書評データベース(2001年度12月分)

 

【あ行】

<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 あなたはオバサンと呼ばれてる
【著者名】 内館牧子
【出版社】 講談社
【初 刊】 2001年7月15日
【金 額】 1000円+税
【カバー文】自分のルックスや言葉遣い、ものの考え方やふるまいで、一度でも
      「オバサンかしら」と思ったことがある女性たちに贈る。映画のヒロ
      インやストーリーを題材にした、人気脚本家・内館牧子ならではの“
      生き方”アドバイス。
【満足度】 ★☆
End------------------------------------------------
 本書は女性誌『MINE』連載の「オバサン防止劇場」を単行本化したもので、
映画のヒロインやその内容からルックス、言葉遣い、仕草、考え方など、いつまで
も瑞々しくあるためのアドバイスを展開しているもの。そのストーリーも海外恋愛
作から日活ロマンポルノと幅広く取り上げているものの、題材となっている映画を
殆ど見ていないので、その内容が分からず、面白さは感じませんでした。また作品
の捉え方は千差万別でしょうが、それを生き方としてのアドバイスとしているのは、
いささか押し付けではないかとも思いました。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 愛という
【著者名】 前川麻子
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2001年8月30日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】婚約破棄、結婚、不倫、離婚、同棲、再婚、再離婚……ただ自分を確
      かめたいだけなのに……。長編書き下ろし小説。
【満足度】 ★★
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 物語は、家庭生活に直面するたびに逃げ出してしまうくせに、男から男へと心の
よりどころを求め、結婚を迫る女・紅美が主人公。彼女は「おまえと結婚だけはし
たくはない」という恋人・石村との関係に見切りをつけ、渡部というコンビニ店長
と結婚するが、家庭生活に直面し、やがてコンビニでバイトする奥本と不倫し、離
婚。そして奥本と同棲をし結婚するが、離婚をし、そしてかつての恋人である石村
との関係も続き……と、主人公の奔放さも描かれる作品ですが、物語としては自分
自身を確かめる主人公を描いているのでしょうが、読み手としてはその主人公の身
勝手さに腹立たしさを覚え、作品としての面白さは感じませんでした。物語の中で
のコンビニ店長の渡部の人の良さが印象に残りましたが、結局著者が何を物語で描
きたかったのか、その意味合いがわからない作品でもありました。

【か行】

<本紹介>
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【ジャンル】ドキュメント
【著書名】 コンサドーレ札幌「赤と黒」の奇跡
【著者名】 北海道新聞情報研究所[編]
【出版社】 北海道新聞社
【初 刊】 2001年8月1日
【金 額】 1200円+税
【カバー文】激動の5年間を支え続けた道産子の夢と汗と熱き心。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 本書はJリーグ「コンサドーレ札幌」の誕生からの5年間についてをまとめたも
の。ただし本書で中心に紹介されているのはサポーター。選手個人は殆ど紹介され
ておらず、コンサドーレ札幌に関わる人々、企業、地域に焦点を当て、そこからチ
ームの存在価値を浮き彫りにしており、選手やチームを対象とした出版物は多い中、
チームの周辺環境をテーマにしている本書は、実に新鮮であり、またチームを取り
巻く環境の素晴らしさを実感させる内容でした。本州ではそれほどの認知はないか
もしれないコンサドーレ札幌ですが、チームは約29億円の累積赤字を抱え、雪と
いう自然環境、大手企業のない北海道……と厳しい環境の中で、いかにしてサポー
ターや企業はチームを支えてきたか。雪の積もったグラウンドの雪割り作業、人件
費をかけないためのサポーターの競技場での運営手伝いなど、正に地域とサポータ
ーとが一体となっている現状が伝わってくるドキュメントであり、単なるスポーツ
ノンフィクションとしてだけではなく、ここにはサポーターと企業の実を結んだ姿
が現われています。読み始めるまではチーム誕生からJ1昇格までのチームを選手
を中心に紹介しただけのものだと思いましたが、支える人々を中心に5年間の活動
記録や、その奇跡には胸が熱くなりました。

