書評データベース(2001年度8,9月分)
【あ行】
<本紹介>
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【ジャンル】ミステリー
【著書名】 Rの家
【著者名】 打海文三
【出版社】 マガジンハウス
【初 刊】 2001年1月25日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】ぼくは列車にゆられてRの家へ向かった。解き明かされてゆく母の秘
密。失踪への情熱。甘美な性の逸脱。決断。さもなくば自殺か。17
歳の冒険。愛の世界の暴力的な切断。
【満足度】 ★☆
End------------------------------------------------
物語は17歳の主人公の少年が、4歳の時に海へ入水自殺した母親の自殺原因を
探るため、かつて祖母が建てたRの家へ行ったのだが、母親は生きているという疑
念が生まれ、その母親の謎を追って事件の真相へと近づいていく。
母親の失踪と少年の冒険とが描かれるミステリーですが、物語としては父親と息
子の会話や登場人物達の会話での不自然さを感じ、ミステリーとして特別面白さの
ある謎解きがあるというわけでもなく、何か中途半端さを感じる作品でした。
<本紹介>
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【ジャンル】書評
【著書名】 あやしい本棚
【著者名】 中野 翠
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2001年4月30日
【金 額】 1667円+税
【カバー文】待っていてくれたのね……胸おどるこの本。懐かしいあの人。心なご
む紙とインクのその匂い……。本棚で静かに待っている、あやしくも
面白い100冊+αを一挙公開!
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
本書は中野翠の100冊+αの書評コラム集。実に多くのジャンルがここでは紹
介されていて、マンガから純文学、評論やノンフィクションなどなど、幅広い書評
が最初から最後まで一気に書かれています。中野翠がこんな本を読むんだ……と、
感心したり、また納得させられ、紹介されている本も自分で読んだ気にさせられま
す。読書好きにはお勧めの内容でしょう。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 犬の方が嫉妬深い
【著者名】 内田春菊
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2001年4月30日
【金 額】 1200円+税
【カバー文】夫と違う男の子どもを妊娠した私。しかし私の体は悦んでいた。二人
の子どもを連れて家出をした瞬間、おとなしかった夫は次々と闇の部
分を見せ始める。……私の敵は犬の皮を被っていた夫だけだったのだ
ろうか?
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
確か内田春菊も夫が違う子供の母親だったと思いますが、本書はおそらく自らの
体験をフィクションとして描いたものなのでしょう。物語は夫以外の男性の子供を
妊娠した主人公が、離婚を決意し、夫が離婚に応じてくれないこともあり家出をす
るが、2人の子供を連れての家出、離婚騒動に加えて、子供の就学問題など様々な
問題が主人公に起こってくる。その子供を出産するまでの騒動が物語として描かれ
ていますが、タイトルである「犬の方が嫉妬深い」というのは、物語を読むとうま
いタイトルを付けたと感心しました。
<本紹介>
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【ジャンル】短編小説集
【著書名】 碇(いかり)の男
【著者名】 西村寿行
【出版社】 徳間書店(TOKUMA NOVELS)
【初 刊】 2001年5月31日
【金 額】 800円+税
【カバー文】作家・能海十蔵は車で帰宅途中、交通事故を目撃する。現場を仕切っ
ていた男から、被害者の中年女性を病院に運ぶように指示され、瀕死
の女性を病院へ送り届ける。それから十三年後、街村葛と名乗る美貌
の調査員が彼の前に現われた。件の中年女性が死の床にあるという。
能海は女性を訪ねるが、もはや彼を認識する力はなかった。別室に酒
肴の用意がされ、宴会が始まった。気がつくと彼は小部屋に監禁され
ていた。薬物を盛られたのだ。男たちが現われ、身に憶えのない尋問
が始まった。いったい彼らの目的は何なのか…。
【満足度】 ★
End------------------------------------------------
本書は表題作を含め4つの作品が収録されたもの。表題作「碇の男」は、13年
前に帰宅途中で交通事故を目撃した作家が、現場を仕切る男から被害者の女性を病
院へ運ぶよう指示された。その件について調査員が作家を訪れるのだが、それが監
禁と恐怖の尋問への始まりとなっていく物語。どうもここ数年の西村寿行の作品は
まとまりのない展開の物語が多いように感じますし、本書の中の4つの物語も、か
つての西村寿行らしさとでもいおうか迫力ある展開が少なくなってきていて、大い
に期待がハズれる中身でした。物語の内容からもっと恐怖感を味わっても良さそう
なものが、呆気なく終わったり、中途半端さだけしか読後は感じなかったのは何と
も残念です。
<本紹介>
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【ジャンル】ミステリー
【著書名】 あなたがいない島
【著者名】 石崎幸二
【出版社】 講談社(KODANSHA NOVELS)
【初 刊】 2001年3月5日
【金 額】 800円+税
【カバー文】古離津島へようこそ。これから五日間、心理学研究のため無人島で精
神的サバイバル生活が始まります。持ち込める物はひとつだけ。しか
し考えた末に持参したパソコンは壊され、携帯電話は紛失。なぜかC
DやK談社ノベルスも消えた。奇抜なミステリィ談義と意匠を凝らし
た周到な事件。ここは本格の"約束の地"だったのです。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
心理学研究のため無人島への招待を受けた主人公の石崎幸二と、その主人公が特
別顧問をする女子学院高校ミステリィ研究会のミリアとユリが、その無人島で起こ
る事件を解決する物語。持ち込める物はたった一つで、しかし石崎が持ち込んだノ
ートパソコンは早々に何物かに壊され、そして参加者が殺されることに。事件に巻
き込まれる石崎の名推理と、ミリアとユリの迷推理が冴え渡る面白いミステリーで
す。
メフィスト賞を受賞した前作「日曜日の沈黙」に続いて、本書もミステリー好き
のサラリーマン石崎と、過激な女子高生コンビのミリアとユリが本書でも再び事件
に巻き込まれ、その解決ぶりが描かれていますが、この主人公のキャラクターも良
く、本格ミステリーの中にも笑いを誘うセンスは抜群です。ただ、殺人場面での緊
迫さが薄れていたのは欠点。それでもミステリーとしては推理を堪能することがで
きましたし、何より主人公の存在感が魅力の作品です。
<本紹介>
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【ジャンル】ミステリー
【著書名】 R.P.G.
【著者名】 宮部みゆき
【出版社】 集英社文庫
【初 刊】 2001年8月25日
【金 額】 476円+税
【カバー文】ネット上の疑似家族の「お父さん」が刺殺された。その3日前に絞殺
された女性と遺留品が共通している。合同捜査の過程で、「模倣犯」
の武上刑事と「クロスファイア」の石津刑事が再会し、2つの事件の
謎に迫る。家族の絆とは、癒しなのか? 呪縛なのか? 舞台劇のよ
うに、時間と空間を限定した長編現代ミステリー。宮部みゆきが初め
て挑んだ文庫書き下ろし。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
カバー文の内容と文庫書き下ろしであることに興味を持って買いましたが、正直
面白さはそれほど満喫できなかったミステリーです。ネット上で疑似家族として繋
がっていた4人のうちの父親が何者かに刺殺され、その犯人を推理する物語となっ
ていますが、展開での擬似家族としての関わりや取り調べでの緊迫感は良かったも
のの、途中で犯人がわかってからは面白さも半減しましたし、ミステリーとしても
う一捻りしてほしかったです。また、事件を捜査する刑事は「模倣犯」「クロスフ
ァイア」での刑事が再会し、その事件の真相に迫っていきますが、この両作品を読
んでいれば、面白さも倍増したでしょうが、読んでいないだけにその面白さを感じ
ることはできませんでした。
<本紹介>
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【ジャンル】ノンフィクション
【著書名】 浮気調査・別れさせ屋の探偵術
【著者名】 樋渡 聖
【出版社】 エール出版社
【初 刊】 2001年6月15日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】浮気調査、盗聴盗撮調査、ストーカー対策から別れさせ工作、ミニス
パイまで全部おまかせください。セラピー的なアフターから、どんな
探偵社に依頼したらいいのか自分にあった探偵社の探し方まで。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は探偵社を営む著者が、探偵の仕事内容から、盗撮事例集、別れさせ工作の
実例など、実際に手がけた実例を元にして探偵術を紹介しています。別れさせるだ
けではなく、出会い工作や非行防止工作、浮気の現場報告についても触れられてお
り、その費用の概算も載せているのは非常に良心的ともいえますし、探偵依頼にど
の程度の金額がかかるかの目安にもなるだけに、情報源としても参考になりました。
この他にも、工作員の適正講座や調査テクニック、依頼人の心得なども書かれてお
り、読みやすくわかりやすい探偵術がここには多く書かれています。
<本紹介>
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【ジャンル】ノンフィクション
【著書名】 石原慎太郎「5人の参謀」
【著者名】 上杉 隆
【出版社】 小学館文庫
【初 刊】 2000年9月10日
【金 額】 552円+税
【カバー文】石原慎太郎・東京都知事が打ち出す政策はいつも都民、いや国民の物
議をかもし度肝を抜く。その陰には、このカリスマ政治家を支える男
たちがいた。その中でも中心的役割を果たしてきた5人に焦点を当て、
次々と打ち出された斬新な政策が、彼らブレーンによっていかにして
生み出されてきたかを綿密な取材構成で描き出す。元秘書、都議、都
庁幹部、一橋大学時代の同級生ら70人以上にインタビュー。政治家・
石原慎太郎の参謀活用術が、手に取るように浮かび上がる。代議士秘
書経験もある新進気鋭のジャーナリストが執筆した、入魂のデビュー
作。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
