書評データベース(2001年度5,7月分)
【あ行】
<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 綾子へ
【著者名】 三浦光世
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2000年10月12日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】喜びも苦しみも分かちあった40年の日々。哀しみを胸に、亡き妻・
三浦綾子に捧げる愛のすべて。感動の書き下ろし!
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
作家・三浦綾子の執筆活動を支え続けてきた夫である著者が、三浦綾子が死去し
た後で書いた夫婦の自伝エッセイ。三浦綾子が書いた自伝「明日をうたう」以降は
自伝が書かれていませんでしたが、それ以降の15年間を夫である三浦光世が代わ
って本書として埋めています。また三浦綾子の立場からではなく、三浦光世の立場
からまとめられているので、旅行の思い出やクリスマスの思い出は読んでいて新鮮
でもありましたが、三浦綾子としてのエッセイの方が強い印象を受けるだけに、改
めて作家・三浦綾子の偉大さを感じました。
<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 おはなしの知恵
【著者名】 河合隼雄
【出版社】 朝日新聞社
【初 刊】 2000年12月1日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】白雪姫、かちかち山、花咲爺、桃太郎……。誰もが知っているおはな
しを、臨床心理学の第一人者が新鮮に読みときながら、家庭内暴力・
思春期・悩める父親など現代人が直面する問題をふかく洞察するココ
ロの書。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
本書はカバー文でもあるように、色々な昔話を取り上げ、その物語から現代の問
題を深く掘り下げたもの。単に空想の世界を批判するのではなく、物語の知恵や連
想する面白さを書いています。心理学的にもユングなどのように分析し解明すると
いう試みはしていませんが、こんな連想の仕方もあるのかと感じる一冊です。
<本紹介>
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【ジャンル】レポート
【著書名】 「IT」の死角 --インターネット犯罪白書--
【出版社】 宝島社(別冊宝島Real#008)
【初 刊】 2001年1月19日
【金 額】 952円+税
【カバー文】ネット社会の裏側で今何が起こっているのか? アメリカが張り巡ら
す高度通信傍受網、データ化された金銭を盗み取る「スキミング」、
次世代ITの主役「携帯電話」の弱点……ネット社会の現実と脅威を
徹底検証!
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
本書はタイトルにもあるようにIT化の進む中での死角を書いたもの。通信傍受、
ネットワーク犯罪、著作権、個人情報漏洩、盗聴・盗撮……が取り上げられていま
すが、特別目新しい内容とはいえないでしょう。ネット利用者にとっては新しい情
報といえず、ネットを使っていない人には難しいと思える内容のように感じました。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 アンテナ
【著者名】 田口ランディ
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2000年10月31日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】15年前、妹はなぜ忽然と消えたのか? 父は死に、母は宗教にのめ
り込み、弟は発狂した。そして僕はSMの女王ナオミと出会い、封印
してきた性欲が決壊し、急速に何かが変容し始めていた……。身体と
精神の新たなる宇宙に挑む最先端文学!
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
主人公の妹は15年前に突然姿を消した。それから、父親が急死し、母親は宗教
へのめり込むになり、弟は発狂し入院した。そして大学へと通う主人公は自らの研
究のため、SMの女王ナオミと出会うのだが、そのナオミとの出会いが自らを解放
する一つのきっかけとなっていった……。
物語の説明は非常に難しいのですが、泥濘に落ちて行こうとする主人公が、必要
とする相手を感じる「アンテナ」によって結ばれた人々に導かれ、逆境に挑んで行
く姿を描いた物語になっていて、ストレスと抑圧と虐待によって、精神的に傷つい
た人間をテーマに、独自の精神世界を描いたとても官能的なストーリーになってい
ます。ラストを読んで物語で描かれる「アンテナ」とは何だったのかを理解するこ
とができましたが、精神の解放を巧く表現している物語です。
<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 横着女とたわけた野郎で日本満開
【著者名】 こけし
【出版社】 草思社
【初 刊】 2000年9月1日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】あんたたち、不届き千万よ! ゲイバー「こけし」の名物ママが、崩
れきった日本人を叱る痛烈エッセイ!
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
都内にあるスナック「こけし」のゲイバーのママが書いたエッセイである本書は、
巷に溢れる不届きな千万なヤカラを叱る痛快本音エッセイ。ブランド物を買いあさ
るバカとブス、呼んでもこない警察官、ヒモに尽くす娼婦みたいな母親、存在のな
い父親……と今の日本人をゲイバーのママらしく、本音で言いたい放題書いていま
す。
【か行】
<本紹介>
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【ジャンル】コラム
【著書名】 くすだま日記
【著者名】 中野 翠
【出版社】 毎日新聞社
【初 刊】 2000年12月25日
【金 額】 1500円+税
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
雑誌「サンデー毎日」でのコラムをまとめたコラム集で、本書では主に2000
年にあった出来事が書かれています。文京区女児殺人事件、桶川ストーカー殺人事
件、新潟少女監禁事件などの事件から、オリンピックや映画コラムまでが書かれて
いますが、改めて昨年は事件が多かったと感じましたし、特にバスジャック事件な
どでの中野翠らしい意見には共感しました。
<本紹介>
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【ジャンル】連作ミステリー
【著書名】 遊戯(ゲーム)の終わり --探偵藤森涼子の事件簿--
【著者名】 太田忠司
【出版社】 実業之日本社(JOY NOVELS)
【初 刊】 2000年12月20日
【金 額】 800円+税
【カバー文】名古屋の私立探偵事務所に勤める藤森涼子はある大学生の素行調査を
彼の母親に依頼された。彼は一日置きにほぼ同時刻に同じ歩道橋の上
で、しばらくぼんやりと時間を過ごしていた。調査を終了した十日後、
涼子は新聞記事で、彼が歩道橋から飛び降り自殺したことを知る……
(『翼なき者』)。その他表題作を含む全六編の連作集。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は藤森涼子シリーズの最新作。名古屋の私立探偵事務所に勤める藤森涼子が
関る6つの物語が連作として収録されていますが、シリーズとしての面白さもあり
ますし、真剣に捜査に取り組む主人公の探偵・藤森涼子の姿には引き付けられます。
今回はラストで意外な事件が発生しますが、その物語はその後は次回のシリーズで
描かれるでしょうから、次のシリーズが非常に楽しみでもあります。
<本紹介>
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【ジャンル】ミステリー
【著書名】 後催眠(ゴサイミン)
【著者名】 松岡圭祐
【出版社】 小学館
【初 刊】 2000年10月20日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】嵯峨敏也は謎の女からの電話を受けた。嵯峨にとって、かつて催眠療
法の教師でもあった精神科医・深崎透の失踪を、木村絵美子という患
者に伝えろ。女の声は一方的にそう指示し、電話は切れた。癌に冒さ
れ、余命いくばくもない深崎と、絵美子のあいだに芽生えた医師と患
者の垣根を越えた愛。だがそこには驚くべき真実が隠されていた……。
「催眠」を遥かに凌ぐ感動、異色にして胸を打つラブストーリー。リ
アリズムとファンタジーの狭間に位置する松岡ワールド最高傑作。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
本書は「催眠」「千里眼」シリーズの最新作で、物語の設定は「催眠」の物語の
数年前となっています。あらすじはカバー文でも書かれていますが、医師と患者の
恋の物語と、その関係の真実を描いた作品ですが、シリーズとしては「催眠」など
とは違い、印象深いというよりも、サブ的な物語であり、期待していたシリーズと
しての続きではなく、数年前の物語なだけに、やや期待ハズレとなった作品です。
よりシリーズに面白さが増すという意味合いもあるでしょうが、「催眠」や「千里
眼」に比べるとどうしても見劣りしてしまう物語でした。
<本紹介>
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【ジャンル】青春小説
【著書名】 吉祥寺幸荘物語
【著者名】 花村萬月
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2000年11月30日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】毎日毎日パンの耳を主食とし、たまの贅沢といえば“サトウ”のメン
チカツ……。吉祥寺幸荘には、極貧ながらも明日を信じ、高い志を持
って創作活動に勤む若き芸術家たちで溢れている。ある日、作家志望
の吉岡くんは、バイトで懐が暖かかったことと新人賞応募原稿が脱稿
したことで気分良く、音楽家志望の円町くんとともにビール片手に井
の頭公園を散歩していた。そこに志の低い芸術家もどきが現れて……!?
