歴史作品で、恋と音楽を物語で描いています。アメリカの士
官に愛された芸者の蝶々夫人は、彼の子供を産むが、その士官には妻子がいるため、
彼の妻に自分の子を委ね、自らは死を選んだ。その子供は母の幻を追い、その子供
となる野田蔵人は音楽家となるが、戦後一世を風靡した女優との悲恋を体験する。
更に蔵人の子カヲルは、苦しい幼年期を経て、禁断の恋に落ちていく。スケールの
大きな作品ではあるものの、4代にわたる物語は読んでいて疲れましたし、それぞ
れの代の物語はしっかりしているものの、全体で読むと重苦しく感じられたのは欠
点に思いました。

<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 そして粛清の扉を
【著者名】 黒武 洋
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2001年1月25日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】一人の女教師が学校に血の戒厳令! 卒業式前日、人質の生徒処刑が
      始まった。一人、また一人……。もう誰も逃げられない……。周到な
      計画、警察との攻防、強行突入か、説得か。タイムリミットが刻々と
      迫る。TV生中継のなか、ついに教師は用意された身代金で、前代未
      聞の「ゲーム」を宣言した……。常識とタブーを踏み越える戦慄のド
      ラマが今、幕を開ける! ページをめくる指の震えがとまらない。R
      指定を超える衝撃作! 第1回ホラーサスペンス大賞大賞受賞作。
【満足度】 ★★★★★(文句なし!)
End------------------------------------------------
 内容はカバー文でも書かれているように超過激なサスペンス。バトル・ロワイヤ
ルともつい比較してしまう物語ではありますが、少年犯罪の現状や社会情勢を盛り
込んでの生徒の処刑を描いています。その物語では卒業式の前日クラス全員が出席
し、生徒たちが担任である女教師に次々と罪名と共に殺されていく。そこには、用
意されたシナリオのなかで時間が過ぎていく。言われるがままの警察、マスコミ、
人質となった子供の親の心の動きを交えながら、息を付かせない展開が最後まで続
きます。人質となった子供達の冒した罪、主人公の女教師が生徒処刑をするに到っ
た経緯を描いた問題作です。
 本書は近くの書店のどこにもなく、ネット書店でようやく手に入れることができ
た本で、読む前に話題となっていたことは知っていましたし、内容文を知っていた
ので、バトル・ロワイヤルとどう違うか、またバトル・ロワイヤルのような衝撃が
与えられるかどうかを読む前から楽しみにしていましたが、バトル・ロワイヤルと
は全くの別物ではありますが、違いといえば、こちらは社会背景を多く取り入れて
いることと、バトル・ロワイヤルは非公開の中での殺人ゲームでしたが、こちらは
全国生中継の中での処刑で、衝撃としては同じようなインパクトを受けました。正
直欠点として、女教師の過去や、ネタバレになるので詳しく書けませんが、この生
徒処刑を共に企てる人物との接点、そしてマスコミや警察の動きなど、まだまだ細
かく描写してほしかったという点はあるものの、それらの欠点を圧倒的なまでの迫
力で打ち消していますし、反社会的でありながら、多くの現実問題を物語としてい
るだけに、個人的に非常に高い評価を与えたいです。現段階では本年度ナンバーワ
ンといえますし、絶対的なお勧め作。特に「バトル・ロワイヤル」で衝撃を受けた
人達にこそ読んでほしい一冊ですし、比較の感想を聞かせてもらいたい問題作です!

<本紹介>
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【ジャンル】生活
【著書名】 スカをつかむな!情報家電
【著者名】 藤井耕一郎
【出版社】 草思社
【初 刊】 2000年10月30日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】BSデジタル放送スタート、iモード1000万台契約突破、パソコ
      ン普及率40パーセントなど、2000年の消費者は煽られてばかり。
      でもじつは、互換性のない商品で電器屋はあふれている……。買って
      後悔しないための「お買い物基礎知識」決定版、登場!
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 本書は新製品が続出している情報家電の世界を広い視野から眺め、規格間競争の
実情と製品を判断する手がかりを探ったもの。日常的な家電は勿論のこと、ネット
接続、デジタル放送、機器間接続問題など、変動の目まぐるしい情報家電について
の違いや、製品が登場した背景が書かれています。どれが良いのかはわかりません
が、今後どうなっていくか、家電の内容など知らなかったところも多く情報提供に
はなる一冊です。しかし情報家電は今後も進化が見られることでしょうが、それに
振り回されることのないようにしたいものです。

<本紹介>
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【ジャンル】仕事
【著書名】 職人になる本
【著者名】 山中伊知郎
【出版社】 永岡書店
【初 刊】 2000年12月10日
【金 額】 1500円+税
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 本書はタイトルを見てもわかるように、様々な職人について紹介したもの。職人
になるための条件から、職人度数として技術度・収入度・接客度・体力消耗度・気
力消耗度・門戸開放度・下積度・総合難易度をそれぞれ5つ星評価しています。他
にその職人のタイムスケジュールなども載っていて、真剣に職人を目指す人には参
考となる内容です。自分も職人といえるので、同業が載っていたので図書館から借
りましたが、こうして読んでみると随分と色々な職人がいるものだと痛感します。
図や写真も多く、読みやすい中身でした。