<本紹介>
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【ジャンル】生活
【著書名】 怖いこの世を生きぬくための心理学的テクニック
【著者名】 内藤誼人
【出版社】 オーエス出版社
【初 刊】 2001年8月30日
【金 額】 1200円+税
【カバー文】人質にとられたら、オヤジ狩りに遭わないために、家庭内暴力対策、
      ストーカーから身を守るなど、非常事態編と仕事や家庭生活、男女関
      係などの日常生活編に分け、この世を生きぬくための心理学的テクニ
      ックを紹介する。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
 本書は、監禁されたら、人質にとられたら、ストーカーに遭ったら、痴漢・暴漢
に襲われたら、家族がひきこもってしまったら、会社が致命的ミスをおかしたら…
…など、身の周りにある43の危機を回避する心理学的テクニックを紹介。日常生
活編、仕事編、家庭生活編、男女関係編と分けられています。上記以外の危機以外
でも、いじめをやめさせる、ひきこもり、空き巣被害を防ぐ、隣人トラブル解決法
なども書かれており、日常のトラブル対策になっていますが、読み終えて感じたこ
とは、本書に書かれているどおりでトラブルが無くなることはないだろうというこ
と。確かに問題解決の参考にはなるだろうが、気休め程度という印象が残りました。
また、もう少しイラストなどを入れれば読みやすかったと思いました。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 鞄屋の娘
【著者名】 前川麻子
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2000年6月20日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】寂しさを、ずっと誤魔化して生きてきたんだと思う……いろんな女性
      を愛したけれど、家族を持とうとはしなかった父。孤独を奥深くに抱
      き、家族を持つのが怖かった娘。白い木綿のような不思議な魅力に溢
      れる、衝撃のデビュー作! 第6回小説新潮長篇新人賞受賞作。
【満足度】 ★☆
End------------------------------------------------
 第6回小説新潮長篇新人賞受賞作は2作品が受賞されており、もう一つの受賞作
である「調子のいい女」は面白い作品でもあったため、同時受賞の本書も読んでみ
ましたが、最初から最後まで展開も単調で、特に面白さも感じませんでした。物語
は孤独だった主人公の半生を描いた作品ですが、その孤独感は読み手にも伝わって
はくるものの、物語が淡々としすぎていて、作品としての良さは感じることができ
ませんでした。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 玉蘭(ぎょくらん)
【著者名】 桐野夏生
【出版社】 朝日新聞社
【初 刊】 2001年3月1日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】玉蘭の花が枯れる時、幻の船に乗って失踪した男が現れる……。恋人・
      仕事・キャリア。全てを捨てて上海に留学した有子に会いに来たのは、
      若き日の大伯父の幽霊。時の流れを越え、孤独を抱えて生きる男と女。
      恋愛の本質に迫る。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 元書籍編集者の有子は恋人の行生と別れ、留学先の上海の大学で新たな生活を始
めていた。だが彼女はそこで大伯父である質の幽霊と出会い、彼が書き残した日記
(トラブル)を読み始める。現代の上海、日本人留学生たちの狭い社会で自ら壊れて
いく有子と戦前社会に生きる資の人生が交錯し、さらに有子の恋人だった医師の松
村までがその幻に加わり、理解しあうことのできない男女を時空を超えて描き出す、
幻想的な恋愛小説が本書。
 物語は上海を舞台とした恋愛小説ですが、今までの桐野夏生の作品とは趣が異な
り、どうも物語としては平淡すぎた感じを受けました。登場人物の構成もぎくしゃ
くした形で、主人公の存在感も多少希薄となっていたのは残念です。ただ現代小説
と時代小説を融合させた形としての、上海の昭和初期と現代の描写は良かったです
し、新たな作品開花をしているとも評価できるでしょう。

<本紹介>
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【ジャンル】手記
【著書名】 グッバイ・マミー --母・野村沙知代の真実--
【著者名】 ケニー野村
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2001年9月10日
【金 額】 1200円+税
【カバー文】オレも42歳。不幸にもあのオフクロ、野村沙知代の息子として生ま
      れたからには、オレ自身の責任として本当の事を言う義務がある。も
      うアンタの悪の片棒は担がない……。「本当に可哀想な人」であるマ
      ミーに告げる「グッバイ」。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 野村沙知代の脱税騒動もあって、テレビのニュースなどでも取り上げられた本書。
最初は単なる興味本位で読みましたが、単なる暴露本というだけでなく、著者であ
るケニー野村の幼少時代の悲しみ、母親の実態を読むにつれ、その母親である野村
沙知代の母親としての酷さ、脱税手口など、驚きの内容でもありました。このよう
な母親であれば、ケニー野村が決別したくなる気持ちもわかりますし、よくぞ世間
に公表してくれたと拍手したいです。

<本紹介>
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【ジャンル】レポート
【著書名】 交通事故に負けない被害者の本
【著者名】 吉岡 翔
【出版社】 日本実業出版社
【初 刊】 2001年9月20日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】年間の交通事故件数は100万件弱。毎日ざっと3000人のひとが
      交通事故によって死傷している。そんな交通事故に身内があい、知識
      不足のためにいろいろ不利な状況や不安を味わった自らの体験をもと
      にさらに関係者・関係機関に綿密な取材を行ない役立つ情報・資料を
      満載した、徹底的に被害者の味方をする本。
【満足度】 ★★★★
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 交通事故について事故内容などは書かれているものは多いものの、被害者側にと
っての交通事故についての知識が書かれているものは少ない。本書は交通事故の資
料などは勿論のこと、子供が交通事故にあった著者の体験をもとにして、被害者の
側としての内容となっているのは画期的でもあるでしょう。自分も交通事故にあっ
たことがあるが、その時の相手側と自分の保険会社の対応に非常に腹立たしい思い
もしたことがあり、事前に本書を読んでいれば、違った結果になっていたかもしれ
ない。相談所の一覧などもあり、車の運転をする人なら読んでおくべき内容でもあ
ります。