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
物語は吉祥寺にあるボロアパート幸荘を舞台とした青春小説。貧乏だけど志は高
く日々パンの耳をで空腹を凌いでいる主人公で作家志望の吉岡を始めとして、写真
家、音楽家の卵達がそれぞれに悶々としながらも創作にはげんでいる。吉岡と音楽
家志望の円町が井の頭公園で大ケガを負ってしまうが、それから主人公・吉岡も初
体験を経験し、自分の作品が賞の最終選考に残ることになるまでが描かれています。
花村萬月としては非常に異色な作品ではありますが、主人公の体験と成長がじっ
くりと描かれ、フト自分自身の若い頃を思い出してしまうような内容です。激しい
暴力シーンなどは全くなく、花村萬月の個性はないものの、登場人物それぞれの思
いが伝わってくる作品です。
<本紹介>
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【ジャンル】パスティーシュ小説
【著書名】 ゴミの定理
【著者名】 清水義範
【出版社】 実業之日本社
【初 刊】 2001年1月25日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】この本は、日本の深刻な環境問題であるゴミ処理について、ある数学
者が独自の数式を用いて、その解決策を提示する……小説です。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
本書は表題作を含め12の作品が収録されている短編集で、清水義範らしいパス
ティーシュ小説です。表題作「ゴミの定理」はカバー文にもあるように、ある数学
者が独自の数式を用いてゴミ処理問題についてを描いた作品で、おわりにではしっ
かりとオチを付けています。他にも面白かったものは携帯電話を使う若者の会話や
行動を描いた「ケータイ星人」と家族の思惑がそれぞれに描かれる「楽しい家族旅
行」は笑える作品でした。
<本紹介>
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【ジャンル】評論
【著書名】 偽善系U --正義の味方に御用心!--
【著者名】 日垣 隆
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2001年3月10日
【金 額】 1429円+税
【カバー文】「心神喪失」の名のもと事実を隠蔽する司法とマスコミを、精神障害
犯罪者の再犯を看過ごす自称“人権派”を、突出した胎児殺国家であ
るこの国を、残虐な殺人犯でも少年なら必ず更生すると信じる裁判官
を、役に立たない『「捨てる!」技術』を、いまだマルクス主義の復
権を唱える東大教授を、現場に行かずに「行ったように書く」読売新
聞を、田中康夫知事誕生前夜のわが長野県の腐敗ぶりを、そして“社
畜”で有名なあの辛口評論家を……。気鋭の論客が、まだまだこの国
に蔓延する「偽善系」を撃つ!
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
前書である「偽善系」で徹底的に日本に蔓延る偽善についてを書いていた著者が
続いて出したのが本書。今回も偽善についてを徹底的なまでに切りつけている評論
で、その内容には拍手喝采したい内容ばかり。心神喪失の名のもとに殺人がなかっ
たことになってしまう現在の在り方を書いた内容にも共感できますし、検察依存の
匿名報道についても偽善としか思えない今を追求。タブー的な問題を次々に指摘し
ている評論としては全面的にも思っていることをストレートに表しており、おそら
く多くの人々も著者の評論に拍手を送るでしょう。また、著者の住んでいる長野県
での田中康夫知事誕生について関った著者が書いたそれまでの長野県の腐敗ぶりも
世に知らしめてくれたことは大きいと思います。この他にも前書では無かった「何
でも買って野郎日誌」での買い物日誌での意外な衝動買いについても買い物先での
クレームも含めて楽しく読むことができました。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 幸福御礼
【著者名】 林真理子
【出版社】 朝日新聞社
【初 刊】 1996年3月1日
【金 額】 1359円+税
【カバー文】私立大学を7年かけて卒業し、製菓会社に勤めるごく普通のサラリー
マンである大鷹志郎。その志郎に突然、市長選立候補の話が飛び込ん
でくる。伯父である河童市長がガンで余命いくばくもないというのだ。
「政治は家業」と言い切り、市長はヨソの人間には渡さない、と熱弁
をふるう母・春子の勢いに圧倒される志郎。姑の強引さに猛反発する
嫁・由香。嫁姑の戦いが勃発するなかで、志郎の決断は……?
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
製菓会社に勤める志郎に、伯父で地方都市の河童市長がガンで余命いくばくもな
いという連絡が入った。代々市長を務める大鷹家の長男として市長選に立つ決意を
する志郎だが、妻は立候補するなら離婚するとまで。母親の圧倒的な勢いもあって、
河童市に戻り市長選に立候補した志郎であるが、ライバル陣営との激しい戦い、嫁
姑問題と様々な選挙問題を交えユーモラスに描かれる物語。
全く冴えないサラリーマンが、家業ともいえる市長選に担ぎ出され、政治の汚い
部分にも触れながら、嫁姑の戦いにも巻き込まれていく姿を面白く描かれています。
物語の中では現金をバラまく場面など現実的でない部分もある反面、怪文書や対立
陣営との探りあいなどもユーモアたっぷりに展開に盛り込んでいます。
<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 コリアンエンジェル
【著者名】 広山義慶
【出版社】 実業之日本社
【初 刊】 2001年2月25日
【金 額】 800円+税
【カバー文】リストラ寸前のサラリーマン伍代亜希夫は家族と会社に内緒でサイド
ビジネスを行っていた。それは順調にいっているかに見えたが、ある
出来事をきっかけに様相は一変する。失踪、尾行、監視、そして殺人
事件……。平凡なサラリーマンには想像もつかぬほど巨大な陰謀が渦
まく世界に、伍代は足を踏み入れていた。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
リストラ寸前のサラリーマン・伍代は誰にも内緒でクラブなどへの韓国人女性の
斡旋をサイドビジネスとして行っている。かつて仕事でソウルに住んでいたことが
きっかけとなり始めたサイドビジネスだが、その斡旋した韓国人女性が失踪してし
まうことから、伍代は危険な世界へと踏み込んでしまう。
物語は、主人公のサイドビジネスが思わぬ形で、北と南の工作員と関ってしまい、
殺人事件にも発展してしまうサスペンス。展開が飛びすぎると感じましたし、話が
大きくなりすぎたことが逆に欠点のようにも思いました。それなりに読ませる物語
で、スリリングさもあっただけに欠点が残念に感じられてしまった作品でした。
【さ行】
<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 少子
【著者名】 酒井順子
【出版社】 講談社
【初 刊】 2000年12月11日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】痛いので、産みたくありません。このままいけば西暦3500年には
日本の人口は約一人。人気コラムニストが哀感をこめて綴る、滅びゆ
く祖国の鎮魂歌。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
本書は少子問題についてを書いたエッセイ集。酒井順子のエッセイではあります
が、テーマに真剣に取り組んでおり、率直な意見や感想を書いています。少子化問
題についてを述べるというよりも、30代の女性が子供を産みたくない理由が主に
書かれており、なぜ子供を産みたくないか、その背景や自分の意見を正直に書いて
いるのは好感が持てました。
<本紹介>
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【ジャンル】短編小説集
【著書名】 13のエロチカ
【著者名】 坂東眞砂子
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2000年8月31日
【金 額】 1300円+税
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
本書は13のエロスが描かれる短編集。「死国」「山妣」などの民族ホラーの作
品とは違い、本書は坂東眞砂子としては異色といえる作品です。その短編ですが、
可愛がっていた猫の失踪をきっかけにマスターベーションに目覚める少女。自分の
肉体が男の欲望を引き出す事を知った女子中学生。名も知らない男とつかの間の性
愛を楽しむ女……など、自分の性衝動を否定せず、欲望に応える女性達を描いてい
ます。女性が読むと違う感じ方になるのでしょうが、作品の登場人物が全てカタカ
ナで書かれていて読みにくく、物語としての面白さはあまり感じませんでした。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 小説「そごう」崩壊
【著者名】 渡辺一雄
【出版社】 廣済堂出版
【初 刊】 2000年12月15日
【金 額】 1600円+税
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