本書は、石原東京都知事の手腕や指導力はもとより、その石原都知事を支えてき
た5人の参謀に焦点を当てたもの。東京都の政策決定過程、外形標準課税、新債券
場構想、ディーゼル車規制などの政策がどのように考え出されてきたか、また美濃
部都政との戦いについても丹念な取材で細かく書かれており、中々読みごたえのあ
る内容です。
【か行】
<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 鬼子母神
【著者名】 安東能明
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2001年2月10日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】都内の保健センターに勤務する34歳の保健婦・工藤公恵は、渡井敦
子という若い母親からの異常な電話を受ける。そして同僚と共に駆け
つけた公恵が見たものは、敦子の娘・弥音の血まみれになった姿だっ
た。第1回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
工藤公恵は都内の保健センターに勤める34歳の保健婦。ある日、公恵の勤務先
に渡井敦子という若い母親から異常な電話がかかってきた。ただならぬ様子を察し、
同僚とともに駆けつけた公恵が目にしたものは、敦子の3歳になる長女・弥音が血
まみれとなった姿だった。幼児虐待、そう直観した公恵は渡井親子を注意深く見守
り続けるが、しだいに想像を遙かに超えた虐待の真相が明らかになっていった……。
物語は幼児虐待をテーマにしたサスペンスですが、第1回ホラーサスペンス大賞
特別賞受賞作としては、大賞となった「そして粛清の扉を」とつい比べてしまい、
物足りなさの残る作品でした。幼児虐待という現代問題となっている事件をテーマ
としていることは興味深いですが、物語で描かれる事件となる母子関係や、主人公
の保健婦としての仕事ぶりはもう少し詳しく描いてほしかったですし、ラストもで
きればもう一捻りしてほしかったです。展開としては良かったのですが、読む前に
大いに期待していただけに、読後はやや残念に思いました。
<本紹介>
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【ジャンル】ノンフィクション
【著書名】 快楽 --6つの症例--
【著者名】 梶原千遠
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2001年5月30日
【金 額】 1524円+税
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
本書は、臨床心理士である著者が関わった6つの「快楽」をキーワードとした症
例を挙げたもの。その症例は、一晩の107回ものラブコールをした女の子、彼氏
を殴り倒す女性、自分の乳房を愛する男……と、特殊なものばかり。いずれも自ら
の内側の快楽を求めての行為ではありますが、これらについてを著者が個人的見解
も含め、症例とその後についてを書いています。
<本紹介>
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【ジャンル】生活
【著書名】 家電量販店の賢い利用術 --安く買うコツ教えます--
【著者名】 カデンタロウ
【出版社】 文芸社
【初 刊】 2001年5月15日
【金 額】 1000円+税
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
著者は家電量販店に勤務しており、家電量販店に勤める立場から、安く買う利用
術が紹介されているのが本書。安く買うための極意から始まり、製品選びのチェッ
ク、更には珍客万来としてのお客さんの面白いエピソードや嫌がらせなども書かれ
ています。その珍客万来は非常に面白い反面、利用客のマナーやモラルの悪さを痛
切に感じ、これは中々目をひいた内容でしたが、例えば製品選びのチェックではど
の製品が人気があるのかや、仕入れについてなどの細かなことも書いてほしかった
です。
<本紹介>
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【ジャンル】生活
【著書名】 家電製品のリサイクル100の知識
【著者名】 永田勝也・監修
【出版社】 東京書籍
【初 刊】 2001年4月30日
【金 額】 1300円+税
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
本書は家電製品のリサイクルについての内容で、家電リサイクル法制定の経緯や、
リサイクルすると家電製品はどう生まれ変わるのか、リサイクルとこれからの家電
製品についてなどを、三菱電機株式会社の3名が専門的な立場から書き、それを早
稲田大学理工学部教授が監修したもの。図やイラスト入りで、家電リサイクルにつ
いてがわかりやすく書かれており、どう家電製品がリサイクルされるかについても
書かれていますから、情報源としては読みやすかったです。ただ、諸外国のリサイ
クル事情などが全く触れられていないのと、処理費用などをもう少し詳しく紹介し
てほしかったですし、技術面についてももう少し掘り下げて紹介してほしかったで
す。
<本紹介>
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【ジャンル】短編小説集
【著書名】 きのうの空
【著者名】 志水辰夫
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2001年4月20日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】いくつかの通過儀礼があった。海を見つめていた少年は男になり、い
つしか老いのとば口に立っていた……。少年期から壮年期まで、十の
アングルから描き分けた珠玉の短編集。
【満足度】 ★☆
End------------------------------------------------
本書は10の作品が収録されている連作短編集で、少年期から壮年期までの、そ
れぞれの世代から描いた短編集。志水辰夫だけに、ハードボイルドさを期待してい
たものの、落ち着いた作品の短編集で、読む前からの期待はハズレ、作品も特に印
象には残らない作品が多かったです。帯びには「これは私の代表作である」と書か
れていましたが、個人的にはこれまでの志水作品の流れを作品に活かしてほしかっ
ただけに、非常に残念に思いました。これまでの作品からは異質の短編集で、読み
手によっては大きく評価も分かれるように思いますが、もっと志水節を効かせてほ
しかったです。
<本紹介>
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【ジャンル】科学
【著書名】 空想科学漫画読本
【著者名】 柳田理化雄
【出版社】 日本文芸社
【初 刊】 2001年4月25日
【金 額】 1200円+税
【カバー文】漫画の1コマから、科学的にどれだけのことが読み取れるのか? こ
んな奇ッ怪なテーマに真っ向から挑んだのは、恐らくこの『空想科学
[漫画]読本』が史上初めてである(そのまま史上最後になるかも)。
科学的に考えると、漫画の世界は大変オソロシイ。主人公の3倍はデ
カイ敵。殴られ、壁を破って飛んでいく男。嘘のような必殺技……。
人間の想像力の極みが、たった1コマに、さらりと描かれていたりす
るのだ。それがいかに凄いことなのか!? 読み流すのではなく、真摯
に眺めてみよう。浮き彫りになってくるのは、漫画という日本が誇る
べき文化の無限に奥深い表現力だ!!
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
本書は「空想科学」シリーズでも、漫画をテーマとして選んだもの。これまでは、
特撮やテレビアニメなどでの空想科学は多かったですが、本書では懐かしい漫画か
ら、比較的新しい漫画まで取り上げており、ジャンルも様々で、漫画好きには楽し
みながら読むことができます。北斗の拳を科学的に測定したり、巨人の星の大リー
グ養成ギブスの効果、キャプテン翼の能力、8マンの快速……などを、科学的に面
白おかしく取り上げており、時には笑い、思わず納得させられたりと、漫画の中で
の1コマの凄さを改めて実感しました。漫画が題材であれば、おそらく続編も出さ
れるように思いますが、次に何を取り上げてくれるかの期待もあり、引き続き読ん
でみたいものです。
<本紹介>
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【ジャンル】競馬エッセイ
【著書名】 五冠馬シンザンのその背中 --馬をめぐる84の物語--
【著者名】 黒尾 透
【出版社】 芸文社
【初 刊】 2001年6月15日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】競馬にまつわるさまざまな「人・馬・出来事」を記者の目を通して描
いたエッセイ集。楽しい競馬教室的な話題から、JRAへの苦言、競
馬人気の復権を考える声まで幅広い内容。4年間にわたる『競馬フォ
ーラム』連載をまとめる。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
本書はサブタイトルにもあるように、馬をめぐる84の物語が書かれるエッセイ
集。著者は毎日新聞記者で、競馬雑誌での4年間の連載エッセイをまとめたのが本
書。その中身ですが、競走馬を始めとして競馬についての知られざるドラマから、
競馬場にまさわるエピソード、騎手の力の秘密、私見としての20世紀の競馬と、
競馬について奥深いエッセイ集となっているのは勿論のこと、それぞれのエッセイ
の中で書かれる内容にはドラマがあります。
<本紹介>
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【ジャンル】短編小説集
【著書名】 口笛吹いて
【著者名】 重松 清
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2001年4月20日
【金 額】 1476円+税
【カバー文】二十六年前に別れた少年時代のヒーローとの切なく苦い再会を描いた
表題作はじめ、さらなる一歩を踏み出した著者会心の5つの小説世界。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は5つの物語が収録されている短編集ですが、重松清らしい作品集となって
います。リストラや家庭不和や学校問題などの現実問題を浮き彫りにした作品とな
っており、切ないながらも主人公の更なる心の成長を見事に表現した作品集です。
表題作である「口笛吹いて」も、仕事を通して26年前に別れたままだったかつて
の幼馴染との切ない再会を描いており、登場人物の過去と現在を短編の中に細かく
まとめており、つい物語に引き込まれてしまう、そんな作品集です。
<本紹介>
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【ジャンル】ミステリー
【著書名】 暗い宿