<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 寿司屋のかみさんのちょっと箸休め
【著者名】 佐川良枝
【出版社】 青春出版社
【初 刊】 2000年12月10日
【金 額】 1400円+税
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
 「寿司屋のかみさん」シリーズといえる著者のエッセイは読んできましたが、本
書は寿司屋での話のエッセイではなく、寿司屋のちょっとしたおつまみに関するこ
とを書いたもの。家庭で手軽に作れるレシピなども巻末にあり、箸休め風の料理が
沢山紹介されています。料理好きの人なら楽しんで読めるエッセイです。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 ST 黒いモスクワ
【著者名】 今野 敏
【出版社】 講談社(KODANSHA NOVELS)
【初 刊】 2000年12月5日
【金 額】 740円+税
【カバー文】警視庁科学特捜班、通称STの百合根と赤城にロシア出張の命令が下
      った。ロシア連邦保安局との情報交換が任務だった。到着早々の二人
      は爆発事件の捜査に首を突っ込む。ただの事件ではなかった。被害者
      はロシア・マフィアで、シャンバラを研究する神秘主義者だったのだ。
      最強の捜査班が国境を超えて活躍する!
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
 ST(警視庁科学特捜班)シリーズ最新作の本書は、今までの国内が舞台ではなく、
ロシアが舞台。ロシアへの出張命令が出たSTの百合根と赤城は、到着早々から爆
発事件へと関ることに。そのロシアでのポルターガイスト現象をSTで調べること
となり、国境を超えてのSTの活躍ぶりが描かれています。
 今までの作品とは違い、ロシアが舞台なだけにスケールは大きくなっていますが、
国内での今までのシリーズの方がSTの活動の良さが出ていたように思えました。
次作も海外が舞台となるかもしれませんが、できれば国内でのSTの活躍を読みた
いです。

【た行】

<本紹介>
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【ジャンル】連作小説
【著書名】 定年ゴジラ
【著者名】 重松 清
【出版社】 講談社文庫
【初 刊】 2001年2月15日
【金 額】 695円+税
【カバー文】開発から30年、年老いたニュータウンで迎えた定年。途方に暮れる
      山崎さんに散歩仲間ができた。「ジャージーは禁物ですぞ。腰を痛め
      ます。腹も出ます」先輩の町内会長、単身赴任で浦島太郎状態のノム
      さん、新天地に旅立つフーさん。自分の居場所を捜す四人組の日々の
      哀歓を温かく描く連作。「帰ってきた定年ゴジラ」収録の完成版。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は連作の短編という形をとっているものの、長編に近い形の作品で、文庫化
に伴って「帰ってきた定年ゴジラ」を新たに加えた作品。主人公は老朽化したニュ
ータウンで定年を迎えた山崎さん。暇を持て余す毎日だったが、散歩で知り合った
定年四人と第二の人生を歩み始める物語。主人公の山崎さんは、娘二人はすでに家
を出て、長女は結婚し、次女は交際相手が離婚問題に関り、悩みを抱えている。ま
た、町内会長は二世帯住宅で妻と息子の嫁とで問題が起きており、単身赴任が続い
ていたノムさんは家庭に居場所がない様子。そしてこのニュータウンの開発者でも
あったフーさんは北海道へと旅立つ予定をしており、登場人、そして町内会の問題
と日常の中での問題を物語とした連作集です。タイトルの「定年ゴジラ」はこのニ
ュータウンの模型を踏みつけて壊す様子をゴジラに例えたもので、その様子は作品
中にも出てきます。ここに登場する世代は、僕にとっては父親の世代。その父親の
世代が都心から2時間以上のマイホームに夢を託し、それが定年後にどのような思
いを抱くのか、そして定年後の毎日を物語としているのですが、読後は物語の中の
年老いたニュータウンにも愛着を覚えましたし、登場人物のような老後の交流は羨
ましく思いました。世代を超えて楽しむことができましたし、老朽化したニュータ
ウンでの定年を題材としていることにも斬新さを覚えました。

<本紹介>
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【ジャンル】商品紹介
【著書名】 トレたま おもしろモノ大集合!
【著者名】 テレビ東京WBS編
【出版社】 日経ビジネス人文庫
【初 刊】 2001年1月5日
【金 額】 552円+税
【カバー文】絶対に二度寝させない目覚まし時計、家賃催促マシーン、煙を消すタ
      バコフィルター、妖しく光るグラス、食べられる写真……。おもしろ
      くて、便利、だけどちょっと変な商品たちは、どうやって生まれてき
      たのか。「アイデアのツボ」満載の愉しい一冊。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 テレビ東京系で夜11時から放送されている「ワールドビジネスサテライト」の
中で、アイデア商品を紹介する「トレンドたまご」(トレたま)というコーナーがあ
りますが、その「トレたま」で取り上げられた商品の一部を紹介しているのが本書。
この番組はよく見ているのですが、ユニークなアイデア商品を取り上げている「ト
レたま」のコーナーは好きで、本書では開発から製造、そして販売後の様子を番組
スタッフの裏話など、番組では放送していない部分も本書では読むことができます。

<本紹介>
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【ジャンル】対談集
【著書名】 武豊対談集 頂上を駆ける
【著者名】 武豊(語り)/島田明宏(構成)
【出版社】 ザ・マサダ
【初 刊】 2000年12月1日
【金 額】 1300円+税
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 こちらは武豊騎手の対談集。対談相手は、元騎手で現調教師の田原成貴、現騎手
で世界を舞台に活躍しているマイケル・ロバーツ、元プロ野球選手の江夏豊、元F
1ドライバーの中嶋悟、元プロボクサーの飯田覚士、元プロ野球選手の野田浩司。
それぞれ6人のトップアスリート達との対談は、競馬の話は勿論の事、競馬以外の
話でも盛り上げてくれて、スポーツ選手の知られざる一面を覗くこともできます。