<本紹介>
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【ジャンル】短編小説集
【著書名】 「これでおしまい」
【著者名】 永倉萬治
【出版社】 集英社
【初 刊】 2001年10月5日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】リストラされて途方に暮れながらもどこか能天気な中年男、欲情と純
      情の狭間でウロウロしている青年、偏屈だけど愛嬌のある老人……。
      亡くなって一年、永倉万治、最後の短編集。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は6つの物語が収録されている短編集。すでに亡くなって1年が経つ著者の
最後の短編集でもあります。その本書ですが、リストラされた会社員、何もする気
のないプータロー、愛嬌があるものの偏屈な老人らを主人公に、物悲しくも哀愁の
ある短編となっています。永倉萬治の作品は数多く読んでいただけに、本書が最後
の短編集というのも残念ですが、味のある短編集というのは永倉萬治らしかったで
す。

【さ行】

<本紹介>
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【ジャンル】連作警察小説
【著書名】 砂の時刻
【著者名】 森 詠
【出版社】 光文社(KAPPA NOVELS)
【初 刊】 2001年8月25日
【金 額】 819円+税
【カバー文】日韓混血の刑事・海道章は、一度狙ったマル被(容疑者)は一人になっ
      ても追いつめる執念深さから「ハマの狼犬」の異名をとる。暴力団、
      中国とパイプを持った「黒社会」、そして海道の恋人・綾子をつけ狙
      うストーカー……クールでタフな街・ヨコハマに邪悪な影が蠢く。突
      きつけられた六つの難事件に、海道は体を張って立ち向かう。これぞ
      ハードボイルド! 孤高のプライドを描ききった絶好調シリーズ最新
      作。
【満足度】 ★★☆
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 本書は6つの物語が収録されている連作警察小説。主人公の日韓混血の刑事であ
る海道は、日本人と在日韓国人の双方から差別され疎まれてきたが、そうした差別
や侮蔑をものともせず、人間として警官としての誇りをもって、敢然と凶悪犯罪に
立ち向かう姿が物語として描かれます。
 本書はシリーズ4作目のようで、前のシリーズは読んだことはありませんが、主
人公の存在感はしっかりとしているものの、ハードボイルドとしては迫力はそれほ
ど感じず、横浜が舞台となっていますが、もう少し中国の黒社会との壮絶な戦いが
描かれていれば、受ける印象は違ったように思います。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 娼年
【著者名】 石田衣良
【出版社】 集英社
【初 刊】 2001年7月10日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】高級デートクラブで男娼として働き始めた20歳の大学生リョウ。夜
      ごと彼を求める女たちの美しさと妖しさ、それぞれの秘密。そして一
      線を越えた時に見えてきたものとは? 書き下ろし性愛小説。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 女性・大学・友人・家族・世の中……と、その全てがつまらないと感じていた2
0歳のリョウは、ホストクラブに勤める友人の紹介で御堂静香という中年女性を紹
介された。そしてリョウは、その御堂が経営するという高級デートクラブでコール
ボーイとして働き始めることに。ミステリアスな美しい経営者や夜ごと彼を求める
様々な性癖の女性達との関わりの中、ある一線を越えたとき、リョウが見たものと
は?
 物語は興味本位で読み始めましたが、性愛小説ではあるものの、いやらしさを感
じず、主人公の心の変化や、関わる女性達の抱える問題を性愛として表現していま
す。物語の中での物悲しさ、セックスを通してリョウは何を得ていくのか、そして
突然訪れる結末……と、中々読みごたえのある作品でした。男性だけではなく、女
性にも読んでほしい作品です。

<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 すみっこのすみっこ
【著者名】 わかぎえふ
【出版社】 双葉文庫
【初 刊】 1997年6月5日
【金 額】 495円+税
【カバー文】電車で隣あわせた女学生の話に耳ダンボ。古いアキ屋があると入りた
      くてたまらない。それを絵にして、メモつけて……。重箱のすみっこ
      を突ついて楽しむ性格で、自分の、友だちの、大阪の、そして世界の
      すみっこを突ついてまわって集めたエピソード。わかぎえふ単身デビ
      ューの評判エッセイ集。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
 知人から貰った文庫本ですが、わかぎえふのエッセイらしい自らのエピソードが
本書でもたっぷりと載っています。思わず笑ってしまう話が多く、特に大阪での友
達の話は面白かったです。ただ旅行先での話が後半を占めていますが、これがどう
も今一つというか、あまりピンとこない内容で、やや面白さが半減してしまいまし
たが、中に書かれているイラストも面白く、気軽に読めるエッセイです。