【著者名】 有栖川有栖
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2001年7月30日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】廃業が決まった取り壊し直前の民宿、南の島のリゾートホテル、冬の
旅館、都心の豪華なシティホテル……。様々な〈宿〉で発生する難解
な事件に、臨床犯罪学者・火村英生と推理作家・有栖川有栖が挑む、
本格ミステリ作品集。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
本書はそれぞれに異なる宿で起こる事件を題材とした4つの物語からなる短編ミ
ステリー。推理作家で旅先案内人でもある有栖川有栖と犯罪学者である火村英生が、
共に難事件を推理している物語。表題作「暗い宿」では、何気なく立ち寄った旅館
で有栖川が夜中に聞いた物音。数日後にこの旅館の下から白骨遺体が発見され、そ
の事件を推理していく過程が描かれています。それぞれに旅館であったりホテルで
あったりと、場所も宿も違い、それぞれの事件も異なるものばかりですが、宿を舞
台に中々面白い事件が描かれます。もう少し事件内容に凝ったミステリーであれば
良かったと思える点こそあるものの、それぞれの短編で起承転結がしっかりとまと
められており、読みやすいミステリーでした。
<本紹介>
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【ジャンル】ミステリー
【著書名】 海泡(かいほう)
【著者名】 樋口有介
【出版社】 中央公論新社
【初 刊】 2001年6月7日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】小笠原諸島・父島……人口二千人の洋上の楽園に、殺人事件は似合わ
ない。書き下ろし長編ミステリー。
【満足度】 ★★★★
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大学生の木村洋介は、2年ぶりに小笠原諸島の父島へ帰省した。到着早々から地
元に残る旧友達と再会するのだが、かつての恋人が謎の死を遂げたことから、事件
の真相を洋介が探っていく。かつての旧友も、変わらぬ者とすっかり変わってしま
った者。そして病からの旧友の死と、短い間に様々なことが洋介に降りかかってく
る……
物語では、軽薄さを感じる主人公の洋介ではあるが、再会する旧友達、画家であ
る父親など登場人物それぞれに存在感があり、知られざる恋の歴史が意外な真相と
なっており、父島を舞台に見所たっぷりの青春ミステリーです。ミステリーという
よりも、青春小説の延長がミステリーとなっていて、読後も余韻が残る作品でした。
<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 結婚詐欺師
【著者名】 高嶋泉妙
【出版社】 日本文芸社
【初 刊】 1999年5月25日
【金 額】 800円+税
【カバー文】女への復讐を生きがいとする結婚詐欺師、倉橋涼一郎。そしてその弟
子の女結婚詐欺師、白旗冴子。倉橋は東南アジアA国副大統領の元第
二夫人サニータへと近づき、冴子は松岡財閥総帥、松岡源一郎の愛人
として松岡家に入り込む。しかし、巨万の富を目前にして、二人の計
画は行き詰まる。そんな時だった。冴子のもとに、倉橋から交換殺人
の話が持ち込まれたのは……。二人の結婚詐欺師が企む完全犯罪の結
末とは……。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
タイトルにひかれて図書館から借りて読んだ本ですが、サスペンスとしては少々
物足りなさを覚える内容でした。著者は易者でもあり、易学も展開に交えて描かれ
ていますが、2人の結婚詐欺師の過去やその結婚詐欺の手口はそれなりに読ませる
ものの、性描写が必要以上にあり、これが物語を半減させてしまっていましたし、
結末も呆気なく、結婚詐欺をサスペンスとした着眼はいいとは思うものの、内容を
活かしきれていない作品でした。
<本紹介>
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【ジャンル】ノンフィクション
【著書名】 小泉純一郎と特定郵便局長の闘い
【著者名】 世川行介
【出版社】 エール出版社
【初 刊】 2001年7月15日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】政治にひた走る全特の闇と真実。全特支配を狙う郵政官僚たちの野望。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は自民党最大派閥橋本派の応援団とのいえる特定郵便局長会についてと、そ
の特定郵便局長を操る郵政官僚と20年にもわたる現総理大臣・小泉純一郎との闘
いについてが書かれたノンフィクション。小泉総理の言う「郵政三事業」の民営化
についての考えはテレビなどのメディアでも多く報道されているが、特定郵便局長
会については知らないことが多く、本書は非常に参考となる一冊です。特定郵便局
長会と自民党との関係、郵政ファミリーの闇と真実、民営化にできない郵政の裏事
情と民営化されたくない事情など、国民の多くが知らなかったことが明らかになっ
ており、本書で書かれている20年にわたる小泉純一郎と特定郵便局長会の闘いの
ドラマは国民のいい判断材料になるともいえるでしょう。
<本紹介>
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【ジャンル】ハードボイルド
【著書名】 擬態
【著者名】 北方謙三
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2001年4月10日
【金 額】 1714円+税
【カバー文】躰の中で、なにかが止まった―。立原章司、四十歳。きっかけといえ
るほどのものはなかった。一介の会社員に挑した違和感、ただそれだ
けが彼を凶器に変えた。北方謙三、新たな地平を示すハードボイルド
長篇。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
内部設備の請負会社に勤務する立原章司は40歳。4年前、離婚と共に身体の中
で時計の針が止まった感覚が起き、それから立原はボクシング・ジムに通い出した。
仕事は機械的にこなしていったものの、会社のリストラ対象となり、次第に内部か
ら毀れていき、一介の会社員が会社と巨大な組織と闘うことに。
読み始めた瞬間から、かつての北方ワールドを彷彿とさせるハードボイルドタッ
チの物語に興奮しながら読み進みました。一介の会社員が、身体の中に眠っていた
自分の本来の姿を、ボクシングや会社の抗争と共に起こしていき、上司や社長にも
対等に渡り合い、自らの鍛えた体を武器に、暴力団組織にも立ち向かっていく。こ
こまでの流れの暴力シーンも迫力抜群で、ぐいぐいと展開に引き込まれていくのだ
が、後半からその展開がオーバーになりすぎてしまい、ラストへの過程は不満の残
るものでもありました。前半の展開が良かっただけに、後半は違う展開にしてほし
かったし、大きく横道に反れてしまったように感じたのは大きなマイナス。北方謙
三らしさは随所に見られていただけに、後半部分だけが残念です。
<本紹介>
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【ジャンル】ミステリー
【著書名】 ゴールド
【著者名】 響堂 新
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2001年7月10日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】在タイ日本大使館付医務官・安斎泰彦の主な仕事は、大使の健康管理。
急なオペも、難解な論文もない気楽な日々は、日本人社会で起こった
連続不審死事件により激変。被害者たちに共通するのは、同じ銘柄の
米を食べていたことだけ。しかし犯人と噂された米の生産者・吉崎孝
雄は、廉価で、栄養価の高い米を開発し、その技術を誰にでも無償で
提供する、高邁な理想を持ったバイオ研究者だった…。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
タイに日本人社会で連続不審死事件が起きた。大使館付医務官の安斎は、その真
相を追うのだが、共通していたことは同じ銘柄の米を食べていたというだけで、タ
イでその米を作るバイオ研究者の吉崎に全く不審な点もなかった。しかし不審死は
その後も続き、事件の謎に迫ろうとする安斎にも危険が迫ることに……。
物語はバイオミステリーとして、バイオ研究と犯人の目的と過去が交錯しての展
開となっています。事件を追う主人公・安斎と、同じく事件を調べながら行方不明
の姉の消息を探るアメリカのジャーナリスト・ディキンソンの関係をより深めて描
いてほしく、この2人の関係が中途半端に描かれていたのは残念です。また事件の
真相ともいえるバイオ研究の背景はドラマ性が非常にあるものの、この展開もより
掘り下げてくれれば良かっただけに、読後は欠点が目に付き、バイオミステリーと
いう面白い着眼の作品であり、作品のテーマと内容は良かったのですが、内容とし
ては今一つに感じました。
【さ行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ノンフィクション
【著書名】 女子刑務所
【著者名】 藤木美奈子
【出版社】 講談社文庫
【初 刊】 2001年5月15日
【金 額】 495円+税
【カバー文】タフで陽気な女囚たち。壁の内側で繰り広げられるセキララ生活を初
公開! 食欲・性欲・ケンカ欲、風呂場から立ちのぼる裸身の刺青、
化粧への執着、同性への恋など、あっと驚く人間ドラマ。新入り女性
看守が愛をこめ、彼女たちと過ごした日々の、おかしくもありホロッ
とする泣き笑いを綴る。
【満足度】 ★☆
End------------------------------------------------
2年間女子刑務所看守の仕事をした著者が、その女子刑務所での日常を書いたノ
ンフィククション。帯には「食欲・性欲・ケンカ欲 あっと驚く人間ドラマ」と大
きく書かれていたので、期待して読みましたが、受刑者のドラマは非常に少なく、
それよりも著者自身についてが多く書かれていて、受刑者の生活ぶりや刑を受ける
ことになった事情なども殆ど書かれておらず、期待ハズレの内容でした。
<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 触発
【著者名】 今野 敏
【出版社】 中公文庫
【初 刊】 2001年4月25日
【金 額】 762円+税
【カバー文】朝のラッシュで混雑する地下鉄駅構内で爆弾テロが発生、死傷者三百
名を超える大惨事となった。その威信にかけ、捜査を開始する警視庁。
そんな中、政府上層部から一人の男が捜査本部に送り込まれてきた。
岸辺和也陸上自衛隊三等陸曹……自衛隊随一の爆弾処理のスペシャリ
ストだ。特殊な過去を持つ彼の前に、第二の犯行予告が届く!! はた
して犯人の目的は、一体何なのか!?