<本紹介>
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【ジャンル】政治
【著書名】 代議士秘書 --永田町、笑っちゃうけどホントの話--
【著者名】 飯島 勲
【出版社】 講談社文庫
【初 刊】 2001年3月15日
【金 額】 695円+税
【カバー文】代議士の出世は秘書しだい。選挙では獅子奮迅の活躍、わが先生が当
      選すれば陳情を巧みにさばく。予算の分捕り、就職あっせん……。永
      田町には政・官・民の底なしの欲望が渦を巻く。自民党の顔、小泉純
      一郎と共に三十年、辣腕を謳われる男が明かす、面白うてやがて哀し
      きニッポン政治。(『永田町の掟』加筆、改題)
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 著者は小泉純一郎の議員秘書を30年勤める代議士秘書。その著者が当世永田町
の事情を書いたのが本書。新聞やテレビではわからない笑える話に始まり、選挙事
情や選挙戦の裏事情、陳情についてなど、知られざる議員秘書の一面を読むことが
でき、代議士秘書の悲哀を織り交ぜながら、政治の実態についても知ることができ
ます。

<本紹介>
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【ジャンル】芸能
【著書名】 テレビ犯科長 許せん!!
【著者名】 吉川 潮
【出版社】 講談社
【初 刊】 2000年11月21日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】衝撃のタレント格付け!! あなたの好きなあのタレントは、どう評価
      されている!? 「寸鉄人を刺す」日刊ゲンダイ好評名コラム『TV見
      たまま思ったまま』の単行本化!!
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は芸能人・著名人など、ジャンル別に著者が格付けをしたコラムをまとめた
もの。バラエティ、ドラマ、報道番組、スポーツ、ワイドショー、女子アナ・ダメ
女、タレビ局の体質とジャンルが分かれ、全部で108本のコラムが載っています
が、ダメなタレントは徹底的に叩いています。小気味いい毒舌もあり、真面目に芸
を褒めている人ありと、全てのタレントにダメ出しをしているわけでもありません
が、どうしてこんな人が未だにテレビに出ているのかと思っていた人を徹底的に叩
いているのは読んでいても面白かったです。芸能の毒舌コラムはそれなりに出てい
ますが、三ツ星評価をしているので、その評価も面白かったです。

<本紹介>
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【ジャンル】対談集
【著書名】 チチンプイプイ
【著者名】 宮部みゆき/室井滋
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2000年4月20日
【金 額】 1190円+税
【カバー文】宮部みゆき、書下しエッセイ! 室井滋、初のミステリー執筆! ミ
      ステリー作家と女優&エッセイスト、売れっ子の二人が語って食べて
      作って笑った美味しい対談集。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 本書は宮部みゆきと室井滋の対談が中心となっているもので、「オール讀物」な
どでの対談集や室井滋の初の短編ミステリーなどが収録されています。対談もそれ
なりに面白かったですが、著者単独のエッセイや作品などを読む方がいいようには
思いました。その対談でも、故郷グルメ対決の巻、ミヤベ・ムロイのディナーショ
ーを観るの巻は面白かったです。

<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 できればムカつかずに生きたい
【著者名】 田口ランディ
【出版社】 晶文社
【初 刊】 2000年10月20日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】どうしたら傷ついたりめげたりしないで強く生きられるんだろう。多
      発する十七歳の少年たちの犯罪のこと、ひきこもりの末亡くなった兄
      のこと、プチ家出をする少女たちの心情、「いじめ」の本質について
      考えたこと、心に抱えた恨みつらみの晴らし方……社会で頻発するさ
      まざまな事件、心の病、家族間・世代間の軋轢などを題材に、生きに
      くいいまの時代で、よりよく生きるための方策を示唆するエッセイ集。
      読者数六万人を超えるメールマガジンを配信し、悩める普通の生活人
      から圧倒的な支持と信頼を得ている著者が贈る、ヘヴィでリアルな心
      の処方箋。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書はカバー文で書かれているような心に抱えた青少年の問題を題材にしたエッ
セイ集。著者の思春期での体験や悩みをもとにして、多くの問題を取り上げていま
すが、「いじめ」や少年犯罪など多くの人がエッセイなりテレビで発言したりして
いますが、著者は自らの体験と照らし合わせているだけに、真剣に問題に取り組ん
でいる様子が読んでいて伺えます。巻末のあとがきに「このエッセイ集は、思春期
の宿題への、私なりの解答だ」と書いてありましたが、読み手も考えさせられるエ
ッセイ集でした。