<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 宣戦布告(上・下巻)
【著者名】 麻生 幾
【出版社】 講談社
【初 刊】 1998年3月6日
【金 額】 1600円+税(上下共)
【カバー文】敦賀半島水晶浜、午前四時。誰一人その惨劇を予測することはできな
      かった……。日本人は政治と官僚システムに殺されるのか。極東の
      〈今そこにある危機〉をリアルに切り取る問題作。(上巻)
      たった数十人の兵士のゲリラ戦に対して、日本の国家は、政府はどう
      動くのか。そして悪夢のような光景が目前に広がる……。法と死の恐
      怖の間で闘う男たちのドラマ。(下巻)
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は現代の戦争を描く情報クライシス小説。北朝鮮の潜水艦が日本海沿岸に座
礁して、国内に潜伏してしまうと言う話なのだが、政治と官僚システムの欠点もた
っぷりに、刻一刻と陸上での激突が近づく中、戦況を政争の具にする政治家、省益
争いに奔走する官僚のカベに阻まれる首相官邸の様子を交えて、上下巻のボリュー
ムで描かれた作品です。虚々実々のスパイ戦、そして日本有事の対ゲリラ、対潜水
艦、対ミサイル、対情報戦の全貌を展開の中で面白く仕立てています。ただ、確か
に現実には起きかねない事態が描かれているが、現実味が物語からはそれほど感じ
なかったのと、もう少し迫力ある展開があれば、更に物語としては面白くなっただ
ろうと思えました。

【た行】

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 ドミノ
【著者名】 恩田 陸
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2001年7月25日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】迫りくるタイムリミット、もつれあう28人のマトリクス。必死の思
      いでかけまわる人々が入り乱れぶつかりあって倒れ始めたドミノは、
      もう誰にも止められない!
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 7月のある蒸し暑い午後、営業成績の締め切り日を迎え色めき立つ生命保険会社
から、差し入れ買い出しのためにOLが東京駅に向かって走りだす。ここを物語の
出発点として、ミュージカルのオーディションを受ける母娘、俳句仲間とのオフ会
のため初めて上京した老人、ミステリーの会の幹事長のポストを推理合戦によって
決めようとする学生たち、従妹の協力のもと別れ話を成功させようともくろむ青年
実業家、訪日中のホラー映画監督など、さまざまな人間が複雑に絡みあうなかで、
物語は日本中を揺るがす大事件へと発展していく。
 物語はファンタジー、ミステリ、ホラーと、様々なジャンルが盛り込まれており、
本書は、2つの紙袋が偶然入れ違うという小さな出来事が、まさにドミノ倒しのご
とく、次第に大事件へと膨れあがっていく様子をコミカルに描いた作品で、状況ご
とにかき分けられたプロット同士が因果律によって綿密にリンクしあい、登場人物
の内面に深く入り込んだ視点によってできごとが相互主観的に語られています。人
物造形や状況描写などが多少パターン化されている感は否めませんが、登場人物が
東京駅に集うクライマックスに向けて一気に読ませるだけに、エンターテイメント
に徹した作品です。

<本紹介>
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【ジャンル】?
【著書名】 大失恋。
【著者名】 清水ちなみ
【出版社】 扶桑社文庫
【初 刊】 1996年4月30日
【金 額】 485円+税(\250)
【カバー文】失恋を克服するためのノウハウやアドバイスといった従来の失恋論で
      はなく、清水ちなみ率いる「OL委員会」の21歳から32歳の普通
      のOLたちから寄せられた失恋の体験談が綿々と綴られている、まっ
      たく新しい失恋論。切実で、でも身勝手であっけらかんとしていて、
      だけどやっぱり泣けてしまう102の失恋の話は、とことん落ち込ま
      せたあと、改めて恋愛を見つめ直す余裕をくれるでしょう。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
 古本屋で見つけて買った文庫ですが、「OL委員会」の体験談は面白いので失恋
についてどんなエピソードが載せられているかと思ったものの、その失恋について
も出会いから別れまでの細かいことが書かれておらず、どういった経緯で別れてし
まったのかが書かれていないため、非常に中途半端に見受けられました。本書は映
画化もされたようですが、確かに102の失恋の話というのは、それぞれにドラマ
はあるのだとは思いますが、自分勝手な言い分が主体になっているのではないかと
と感じた話もあり、あまり読みごたえもありませんでした。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 TVドラッグ
【著者名】 松野大介
【出版社】 マガジンハウス
【初 刊】 1999年3月18日
【金 額】 1500円+税(\750)
【カバー文】テレビ界に巣くう巨大で不気味なもの。オレたちはいったい何をみて
      いる? 『芸人失格』の著者が問う。既成のテレビ観を揺るがす衝撃
      の長編小説。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 真田コウイチはデビュー2年目ながらレギュラーを持つタレント。そのコウイチ
が元タレントで雇われマスターをしているミチオの店を訪れた。始めは落ちぶれた
タレントの姿を見に行っただけだったが、テレビが虚しくなったというミチオの言
葉にひかれ、コウイチはミチオの店に通い詰めるように。やがて、そのテレビの虚
しさを実感したコウイチはレギュラー番組の最終回の最後の場面で暴言を吐き、テ
レビ界から干されることに。それと前後して同棲していた貴美子が女優として売れ
初めていた。その貴美子とコウイチはテレビ番組で再会することとなるが……。
 著者の松野大介は元タレントのABブラザース。本書で描かれるテレビ観はおそ
らく著者がタレント当時感じていたことだと思いますが、知られざる芸能界の実態、
昔と今のお笑いの違いなどが、丹念に描かれており、主人公が芸能界で悩んでいく
姿を丁寧に物語としています。物語としてはラストが中途半端だったのと、テレビ
界に失望したものの、再びテレビ界で脚光を浴びようとする主人公の心の動きがし
っかりと描かれていなかった欠点はありましたが、テレビ界を内情を面白い物語と
していたのは、読んでいて面白かったですし、興味深い内容でした。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 凍夜
【著者名】 鳴海 章
【出版社】 集英社文庫
【初 刊】 2001年9月25日
【金 額】 571円+税
【カバー文】高校卒業以来、20年ぶりの帰郷だった。鶴巻秀人、39歳、バツイ
      チ。同窓会の懐かしい顔ぶれは、彼の中で風化していた記憶を呼び起
      こす。たまり場での仲間との会話、憧れの美人教師、初めて抱いた女
      の子のぬくもり、そして、夢。「俺、小説家になりたいんだ」。氷点
      下の夜、骨まで凍みる冷気に震えながらも希望に燃えていた1977
      年、冬、18歳の思い出……。二度と帰らぬ日々を鮮烈に描く青春小
      説の傑作。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 離婚直後の鶴巻は、20年ぶりに帰郷し故郷での同窓会へ出席する。今は業界紙
の記者をしているが、その同窓会での旧友との再会から高校時代を思い返し、かつ
て小説家になろうとしていた自分を再確認する……。
 物語は友人との交流や初体験など、青春のほろ苦い思い出を表現しており、読み
ながら自分の学生時代をフト思い出させてくれました。かつての故郷は街並もすっ
かりと変わり、かつて通った喫茶店も今はなく、同窓会の顔ぶれが記憶を呼び戻す
という展開は、主人公を通しての自分探しにもなった物語で、懐かしさと切なさも
感じさせてくれました。鳴海章の作品としては異質ではあるものの、北海道の地方
都市を舞台とした青春小説は心に残りました。