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
冒頭いきなり地下鉄霞ヶ関駅構内での爆弾テロ事件から始まります。死傷者30
0名を超える大惨事となったこの事件の数日後、爆弾処理のスペシャリストである
岸辺と横井の2人の自衛隊員が捜査本部に送り込まれた。そして捜査に加わった当
日にも第二の犯行が渋谷センター街で起きた。岸辺の独自の考えで、犯人は軍隊経
験者で爆弾のプロと推理し、その犯人像から一人の男が浮かび上がった……。
物語では、爆弾テロ事件、犯人の目的、主人公・岸辺の過去……と、見応えある
展開が最後まで続きます。命懸けで爆破処理をするラストシーンも緊張感たっぷり
に描かれているのですが、爆破シーンではその場面の描写があまりにもあっさりと
描かれていたのが残念です。もう少し、怪我人の状態や爆破直後を迫力ある描写と
していれば、更に物語は緊迫した印象になっただけに、この点だけが残念です。そ
れでも、事件捜査する警察と岸辺達が少しずつ犯人像に近づく過程や犯人の最後に
とった行動など、読ませる作品となっています。
<本紹介>
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【ジャンル】ミステリー
【著書名】 スタジアム 虹の事件簿
【著者名】 青井夏海
【出版社】 創元推理文庫
【初 刊】 2001年4月13日
【金 額】 620円+税
【カバー文】いつも優雅なドレスに身を包み、綺麗な靴を履いて観客席に現れるお
っとりした女性・虹森多佳子。超弩級の野球音痴でありながら、なぜ
かプロ野球球団・東海レインボーズのオーナーを務める彼女は、奇妙
な謎を次々と解決に導く才能も持ち合わせていた! 安楽椅子探偵の
冴え渡る推理と、優勝の夢に向かって疾走する万年最下位球団の奮闘
を描いた、値千金の愛すべき本格ミステリ。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
観客席で一万円をばら撒き始める男など、東海レインボーズのスタジアムで不審
な行動が起きる。そのスタジアムで語られる奇妙な事件を次々と解決するのは、野
球音痴の球団オーナー虹森多佳子。本書は主人公の名推理と、万年最下位球団の奮
闘ぶりが描かれる連作ミステリー。
この主人公の虹森多佳子ですが、野球音痴ぶりが徹底しているものの、その野球
を覚えようとする姿勢が問題解決に繋がったり、スタジアムに来ているからこそ様
々な謎を解決したりと、そのキャラクターも面白いが、事件解決までの過程も中々
本格的です。そこに万年最下位球団の奮闘ぶりもあわせて描かれていて、爽やかな
連作ミステリーとなっています。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 慎治
【著者名】 今野 敏
【出版社】 双葉文庫
【初 刊】 1999年10月15日
【金 額】 600円+税(\300)
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
クラスでいじめに合い、自殺まで考えていた慎治は、いじめグループからレンタ
ルビデオ店での万引きを強制され、その現場を担任の古池に目撃されてしまう。自
分に問題が関わることを嫌う古池だが、慎治がいじめで苦しんでいる姿を見て、自
分の趣味であるフルスクラッチモデル作りやガンダムについてを教え、趣味を持つ
ことでの楽しさを知ってもらおうとし、慎治は別の世界での楽しさを見つけた。し
かし万引きにあったレンタルビデオ店の店長はその万引き現場のビデオ販売をしよ
うとし、古池や慎治達とサバイバルゲームでそのビデオ争奪をすることに。そのよ
うな中で成長した慎治は、自らいじめグループと戦うことに……。
物語の根本にはいじめ問題が描かれているが、いじめられっこの主人公の成長ぶ
りと孤独と苦しみが非常に良く描かれた作品です。また主人公に趣味を教えるおた
く教師の古池の存在も物語を面白くさせているのは勿論のこと、いじめグループと
の対立やほろ苦い慎治の失恋も交え、少年が苦しみから自分で考え行動をとる様子
を物語の中でうまく表現しています。丁度ガンダム世代でもあるだけに、読んでい
て更に面白さが広がりましたし、今野敏としては珍しい作品でしたが、印象に残る
物語でした。
<本紹介>
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【ジャンル】短編小説集
【著書名】 性遍歴
【著者名】 松本侑子
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2001年5月10日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】歓びと快楽に、息もつけない。欲望と愛情がほとばしる体験。私は
「新しい扉」を開いた……。濃密で圧倒的に面白い、新しい性愛小説。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
本書は5つの物語が収録されている短編集で、それぞれに違った形の性愛が綴ら
れています。中でも最初に収録されている表題作は、著者自らの体験を告白してお
り、初キスから初体験、そして夫との性生活と衝撃的ではあるものの、新鮮な感じ
を受ける物語となっていて、松本侑子の新たな境地を開いたともいえる性愛小説で
す。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 選挙参謀
【著者名】 関口哲平
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2001年4月25日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】選挙参謀を生業とする遊馬大介。選挙の勝利を請け負い、演説会の演
出から、立候補者のスタイリング、そして金のばらまき方まで、細部
にわたり選挙戦を仕切る。この世界では名の売れた大介に、生まれ故
郷・海南市の市長から市長選参謀のオファーが入った。状況は再選を
目指す現職市長に対し、若手の気鋭革新候補が挑むかたちで、現職市
長側が圧倒的に不利。プロとして何が何でも現職市長を勝たせなけれ
ばならない大介が、戦況を逆転させるために使う方法は……。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書はタイトルからもわかるように、選挙を舞台に描かれた作品で、選挙の勝利
を請け負う選挙参謀の主人公を中心として、演説会場の演出から立候補者のスタイ
リング、そして金のバラ巻き方まで、詳細に指示を出し、勝つためだったら何でも
ありという公職選挙の実体をリアルに描くエンタテイメント小説。
著者は、代議士私設秘書、アントニオ猪木、野末陳平、大前研一の選挙プロデュ
ーサーをしてきている、かつての選挙参謀。そのためか、実に細かな選挙の舞台裏
まで作品に盛り込んでいて、物語では落選確実な現職市長を当選させるため選挙方
法を見所たっぷりに描いています。
<本紹介>
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【ジャンル】短編ハードボイルド
【著書名】 新宿・夏の死
【著者名】 船戸与一
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2001年5月15日
【金 額】 1905円+税
【カバー文】この街は何だってあり、さ。夏の暑さが人を変えるのか、あるいは街
がそうさせるのか。陽炎揺らめくアスファルトには、死の匂いがする。
放射する熱気、滾る情念―直木賞受賞後初の小説集。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
本書は8つの物語が収録されている短編集で、いずれも新宿を舞台とした、夏の
死をテーマに描かれています。どの作品も船戸与一らしく余韻が残る作品となって
いますが、特に最初に収録されている「夏の黄昏」は、一人息子をリストラによる
自殺で亡くした主人公が、自らの過去の清算も含めて、故郷を後にして、新宿へと
向かい、息子を死に追い込んだ上司に対して銃を向ける物語ですが、短編ではある
ものの、主人公の背負う過去と息子の思いを見事なまでに表現しており、夏の新宿
を舞台として新宿の底辺に蠢く人間達をハードボイルドタッチで活かしきっていま
す。
<本紹介>
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【ジャンル】スポーツ
【著書名】 新庄くんは、アホじゃない!
【著者名】 中田 潤
【出版社】 飛鳥新社
【初 刊】 2001年4月14日
【金 額】 1000円+税
【カバー文】ジャイアンツ・ファンは、野球の面白さをしらない。新庄人気の謎を
120%解き明かす、汗と笑いと、いらんことに満ちた阪神新喜劇。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
本書は、阪神タイガース時代の新庄選手の語録を交えて、面白おかしく書いたス
ポーツお笑いコラム。その当時の監督との会話や、新庄が阪神タイガースで4番を
打つまでの入団からの過程を阪神ファンの著者が書いていますが、語録の面白さは
ありますが、どうせならスポーツノンフィクションとしてある程度正統派に書いて
ほしかったですが、読めば読むほど「新庄って、やはりアホなのか、天然なのか?」
と思ってしまいますし、それが著者の狙いなのでしょうが、当時の阪神タイガース
のチーム状況などをもっと詳しく書いてほしかったです。
<本紹介>
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【ジャンル】ホラー
【著書名】 サイト
【著者名】 倉阪鬼一郎
【出版社】 徳間書店
【初 刊】 2001年4月30日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】これは、私の現実なのか? 目の手術以来、不思議な幻覚を見るよう
になった、小説家・辺見啓三。やがてその幻視は、執筆中の長編「サ
イト」と奇妙なシンクロを呈するようになっていく。虚実の皮膜が剥
がれ落ちたとき、そのに現れるのか……!?