【な行】

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】短編小説集
【著書名】 日本ジジババ列伝
【著者名】 清水義範
【出版社】 中央公論社
【初 刊】 1995年12月7日
【金 額】 1456円+税
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は12の作品が収録された短編集で、いずれも老人が主人公。タイトルから
老人の凄まじい列伝が面白く描かれていると思っていましたが、実際にありそうな
話ばかりで、楽しく読むことができました。同居の家族との問題、旅先で知り合っ
た人達との想い出、孫との交流など、老人の楽しい生き方、不安、寂しさ、悲しさ
などを感じ取れる作品集です。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 脳男
【著者名】 首藤瓜於
【出版社】 講談社
【初 刊】 2000年9月11日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】連続爆弾魔のアジトで見つかった心を持たない男。謎だらけの存在が
      犯人を追いつめ、街ではパニックが加速する。第46回江戸川乱歩賞
      受賞作。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 中部地方の愛宕市で連続爆弾事件が起きた。刑事の茶屋は、緑川という容疑者を
割り出し、爆弾製造工場と思われる倉庫に捜査員と共に踏み込むが、そこでは緑川
と見知らぬ男が格闘中だった。その中に踏み込んだ茶屋だったが、緑川は男に耳を
引きちぎられながら罠を作動させ、逃走してしまった。一方耳を引きちぎられた男
は共犯者として逮捕され、精神鑑定のため病院へ収容されるが、男が名乗った鈴木
一郎という名と戸籍は他人のもので、怪力の持ち主であるが、感情が欠落した人間
であることが判明した。担当の精神外科医は男の生い立ちの調査を始めるのだが、
思いもよらぬ事実が浮かび上がってきた。そしてその時、爆弾犯は新たな行動を起
こそうとしていた。
 本書はカバー文にもあるように昨年の江戸川乱歩賞受賞作。江戸川乱歩賞っぽく
はない作品ですが、物語での鈴木一郎の特異性とアクションシーンは読ませる内容
だったものの、どこかインパクトに欠けていて、江戸川乱歩賞ということで期待し
て読みましたが、何か物足りなさも感じました。作品としては確かに面白い展開で
はありましたし、心を持たない犯罪者をうまく描いていましたが、読む前の期待が
大きすぎたのか、それほど強烈な印象は残らない作品でした。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】パスティーシュ小説
【著書名】 日本語の乱れ
【著者名】 清水義範
【出版社】 集英社
【初 刊】 2000年11月30日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】『日本語はどうなるのでしょうか』ラジオ番組でナレーターが発言し
      た途端、関東一円の老人たちが色めき立った。ラ抜き言葉や、女子高
      生の意味不明語、カタカナ語に対する糾弾、非難、苦情の嵐。他人の
      言葉遣いの乱れが気になる爆笑の表題作。ほか「場所か人か」「たと
      えて言うならば」など。小学生からおじいちゃんおばあちゃんまで遊
      べる言葉の遊園地にようこそ。なんとこれが小説です!
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は12の作品が収録されている短編集。表題作はカバー文でも書かれていま
すが、ラ抜き言葉や女子高生の意味不明用語、カタカナ語や尊敬語、謙虚語……な
ど、他人の言葉遣いの乱れを題材にした作品で、いかにも清水義範らしい作品で、
思わず笑ってしまいます。他にも言葉の遊びが作品で活かされていて、音声入力ソ
フトについてを描いた「耳の言葉、目の言葉」も面白かったです。