タイトルでもわかるでしょうが、本書は百貨店「そごう」の倒産についてを事実
をベースにフィクション小説としたもの。主人公であるそごう大阪本店婦人服部統
括マネージャーを通して、そごうがなぜ倒産することとなったのかが書かれていま
す。我々はニュースで大体のことは知っていましたが、ここでは当時ドル箱の売上
のあった神戸店が震災により営業できなくなったことや、水島元社長の家族主義的
経営など、知られざる面も多く書かれています。ニュースなどを見ている限りでは、
水島元社長は悪人扱いですが、ここで書かれる社員の水島元社長に対しての発言で
は悪いことは誰も言っておらず、その真相は謎のままではありますが、多少のフィ
クションこそあるでしょうが、中々読ませる経済小説といえるでしょう。
<本紹介>
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【ジャンル】体験記
【著書名】 そうよアタシは不眠症の女
【著者名】 結城真子
【出版社】 大和出版
【初 刊】 2001年1月28日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】眠れなくても、死ぬわけじゃない。東洋医学に寝具あれこれ、体を疲
れさせるためのスポーツ三昧。あげくにセラピー、医者、クスリ。ま
さかの入院を経て、ついに「眠れない恐怖」に打ち克った著者の驚愕
の物語。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
著者の小説で以前に「眠れない」という作品を読んだことがありましたが、まさ
か作者自らが不眠症だったとは思いませんでした。本書は10年にわたる不眠症と
の闘いを描いた体験エッセイ。不眠症になってからはカバー文にもあるように、東
洋医学に始まり、宝石が買えるだけの金額の寝具を揃え、更にスポーツで体を酷使
するものの3日ぐらい寝ない日もあり、寝ても3時間程の毎日を過ごし、医者にも
通い、最も強力といわれる薬を貰っても効き目がないという状態から、逆に開き直
り、遂には入院してしまう著者の闘いぶりを笑いを交えて書かれています。強烈に
体験ではあるものの、ハイな日常ぶり。未だに克服できて不眠症の自らの体験を明
るく書いています。眠れない恐怖というのは味わったことはありませんが、不眠症
というのは体験したくないものですね。
<本紹介>
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【ジャンル】ノンフィクション
【著書名】 嗜癖 --愛したい、でも愛されたい--
【著者名】 岩谷朝美/中谷和男
【出版社】 文芸社
【初 刊】 2001年1月24日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】「愛」という幻影にすがり、捨てられ……家族崩壊の危機にある今に
問う衝撃の手記! 不登校・中絶・リストカット・ドラッグ・暴力・
そして歪められた人格……。恐怖と苦悩の日々から、二児の母は自立
の道を歩みはじめた。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
本書は岩谷朝美の手記と、カウンセリングの立場からの中谷和男という両者が書
いた体験手記。人格障害で病院に通う著者が書いた手記を元に中谷和男がまとめた
ものですが、その手記の内容はカバー文にもあるように凄まじい苦悩が続き、読ん
でいてもつい背けてしまいたくなる程。過去を振り返り、自殺や覚せい剤体験も赤
裸々に告白し、自立へ向かう姿が書かれていますが、体験も含め、薬物依存症の更
生に向けての現実など、衝撃的な手記でもあり、生き方について多少考えさせられ
る内容でした。
<本紹介>
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【ジャンル】インターネット
【著書名】 思考のためのインターネット --厳選サイト800--
【著者名】 アリアドネ編
【出版社】 ちくま新書
【初 刊】 1999年8月20日
【金 額】 660円+税
【カバー文】膨大すぎてどこから調べたらよいか途方にくれてしまうインターネッ
ト情報。本書はそんな中から目的別に、すぐに役立つ重要サイトを網
羅的に収録しました。いわば、インターネットという迷路をわたりき
るための決定的ガイドブックです。この本一冊で、政治・経済からフ
ランス文学・映画まであらゆる調べものに対応できます。なお、本書
はリサーチサイト・アリアドネと連動しており、最新情報はアリアド
ネでアップデートされていきます。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
本書はカバー文にもあるように、幾つかの厳選サイトを簡単な説明と共に紹介し
ているインターネットガイドブックです。国内のみに留まらず、海外のサイトも紹
介しており、調べものへの対応本といえるでしょう。各国のサーチエンジンから始
まり、政治経済、人文・芸術などの専門資料が集められてあり、役立つガイドブッ
クとなっています。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 白い薔薇の淵まで
【著者名】 中山可穂
【出版社】 集英社
【初 刊】 2001年2月10日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】一生に一度の快楽は、破滅へと向かっていく。性愛の深淵を描く書き
下ろし恋愛小説。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
深夜の書店で平凡なOLだった29歳の主人公は、年下の女性作家・山野辺塁と
運命的に出会う。女性同士の激しい愛は、その夜からの甘美で破滅的な恋の始まり
だった。そして恋の破滅から過去を明かさぬままに姿を消した恋人を追って、主人
公は異国へと旅立つまでを物語としています。以前にも著者の作品は読んだことが
ありましたが、その以前に読んだものも同姓同士の破滅的な恋愛を描いていました。
恋愛の運命的な出会いから衝撃的な別れまでを、同姓の恋愛として更に衝撃さが増
していますが、恋と快楽を巧く表現している点には感心します。
<本紹介>
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【ジャンル】ノンフィクション
【著書名】 女性記者 奔る
【著者名】 三浦春子
【出版社】 澪標
【初 刊】 2000年5月30日
【金 額】 1143円+税
【カバー文】『女性自身』での人気連載「シリーズ人間」を担当、記者歴25年の
著者が、文化、芸能、社会事件、皇室問題まで、記事では書けなかっ
た事件の裏側を明かす。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
ジャーナリストとして40年、雑誌「女性自身」での人間ドキュメント「シリー
ズ人間」を担当して記者歴としては25年の著者が、雑誌では決して書けなかった
が、今だから言える事件や話の裏側を本書では明かしています。冤罪事件、芸能、
規制されタブーだらけの皇室記事、NHKの傲慢さ、山口百恵の取材、報道にみる
週刊誌とテレビの相違……など、内容は確かに大手出版社からは出版されないよう
な内容になっており、特に皇室報道の難しさや、美智子皇后が結婚前に友人・知人
に言われていたエピソードなど過激すぎる内容には驚きと共によくここまで書いた
という賞賛に値する内容ともいえます。確かに一般誌では規制も多いのだろうと思
いますが、事件取材の裏側を明らかにしていることは高く評価できます。
<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 ソクラテスの口説き方
【著者名】 土屋賢二
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2001年3月20日
【金 額】 1238円+税
【カバー文】女がバッグをほしいと思ったとしよう。勝負はだいぶ前から始まって
いる。なぜ男は女の論法に勝てないのか、人類不変の定理を解き明か
す!
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
本書は「週刊文春」の連載コラム「棚から哲学」をまとめたもの。お茶の水女子
大学教授である著者が、人間を哲学的に考察した面白いエッセイとなっています。
女の論法の研究、哲学者の虚像と実像、神の性質、など思わず笑ってしまうものが
多く、哲学を優しく解説しながらわかりやすくエッセイとしています。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 錬金(シノギ)の帝王
【著者名】 溝口 敦
【出版社】 光文社(KAPPA NOVELS)
【初 刊】 2000年12月20日
【金 額】 848円+税
【カバー文】大学を中退、浮き草暮らしをしていた小椋直は新宿の地回り・田部邦
彦に拾われた。その才覚を見込まれ、ゴルフ場の土地買収に乗り出す。
敵対業者との争いに頭と度胸で勝利した小椋は企業舎弟に。銭が正義!
組長となった田部とタッグを組み、シノギの帝王を目指す。そして、
大蔵大臣・若山公平に食い込み新たな金蔓をつかんだが、その前に関
東進出を狙う関西の雄・山岡組が立ちはだかった! 殺るか殺られる
か、暴力団本体をも巻き込んだ壮絶な争闘劇の幕が開く! 危険を顧
みず実態に迫る取材力から紡ぎだされるリアルな描写! 暴力団ドキ
ュメントの第一人者が放つ問題作!