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
白仮面のイラスト表紙から、ホラー小説として期待して読み始めましたが、内容
としては物足りなさを読後に感じました。右目の手術をして以来、不思議に幻覚を
見るようになった主人公の小説家が、執筆中の小説「サイト」とその幻覚が同調す
る恐怖が描かれているのですが、手術後からの幻覚が見られる場面まではゾクゾク
感もあったのですが、主人公が執筆する作品と幻視が同調していく辺りから、妙に
冷めてしまい、ラストも意外性がなく、少々期待ハズレとなりました。読み手によ
っては、ホラーとしてのゾクゾク感が味わえるかもしれませんが、もう少し幻想と
現実の恐怖を巧く表現してほしかったです。
<本紹介>
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【ジャンル】ミステリー
【著書名】 最後から二番めの真実
【著者名】 氷川 透
【出版社】 講談社(KODANSHA NOVELS)
【初 刊】 2001年2月5日
【金 額】 980円+税
【カバー文】由緒ある女子大の屋上から学生が逆さ吊りにされた。ゼミ室からは警
備員の死体が……。全てのドアが開閉記録で管理される中を、いかに
して犯人と被害者はかいくぐったのか?
推理小説家志望・氷川透の論
理と奇抜な女子大生の推理が激突する!
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
女子大のゼミ室から学生が消え、代わりに警備員の死体が発見され、当の女子大
生は屋上から逆さ吊りにされた。居合わせたのは推理小説家志望の氷川透を始め多
数が目撃し、建物の出入り口はビデオ管理され、全てのドアは開閉記録で見張られ
るという万全の管理体制を、犯人と被害者はどのようにしてかいくぐったのか?
本書は『真っ黒な夜明け』『密室は眠れないパズル』に続く第3弾のシリーズ最
新作の本格推理小説。舞台は聖習院女子大学哲学科。逆さ吊りにされた女子大生と、
密室で殺された警備員を結ぶ美しい論理とは何かをミステリ仕立てで描かれていま
す。また、出身大学と赴任大学、主任教授と平教員、助手の地位、女子学生との隠
微な関係、女子教員との爛れた関係、教員と職員など、登場人物の背景も複雑なが
ら展開を盛り上げており、読みやすいミステリーとなっています。その中でも名探
偵の主人公・氷川透の推理と突然名探偵の素質に芽生えた女子大生2人の名推理が
見物となっています。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】自伝
【著書名】 三流
【著者名】 長嶋一茂
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2001年6月10日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】偉大すぎる父親、厳しいプロの壁、野村監督との確執、突然襲ってき
た過呼吸症候群…。絶望を突き抜けなければ見えないものがある。揺
れる魂の軌跡、初めて明かされる真実。雑誌『ターザン』に連載され
たものを単行本化。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
本書は様々なメディアで取り上げられていたので興味がありましたが、タレント
として活躍する長嶋一茂の語り下ろしをノンフィクションライターが構成したもの。
父親・長嶋茂雄、プロ野球を目指すきっかけとなった出来事、大学からプロ野球入
団、そして引退までを様々なエピソードを交えて書かれています。長嶋一茂という
と、どうしてもボンボン的なイメージがありますが、意外な事実が多く語られてお
り、ブラウン管から見るイメージとは違う長嶋一茂を読むことができました。
【た行】
<本紹介>
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【ジャンル】コラム
【著書名】 田中康夫主義
【著者名】 田中康夫
【出版社】 ダイヤモンド社
【初 刊】 2001年4月19日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】「脱ダム」宣言、ガラス張りの知事室、月2回の県内各地での車座集
会、「県民の声」ホットライン、知事だけが読む直通のファックス番
号やEメールアドレス公表など、2000年10月の就任以来、常に
話題を呼んでいる田中康夫長野県知事。田中康夫は何を求めて知事と
なり、何をやろうとしているのか? その行政サーヴィスの基本理念
と、「パブリック・サーヴァント」としての政策がすべて分かる!
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
本書は、「週刊現代」や「週刊ダイヤモンド」掲載のコラムやインタビューを中
心としたもの。著者の新聞私評などからも、田中康夫が知事として何をしようとし
ているか、その政策内容についても触れられています。就任当初から話題を提供し
ている田中知事ですが、本書でもわかりにくい記述があるものの、政策内容や自ら
の考えは理解できましたし、コラムとしても読み応えはありました。
<本紹介>
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【ジャンル】自伝
【著書名】 だめだこりゃ
【著者名】 いかりや長介
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2001年4月20日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】音楽は四流、笑いは素人。でも、それがドリフターズだった。最長不
倒を誇ったお化け番組「全員集合」の裏話。愉快なメンバーの知られ
ざる素顔。幼少期から現在までの秘話の数々。純情いかりや長介の豪
快な半生。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は、いかりや長介氏がその半生を綴った自伝。いかりや氏らしい、飾り気の
ない文章で、「全員集合」の裏話、芸名の謎、ドリフターズ面々の素顔、ビートル
ズ武道館公演前座から俳優稼業まで、とっておきの秘話が満載。幼少期から現在ま
で、ピュアで豪快な半生記となっています。往年のコントでは他のドリフメンバー
をいじめる役回りを演じていた著者ですが、それはあくまでも笑いをとるための手
段にすぎず、むしろ、他の誰よりもドリフメンバーを気遣っていたのは、他ならぬ
著者だったことが読んでいてわかります。そして訥々とした語り口から、ぶっきら
ぼうだが暖かい著者の人柄が滲み出る好著です。
<本紹介>
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【ジャンル】ミステリー
【著書名】 時の渚
【著者名】 笹本稜平
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2001年5月15日
【金 額】 1524円+税
【カバー文】死に瀕した老人から、35年前に生き別れた息子を捜し出すよう依頼
された私立探偵の茜沢圭。破格の報酬に惹かれ調査を開始した茜沢だ
ったが、やがて「血」の因縁が明らかになっていく。第18回サント
リーミステリー大賞・読者賞ダブル受賞作。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
本書は第18回サントリーミステリー大賞と、その読者賞をダブル受賞した作品。
主人公の茜沢はかつて刑事時代に家族を交通事故で亡くした過去をもつ私立探偵。
その茜沢が死期の迫った老人から、35年前に見知らぬ人間に預けたままの息子を
探しだすよう依頼される。一方、茜沢が妻子を失い警察を辞めるきっかけとなった
事件に新しい事実が浮かびあがる。しかし無関係にみえたこの2つの事件に共通の
キーワードが……。
「過去をもつ私立探偵」「人探しの依頼」といったオーソドックスな設定は、悪
くいえばありきたりのものだが、実に意外性のある展開が後半にかけて待ち構えて
おり、普通の私立探偵ものとして淡々と進む物語は、中盤以降、スケールを広げ急
展開を始める。ネタバレになるので、詳しくは紹介できないが、血の因縁を事件背
景に描き、特にラストの衝撃の事実には感動が与えられます。主人公の周囲にあま
りにも偶然が多いことが欠点とも言えますが、むしろ多くの偶然を緻密に組み合わ
せて、破綻のないストーリーを構成しているのは逆に作品の長所とも言えるでしょ
う。著者のデビュー作だそうですが、次作にも大いに期待させられる良質のサスペ
ンス・ミステリーです。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】サスペンス
【著書名】 天国への階段(上下巻)
【著者名】 白川 道
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2001年3月10日
【金 額】 1700円+税(\850)
【カバー文】家業の牧場を騙し取られ非業の死を遂げた父。最愛の女性にも裏切ら
れ、孤独と絶望だけを抱え19歳の夏上京した柏木圭一は、26年の
歳月を経て、政財界注目の若き実業家となった。罪を犯して手に入れ
た金から財を成した柏木が描く復讐のシナリオ。運命の歯車が狂い、
ひとりひとりの人生が軋みだす…。(上巻)
元強盗殺人犯・及川広美が刺殺された。彼の更生を固く信じていた老
刑事・桑田規夫は、弔いを誓い志願して捜査を開始した。及川殺害を
闇に葬ろうとする柏木に届いた脅迫状。それは柏木の犯行を示唆する
ものだった。無気味な影と執拗な警察捜査、そして第二の殺人事件…
…。復讐のシナリオは瓦解していくのか? 罪深き魂は、いったいど
こへ流れ着くのか?(下巻)
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
物語のあらすじはカバー文でも書かれていますし、上下巻のボリュームもあるの
で省略しますが、最初に感想を述べるとベストセラーとしては欠点も目立ったが、
確かに読ませる内容でもありました。始めに欠点ですが、途中から展開の流れで結
末の雰囲気が前もってわかってしまったこと、そして北海道での描写に嘘があるこ
と。特に北海道での描写ですが、浦河町の隣が静内町であるというのは真っ赤な嘘
ですし、千歳空港から浦河町までの道程の様子が描かれていますが、作品では日高
に入って両脇に牧場があると書かれていますが、日高の内陸部に入ると確かに両脇
に牧場がありますが、日高への入り口では両脇に牧場はなく、舞台でも描かれてい
る静内町在住なだけに、肝心な舞台の描写が丹念な取材をしたのでしょうが、事実
と異なる部分があり、これが何とも残念です。また複雑な人間関係が展開の中でも
面白いところであるものの、その背景と心理描写でも曖昧な部分が見られ、この点
ももう少し細かな描写が欲しかったです。それでも読者を引き込む魅力がある展開
で、上下巻を時間も忘れ、一気に読まされた面白さは高く評価できますし、復讐と
許しを見事に作品の中で表現していたのは良かったです。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 ダブルフェイス
【著者名】 久間十義
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2000年5月10日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】渋谷で絞殺されたホテトル嬢は、超一流企業のエリート社員。彼女は
何者だったのか? 名作『刑事たちの夏』から二年。東電OL事件を
素材に、緻密な取材と構想で、警察捜査のすべてを描きつくした感動
的巨編!