【は行】

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】エッセイ
【著書名】 秘密の花園
【著者名】 わかぎえふ
【出版社】 集英社文庫
【初 刊】 2000年10月25日
【金 額】 476円+税
【カバー文】出生の秘密から初体験の秘密まで、著者自らの“恥の歴史”が明かさ
      れる「パパイヤの園」。さらに親友、知り合い、そのまた知り合い、
      芝居仲間など女達の下半身の秘密がひしめく「リラの園」、下着をは
      じめ女だけのグッズにまつわる秘密を集めた「さくらの園」へ……。
      読むほどに女はスケベであるという堅固な事実が露わになる、エッチ
      でおかしくてカラッと明るい赤裸々エッセイ。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 このエッセイはカバー文の表現がピッタリのエッチでおかしくてカラッと明るい
赤裸々のエッセイ。大きく3つの園に分けられていますが、いずれも女性の恥につ
いてが書かれ、爆笑の下ネタが多く、男性が読んでも面白いエッセイ集です。しか
し女性のエッチな話がこうも明るく書かれると、逆にいやらしさは全然感じず、吹
き出して笑ってしまったところも多く、エッセイとしてはお勧めの一冊です。わか
ぎえふのエッセイは幾つか読んでいますが、これは今までのエッセイの中でもイチ
オシのエッセイ集です。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】エッセイ
【著書名】 太りすぎの雲
【著者名】 わかぎえふ
【出版社】 講談社
【初 刊】 2000年9月28日
【金 額】 1500円+税
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
 こちらは図書館から借りた本ですが、本書は絵本や図鑑などの美術書の1枚の写
真や絵についてのエッセイ。面白さを期待していたのだが、取り上げている絵など
も芸術品が多く、真面目なエッセイとなっていたのは少々期待ハズレでした。それ
でも載っている絵とは関係のないかつての父とのエピソードなどは面白く、本来の
作品に対する以外のエッセイでは楽しい話もあります。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】短編小説集
【著書名】 フェアウェイに見る夢
【著者名】 高橋三千綱
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2000年8月10日
【金 額】 1524円+税
【カバー文】亡妻の祈りを胸に46歳の初勝利に挑むレッスンプロ、捨てた息子の
      パットを木陰で見守るかつてのスター選手、死の賭けゴルフを受けて
      立つ老ゴルファー……。フェアウェイに繰り広げられる、男の人生模
      様10話。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書はゴルフを題材とした10の短編が収録されている短編集。主人公は栄光と
挫折を背負ったゴルファー10人で、ぎりぎりの瀬戸際に立つ男達を描いており、
それぞれのプロとして、男として、父としての立場の最後の一打に賭ける思いを短
編としています。あまりゴルフを題材とした小説は読んだことがなかったですが、
勝負の緊張感や主人公の背負う様々な思いが読み手にも伝わってきて、短編ながら
それぞれな感動を与えてくれる作品集です。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】サスペンス
【著書名】 フレンズ
【著者名】 高嶋哲夫
【出版社】 角川春樹事務所(HARUKI NOVELS)
【初 刊】 2000年10月8日
【金 額】 952円+税
【カバー文】まだ雪が残る神戸・ポートアイランドで銃声と悲鳴が響いた。その瞬
      間、15歳の私の眼の前で、親友のユキは、すべてを失ってしまった。
      母親を銃で撃たれ、父親と妹を轢き殺されたのだ。そしてユキは心を
      閉ざした。誰もが暴力団の抗争に巻き込まれた不幸な家族と憐れんだ。
      でも、私は、そして4人の仲間は、ユキから言葉と心を奪ったヤツを
      許せなかった……。16歳を迎える高校生が復讐を遂げようとしたも
      のは、大人たちが避けつづけた闇なのか!? 「サントリーミステリー
      大賞」で鮮烈なデビューを飾った著者が描く、書き下ろし長編ミステ
      リー。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 物語のあらすじはカバー文でも書かれていますが、主人公である中嶋亜樹美は親
友とその家族と一緒に動物園に出かける途中で立ち寄ったコンビニで、突然銃撃に
合い、親友の両親と妹が殺された。辛うじて助かった由樹美と親友のユキだったが、
ユキは言葉と全てを失った。警察は捜査を続けるものの、暴力団の抗争に巻き込ま
れたということ以外は全く進展もなかったが、ユキから全てを奪った犯人と暴力団
を許すことのできない亜樹美と仲間4人は、復讐を計画し実行に移した……。
 物語としては読ませるサスペンスで、最後まで眼が離せない展開が続くのですが、
高校生が暴力団に復讐するという設定まではいいとしても、多少のネタバレにもな
りますが、死体を埋めに入った山中で知りあった男が協力してくれて、大掛かりな
復讐を遂げるというのは、幾らなんでも都合が良すぎる展開で、逆に面白さが半減
されます。この他にも欠点はあるのですが、最初から最後までグイグイ読み手を引
っ張ってくれる面白さがあり、それなりの満足感があります。昨年も著者の作品は
全て楽しませてくれましたが、今年も注目の作家です。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】本探しガイド
【著書名】 本を探す本
【著者名】 本の探偵団編
【出版社】 フットワーク出版社
【初 刊】 1997年5月26日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】本好きの著名人直撃インタビュー、出版業界人が明かす本探しの裏技、
      種類別・上手な本の探し方、出版情報案内誌&パソコンの利用法……。
      全国本探しオールガイド付き。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は本探しにポイントをおいて、本を探すこと自体が楽しめるように、本探しの
達人の極意や業界の裏方さんの本音や裏技も交えて紹介している本。そして、全国本
探しオールガイドとして、首都圏11大書店フロアガイド、首都圏ターミナル書店ガ
イド、全国8大都市書店ガイド、首都圏専門書店ガイド、全国公共図書館ガイド、出
版社・インターネット・宅配便ガイドも載っていて、本探しのガイドブックとしては
役立つ一冊といえます。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 百年の恋
【著者名】 篠田節子(作中育児日記・青山智樹)
【出版社】 朝日新聞社
【初 刊】 2000年12月1日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】梨香子は33歳のエリート銀行員。才色兼備の彼女が、ある日、年収
      200万円のオタクなライター真一となぜか恋におちて……。結婚・
      出産・育児。少子高齢化時代の男女がくりひろげる、てんやわんやの