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
あらすじはカバー文で書かれていますが、物語は成り上がりでシノギの帝王を目
指す主人公を中心に、金に絡む暴力団同士の壮絶な戦いを描いた作品。その場しの
ぎの言葉から一大抗争となる展開、見栄やハッタリで生き延び、バブルと共に成長
する主人公達の様子は読んでいても痛快でした。バブルの終焉と共に物語も終わり
ますが、政治家と暴力団の関係、いかにして企業舎弟となっていくか迫真の描写で
描いています。抗争シーンをもっと織り込んでほしかったですし、その抗争シーン
が呆気なかったように思えたのがやや物足りなさを感じましたが、Vシネマを見て
いるようなリアルさのある描写でした。
<本紹介>
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【ジャンル】スポーツ
【著書名】 勝者の思考法
【著者名】 二宮清純
【出版社】 PHP新書
【初 刊】 2001年3月29日
【金 額】 660円+税
【カバー文】スポーツは公正にして公平な監視下での争い。勝ちと負けしかないそ
の世界で、常に勝ちつづける者たちがいる。では勝者と敗者の境界線
は、どこでどのように引かれるのか? 「勝っているときこそ選手を
代える」「教えないことこそ指導」こうした逆説的に聞こえる言葉に
こそ、勝者の真理が潜んでいる。野茂、イチロー、トルシエ、森祗晶、
三原修など一流の選手・指導者と日本シリーズON対決などの名勝負
の分析を通して、勝者の実像に迫っていく。スポーツの名将・名選手
に学ぶ「勝つ!」思考。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は大リーグで活躍するイチロー、野茂、佐々木などの選手の強さの秘密とし
ての思考法を紹介し、著者なりの分析によってスポーツ選手の勝者の実像に迫った
スポーツノンフィクション。著者である二宮清純はスポーツニュース番組などでも
よく見かけることが多く、好きなスポーツライターの一人でもあるだけに、本書は
興味深く読みました。スポーツを通しての勝つ思考とは何かを試合を例にとって、
名勝負の裏側にもスポットを当てており、勝敗の明暗についても細かく分析してい
ます。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】サスペンス
【著書名】 深紅
【著者名】 野沢 尚
【出版社】 講談社
【初 刊】 2000年12月11日
【金 額】 1700円+税
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
先日著者の新刊「反乱のボヤージュ」を読んだが、本書は全く違う内容のサスペ
ンス。脚本家らしく、どの作品もドラマを見ているような感覚を覚えるのだが、本
書はサスペンスとしては正直やや物足りなさを覚えました。事件当日の犯行の様子
や、主人公である奏子の心理状態や事件に関った者の心の痛みは非常に良く描かれ
ていて、前半部分は緊迫した内容なのですが、奏子が加害者の一人娘と会い、復讐
を仕掛けようとする辺りから、それまでの緊迫さが薄れ、心の動きは良くわかるも
のの曖昧さが目立ち、ラストもすっきりしない結末となっていたのは残念でした。
被害者の娘と加害者の娘の関りをサスペンスとしていることには興味を覚えました
が、テーマを作品に活かしきれていない面もあったように思います。
【た行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】サスペンス
【著書名】 棘
【著者名】 鳴海 章
【出版社】 徳間書店
【初 刊】 2000年9月30日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】麻生里久、30歳。教師でデート嬢。男たちの多様に想いが交錯する
とき、思いもよらぬ悲劇が……。心の闇を癒すのは、愛?それとも暴
力? 人間の本質に迫る衝撃作!
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
30歳で人妻の麻生里久は、昼は公立中学の国語教師、夜はデートクラブ嬢をし
ていた。その里久の受け持つクラスでは、イジメが横行しており、イジメの対象と
なっていた生徒は連日クラスメートから金銭の要求を受けていた。また里久の同僚
教師には、夫の弟と不倫していたり、里久に興味深々の不潔な理科教師やおどおど
した態度が周囲を苛立たせる体育教師がいたり。そんな中で、学校内でウサギの死
骸が発見され、数日後には3年生の女子生徒が殺害される事件が起きた。学校にも
取材が殺到する頃、里久は何者からか、デート嬢のことで体育館の倉庫に呼び出さ
れ、そこで生徒数名からレイプされた。数日後その襲った生徒達が何者かに金属バ
ットで殴られ殺された。金属バットで殺しを続け、自らをスコーピオンマンと名乗
る人物は誰なのか? そして里久はどう関係するのか?
物語はVシネマを見ているような感じで、一気に読み進む作品です。主人公であ
る里久に関る男達の想いが事件を招いているのですが、登場人物の個性がそれぞれ
に強く、衝撃のラストも印象深い作品です。主人公の心の闇の部分などをもう少し
表していれば、更に物語の幅も広がったことでしょうが、バイオレンスあり、サス
ペンスありと、読み応えのある作品で、最初から最後まで目が離せない物語です。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】紀行記
【著書名】 鳥頭紀行 --ジャングル編--
【著者名】 西原理恵子/勝谷誠彦
【出版社】 スターツ出版株式会社
【初 刊】 1998年1月4日
【金 額】 1000円+税
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
以前にも西原理恵子の「鳥頭紀行」は読みましたが、本書のジャングル編は読ん
でおらず、図書館から借りて読みました。著者でもあるマンガ家の西原理恵子と紀
行家でエッセイストのかっちゃんこと勝谷誠彦の他にも、3人の同行者とのアマゾ
ンへの旅行記が書かれていますが、アマゾン川での釣りの様子や道中記を、西原理
恵子のマンガや写真、更には紀行記として書かれています。そのハチャメチャな行
動は笑えますが、この紀行で知り合った西原理恵子とビデオカメラマンは結婚した
ということは書かれていたものの、その様子について触れられていなかったのは少
々残念でした。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 塔
【著者名】 末弘喜久
【出版社】 集英社
【初 刊】 2001年1月10日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】最愛の妻を会社の同僚に奪われた木村は、彼らが去ってちょうど一年
後の夏の日、塔のある遊園地のベンチに腰かけ、とりとめのない夢想
に耽る。妻に去られた現実から立ち直れない木村の心は、夢なのか妄
想なのか回想なのか判然としない、魂の無法地帯を彷徨い、同僚と妻
に果たして肉体関係があったのか、被虐的なまでに追求していく。し
かしある朝、彼は通勤電車の中で見かけた少年に恋をする……。第2
4回すばる文学賞受賞作。
【満足度】 ★
End------------------------------------------------
あらすじはカバー文で書かれていますが、物語は妻を奪われた主人公の絶望と錯
乱、その結果行き着いた少年への愛情を、男の幻想と悪夢で描いた作品。すばる文
学賞授賞作というカバー文を見て図書館から借りた本ですが、物語としての面白さ
は伝わってこず、主人公の心の表現も分かりにくいため、読んでいても疲れを感じ
る内容でした。読んでいて途中から投げ出そうかと何度も思ったものの、一応最後
まで読みましたが、すばる文学賞授賞の良さを感じることができない作品でした。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】生活
【著書名】 ちょっとしたアイデアをお金に変える本
【著者名】 山本敏夫
【出版社】 あさ出版
【初 刊】 2001年1月24日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】ちょっとしたアイデアを会社に売り込んでけっこうなお金にしている
主婦の方やサラリーマン、学生さんがたくさんいます。あなたも「思
いつき」のビジネス化にチャレンジして、豊かな暮らしをゲットして
ください!
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
本書は発明やアイデアをお金に変えるための、アイデアの磨き方やスポンサー探
しや売り込み・契約の方法などが書かれたもの。素人アイデア事業の例も挙げて、
特許出願に必要な書類の書き方を願書・明細書・図面・要約書に分けて詳しく書か
れており、アイデア企画書の作成例なども紹介しています。また新商品のアイデア
売り込み先の一覧も巻末に載っており、実際にこれからやってみたいという人には
大いに参考になる一冊だと思います。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】短編小説集
【著書名】 冷たい誘惑
【著者名】 乃南アサ
【出版社】 文春文庫
【初 刊】 2001年4月10日
【金 額】 457円+税
【カバー文】「私は拳銃を構える。恐怖にひきつった顔を思い描くだけで、胸のも
やもやが晴れていく」……。久しぶりの同窓会で、歌舞伎町に流れ、
家出少女から受け取った包みの中身はなんと拳銃。なぜか主婦は警察
に届けない。日常に倦んだ市井の人々を狂気に変えていくコルトの魔
力。巧みな構成で魅了する連作短編集。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
読み始めたら単行本をすでに読んでいたのに気付き、これで2度読みとなる本書
でしたが、2度読みでありながら楽しめた短編集です。物語は5つの作品の連作短
編集で、いずれも中心には小さな拳銃が物語を作っています。最初に収録されてい
る「母の秘密」では、32歳の主婦・織江は同窓会で飲みすぎて、新宿歌舞伎町で
寝ているところを家出中の少女に起こされ、気付いた時には拳銃を渡される。警察
に届けようかとも考えるが、取り合えず自分の手元に置き、日常の中を狂気を描い
ています。続く「野良猫」では、その拳銃を手渡した家出少女がどのように拳銃を
手にしたかが描かれ、この他にも偶然に手に入れてしまった拳銃を題材とした物語
が続きます。日常の中での非日常の狂気を描くことは乃南アサの魅力であるともい
えますが、その魅力が満載されているのが本書です。
<本紹介>
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【ジャンル】ルポルタージュ
【著書名】 栃木リンチ殺人事件 --警察はなぜ動かなかったのか--
【著者名】 黒木昭雄
【出版社】 草思社
【初 刊】 2001年4月26日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】もっとも凶悪な少年たちは、もっとも善良な少年を狙った。そして警
察は「ある理由」のために彼を見殺しにしてしまった……。
【満足度】 ★★★★★(文句なし!)