<本紹介>
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【ジャンル】バイオレンス
【著書名】 ダブル・リヴェンジ
【著者名】 柘植久慶
【出版社】 実業之日本社(JOY NOVELS)
【初 刊】 2000年12月20日
【金 額】 800円+税
【カバー文】「家族を殺された。復讐を頼みたい」三人の元外人部隊兵の日本人青
      年に電話をかけてきたのは、実業家のジャン=クロード・ラカールだ
      った。夫人と一人息子がフランスマフィアに狙撃され殺されたのだ。
      高額の報酬の提示を受け、三人は狙撃犯たちを事故に見せかけながら
      殺していった。だが、フランスの暗黒街は総力を挙げて三人に戦いを
      挑んできた。短機関銃が唸り、手榴弾が炸裂する。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 外人部隊を退役した3人の日本人……郷司剛、田代武夫、倉重邦俊はパリに警備
会社を設立しているが、その仕事の内容は誘拐や暗殺に対するガードを持ち味とし
た組織だった。その組織に実業家のジャンから電話があった。家族がフランスマフ
ィアに殺されたジャンは、そのメンバーの殺害を依頼し、3人は事故に見せかけて
殺害を実行した。しかしフランスマフィアの組織が今度は3人ら戦いを挑んできて、
総力を挙げての戦いとなった……。
 物語はフランスを舞台とした抗争劇で、戦闘場面は柘植久慶らしいゲリラ戦らし
さが随所に見られます。ただ、作品としては迫力ある場面も多く、読みごたえはあ
ったものの、ラストが少々呆気なく終わっていたのは残念です。それでも主人公で
ある3人の日本人を見事に書き分けてそれぞれの仕事の分担などを細かく描いたお
り、存在感のある作品でした。

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリー
【著書名】 視聴率操作殺人事件
【著者名】 金沢 誠
【出版社】 中央公論新社(C・NOVELS)
【初 刊】 2001年8月25日
【金 額】 900円+税
【カバー文】私は青山栄一、四十一歳。業界四位の視聴率に低迷する太平洋テレビ
      の編成課長だ。ある日、私の上司で編成部長の小中が、恵比寿のホテ
      ルから墜死した。視聴率調査会社から標本世帯リストを買収した不正
      の発覚を恐れての自殺、という噂が広まる。派閥抗争により閑職に飛
      ばされた私は、故人の名誉を守るために真相を追う。そして小中と対
      立していた編成局長稲垣、視聴率調査会社の常務宇佐見、大勢の人気
      お笑いタレントを抱え業界で権勢を振るう黒岩実業社長という三者を
      繋ぐ黒い糸をたぐり寄せるが……。果たして、視聴率を操作すること
      は可能なのか? 私の前に次々と現れる美女は敵か味方か? 華やか
      な業界の暗部を抉る書き下ろし長篇ミステリー。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 物語のあらすじはカバー文で詳しく書かれていますが、本書はテレビ業界の裏側
を舞台としたミステリー。複雑に絡む派閥抗争、スポンサーとの関係、上司の謎の
自殺……と面白い要素が絡み合い、中々読みごたえのあるミステリーではありまし
た。ただし残念だったのは、多少のネタバレにはなりますが、タイトルにもなって
いる視聴率操作が行われたかについては、結局謎のままで終わってしまったこと。
そして犯人は分かるものの、事件に関わった人々についてもその後が描かれておら
ず、物語としての派閥抗争などは面白かっただけに、最後にきて欠点が多く目立っ
たのは残念です。