      結婚物語!
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 フリーライターの真一は、女性管理職への取材で知り合った梨香子に一目ぼれし、
2人は急激に親しくなり、真一は知り合って僅かながら思い切って結婚を申し込み、
結婚することとなった。真一の年収の4倍以上の収入の梨香子だったが、家事は全
くできず、早くも結婚を後悔する真一だったが、妊娠が分かり、2人のドタバタは
より一層激しくなることに。更に仕事を休むことができない梨香子、そしてその梨
香子のストレスの激しさを耐える真一だが、出産後も様々な問題が……。
 物語は性格も年収も全く違う男女が、知り合ってから結婚・出産・育児を経験し
ていく中での様々な問題を小説としたもので、物語の中で主人公でもある真一がメ
ールマガジンで育児日記を書いているのですが、その育児日記は著者名にも書いて
いるように、青山智樹という人の育児日記をそのまま使っていて、実際の男性の育
児日記を元にして物語が作られています。実際にこのようなカップルも実在しそう
ですし、単なる恋愛・結婚物語ではなく、その後の男性の育児や家族のトラブルな
どを物語としているのは現実味があって、非常に面白かったです。また物語の中で
の2人の主人公の仕事上の出来事や、互いの会話なども実際にありそうで、つい自
分が物語の真一だったら……と考えさせられましたし、共感できる部分も多かった
です。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】エッセイ
【著書名】 フツーのはずなのに、どこかサエない男たち
【著者名】 笠原真澄
【出版社】 草思社
【初 刊】 2000年11月16日
【金 額】 1300円+税
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 以前に著者の『サエない女は犯罪である』というエッセイを読みましたが、その
前著ではサエない女性についてが書かれていましたが、本書は著者の体験も含め、
様々な女性から話を聞いた「体験したサエない男のサエない体験談」についてが書
かれています。こんなことさえしなければいい男という例が実に多いですが、読ん
でいるとそんなことでサエないと判断されるの?と思う体験談もありました。大方
はこんなことしたら嫌われるだろうと思う男性ばかりですが、どこか憎めないエピ
ソードは多かったです。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 フォー・ユア・プレジャー
【著者名】 柴田よしき
【出版社】 講談社
【初 刊】 2000年8月25日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】企業舎弟となった昔の刑事仲間を24時間以内に助けなければならな
      い。無認可保育園の園長兼私立探偵・花咲慎一郎が陥ちた脱出不可能
      が罠。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 元刑事で新宿二丁目の無認可保育園の園長の花咲は、苦しい園の経営を支えるべ
く私立探偵としての仕事も行なっていた。その花咲は探偵としての仕事をしている
最中にヤクザの射殺殺害現場に行き、その容疑をかけられた。花咲は4千万の借金
をしている春日組の若き幹部である山内に見つかるものの、昔の刑事仲間で今は企
業舎弟となった斎藤を助けるために、真犯人を見つけるよう24時間の猶予を与え
られた。果たして24時間で真犯人は見つけられるのか……。
 本書は以前に読んだ『フォー・ディア・ライフ』の続編。主人公は前作と同じ花
咲だが、前回同様に今回も命をかけた捜査が続きます。前作と同じく、脇役もしっ
かりとした存在感で、花咲に仕事を回す切れ者の探偵事務所の所長の城島、医師会
からつまはじきにされている女医の奈美、花咲の最愛の女性・理紗、花咲の元妻で
弁護士の麦子……など、それぞれに展開に相応しく登場し、物語を盛り上げていま
す。前作よりもやや迫力不足のようには感じましたが、引き続きシリーズで読みた
いと思わせる展開で、花咲の苦闘が読み応えに繋がっています。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ミステリー
【著書名】 光虫(ひかりむし)
【著者名】 浅黄 斑
【出版社】 角川春樹事務所(HARUKI NOVELS)
【初 刊】 2000年10月8日
【金 額】 952円+税
【カバー文】神戸の繁華街で、風俗営業専門の行政書士事務所を営む私は、またひ
      とつ金にならない依頼を引き受けてしまった。震災で家を失った老人
      の遺言状作成。だがそれは、ほんの序の口だった。旧友・左近からの
      意外な相談は、さらに厄介なものだった。左近は、昔の恋人が自分の
      子供を産んでいたかもしれないと言い出した。私は、職業柄、その恋
      人の戸籍をタドルに薦めたが、内心穏やかではなかった。そう、左近
      の妻は、かつて私が愛した女性だったからだ。そして、この事件は始
      まった……。気鋭、浅黄斑が描く、書き下ろしハードボイルド・ミス
      テリー。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 物語のあらすじはカバー文でも書かれていますが、主人公が引き受ける老人の遺
言状作成、そして旧友の相談。全然脈絡がないこの2つの出来事が実は一つの線で
結ばれる。そして旧友が殺害されたことで、主人公も事件と関り合うことに。物語
は単なる依頼から事件へと変化していき、中盤から展開も一気に変わっていく物語
となっています。展開は結構凝っていたものの、ラストは呆気なく終わっていたの
は少々残念でしたが、登場人物の過去をうまく事件に結び付けていて、それなりに
読ませるミステリーとなっています。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】短編ミステリー
【著書名】 ベネチアングラスの謎 --霞田志郎の推理--
【著者名】 太田忠司
【出版社】 祥伝社(NON NOVEL)
【初 刊】 2000年11月10日
【金 額】 838円+税
【カバー文】その赤はルビーのようにきらびやかだった……ガラス工芸品の美術館
      を併設するクリニックで、院長の大和田彩子が扼殺された。現場には
      なぜか、割れたベネチアングラスの一輪ざしが……。被害者の周辺は、
      付きまとう昔の恋人、婚約者との関係に悩む妹、医院に不満を抱えた
      事務員など、愛と憎しみが渦巻いていた。駆けつけた作家探偵・霞田
      志郎が、鮮やかな推理でやがて看破した真犯人とは?(表題作) 人気
      本格推理シリーズ初の短編コレクション! 書き下ろし傑作一編を加
      えた垂涎の名品集!
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 著者の霞田志郎シリーズは殆ど読んでいますが、本書は最新作で初の短編集。8
つの短編が収録されていますが、シリーズで脇を固めている霞田志郎の妹や三条刑
事の物語など、長編では読むことのできない物語も見られ、その他も短編ではある
ものの、作家探偵である主人公・霞田志郎の活躍は存分に楽しめます。事件に巻き
込まれるも、鮮やかな推理で事件に裏に隠された真相を暴きだす霞田志郎の推理は
最初から最後まで楽しむことができました。このシリーズは毎回期待を必ず裏切ら
ないミステリーでもありますが、次作が待ち遠しいシリーズです。