End------------------------------------------------
1999年12月、栃木県宇都宮市近郊の日産自動車に勤務する19歳の少年が
殺害された。少年は2ヶ月にわたって元暴走族の少年たちによって拉致監禁されて
いた。その間、少年の親、友人、知人から合計で700万円にもおよぶ大金が巻き
上げられ、目をおおわんばかりの凶行が繰り返されていた。遺体はセメントをかけ
られ、埋められていた。少年の両親は異変を察知した2ヶ月前から、地元警察に再
三にわたって訴えつづけたが、なぜか警察はまったく動こうとしなかった。そして、
結末は最悪のものとなってしまった。著者は事件取材を克明に検証し、事件関係者
への取材を行なった。すると奇妙な点が次々に浮かび上がってきたのである。警察
は「動かなかった」のではなく、「動けなかった」、つまり「ある理由」があって、
事件は意図的に放置されたというのだ。本書はその「ある理由」を明らかにした衝
撃のルポルタージュ。
この事件を始めて知った時、被害者の少年の両親と同じ仕事をしていることもあ
り、非常に興味深く事件の真相をテレビで見ていましたが、その際にも警察の対応
の悪さが再三指摘されていましたが、こうして事件をまとめた内容として読むと、
改めてその警察の対応の悪さは勿論のこと、警察の日本における役割とは何かをつ
くづく考えされられます。桶川でのストーカー殺害事件の時もそうでしたが、少年
が殺害される前から何度も警察に相談していたにも関らず、全く対応がなされない
ばかりが、この栃木での事件では警察の一言が殺害に繋がったと言えるだけに、両
親の怒りと哀しみの深さは想像を絶するものであっただろうとも思います。また、
本書ではなぜ警察が事件に対して動かなかったのかがその真実が明らかにされてい
ますが、これはマスコミでも取り上げられていないだけに、非常に衝撃的でもあり
ました。詳しいことは本書を読んでいただきたいものですが、最近マスコミでも大
いに取り上げられる某自動車会社も、組織としては最低で、こういった事実も有名
社長にぜひ知っていただきたいものです。
<本紹介>
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【ジャンル】ノンフィクション
【著書名】 毒殺
【著者名】 上野正彦
【出版社】 角川書店
【初 刊】 1999年4月25日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】ベストセラー『死体は語る』の著者が変死体解剖34年の経験をもと
に明かす、日本が毒殺列島と化した衝撃の真相とは……。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
元東京都監察医務院長の著者が過去の毒物犯罪で使われた、砒素、青酸、農薬、
睡眠薬、トリカブト、覚せい剤などの毒物を検証したのが本書。実際の薬物による
殺人事件と、その検証の過程をまとめたもの。事件背後には触れられておらず、あ
くまでも毒物を対象に書かれています。例えば和歌山砒素カレー事件ではなぜ最初
に食中毒として手当てを受けて、最初の死因が青酸中毒と発表されたのかについて
書いています。また著者は毒物犯罪がなぜ増えたしまったかについても意見を述べ
ています。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 調子のいい女
【著者名】 宇佐美游
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2000年6月20日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】ジコチューで、ワガママで、都合よく頼ってくるくせに、こちらが頼
りたいときは、冷たいオンナ。それが「調子のいい女」。銀座のナン
バーワンホステスが、男どもを騙しつつ、懸命に貯めたお金をもとに、
アメリカへ留学した。ボストンの学校で出会った日本人の女は整形で
塗り固めた、「調子のいい女」だった。第6回小説新潮長篇新人賞受
賞。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
美和子は銀座のナンバーワンホステスとして男を騙してお金をためアメリカに留
学。一方、波江は会社の社長と不倫をし、退職金代わりにお金を貰い、顔と胸を整
形してアメリカに留学。この2人が同じボストンの大学で出会った。付き合いを遠
慮したかった美和子だったが、波江の強引な押しかけもあり連日美和子の寮には波
江が来ることに。やがて男関係の激しかった波江が妊娠していることがわかり、美
和子も振り回されることに。そのボストンに留学中の間にも、恋愛などで美和子は
波江に振り回されるが、いつしかほっとけない存在に。そして日本に帰国後も波江
から連絡があり、うっとおしく感じるのだが、やがて同棲していた妻子ある作家と
の仲が悪くなり、美和子は波江のアパートに行くのだが、そこで思わぬ展開に……。
この主人公2人はどちらも“調子のいい女”であり、男を騙して留学している共
通点はあるものの性格がまるで違い、その性格の違いが物語を面白くさせています。
アメリカと日本での互いの生活ぶり、そして嫌いなのに実は好きな2人の私生活は
個性的でもあり、物語の魅力にもなっています。
【な行】
<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 ナグネ・旅の途中 --場所とモノと人のエッセイ集--
【著者名】 鷺沢 萠
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2000年11月30日
【金 額】 1100円+税
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
本書は著者が様々な雑誌などで書いたエッセイをまとめたもので、大きく「場所」
「モノ」「人」との3つに分けて収録されているエッセイ集です。鷺沢萠のエッセ
イ集も久しぶりでしたが、日常生活の様子はどちらかというと少なく、韓国やアメ
リカへの旅での出来事が印象に残りました。最後の「人」では事件やマンガなどに
も触れられていて、鷺沢萠の知られざる一面も読むことができました。
<本紹介>
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【ジャンル】経済小説
【著書名】 日本国債(上・下巻)
【著者名】 幸田真音
【出版社】 講談社
【初 刊】 2000年11月15日
【金 額】 1800円+税(上下共)
【カバー文】一枚の領収書から始まる迫真の経済ドラマ。総額600兆円を超える
長期債務はどうなる?(上巻) 国際市場は化け物!いつからこんなに
なった、危機の日本。国債入札の失敗、未達の真の原因はどこに?
経済小説の分野に、新しい大型作家の出現!(下巻)
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
「無能な政府の財政ビジョンが、国債乱発という安易な手段に頼りすぎ、しかも
その国債の発行がいかに不安定な現状に依存しているか。そして、それをじっと我
慢して支えてきたわれわれを、いかにないがしろにしてきたか。ここらで一発思い
知らせてやるんです」。国債の取り引きを担当するトレーダーたちがこぞって入札
をボイコット。この「未達」によって国債市場が暴落し、金利は高騰。株式市場は
かつてない値崩れを起こし、日本発の金融恐慌として世界を震撼させる。未達によ
って命を狙われるトレーダー。未達を起こすことで得をするのはいったい誰か……。
外資系金融企業で日本国債のトレーダーも経験した著者による経済小説が本書。
分刻みで億単位の取り引きを行うディーリングルームの描写が克明で、市場の激し
い動きに対応するトレーダーたちの緊迫感がリアルに伝わる。小説はサスペンスの
味つけが施されているので謎解きに引き込まれながら読み進むうちに、素人にもお
ぼろげながら公債発行のメカニズムや売買形態、そして魔物のような金融マーケッ
トの輪郭が見えてくるしくみ。国債という名の借金の先送り。金利の支払いがすま
す財政悪化を招き、個人や一般企業ならとっくに破綻に追い詰められる状況にもか
かわらず、毎年打ち出の小槌が振られ続ける。このツケを払うのはいったい誰なの
か。国債売買当事者であるトレーダーたちの強い懸念は、そのまま読者と日本社会
への問題提起になっており、久々に興奮した経済小説でした。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ハードボイルド
【著書名】 流れる砂
【著者名】 東 直己
【出版社】 角川春樹事務所
【初 刊】 1999年11月8日
【金 額】 1900円+税
【満足度】 ★★★★★(文句なし!)
End------------------------------------------------
冒頭からいきなり父親が息子を刺し殺す場面から始まる衝撃のスタートですが、
その勢いはラストまで続き、私立探偵・畝原シリーズでも実に印象に残る作品です。
物語では、新興宗教、保険金詐欺、誘拐、少女猥褻……など非常に複雑な問題が何
重にも張り巡らされ一つの線に結びつく、ミステリー要素も盛り込んだハードボイ
ルドです。畝原も恩人である友人が殺され、唯一の娘が誘拐されるが、持ち前のパ
ワフルさと妥協を許さない精神とで事件を調べ上げる。このシリーズの特徴でもあ
る、現代社会の闇を見事に描き、最初から最後まで息を付かせぬ展開はお見事とい
う他ないでしょう。先にシリーズ最新作の「悲鳴」を読んでいましたが、「悲鳴」
と共に心に残る作品でした。
【は行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ハードボイルド
【著書名】 灰夜 --新宿鮫Z--
【著者名】 大沢在昌
【出版社】 光文社(KAPPA NOVELS)
【初 刊】 2001年2月25日
【金 額】 838円+税
【カバー文】冷たい闇の底、目覚めた檻の中で、鮫島の孤独な戦いが始まった……。
自殺した同僚・宮本の故郷での七回忌で、宮本の旧友・古山と会った
新宿署の刑事・鮫島に、麻薬取締官・寺澤の接触が。ある特殊な覚せ
い剤密輸ルートの件で古山を捜査中だという。深夜、寺澤の連絡を待
つ鮫島に突然の襲撃、拉致監禁。無気味な巨漢の脅迫の後、解放され
た鮫島。だが代わりに古山が監禁され、寺澤も行方不明に。理不尽な
暴力で圧倒する凶悪な敵、警察すらも頼れぬ見知らぬ街、底知れぬ力
の影が交錯する最悪の状況下、鮫島の熱い怒りが弾ける。男の誇りと
友情を濃密に鮮烈に描く超人気シリーズ第七弾!