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
物語は東電OL事件を素材とした作品で、本書の中では同じような事件を描き、
犯人の目的と事件背景は勿論のこと、殺害された女性被害者の持っていた政財界の
要人メモからの政財界のもみ消し工作、警察内の派閥争い、証券会社に勤めるエリ
ート女性が体験するストーカーと同僚女性のホテトル行為……と、複雑ながらもそ
れぞれの視点が最後には一つにまとまり、スケールの大きな物語となっています。
またネタバレになるので詳しくは書けませんが、殺害を犯す犯人のヨーガ行者とし
ての実態も、何かオウム事件を連想し、様々な社会性のある事件を物語にギッシリ
と詰め込んだ作品です。
<本紹介>
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【ジャンル】短編小説集
【著書名】 天使などいない
【著者名】 永井するみ
【出版社】 光文社
【初 刊】 2001年4月25日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】小さな頃から、幼なじみの沙貴に好きなものを横取りされてきた美紀
子。果てには恋人までも横取りされてしまうのだが……(『別れてほし
い』)。女流サスペンスの旗手が、現代に生きる等身大の女性たちを瑞
々しい感性で描く9つの物語。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は9つ物語が収録されているの短編小説集。仕事に追われ、家庭を顧みなか
った女性の心の空隙をついて事件が起こる「振り返りもしない」や、同僚の若さに
嫉妬するスチュワーデスの女性の話である「プレゼント」など、働く女性の読者に
は大いに共感を呼ぶ作品ばかりで、永井するみ独特の世界観を作り上げており、幕
切れの何気ない文章が、余韻を残す作品集です。
<本紹介>
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【ジャンル】経済エッセイ
【著書名】 天下の廻りモノ オカネの正体
【著者名】 島田紳助
【出版社】 幻冬舎文庫
【初 刊】 2001年6月25日
【金 額】 457円+税
【カバー文】国は借金抱えて責任放棄!? 今すぐ「お金の勉強」を始めないと、あ
なたの末路は悲惨なことになる! こんなキビシイ時代に正しく攻め
ながらお金を増やして、将来の豊かな生活を手に入れるためにやらな
くてはいけないこと。株歴二十年、不動産マニアの著者が、身銭を切
り続けてきた切実な経験をもとに語る、誰でもわかる簡単経済入門エ
ッセイ。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
島田紳助のエッセイは以前から読んでいて、その読みやすさと、単なるお笑いタ
レントとしてだけではない才能を感じていましたが、本書を読んで、更に経済につ
いても真剣に勉強している姿勢がハッキリと分かりました。本書にも書かれていた
ことですが、経済や株についての本は数多く世の中に出ているものの、自らの身銭
を切っての成功例と失敗例を正直に書いているものは少ない中、本書は島田紳助の
実践した中で体験した経済エッセイで、その分真実味が増しており、紳助流の経済
哲学がギッシリと書かれています。失敗から経験して学ぶことは多いですが、お金
に関してもその価値観や運用方法など、誰もが参考になり、考えさせられる内容な
がら、実にわかりやすく紹介されていることは評価できる一冊です。
【な行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】エッセイ
【著書名】 ぬくい女
【著者名】 わかぎえふ
【出版社】 双葉文庫
【初 刊】 2000年6月20日
【金 額】 505円+税
【カバー文】「ぬくい」はあたたかいという意味だが、もっと肉感的で、下町的で
もある……。大阪ことばのニュアンスに愛とユーモアを込めて、劇団
リリパット・アーミー周辺の奇妙な面々との恋と芝居と旅行の日々。
関西小劇場界のスーパーレディー・わかぎえふの鋭い感性が炸裂する、
ぬくぬくきつねうどんエッセイ。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
本書は関西弁の言葉のニュアンスや、海外での旅行道中記、また劇団の話が書か
れているエッセイ集。わかぎえふのエッセイは幾つか読んではきていましたが、関
西弁の言葉のニュアンスとユーモアを取り上げていたのは、おそらく関西人であれ
ば笑いながら読める内容でしょう。その言葉のニュアンスは自分で体験していない
だけに、詳しいことはわかりませんが、面白い視点で楽しいエッセイが書かれてい
ます。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】エッセイ
【著書名】 なんといふ空
【著者名】 最相葉月
【出版社】 中央公論新社
【初 刊】 2001年5月7日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】私はいったい何を落としてきたんだろう。『絶対音感』『青いバラ』
の著者による初エッセイ集。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
著者の初エッセイ集となる本書は、かつて広告会社に勤務していた頃のエピソー
ドや、かつて取材した競輪の話など、著者の人柄がよく現れているエッセイとなっ
ています。著者と年齢が近いということが読んでいてわかりましたが、それにして
は文章がエッセイとしては正統派なのでしょうが、堅苦しく感じられるところもあ
ったりしたものの、共感できるところもありましし、もう少しエッセイを書いてい
けば、更に著者らしさが読み手にも伝わるようには思います。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 日本文学盛衰史
【著者名】 高橋源一郎
【出版社】 講談社
【初 刊】 2001年5月31日
【金 額】 2500円+税
【カバー文】小説などに一生を捧げてよいものかね? 「いったい、何を、どう書
けぱよいのだ?」漱石が、鴎外が、自然主義者が、浪漫主義者が。そ
して、近代文学の創始者たちの苦悩が、百年後の日本に奇蹟のように
甦る。世界初!! 文学史が小説になった! そして……石川啄木が伝
言ダイヤルにはまり、田山花袋はアダルトビデオを監督する。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
約600ページにわたる分厚さの本書は、内容も実にボリュームのある文学作品
で、高橋源一郎らしい作品。文学史を小説にする着眼も良いですが、近代文学の創
始者が現代で苦悩する様子を面白く描いており、伝言ダイヤルにはまる石川啄木や、
アダルトビデオを監督してしまう田山花袋は実に面白かったです。他にも、数多く
の近代文学者達と現代人とが登場してきて、作品を盛り上げていますが、ここまで
書いていいんだろうかと思える程に、文学史を小説に崩しているのは逆に痛快でし
た。
【は行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】エッセイ
【著書名】 ばかのたば
【著者名】 わかぎえふ
【出版社】 集英社文庫
【初 刊】 1999年1月25日
【金 額】 476円+税
【カバー文】「かしこそうな人ってばかです」という独特の哲学で、著者の周りの
“ばか”たちを分類、分析する。俎上にあげられたのは、友人、知人、
劇団のスタッフから社長の中島らも氏、果ては母親までに及ぶ。でも
その注がれる眼差しは熱く、優しく、愛に満ちている。的確なヒュー
マン・ウオッチングとユーモア、そして大阪独特のエッセンスをふり
かけた、爆笑エッセイ。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
本書は主にドジな女性を中心としたエピソードを明かすエッセイ集。自らの笑え
る実体験を始めとして、劇団スタッフから母親と本書で書かれる話はユーモアがあ
り楽しい内容ばかり。ドジな話も読めば笑える話となり、また著者の周りの人達は
よくぞこれだけのネタを提供してくれるものだと感心してしまう明るく楽しいエッ
セイ集です。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ホラー
【著書名】 憑流
【著者名】 明野照葉
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2001年4月30日
【金 額】 1905円+税
【カバー文】東京・麻布の旧家に連続して起こる不可解な死。絡みつく恐怖。幸せ
に満ちた新婚生活はやがて起こる惨事への序曲だったのか……。第7
回松本清張賞受賞後第一作。待望の書き下ろし長編ホラー小説。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
物語は、麻布の旧家を舞台に次々と起こる惨事を描いたホラー小説。麻布の旧家・
朝比奈家に苑香が嫁ぎ、夫の幸宏にもツキが味方をし、一家は隆盛を誇っていくも
のの、その一方で苑香の存在を疎ましく思う旧家の関係者や、幸宏の仕事の邪魔を
する者が次々と変死をしていく。そして、朝比奈家にも大惨事が襲うことに……。
主人公である苑香の出生の秘密から、過去の家族との関わり、そして嫁いだ朝比
奈家の変わり行く様子が最初から最後まで目が離せず、ラストの惨事も想像以上で、
実に恐怖感の味わえる本格的なホラー小説です。著者の作品は初めて読みましたが、
松本清張賞を受賞した「輪廻」も読んでみたいと思いますし、旧家の崩壊をホラー
として描いた着眼も良かったです。
<本紹介>
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【ジャンル】連作小説
【著書名】 ファイアボール・ブルース2
【著者名】 桐野夏生
【出版社】 文春文庫
【初 刊】 2001年8月10日
【金 額】 448円+税
【カバー文】女子プロレス界きっての強者・火渡抄子。人は彼女を「ファイアボー
ル」と呼ぶ。火渡に憧れ入門し、付き人になった近田。仲の良かった
同期・与謝野の活躍を前に、自分の限界が頭をかすめる。そんな折、
火渡が付き人を替えると言い出した。近田は、自分にどうケジメをつ
けるのか。女の荒ぶる魂を描いたシリーズ完結篇となる連作短篇集。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
前作「ファイアボール・ブルース」は、女子プロレスラーの火渡と付き人である
近田がプロレス界に渦巻く陰謀に立ち向かう姿がミステリー仕立てで描かれていま
したが、その続編となる本書は7つの物語からなる連作集で、今回は付き人である
近田がメインなっています。女子プロレスでメインを務める火渡の付き人である近
田が関わる騒動、そして近田の引退と火渡の言葉、この意味の真実がラストの「近
田によるあとがき」で描かれるが、作品の重さを増すあとがきとなっています。シ
リーズを締めくくる結末に、この続くが読めない残念さはありますが、女子プロレ
スを舞台とした“女の荒ぶる魂”は前作に続いて印象に残り、今回はサブメインの
火渡も実に存在感があり、物語を引き立たせています。
<本紹介>
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【ジャンル】ノンフィクション
【著書名】 不倫の恋で苦しむ男たち
【著者名】 亀山早苗
【出版社】 WAVE出版
【初 刊】 2001年6月20日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】彼女のあなたも聞けない理不尽な悩みを抱える男たちの本当の姿。
「低温関係」の気鋭のジャーナリストによるレポート。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
本書はタイトルそのままに、不倫の恋で苦しむ男たちの姿をレポートしたもの。