【な行】

【は行】

<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 ふぐママ
【著者名】 室井 滋
【出版社】 講談社
【初 刊】 2001年8月24日
【金 額】 1280円+税
【カバー文】「あんた、女優やめなさい!」育ての親、ふぐママがムロイに叫んだ!
      育ての親が女優に注いだ常識外のパワーと愛。無名時代に出会い、二
      人三脚で芸能界を歩いてきた女社長=ふぐママは、ムロイを超えるト
      ラブルメイカーだった。秘蔵ネタ&笑えるキャラ満載の書下ろしエッ
      セイ。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 室井滋のエッセイは自然体ながら面白いエピソードが満載ですが、本書は芸能界
を二人三脚で歩いてきた女社長(ふぐママ)のエピソードを中心に、その笑える話が
満載です。よくぞこんな豪快かつ面白い人が社長をしていると思いきや、撮影現場
で思わず泣いてしまうという繊細さも持ち合わせてと、ふぐママのパワーに圧倒さ
れます。トラブル満載ながらも、つい笑ってしまい、そして室井滋の所属事務所社
長に対する愛情も感じさせるエッセイ集です。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】?
【著書名】 平成ニッポンのお金持ちとビンボー人
【著者名】 渡辺和博/安西繁美
【出版社】 扶桑社
【初 刊】 2001年8月1日
【金 額】 1333円+税
【カバー文】マル金、マルビ新基準。あなたはどっち!? あの「金魂巻」が20年
      ぶりにかえってきた。バブルと不況を経験にマル金、マルビに大地殻
      変動。同じ職業でも月とスッポン、現代人気職業の栄光と悲哀をコミ
      カルに書く。
【満足度】 ★
End------------------------------------------------
 「金魂巻」からもう20年もなるのかァ……と思いながら、懐かしく読みました
が、昔は「金魂巻」をそれなりに面白く読めたのですが、今回書かれている現代の
お金持ちとビンボー人についてはどうもピンとこないというか、面白さを全く感じ
られませんでした。懐かしかったのと文字の大きさなどは以前と同じですが、比較
に対してのツボがハマらなかったということなんでしょうかね。

<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 爆弾魔
【著者名】 大石直紀
【出版社】 光文社(KAPPA NOVELS)
【初 刊】 2001年6月25日
【金 額】 819円+税
【カバー文】新興量販店を狙った連続爆弾テロが発生した。犯人の狙いは曰く付き
      の社長・琢磨信之を標的にしたものと思われていたが、新たに琢磨と
      は何も関係のないショッピングセンターで爆弾テロが発生! このシ
      ョッピングセンターで働く藤村幸造は、二十五年前に起きたテロ事件
      の捜査をきっかけに公安捜査官をやめていた。その爆破現場には二十
      五年前の事件で、藤村に恨みを持つ人物の姿が……。連続爆弾テロ事
      件の犯人の狙いは? 藤村の娘の公安捜査官・早苗まで巻き込む、爆
      弾魔の闇が迫る! 抜群のテンポで描く、元刑事と爆弾魔との息詰ま
      る死闘!! 新鋭が放つ、度肝を抜く犯罪小説の登場。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 関東一円に20近い店舗を持つ新興量販店「グラン・カーサ」の池袋店で予告爆
破事件が発生した。続いて横浜店でも同様の予告爆破事件が起き、次に静岡店に爆
破予告の電話があった。その静岡店で警備の仕事をしている藤村は、25年前のテ
ロ事件で犯人の子供を誤って拳銃で撃ち死亡させ、公安捜査官を辞めるという過去
を持っていた。そして静岡店で予告通りに爆破事件が起きたが、その現場を辛うじ
て脱出した藤村は、かつてのテロ事件の犯人である榊原の姿を目撃した。後日、榊
原から連絡を受けた藤村は電話で指示されたホテルへと向かうが、その指定された
部屋には榊原の死体が。そして部屋には時限爆弾が置かれ、何とか爆破は阻止した
ものの、更に犯人は爆破テロ事件を繰り返し、やがて1億5000万円を要求し、
その現金の引渡しに指名したのは藤村の娘で、公安捜査官の早苗と、「グラン・カ
ーサ」の社長で、かつて豊芝商事でセールスマンをし、多くの人々を騙した経験を
持つ琢磨だった。犯人は現金を強奪することができるのか? そして更なる爆破テ
ロ事件は起きるのか?
 物語は、連続して起きる爆破テロ事件についてが描かれ、その犯人の狂気、犯人
を追う元警察官の藤村と現役公安捜査官である娘の早苗との親子の葛藤を軸とした
息詰まるサスペンス。冒頭いきなり爆破から始まり、物語でも続々と爆破事件が起
こりますが、犯人の思惑は勿論のこと、事件に関わる人々との関係が実に巧く絡み
合っていて、最初から最後まで緊張感と迫力が続きます。ただ残念だったのは、後
半に描かれる病室に常時置いている携帯電話に電話がかかる場面。この電話の内容
が事件解決の鍵を握ることになるのだが、常識的に考えて病室に携帯電話を常時使
えるようにしているというのは非常識でもあり、この他は文句なしに面白かっただ
けに、この欠点が何とも非常に残念です。ただし、最初から最後まで一気に読まさ
れたテンポと、爆破テロ事件とその事件の背後にある複雑な背景はお見事でした。