【満足度】 ★★★★★(文句なし!)
End------------------------------------------------
元同僚・宮本の自殺から6年。彼の郷里で行われる7回忌法要に参列するため、
鮫島は東京を発ち地方都市へ。しかし、宮本の旧友・古山と酒を酌み交わした夜、
何者かの襲撃を受け拉致されてしまう。古山のはからいで解放されたものの、身代
わりに古山が監禁される。麻薬取締官、暴力団、北朝鮮工作員……と、背後にうご
めく巨大な影。頼れる者のない見知らぬ土地で、一晩語り合っただけの古山を救う
べく、鮫島は知らない街を奔走する。
本書はシリーズの8作目ですが、先に発刊された『新宿鮫 風化水脈』よりも事
件発生が前に設定されているため、新宿鮫Zとなっています。その今回の新宿鮫で
すが、異色作で、舞台が新宿ではない初の地方都市を舞台とした作品。会話の中に
盛り込まれた土地の方言が、前作までにはない郷土色を出しており、非常に新鮮で
す。また、恋人の晶や桃井課長ら、おなじみの脇役たちは登場が全くなく、その代
わりに、新宿鮫誕生の経緯が回想の形で表されておれ、シリーズを通読していなく
とも、十分に楽しめる内容になっています。一方でシリーズで一貫して描かれてい
る、腐敗した警察組織、理不尽な暴力、金のためだけに生きる犯罪者への、鮫島の
怒りをとことん描いており、最初から鮫のパワー全開で、友情と怒りを全面に表現
されています。タイムリミットのサスペンスでもあり、面白さは満点です!
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 八月の博物館
【著者名】 瀬名秀明
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2000年10月30日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】20年前の夏の午後、終業式の帰りにふと足を踏み入れた古ぼけた洋
館。そこで出会った不思議な少女・美宇。黒猫、博識の英国人紳士。
“ミュージアムのミュージアム”であるというその奇妙な洋館の扉か
ら、トオルは時空を超えて、“物語”の謎をひもとく壮大な冒険へと
走り出した……。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
物語は、小説の意味を問い続ける作家、小学校最後の夏休みを駆け抜ける少年、
そしてエジプトに魅せられた19世紀の考古学者……と、3つの物語が融合する作
品で、140年前のエジプトにタイムスリップしてしまうトオルの物語と、その物
語を描く作家の物語とが、円環構造になっている珍しい作品です。物語の中での小
説の中では、タイムスリップあり、冒険に出かけるファンタジーがあり、瀬名秀明
のこれまでの作品とは一味違う内容ですが、意外なラストも良かったですし、楽し
めた作品でした。
<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 富良野風話
【著者名】 倉本 聰
【出版社】 理論社
【初 刊】 2000年9月
【金 額】 1500円+税
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
本書は倉本聰の最新エッセイ集。北海道富良野を中心とした自然や社会に対する
提言などが書かれていますが、改めて自然とは何か、消費文化に対する批評、環境
問題……と、考えさせられるところが多かったです。今までのエッセイ同様に読み
やすく、しっかりとした意見が書かれていますが、北海道に住んでいるからこそ感
じる部分では共感するところも多く、現代に何が必要かを問いただす内容です。
<本紹介>
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【ジャンル】レポート
【著書名】 不肖・宮嶋の一見必撮!
【著者名】 宮嶋茂樹
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2000年11月20日
【金 額】 1286円+税
【カバー文】「宮嶋さん、事件発生です。ただちに向かってください」「了解や」
現場がワシを呼んでいる! 「週刊文春」に連載された写真コラムに
加え、武装地帯からの緊急レポート「チェチェン……地図から消え去
る街」を収録。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
本書はカバー文にもあるように「週刊文春」に連載された「不肖・宮嶋」シリー
ズのドキュメントを書いた本人の写真とレポートを収録したもの。東京拘置所の麻
原の写真などを撮った写真家としても知られていますが、本書では体当たりでの事
件・スクープ取材での出来事を面白おかしく書いており、思わず笑ってしまうレポ
ートです。そんな笑いがある中にも、チェチェンでの緊急レポートなど、真面目な
レポートにも取り組んでいて、興味深い内容でもありました。
<本紹介>
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【ジャンル】パソコン
【著書名】 パソコンで金儲け100の方法
【著者名】 谷口光弘
【出版社】 データハウス
【初 刊】 2001年1月30日
【金 額】 1600円+税
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
本書はパソコンを使って実行できて実際に使えるものを紹介したもの。副業アル
バイト的なもの、独立開業編などが載っており、ワープロ入力作業や商品モニター、
プレゼント応募やネットオークションでの儲ける方法、データベース作成やテープ
起こし、文章作成や個人輸入代行業などを、作業工程や営業方法、そして印税や賃
金の相場などの事情も公表しています。細かな募集先などは限られたものしか載っ
ていなかったのは残念でしたが、各種モニターの紹介などは個人的に好きでやって
いるので参考になりました。また第4章に「Yahoo!に絶対登録する方法」が
ありますが、このYahoo!の登録は、この「わくぶく」でも登録できないだけ
にこちらも参考になりました。細かな募集先や体験談などがないのはマイナスでは
ありましたが、参考になり役立つ内容です。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ハードボイルド
【著書名】 悲鳴
【著者名】 東 直己
【出版社】 角川春樹事務所
【初 刊】 2001年2月8日
【金 額】 1900円+税
【カバー文】聴こえるか人の心が音をたてて壊れるのを。すべての道は閉ざされた。
だが、私は決して恐れてはいなかった。探偵小説、ハードボイルドの
ジャンルを超えて屹立する書き下ろし長編1000枚。
【満足度】 ★★★★★(文句なし!)
End------------------------------------------------
十数年前、冤罪逮捕により新聞記者としての職を追われ、妻に見放された畝原は、
探偵として一人娘の冴香を養ってきた。ある日畝原の許へ舞い込んだ依頼は、よく
ある浮気調査のはずだった。鈴木暁美と名乗ったその女性は、夫・鈴木琢郎の浮気
現場を撮影して欲しいという。だが、畝原が調査をしてみると依頼人から指定され
た現場に現れたのは夫の本当の妻だった。依頼人の女は、一体何者なのか? やが
て彼女が鈴木琢郎に付きまとっているストーカーであることが判明してゆく。そし
て、何者かが畝原へ攻撃を始めた脅迫文を書き連ねたFAXが永遠と送られ続け、
マスコミには畝原の過去を誹謗する文章が……。鈴木暁美を調べていた探偵が殺さ
れ、畝原の協力者たちが次々と別件逮捕されるなか、畝原は不可解な事件の真相に
辿り着けるのか?
本書は著者の「畝原シリーズ」の最新作ですが、上下段400ページとボリュー
ム・迫力共に満点。正に会心のハードボイルドといえるでしょう。札幌を舞台とし
たこのシリーズは主人公や登場人物の魅力は勿論のこと、街の描写や登場人物の窮
地の心理状態なども細かく描かれ、本書も現代社会の闇を描いた良質のハードボイ
ルドになっています。時間も忘れ、一気に読まされましたし、読後の満足感も存分
にあり、大興奮した作品です。満足度も「文句なし」。お勧めの一冊です。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 ボルトブルース
【著者名】 秋山 鉄
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2001年2月25日
【金 額】 1900円+税
【カバー文】野崎茂夫、23歳。失業保険給付も終了したプータロウが、北海道へ
のツーリングを思い立つ。「今できることをやれ」。職安で顔なじみ
の男に言われた言葉に心が動いた。オートバイの旅。あてのない流浪。
キャンプしながら宗谷岬を目指す。しかし現実は甘くない。大問題が
たちはだかっていた。言うまでもない。金である。……そうして、自
動車工場での期間工の生活が始まったのであった。
【満足度】 ★★★★★(文句なし!)