それぞれに不倫相手との出会いから恋に落ちて、苦悩する様子も書かれていますが、
不倫で得たものと失ったものについてもインタビューから、不倫によって何を考え
て何を悩んでいるかを引き出しています。不倫について書かれているレポートは数
多く見かけるものの、その殆どが女性を対象としたものだけに、男性を対象とした
本書は内容に新鮮さを覚えましたが、不倫で苦しむ男性の苦悩の様子は読んでいて
も、ズシリと重く感じました。不倫の結末に残されるものはそれぞれに違うものの、
決して幸福だけが残るものではないことは改めて痛感させられる一冊です。
<本紹介>
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【ジャンル】コラム
【著書名】 ほぼ日刊イトイ新聞の本
【著者名】 糸井重里
【出版社】 講談社
【初 刊】 2001年4月25日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】クリエイティブがイニシアティブを持って仕事のできる「場」をつく
りたい。そんなぼくの目の前にあらわれたのがインターネットだった
……。まったくのパソコン素人が一念発起。『ほぼ日刊イトイ新聞』
をインターネット上に立ち上げてから三年。ドタバタしながらも、ど
んどんにぎやかな人気サイトに育っていく。そこから見えてきたのは、
これからの「働く」ということ。これからの「つくる」ということ。
これからの「付き合う」ということ。そしてこれからの「生きる」と
いうこと。勝ち負けだけじゃない価値も子の世の中にはある。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
タイトルにもなっている「ほぼ日刊イトイ新聞」のサイトは、1日で35万以上
のアクセスを数えるという超人気サイト。1998年のホームページ開設以来、各
界の著名人、クリエイター、読者らを執筆陣に集め、独自の編集方針で魅力的なコ
ンテンツづくりに努めてきた。本書は、その誕生の舞台裏と成長の軌跡を、主宰者
である糸井重里自身がつづったものである。発端はバブル崩壊による仕事をめぐる
状況の変化にともなう、糸井のいきづまりにあったという。それは1990年から
の広告の総体的な地位の低下や、クリエイターの価値が金で買い叩かれるといった
状況、さらに、これまで豊かだと思えたことが実は貧しいと気づくにいたる、自身
の価値観の転倒といった問題である。後の「ほぼ日」の理念になる「クリエイティ
ブがイニシアティブを持って仕事のできる場をつくりたい」という思いは、こうし
た要因が重なり合って形成されたという。そこからホームページを立ち上げ運営し
ていく道のりには、多くのユニークなアイデアがつまっている。たとえば、万人に
間口を広げたサイトのネーミング、主宰側のイニシアティブを強めた運営の規範づ
くり、紙メディアとのジョイント、消費者と生産者を直結させたノベルティ販売な
ど。糸井の巧みなコピーで示されるこれらの理念やアイデアは、ネットビジネスや
コミュニティの新たなイメージを膨らませており、刺激的かつ斬新な面白さを感じ
ました。また、意味や結果やお金のことが先にあるのではなく、やっている過程が
とにかく楽しいのだという価値観を問題にする……そんな「生き方」を実現するし
くみがインターネットにはあると、本書は示唆しています。
<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 ビビってたまるか
【著者名】 東ちづる
【出版社】 双葉文庫
【初 刊】 2001年4月20日
【金 額】 552円+税
【カバー文】結婚を考えていた恋人が実は既婚者と知らされ、赤坂のあるホテルの
最上階の一室で、ひとり身を潜め、いっそこの世から消えてしまいた
いと、全身がささくれだっていた。4日間、ほとんど飲まず食わず寝
ずだった。その4日目の夕方、グゥー、という音が聞こえたのだ。私
のお腹が鳴っているのだ。その瞬時、スッと我に返った。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
タレント・東ちづるのエッセイですが、本書は帯びの「3年ごとの恋人M君に妻
がいた!?」を読み、「そういえば東ちづるもそんなことがあったなァ」と思い、買
った文庫ですが、芸能界入りのきっかけ、恋愛、別れ、骨髄バンクキャンペーン活
動、家族……など、それぞれに本音がしっかりと書かれており、結婚を考えていた
恋人に既婚者がいたことと、その真相についてを正直に書いてくれています。読ん
で感じたことは、東ちづるの真っ正直な生き方。20代も後半になっての上京、1
0年来骨髄バンクのボランティアに取り組んできたこと…エピソードの一つ一つが
好奇心と決断力・行動力に満ちており、明るさの中にも、自分の葛藤、失敗を吐露
しながらもからっと笑い飛ばしています。
【ま行】
<本紹介>
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【ジャンル】科学
【著書名】 漫画博士読本
【著者名】 空想科学漫画研究所
【出版社】 宝島社文庫
【初 刊】 2000年2月5日
【金 額】 571円+税
【カバー文】ロボットやタイムマシン、さらには世界を滅亡に導く最終兵器まで、
いとも簡単に創造してしまう漫画の中の博士たち。しかし作品内で脚
光を浴びるのは発明品ばかりで、偉大な博士も作品の中ではバイプレ
ーヤーにすぎず、博士自身にスポットが当たるのはまれである。そん
な彼らの業績や人間性をクローズアップした本邦初の空想科学漫画の
天才博士列伝。バカバカしくも哀しい博士たちの生き様を見よ!
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
漫画についての科学本というのは実に多く出されていますが、本書はその漫画の
中でもあまりスポットが当たらない博士にスポットを当てた漫画読本。大臣でもあ
ったお茶の水博士、アトムの生みの親天馬博士は生物学者でタツノオトシゴの研究
をしていたことなど、実に多くの博士を紹介し、その業績や人間性についても面白
く書かれています。改めて漫画の中で博士が多く出ていたことを再認識させられま
したし、発明した作品でなく博士を取り上げているのは通好みでしょう。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 モザイク
【著者名】 田口ランディ
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2001年4月30日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】まもなく渋谷の底が抜ける。渋谷は完全に電子レンジ化する。精神病
院への移送途中、逃亡した14歳の少年は、霧雨に濡れるすり鉢の底
の街に何を感じたのか? 知覚と妄想の狭間に潜む鮮烈な世界を描く
書き下ろし長篇。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
本書は「コンセント」「アンテナ」に続くシリーズ3部作。主人公のミミは自衛
隊、看護婦を経て、引きこもる人間を精神病院などへ移送する移送屋として働いて
いる。そのミミが14歳の正也を移送中に逃げられてしまった。「まもなく渋谷の
底が抜ける」という謎のメッセージを頼りに、渋谷で正也を探すミミだったが、そ
の渋谷では携帯電話の電磁波による異常事態が起こっていた……。
物語は携帯電話の電波が一時期問題になったことに着目し、人口過密地域が電子
レンジ化するという発送を描いている点は面白かったです。話が現実的なのか非現
実的なのかその境界が曖昧ですが、シリーズを通して感じたことは、ひとつの事柄
に注目して疑問に思ってることを解明し、ひとつの境地に達するもので、こういっ
た描写は田口ランディらしさなのでしょう。
<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 もう太陽は輝かない
【著者名】 小川竜生
【出版社】 廣済堂出版
【初 刊】 2001年4月15日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】拓郎の一卵性双生児の兄シゲルは、中学生の時に幼女2人を惨殺した。
殺人者の家族という烙印を押されたまま大阪の町で暴力組織の末端に
連なった拓郎、出所し犯罪評論家となったシゲル。青年の心の闇を描
く長篇ハードノベル。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
主人公・拓郎の一卵性双生児の兄・シゲルは11年前の中学生の時に幼女2人を
惨殺し形に服したが、刑期を終えて出所したシゲルは、更正を果たしたとされ、犯
罪評論家としてマスコミに登場し、世間に認知されていた。一方、拓郎は殺人者の
家族としての生活を余儀なくされ、父は自殺、母も精神が病み、故郷の東北を飛び
出し、大阪で暴力団組織の末端に連なった。その拓郎が。組織間の抗争に巻き込ま
れ、組の人間からトカレフを渡され、殺人犯の兄と同じ血を持つ呪縛を解放し、ト
カレフを使うのだが……。
物語は、幼女連続殺人犯を双子の兄に持つ主人公の心の闇を描いたサスペンス。
兄への呪縛が解放し、組織間の抗争に巻き込まれる拓郎だが、逃亡を続ける中で、
ラストに兄シゲルに会うこととなるのだが、一緒に逃亡する久美子の重い過去、拓
郎とシゲルの心の闇が複雑に絡み合い、衝撃的なラストを迎えます。その物語では、
抗争場面が多く、迫力ある展開が続きます。拓郎とシゲルの中学生時代についてを
もっと細かく描写してくれれば、更に登場人物の背景がよくわかり物語を盛り上げ
たことだと思いますし、この点だけが少々残念ではありますが、最初から最後まで
一気に読まされた作品でした。
<本紹介>
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【ジャンル】短編ミステリー集
【著書名】 ミステリなふたり
【著者名】 太田忠司
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2001年4月10日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】あなたの御主人、お料理ができますか? 殺人事件のトリック、解け
ますか? 凶悪犯も必ずオトす美貌の刑事・京堂景子の剛腕と、家事
はおまかせ、イラストレーターの夫・新太郎の名推理。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は10作品が収録されている短編連作ミステリー。主人公は、署内では恐れ
られている剛腕ながら美貌の刑事・京堂景子と、その年下の夫で、イラストレータ
ーで家事が得意の新太郎の2人。この京堂夫妻が、密室やダイニングメッセージな
どの不可解な犯罪を、新太郎の推理と、景子の行動力で解決していくミステリー。
アリバイ崩し、密室殺人の推理と、新太郎の推理も冴え渡りますし、景子の署内と
家庭での違いも交えて、実にスパイスの効いた本格ミステリーとなっています。最
後に収録されている「ミステリなふたり」で、この夫婦の出会うきっかけの事件も
描かれていますが、キャラクターの強いこの2人の活躍とこれまでのエピソードを
ぜひ読んでみたいものです。短編のせいか、トリックなどでやや単調になっている
ところは感じられたものの、太田忠司らしく主人公が実に生き生きとしていて、存
在感があり、引き続きこの京堂夫婦の活躍を読んでいきたいものです。
【や行】
<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 夢の島
【著者名】 大沢在昌
【出版社】 双葉社(FUTABA NOVELS)
【初 刊】 2001年8月10日
【金 額】 838円+税
【カバー文】勝者は無限の富、敗者には死を……命を賭けた欲望のゲームが始まっ
た。もはや誰も傍観者ではいられない。「見知らぬ父」が、青年を忌
まわしき宝探しへと誘った。巨万の富をもたらす、その謎の遺産とは?