<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 病気じゃないよ、フツーだよ --神経科に行ってみよー--
【著者名】 藤臣柊子
【出版社】 二見書房
【初 刊】 2001年1月15日
【金 額】 1200円+税
【カバー文】なんか真っ暗、心臓出そう、意味なく悲しい、悪いことばっか考える。
      そんな人はみんな脳みそ系。一人で悩まず、神経科行ってラクになろ
      う。パニック障害ど真ん中、藤臣柊子の脳みそ系エッセイ。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 自ら鬱病で神経科へ通う漫画家でエッセイストでもある著者。以前に同じような
神経科へ通うことを書いたエッセイを読みましたが、本書はその神経科へ通うよう
になるまでや、リストカットの事実など、知らなかった衝撃事実が明らかにされて
います。しかし内容は衝撃的で重いものの、書いてある内容は非常に明るく、神経
科に行くと楽になれるという実体験が書かれています。

【ま行】

<本紹介>
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【ジャンル】短編小説集
【著書名】 真夜中に唄う島
【著者名】 朝山蜻一
【出版社】 扶桑社文庫
【初 刊】 2001年8月30日
【金 額】 819円+税
【カバー文】五人の男と一人の女は、快速船に乗って、ある島を目指していた。肉
      欲のおもむくままに輪姦したホステスが殺害されて、殺人容疑をかけ
      られた彼らは、富士一郎と名乗る謎の男の誘いで、太陽島なる島に身
      を隠すことにしたのだ。その島は、あらゆる自由が認められたユート
      ピアだというのだが……。サディズムとマゾヒズムを追求した異色作
      家が、想像力を極限まで駆使して描く欲望の大曼茶羅! 他に、探偵
      小説誌「幻影城」に連載された大人のためのファンタジー『蜻斎志異』
      を一挙に収録。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は約40年前の絶版作品の復刻版で、幻想的な短編集です。中でも印象的な
のは、最初に収録されている表題作の「真夜中に唄う島」。愚連隊の5人が新宿で
ホステスを輪姦するが、そのホステスは何者かに殺害され、死体は店のカウンター
の上に投げ捨てられ、容疑をかけられた5人と、別の店に勤めるホステスの計6人
は、銀座で富士一郎と名乗る男から太陽島と呼ばれる島へ渡ることを勧められ、そ
の島に身を隠すことに。その島は一切の自由が認められる島で、食生活、性、媚薬
なと全てが保証され、実際に訪れた太陽島は想像を超えた異質な文明社会だった。
そこは島での着衣は認められず、全裸で生活することを強いられ、男女が性交を求
めれば拒むことはできず、誰もが愛欲の世界へと耽っていった。しかし島で起きる
殺人事件、そして破滅へと至る惨劇のラストと、とにかく衝撃的な作品でもありま
した。しかし、他の短編は特別印象に残る作品は少なく、表題作のみが目立つ短編
集でもあります。