End------------------------------------------------
野崎茂夫は23歳。失業保険も切れ、恋人ともうまくいかず、職安で顔なじみと
なった男から言われた言葉で北海道へのツーリングを思い立ったのだが、それを実
行するための資金がなく、仕方なく重い腰を起こして愛知県の自動車工場での短期
集中のバイトを始めることに。面接会場で会った個性的なメンバーと共に、全寮制
の短期集中自動車工に入るが、初日からの厳しい仕事に体も付いていかず、同期に
入ったバイトのメンバーも次々に辞めることに。それでも残ったメンバーと共に目
的達成のために、様々な問題を乗り越えていく物語。期間工生活を踏みとどまる者
と逃げる者。互いの見栄や人情や下心の想いを交え、機械的なボルトを締める作業
を通して、熱い男達の生活がここに描かれます。
おそらく著者は実際に短期集中自動車工のバイトの経験をしたのだろうが、仕事
や仲間との描写が非常に細かく、厳しい仕事の迫力、職場仲間達との葛藤を熱血長
編として描き、登場人物の仕事の汗や熱気が読み手にも伝わってきます。目的も持
たず何も考えずに生活していた主人公が、短期のバイトを通して出会った友情、失
恋、仲間との別れを通しての成長が見事に表現されていて、読後も爽快感がしっか
りと残る傑作です!
<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 ビート
【著者名】 今野 敏
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2000年10月31日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】日和銀行の会社ぐるみの不正に対し、警視庁捜査二課は地を這う捜査
で着々とその証拠を積み上げていった。ベテラン刑事・島崎洋平警部
補は、その最中に知人の日和銀行員に脅される。長男・丈太郎の就職
と引き換えに捜査情報を洩らせと……。島崎がその泥沼な首までつか
ったころ、次男の英次は偶然そのことを知る。英次の心に、やがて闇
が芽生えた。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
日和銀行の会社ぐるみの不正の証拠を積み上げ、家宅捜査に向かう警視庁捜査二
課。しかしその数日前に、島崎洋平警部補は大学の後輩で長男の柔道の先生でもあ
る知人の日和銀行員より、長男の就職と引き換えに家宅捜査の日にちを洩らしてほ
しいと脅かされた。長男の今後のためを思い、やむなく家宅捜査の日を教えてしま
った島崎は、更に日和銀行から50万円が自分の口座に入っていることを知って後
悔を引きずり、長男も犯罪に荷担してしまった思いから、島崎家もおかしくなるこ
とに。そのことを偶然知った、次男の英次は父親と兄のために立ち上がるのだが、
その相手が殺されたことから事件は思わぬ方向へと向かっていく。
物語では、銀行の不正、殺人事件へと発展していくが、その中で捜査をする主人
公の刑事の苦悩と葛藤が全面に描かれています。更に父親と次男の対立と心の壁が
事件にも結びついており、事件以上に家庭の崩壊と再生に重点が置かれた描写でも
あります。殺人事件の真相が意外な形で呆気なかったのが残念ですが、親子の心の
葛藤は読みごたえがあり、サスペンスとしても見所ある作品でした。
【ま行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】連作ミステリー
【著書名】 マスカット・エレジー
【著者名】 山崎葉子
【出版社】 光文社
【初 刊】 2000年8月30日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】舞台は横浜・山手。人情味あふれるミステリー。天涯孤独の有吉葡萄
と謎めいた初老の女の周辺に怪事件が起きる!
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
物語は横浜の山手を舞台に、消極的で引っ込み思案のフリーライター・有吉葡萄
と、亡くなった葡萄の父親と娘の葡萄のところへ3年前に転がり込んできた元気い
っぱいの初老の高岡鮎子の二人の、身の回りで起きる日常の事件を描いています。
7つの物語が連作として描かれていますが、この主人公の二人は性格も行動も全く
違い、敵対しているかと思えば、協力し合ったりと、対照的ながらも絶妙なコンビ
で事件を解決していきます。高岡鮎子の正体は何なのか?も物語を更に面白くして
いますが、引き続きこのコンビの関りも読んでみたいと思わせる作品です。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】エッセイ
【著書名】 間違いだらけの温泉選び
【著者名】 津野原遊
【出版社】 総和社
【初 刊】 1996年9月17日
【金 額】 1165円+税
【カバー文】温泉旅館は風呂が命、料理なんて二の次だ。嗚呼、それなのに風呂を
ないがしろにする勘違い旅館と勘違い客のなんと多いことか。数多の
温泉を自前でめぐってきた著者が、温泉に関するすべての事象を遠慮
会釈もなく斬り捨てる!!
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
以前に著者の書いた「温泉言いたい放題」を読んで面白かったので、本書も借り
て読みましたが、温泉での常識・非常識といったことを中心に書かれているものの、
取り上げている温泉は一部で、北海道の温泉は全く書かれていないのは残念です。
また、ポイントが絞られていないというか、こういった温泉はダメだという部分が
以外に少なく、期待していた内容とは違い、それほど面白さも感じませんでした。
<本紹介>
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【ジャンル】短編集
【著書名】 ミッドナイト・コール
【著者名】 田口ランディ
【出版社】 PHP研究所
【初 刊】 2000年12月21日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】自分の気持ちを見失って、そして男も失って、やりきれなさにムカつ
きながら、ジャストな自分を探そうとしている……彼女たちの8つの
物語。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
本書は田口ランディ初の短編集で恋愛をテーマに、いずれも深夜の電話を小道具
として描かれた短編。その物語は20代後半から30代前半の女性を主人公に、8
通りの恋愛を独自の視点で描いています。どこにでもいそうな女性を中心に、恋愛
ベタ、自信のない男、下心に震える小心者、傷つきやすい女、言いたいことがうま
く言えない男、男を信じられない女、愛されたい身勝手な男と女が登場し、それぞ
れの物語を構成しています。どの作品もそうですが、電話が非常に効果的に使われ、
男女の恋愛の形を自然に描いているのには好感が持てます。エッセイストとして知
られる著者ではありますが、このような小説は今後も引き続き読んでいきたいです。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 汀(みぎわ)にて --王国記II--
【著者名】 花村萬月
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2001年2月20日
【金 額】 1286円+税
【カバー文】「私の故郷、五島を見ませんか」と教子は誘う。密かに修道院を抜け
出し、隠れキリシタンの島をめぐる二人きりの旅の先々でも朧が垣間
みせる<殺人者の横貌>。現代の「神と人間」の関わりを抉り出す
<王国記>シリーズ、新展開!
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
本書は芥川賞を授賞した『ゲルマニウムの夜』に始まる巨編『王国記』の3巻目
で、収録されているのは表題作「汀にて」と「月の光」の2編。「汀にて」では、
人を殺して育った修道院兼教護院に戻ってきた青年・朧と修道院内でセックスに明
け暮れる見習い修道女の教子との物語。教子の日記がシスターに見つかり、修道院
を追われ、教子の故郷である長崎の五島列島に二人で向かうのだが、隠れキリシタ
ンがいた五島列島を中心に教子の視点で描かれており、続く「月の光」では、前作
『王国記』で朧の子を身ごもったシスターを引き取ることになった赤羽元修道士の
視点で、訪ねてきたかつての教え子で、朧と一緒に教護院で少年時代を過ごした宇
川を性風俗店へ連れていく物語が描かれています。
この『王国記』シリーズで描かれるテーマは一貫して宗教であり信仰でもありま
すが、登場人物のそれぞれの、神と人間の事柄を攻撃的に表現しています。本書で
も聖職者達の淫らな実態や神を罵倒する過激な描写がありますが、主人公・朧を通
して暴走する「神の子」を鮮烈に描いており、これぞ花村萬月の底力ともいうべき
会心作でもあります。
<本紹介>
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【ジャンル】短編小説集
【著書名】 もう一度、逢いたい
【著者名】 鳴海 章
【出版社】 実業之日本社
【初 刊】 2000年11月25日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】その想いが、二度と逢えぬ人を「この世」に引き戻す……。乱歩賞作
家が放つ、初のホラー小説集!!