【満足度】 ★★★★★(文句なし!)
End------------------------------------------------
絹田信一は26歳のフリーカメラマン。仕事も少なく、最悪自分のカメラ道具を
売ることも考えていた時、見知らぬ女性から電話がかかってくる。電話の内容は信
一が2歳の時に別れてから一度も会っていない父親が亡くなったという電話だった。
そして信一が父の形見として島が描かれている一枚の絵を貰ったことから、周囲が
賑やかになり始めた。知らない人達が次々と信一を訪ね、一流の音楽プロダクショ
ンから写真依頼を受けることにもなるのだが、信一を訪ねて来た父親の知り合いが
何者かに殺されてから、信一にも危険が迫ることに。父親からの形見の一枚の絵を
巡り、殺人が更に起き、その絵の正体を探る者から命を狙われることになった信一
は、何時の間にか命を賭けた欲望のゲームの中に入りこんでしまった……。
本書は最初から最後まで一気に読まされた興奮と感動のサスペンス。主人公の信
一が父親の形見として譲り受けた島の絵は、「ドリームアイランド」と呼ばれる伝
説の島。その島は無人島で一面大麻が生い茂るという島で、誰もその場所がどこに
あるのかすらわからない。その島の在り処を巡り、殺人が起き、信一も巻き込まれ
るのだが、そこには信一の恋人や友人も巻き込まれてしまい、様々な人物がその夢
の島を巡り巨万の富を得ようと命を賭ける。その事件に巻き込まれた信一は、その
島の大麻を焼き払うことを考えるが、無人島の島で、次なるゲームが始まる。物語
では次々に登場人物が出てくるのだが、その登場人物達も、その「夢の島」に関わ
る者達ばかり。誰が信一の敵で誰が味方なのかも、読んでいる途中ではわからなか
ったが、全て「夢の島」によって繋がっており、信一にも次から次へと危険が迫る。
それぞれの登場人物の背景は勿論のこと、信一と関わる恋人や友人との関係、誰を
信じていいかわからなくなる信一、そして島を巡っての抗争……と次から次へと新
しい展開となり、ページをめくるにも全く目が離せない迫力ある展開が最後まで続
きます。そしてラストでは驚きの事実が待ち受けており、読後も全く興奮が冷めま
せんでした。文句なしのお勧め作です!
<本紹介>
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【ジャンル】自伝
【著書名】 余生
【著者名】 北野 武
【出版社】 ロッキング・オン
【初 刊】 2001年1月22日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】初恋、母親、初体験、「かみさん」。『ひょうきん族』、『フライデ
ー』事件、愛人、バイク事故、自作の映画の数々。自らの54年間の
すべてを語り尽くす。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
本書はタレントでもあり映画監督でもある北野武が、自らの54年間を語ったも
の。おそらくインタビューを文章としたのだと思いますが、語り口で書かれている
ためか、エッセイよりも読みやすい内容です。学生時代の初恋から、自作の映画に
ついてまで幅広く自らを語っていますが、その中でも「フライデー襲撃事件」と愛
人についても、正直に応えてくれており、単なるタレント本というよりも、北野武
らしさがにじみ出ている自伝となっています。
<本紹介>
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【ジャンル】短編サスペンス
【著書名】 夜離れ
【著者名】 乃南アサ
【出版社】 幻冬舎文庫
【初 刊】 2001年8月25日
【金 額】 495円+税
【カバー文】結婚を控えた摩美と敦行は、突然失語症になった摩美の親友朋子を気
遣い、熱心に世話を焼いた。そのかいあってか、朋子は「劇的」に回
復する。だが、挙式当日、祝辞に立った朋子の口から出たのは……
(「祝辞」)。「私だけ」の幸せに目が眩んだ女たちの、嫉妬、軽蔑、
焦燥、憎悪が渦巻く心の内を残酷なまでに鮮やかにえぐり出す、傑作
心理サスペンス。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は6つの物語が収録されている短編サスペンス。どの物語も、女性の何気な
い日常の策略や憎悪がサスペンスとして描かれています。乃南アサらしく、女性の
ありふれた日常生活のちょっとした狂気を見事なまでに作品で浮き彫りにしており、
どの作品も読みながらゾクゾクとする憎悪が描かれます。幸せになるために、自ら
を破滅に追い込む主人公の姿は短編ではあるものの、存在感たっぷりに仕上がって
います。
【ら行】
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 ルージュ
【著者名】 柳 美里
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2001年3月5日
【金 額】 1200円+税
【カバー文】わたし、欲しいものがないんです……化粧品会社の新入社員でありな
がら、化粧がきらいな谷川里彩・20歳。そんな彼女が、ひょんなこ
とから新製品のキャラクターに抜擢されて……。恋に仕事に悩む女性
の、現代版シンデレラストーリー。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
化粧品会社宣伝部で新入社員の谷川里彩は20歳。化粧が嫌いで男性と付き合っ
た経験もない彼女が、新製品のタレントのドタキャンで、その場に居合わせた里彩
がモデルをすることに。表舞台に立つことを嫌う里彩だったが、これが反響を呼び、
社員としてモデルの仕事もこなすことに。更にはコピーライターから食事に誘われ、
恋と仕事で悩みながらも成長していく姿が描かれる作品。
柳美里としては異色の作品ではありますが、目立たなかった女性が急遽脚光を浴
びることになるシンデレラストーリーとして描かれており、更には業界についても
CM撮影などの様子が細かく描かれています。主人公を含め、もう少し登場人物に
個性があれば良かったようにも思いますが、主人公の成長過程は中々興味深かった
です。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 錬金術師の帽子
【著者名】 三木 卓
【出版社】 講談社
【初 刊】 2001年6月20日
【金 額】 2500円+税
【カバー文】悪とはなにか。花火が奏でる鮮烈な美の中で過去の闇から追われる男。
半世紀の平和を破る〈暴力〉の相に現代の苛酷な生の条件を問う長篇
小説1,000枚! 花火会社の次期社長として平穏な日々をおくる鐘ヶ江
英世の前に、1人の男が現れた。かつて才能あふれるバイオリン奏者
として英世を導き、やがて過激化した学生運動へと引き込んだ男、鹿
野晋二。暴力の過去から追われる英世を、予感の少女と直情の少年は
救うことができるのか。多彩な人物像が交響する華麗な花火の世界を
舞台に、人間存在の意味を追求する傑作長篇小説。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
物語は、時代と人間の罪と罰を描いた長編作品。約550ページとボリュームあ
る中身で、全部読みとおすのも少々疲れました。物語は花火会社の次期社長である
鐘ヶ江英世の前に、かつて英世を過激化する学生運動へ引き込んだ鹿野が現れるこ
とから、鐘ヶ江の周辺が大きく動き、過去に追われ平和が壊される様子が描かれて
います。物語の内容から、もう少しエンターティメント性のある展開であればと思
いますが、花火の世界と登場人物それぞれの背景も交えて、深みのある作品となっ
ています。
【わ行】
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