【ま行】

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】インターネット
【著書名】 メールマガジンを10倍楽しむ方法
【著者名】 ライフ・エキスパート編
【出版社】 KAWADE夢文庫
【初 刊】 2001年1月5日
【金 額】 476円+税
【カバー文】(得)懸賞情報から、出会い、芸能(裏)ニュース、語学、資格試験対策
      まで、真におもしろいメルマガだけを大厳選。これを読まなきゃソン
      ですぞ!
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
 暇潰しに買った文庫ですが、本書はメールマガジンの紹介ガイド。ジャンル別に
数多くのメルマガが紹介されていますが、インターネットの魅力の一つにもなって
いるメルマガ紹介本はあまり出ていないので、面白いメルマガはないだろうかとい
う人にはネットで探す手間も省けていいでしょう。メルマガの発行されている数が
多すぎることから、ここで取り上げられているのは極一部で、まだ面白いのはある
だろうと思って読んでいましたが、それなりにまとめられていて読みやすかったで
す。

<本紹介>
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【ジャンル】パソコン
【著書名】 豆炭とパソコン --80代からのインターネット入門--
【著者名】 糸井重里
【出版社】 世界文化社
【初 刊】 2000年11月10日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】初心者がパソコンを習うコツ、親孝行の実例、お金と時間を効果的に
      使うヒント、お隣さんや友達とのつきあい方、インターネットの有効
      活用法、親子が仲良くできる距離の取り方、他人と親切をやりとりす
      るためのマナー、これからの教育のヒント、楽しい人生を送る方法、
      80歳を過ぎても老けこまないコツ、変化することの面白がり方……
      この本には、これからの生き方のヒントがいっぱいつまっています。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 本書はネット上のHP「ほぼ日刊イトイ新聞」で連載していたものをまとめたも
ので、パソコンを80歳となる母親へ買い、そのパソコンを教える人をHPで呼び
掛けて、近くの人に頼み、母親のパソコンの奮闘の様子が書かれています。iMa
cを購入してからパソコンを徐々に覚えていく過程が随時書かれているため、初心
者にとってはわかりやすいでしょう。またパソコンだけではなく、他のこともエッ
セイとして書かれていて、読みやすい内容です。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ミステリー
【著書名】 迷宮
【著者名】 清水義範
【出版社】 集英社
【初 刊】 1999年6月30日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】一人暮らしの24歳OLが、自宅マンションで殺された。事件は被害
      者の性器が切除され、アイスクリームの中に埋められていたことで世
      間を震撼させる……。この猟奇殺人をめぐる週刊誌報道、取材記録、
      供述 調書、手記、手紙、そしてモデル小説……。ひとつの事実をめ
      ぐるさまざまな言葉は、果たして真相を明らかにすることに成功する
      のか。ことば、言葉、コトバに溢れる現代社会の病的日常を照らし出
      すスリリングな問題小説。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 物語は、カバー文でも書かれているように、一人暮らしの24歳のOLがストー
カーに殺され、被害者の性器は切除され、加害者の自宅の冷蔵庫の中のアイスクリ
ームの中に埋められていた。週刊誌報道、供述調書、小説等、この猟奇殺人を巡っ
て様々な報道がされるのだが、その発せられる様々な言葉には微妙な食い違いも見
られた……。
 物語の中では、記憶を失ったある男の治療として、その猟奇殺人についての報道
が読まれるという設定なのですが、その主人公についても最後に真相がわかり、猟
奇殺人事件の真相と共に物語のラストはキッチリとまとめられています。清水義範
の作品でパスティーシュ小説と思っていましたが、言葉を巧く使い、読めば読む程
に謎が深まり、言葉を使っての面白いミステリーに仕上げています。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ミステリー
【著書名】 美濃牛
【著者名】 殊能将之
【出版社】 講談社(KODANSHA NOVELS)
【初 刊】 2000年4月5日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】「鬼の頭を切り落とし……」首なし死体に始まり、名門一族が次々に
      殺されていく。あたかも伝承されたわらべ唄の如く。……『ハサミ男』
      で鮮烈なデビューを遂げた著者の才能を余すところなく表出し、ミス
      テリのあらゆる意匠が豊潤に埋め込まれたこの物語は、新たな探偵小
      説の地平を切り拓き、2000年ミステリ界の伝説となる!
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 フリーライターの天瀬は、岐阜県の幕枝にある亀恩洞の取材を命じられた。最近
その中で、奇跡の泉が発見されたのだという。案内役は謎の人物、石動戯作。半信
半疑で幕枝を訪れた天瀬達だったが、村には奇跡の噂を聞きつけたよそ者の集団が
集まってきており、亀恩洞を所有する土地の有力者、羅堂真一は洞窟への立ち入り
を拒絶していた。やがて一行は思いもよらない惨劇に遭遇することに……。
 物語は岐阜県の山中の旧家・羅堂家を襲う連続殺人事件が描かれる本格ミステリ
ー。事件は首なし死体の発見で始まり、背景には鬼退治伝説のモチーフが絡んでお
り、横溝正史の「獄門島」を思い出させるようなホラーミステリーです。インパク
トとしてはデビュー作でもある「ハサミ男」と同様に強烈な印象を受けましたし、
本書で活躍する探偵・石動戯作の今後もぜひ読んでみたいと思わせるだけの好ミス
テリーでした。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 ムボガ
【著者名】 原 宏一
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2000年10月10日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】ムボガ……その発音しにくい外国人との出会いからすべてが始まった。
      平均年齢40歳のアマチュアバンド・コレステローラーズは、招待さ
      れた海外の音楽祭出演をきっかけにアフリカでは席巻するスーパース
      ターとなってしまった。有頂天で帰国した彼らは、職を捨て家族を故
      郷に残し、日本デビューを目指すが、待っていたのは厳しい現実。一
      発逆転を図る彼らは、唯一の味方・外国人労働者を対象にしたライブ
      を企画するが……。素人中年バンドの天国と地獄、アンチヒーロー小
      説の金字塔!!
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 茨城県北常陸市に在住する中年アマチュアバンド・コレステローラーズは、夏祭
りのステージに立っていた。夕方から始まるカラオケ大会に備えたステージでは客
も僅かで20分の演奏時間だったが、演奏直後に一人の外国人がステージ前まで飛
び出してきて踊り出し、それにつられて人も集まり出した。その外国人ムボカと知
り合ったバンドのメンバーだったが、ムボガの勧めでムボガの故郷のアフリカの音
楽祭に出演することが決まった。そしてメンバーはアフリカに着くとVIP待遇で
のスーパースター扱いで、音楽祭のステージも大盛り上がりとなった。そして有頂
天となって帰国したコレステローラーズのメンバーだったが、日本では全く注目さ
れておらず、ムボガが勤めていた会社をクビにされていた。その彼らは日本デビュ
ーを目指し、メンバーそれぞれに職を捨て、家族を故郷に残して上京するが、マス
コミの陰謀と思える出来事などで、デビューすらままならない状態に。その東京で
ムボガと再会し、外国人労働者を対象としたライブを行なおうと企画するも、不法
滞在の多い外国人労働者がライブに集まりたくても集まれない状態に。そんな中、
ライブを決行するがそのライブの時にメンバーの故郷である北常陸市では大洪水が
起こっていた……。
 物語は中年アマチュアバンドの天国と地獄が描かれているだけでなく、外国人労
働者問題、日本の農業問題などが複雑に絡んでいる作品で、それぞれの厳しい現実
問題をうまく小説として表現しています。ラストで描かれる災害で様々な問題が解
決してくれてもいるのですが、日本が抱える様々な問題点をエンターティメント小
説として描いたことには大きな評価を与えたい作品です。幾つか中途半端な部分と
いうか、東京でのマネージメントの部分や、ムボガがクビになった様子での細かな
描写が無かった欠点も感じられましたが、読後も印象に残った好作品でした。