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
本書は著者初の短編集で、8つの作品が収録されており、いずれも幽霊を題材と
したホラー作品となっています。表題作「もう一度、逢いたい」は、作家である主
人公が取材ついでに久しぶりに北海道の実家の町を訪れ、その町のテレクラに始め
て通う場面から始まる。主人公は風俗産業には幾つか出向いたことがあるが、素人
相手のテレクラにはそれまで食指は動かなかったものの、テレクラの看板を見て、
誘われるようにテレクラへと訪ねた。そこで何度かの電話で会うことになった相手
は、女子高生でかつての主人公の高校時代の恋人に似ている相手だった。その後ホ
テルへ行き、相手から母親の店を教えてもらった主人公は、その母親の店を訪ねて
みるとそこにはかつての恋人だった相手が店をやっていたのだが、かつて主人公の
子を身ごもるが中絶したことを知らされた。そして店を出た後で主人公は何者かに
襲われることに……なるという物語。8つの作品ですが、著者の初期の作品もあり、
航空小説を描いていた著者らしい作品もありますが、作品によってホラーとしての
ゾクゾク感の差があったのが少々残念ではありましたが、鳴海章の新たな一面を読
むことが出来た作品集でしたし、表題作は印象深い作品でした。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 ミスキャスト
【著者名】 林真理子
【出版社】 講談社
【初 刊】 2000年11月15日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】この結末はハッピーエンドなのか、それともホラーなのか。二度目の
結婚をした男の欲望と逡巡を描いた、まったく新しい恋愛小説。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
2度目の結婚で幸せなはずの生活が何者かから妻が不倫しているという電話をも
らうバツイチ商社マンの原岡は早くも結婚を後悔し、派遣会社の女性と関係し、そ
して別れた妻り姪にも夢中になるが、この主人公の結末は……。
物語では、自分の妻が不倫しているのではないかと疑う主人公が、以前と同じ様
に次々に欲望のままに恋愛をするのだが、派遣会社の女性とは婚約者の男性に不倫
を見抜かれ、そしてかつての妻の姪とも関係が発覚してしまい、かつて離婚した原
因と同じことを繰り返してしまう男の悲喜劇が描かれます。林真理子らしい軽いタ
ッチの文章で、主人公の欲望と悲劇、そして結末での主人公の悲劇と後悔を見事に
描ききっており、読みごたえのある作品でした。
【や行】
<本紹介>
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【ジャンル】生活
【著書名】 「やめたいモノ」をやめる本
【著者名】 シンプル生活研究会
【出版社】 大和書房
【初 刊】 2000年12月20日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】「やめる」のは悪いことではありません! とても楽しいことです!
暮らしの中であらゆるムダを「やめる」ことで見直すはじめての生活
節約読本。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
本書では、身の回りのモノ、無駄なモノ、必要のないモノ、クセになっているモ
ノと大きく4つに分けて「やめる」ことでの節約術が書かれています。主に載って
いる「やめる」モノとしては、クレジットカード、自家用車、保険、宅配新聞、国
民年金、NHK、携帯電話、お中元・お歳暮……など。ただし全部が全部やめられ
るかというと、殆どがやめられないものだろうし、確かに節約術として紹介されて
いますが、あまり実用的ではない内容もありました。
【ら行】
<本紹介>
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【ジャンル】生活ライフ
【著書名】 レタス白書
【著者名】 羽生さくる/田島みるく
【出版社】 ブロンズ新社
【初 刊】 2000年11月25日
【金 額】 980円+税
【満足度】 ★★★
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本書は雑誌「レタスクラブ」に連載された主婦からの生活爆笑ライフを集めたも
のをエッセイストである羽生さくるが構成し、漫画家の田島みるくがその投稿内容
をマンガにしてイラストとして添えています。多くの主婦の投稿が元になっている
だけに、様々な出来事が告白され、家族の観察記、自分の赤っ恥、目撃した笑える
面々、勘違いなど、最初から最後まで思わず笑ってしまうエピソードが多かったで
す。イラストも爆笑ライフを引き立たせており、気楽に読める楽しい一冊です。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 ラブリー
【著者名】 濱田順子
【出版社】 河出書房新社
【初 刊】 2001年2月25日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】東京に地震が起こらないなんて。震災後の神戸を訪れた生きていたく
ない少年たち……。
【満足度】 ★☆
End------------------------------------------------
俊平は勉強こそできるものの、学校はサボリがちでカツアゲをし、生きることに
希望を感じない中学生。同じクラスの長谷川からは授業のノートを貸してもらった
りしている仲だが、俊平は震災後の神戸の様子をテレビで見て、長谷川と一緒に震
災後の神戸を訪れる。物語は、生きていたくない中学生が震災後の神戸をボランテ
ィアとして訪れ、その心境の変化と成長を描いた作品だと思って読んでいたのです
が、その神戸での少年の気持ちの変化は読み取れるものの、期末試験のため途中で
神戸から戻った少年達がその前後で心境が大きく変化したわけでなく、無気力な1
0代の少年を描いているものの、その少年達の心の様子を全面に描いてほしかった
です。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 恋愛時代(上下巻)
【著者名】 野沢 尚
【出版社】 幻冬舎文庫
【初 刊】 平成10年8月25日(上下共)
【金 額】 571円+税(\300)
【カバー文】早瀬理一郎(34)と衛藤はる(26)はもと夫婦。離婚した後も何
かと理由をつけてはよく会っているおかしな関係だ。ある日、話題は
再婚のことに。「早く結婚とろよ」「あなたこそ!」意地っ張りな二
人は、自分の手で互いの結婚相手を探し出すと言ってしまう。しかし
それがとんだ展開になって……。乱歩賞作家が描く大人のための恋愛
小説。(上巻)
お互いの結婚相手を紹介し合う二人だが、何も進展しない。そんな時、
理一郎は高校の同級生と再会。再婚話がとんとん拍子で進んでしまう。
めでたくウエディングベルが鳴ろうとする時、はるは偶然にも彼が隠
す“優しい秘密”を知ることに。「そんな……」忘れていた気持ちを
思い出した彼女がとった行動とは? 第四回島清恋愛文学賞受賞作品。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
26歳の衛藤はるはスポーツジムのインストラクターで、34歳の早勢理一郎は
書店の店長。この2人は2年前に1年ちょっとの結婚生活を終えるが、今も付き合
いを続けている。この主人公でもある2人がひょんなことから互いの結婚相手を探
すこととなるのだが、互いに相手に対して未練を持ちつづけ、今まで以上に相手の
ことを考えていくのだが、理一郎が初恋の相手と同窓会で会うこととなり、2人は
結婚することに。その神父役としてはるが務めることとなるのだが、はるはこの結
婚式当日に理一郎と離婚の原因にもなったことの隠された秘密を知ることに……。
野沢尚としては異色作といえる恋愛小説ですが、上下巻を感じさせない程一気に
読まされた作品です。上巻では主人公の2人の態度に読んでいて互いの煮え切らな
い態度にイライラもしましたが、下巻では感動の秘密が隠されており、物語として
も登場人物それぞれの個性を明確にして、特にラストは実にハラハラさせてくれま
す。その登場人物も実にいい人達ばかりで、それが物語の魅力にも繋がっています。
<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 ラスト・レース --1986冬物語--
【著者名】 柴田よしき
【出版社】 文春文庫
【初 刊】 2001年5月10日
【金 額】 600円+税
【カバー文】社内恋愛に破れ憂鬱な毎日を送る秋穂は、宝石店に忘れられた指輪を
持ち帰った夜、レイプされてしまう。翌日近くのマンションでOLが
殺された。自分は人違いで襲われたのでは? 悩む秋穂の前に現れた
レイプ犯の二人は、誰かに嵌められたのだと語る。時代の流れに乗り
損ねた男女のラヴ&クライム・ノヴェル。
【満足度】 ★★★★☆
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普通のOLである秋穂は社内恋愛が大きく知られることとなり、会社での自分の
居場所がなくなりつつあった。その秋穂がある日、フトしたことで他人の赤いガー
ネットの指輪を手に入れることとなるのだが、その夜に自宅で2人組にレイプされ、
翌日近くのマンションで殺人事件があった。殺されたのは秋穂と同年齢の女性で、
マンションの名前もよく似ており、自分は人違いで襲われたと思う秋穂だが、調べ
るうちに何者か事件に嵌められたことを知る。犯人の目的は何か、そして秋穂が最
後に手にしたものは何か?
物語はバブル期初期の時代背景をミステリーとして描いた作品。殺人事件と主人
公の関係、そしてレイプした2人組との関り、社内恋愛の相手との不思議な出来事
と、単なる謎解きだけではなく、恋がしたいと思っただけで大きな事件に巻き込ま
れてしまった主人公の悲劇と、自分自身を探し求める主人公の姿が一体となって描
かれています。
【わ行】
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