【や行】

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】短編集
【著書名】 ゆうべ、もう恋なんかしないと誓った
【著者名】 唯川 恵
【出版社】 角川春樹事務所
【初 刊】 2000年12月8日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】「恋と幸福は違う場所にある」すれ違い、傷つけ合っても、求め合わ
      ずにはいられない……。すべての女性と男性に贈る究極の恋愛風景。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は24の短編が収録されている恋愛短編集。短編はそれぞれに過去の幸せと
現実が描かれていますが、登場人物は実に様々な恋愛の形で、短編ではあるものの
その光景が見えるような感じを受けます。主人公の女性は、年齢も仕事も違います
が、傷つく恋を様々な形で描かれているので、24の恋の形を楽しく読むことがで
きます。印象に残る作品が多く、女性向きの作品集ですが、男性が読んでもつい引
き込まれる短編集です。

【ら行】

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】エッセイ
【著書名】 冷暗所保管 --テレビ消灯時間4--
【著者名】 ナンシー関
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2000年10月20日
【金 額】 1190円+税
【カバー文】TBSの「大食い」は大食いに非ず、もうステキじゃなくなった「W
      浅野」の終焉、武道館を「押えた」フミヤの生涯安泰、無免許カリス
      マ「まぬけ物語」第2章、何故木村拓哉は鼻をすすりあげるのか、薬
      師丸ひろ子よ「マント派」の自覚を持て!、未知なるハードコア・ム
      ツゴロウ、反町っす登るっすポイズンっす……史上最強のTV批評第
      四弾!
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
 本書は「週刊文春」連載コラムの第4弾で、今までのコラムも読んできています
が、相変わらずの消しゴム版画の面白さがあります。今回はあまり辛口批評は少な
かったようにも感じましたが、仕事とはいえよくこれだけテレビを見ているものだ
と関心します。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】短編集
【著書名】 ローズガーデン
【著者名】 桐野夏生
【出版社】 講談社
【初 刊】 2000年6月15日
【金 額】 1600円+税
【紹介文】 ジャガルタ赴任中のプラグメーカー社員・博夫は、みずから愛を断ち
      きるため日本に残してきた妻ミロとの出会いを振り返っていた。ろく
      に学校にも通わず義父・村野善三とただならぬ関係に耽るミロに衝撃
      を受けた博夫は、同時に彼女への想いを抑えられなくなっていったの
      だった。自分が禁断の行為の道具にされていると知りながら……。夫・
      博夫の視点からミロの青春時代を綴った書き下ろし表題作のほか、ミ
      ロの事件簿3編を収録した短編集。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は『顔に降りかかる雨』『天使に見捨てられた夜』に続く、村野ミロを主人
公とした4編を収録した短編集。また『水の眠り 灰の夢』で、ミロの義父・善三
を主人公に据えていましたが、こちらの表題作「ローズガーデン」では、ミロの出
生を描き、ミロと義父・善三との関係などを、ミロの夫・博夫の視点から描かれて
いて、ミロのシリーズでも今までとは違って視点で描かれている短編集です。この
他にも、ミロの住むマンションで起きた幽霊騒ぎ、美しい中国人ホステスに振り回
される男や、電車の線路に落ちて不審死を遂げたSM嬢の物語が収録されています
が、いずれもミロが巻き込まれる事件で、それぞれに残忍な事件の中の愛情を描い
ています。今までのミロシリーズのような重みのある長編でないのが、やや物足り
なさを感じましたが、このシリーズの厚みを増す短編集といえます。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】エッセイ
【著書名】 浪費バカ一代 --ショッピングの女王2--
【著者名】 中村うさぎ
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2000年12月10日
【金 額】 1381円+税
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 こちらはブランドショッピングしての借金ネタが中心のエッセイ。相変わらずよ
くこれだけ借金して高級ブランド品が買えるものだと感心してしまいますが、おそ
らく買い物をするため出版社から前借し、その前借分を稼ぐためにエッセイを立て
続けに書く……というパターンが定着してきたのでしょう。よくネタが尽きないも
のですが、最後に書かれている「対決!タイノーセイリマン」は港区役所滞納整理
課との戦いが書かれていますが、税金を払わないこともネタにするとは恐れ入りま
した。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 ロマンティック
【著者名】 大久秀憲
【出版社】 集英社
【初 刊】 2001年1月10日
【金 額】 1300円+税
【満足度】 ★
End------------------------------------------------
 本書は第24回すばる文学賞受賞作。物語は故郷でかつて自分が所属していた少
年野球の監督をしながら、自分の心の奥底にある郷愁の思いを描いたもの。その心
の思いも整理がつかず、曖昧なままに描かれているためか、物語としても整理され
ておらず、すばる文学賞を受賞した作品としてはエンターティメントらしさも感じ
られず、個人的には駄作に思いました。物語の曖昧さが逆に評価されたのかもしれ
ませんが、見所も感じられませんでしたし、最後までダラダラし過ぎていて面白さ
は感じられませんでした。

【わ行】

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】エッセイ
【著書名】 私の好きなあの人のコト
【著者名】 斉藤由貴
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2000年11月20日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】魑魅魍魎の巣窟・ゲーノーカイにおいてさえ、「変わり者」として名
      高い斉藤由貴が、自分の周りにいる愛すべき人々を、自由闊達(自分
      勝手?)に解釈・活写! 女優が描く交遊録。超有名人も続々、登場!
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 本書は女優である著者が、一番身近な家族から、共演した女優・男優、カメラマ
ン、脚本家など27人を取り上げた交遊録のエッセイ。様々な人達との交流の様子
や、あまり知られていない夫のことや子供のこと、そして家族のことが紹介されて
いる他、著名人の知られざる一面も紹介しています。

 

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