<本紹介>
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【ジャンル】小説集
【著書名】 見張り塔からずっと
【著者名】 重松 清
【出版社】 新潮文庫
【初 刊】 1999年9月1日
【金 額】 438円+税
【カバー文】発展の望みを絶たれ、憂鬱なムードの漂うニュータウンに暮らす一家
      がいる。1歳の息子を突然失い、空虚を抱える夫婦がいる。18歳で
      結婚したが、夫にも義母にもまともに扱ってもらえない若妻がいる…。
      3組の家族、ひとりひとりの理想が、現実に浸食される。だが、どん
      なにそれが重くとも、目をそらさずに生きる、僕たちの物語……。
      「カラス」「扉を開けて」「陽だまりの猫」。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は3つの作品が収録されている中編小説集で、いずれも家族の問題が扱われ
ています。一番印象に残った最初に収録されている「カラス」は、新興住宅地に引
越しをした一家を中心に描かれるコミュニティにおける「いじめ」問題を描いた作
品。主人公は将来の夢をかけて貯金をはたき25年ローンを組んで片道2時間半の
通勤に耐える生活を続けている。しかしバブル崩壊で地価は下落し、開発されるは
ずだった町の半分と引かれるはずだった鉄道も工事が凍結し、発展するはずだった
ニュータウンと一体化した主人公の夢も同時に潰えてしまう。そこへ一千万円も下
がった物件として後から入居してくる家族が「いじめ」」の加害者となっていく姿
が描かれます。本書の3つの作品共、題材は家族であり、夫婦関係が描かれていま
すが、その夫婦関係の問題や深刻さを現実問題としてしっかりと捉えており、重松
清らしさのにじみ出ている作品集です。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 舞姫通信
【著者名】 重松 清
【出版社】 新潮文庫
【初 刊】 1999年4月1日
【金 額】 552円+税
【カバー文】ラストシーンは、もう始まっているのかもしれない。人は、誰でも、
      気づかないうちに人生のラストシーンを始めている。17歳で死んだ
      「自殺志願」のタレント城真吾にとっては、16歳は晩年だった。城
      真吾は教えてくれた。人は死ねる。いつ。いつか。いつでも―。でも、
      僕は思う。僕の教え子の君たちの「いつか」が、ずっとずっと、遠い
      日でありますように。教師と、生徒と、生と死の物語。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 物語は生と死をテーマとした深い作品。主人公である女子高教師・岸田宏海は双
子の兄を自殺で亡くしている。その岸田が勤める女子高で「舞姫通信」というワー
プロ打ちの文章が生徒全員の机の中に入っていた。舞姫とはかつてこの高校の屋上
から飛び降り自殺をした生徒の名称でもあった。そんな時、岸田の自殺した兄と付
き合っていた佐智子は、恋人と心中未遂した城真吾という少年をタレントとして売
り出すべく、テレビ番組に出演させるのだが、その出演が波紋を呼ぶ。あなたは自
殺を認めるんですが?……その日から城真吾は多くの若者達から注目を集めること
になるが、自殺を考える若者、それを止めようとする教師、そして主人公にとって
の生と死とは?
 物語は女子高を舞台とした作品ですが、単なる教師を主人公とした学園ドラマで
はなく、自殺を取り上げているだけに重いテーマに包まれている作品です。物語で
は自殺をした人間と自殺をしようとする人間が登場し、自身にとっての自殺志願の
意味を問いただしています。物語を読み終えて最初に感じたことは、本書を高校時
代に読んでいれば、かなりの衝撃だっただろうと思ったこと。作品としては欠点も
ありますが、印象は強く受けましたし、現実・社会問題を作品として取り上げる重
松清の作品としても、より生と死について掘り下げた意欲作のようにも感じました。

【や行】

<本紹介>
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【ジャンル】パスティーシュ小説集
【著書名】 世にも珍妙な物語集
【著者名】 清水義範
【出版社】 講談社
【初 刊】 2001年4月27日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】これまで何気なく見過ごしていたようなことの中にある面白さを、ひ
      ょいとさし出すような、名手によるユーモア短編集。「CM歳時記」
      「接客セブンティーズ」「算数の呪い」など、13編を収録。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 本書は13作品が収録されている短編集。最近は清水義範らしい短編集は少なか
ったですが、本書はその清水義範らしさが出ていて、思わず笑ってしまい、ユーモ
アを交えた作品集です。13作品のうち、面白い作品とそれほど面白いとは感じな
かった作品と半々ぐらいでしたが、冒頭から紹介されている「CM歳時記」「接客
セブンティーズ」、後半に収録されている「町営博物館」は面白かったです。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 四十回のまばたき
【著者名】 重松 清
【出版社】 幻冬舎文庫
【初 刊】 2000年8月25日
【金 額】 533円+税
【カバー文】結婚七年目の売れない翻訳家圭司は、事故で妻を亡くし、寒くなると
      「冬眠」する奇病を持つ義妹耀子と冬を越すことになる。多数の男と
      関係してきた彼女は妊娠していて、圭司を父親に指名する。妻の不貞
      も知り彼は混乱するが粗野なアメリカ人作家と出会い、その乱暴だが
      温かい言動に解き放たれてゆく。欠落感を抱えて生きる全ての人へ贈
      る感動長編。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
 翻訳家の圭司は、ある日妻の玲子を事故で亡くした。その玲子には冬になると冬
眠するかのように眠ってしまう妹の耀子がいて、毎年冬が近づくと実家から圭司達
の家にやってきて冬眠していた。玲子の葬儀が終わり、四十九日を迎えるという時
に圭司は玲子の同僚から、玲子に恋人がいたことを知らされた。やりきれない思い
を抱えた圭司は、その時に「誰とでも寝る」と玲子から聞かされていた妹の耀子を
抱いてしまう。その場限りのつもりだったのだが、数ヶ月後に再び一人暮しの圭司
のところへ耀子が冬眠をするためにやってきたのだが、耀子は誰の子かわからない
子供を妊娠していた……。
 物語は、主人公の圭司が、玲子との生活や耀子との暮らし、翻訳した作家である
アメリカ人のセイウチらの付き合いの中で、家族の在り方を考えていく物語となっ
ています。これまでも重松作品は幾つか読んできましたが、家族や生きる意味合い、
学校や社会に対する問いかけが作品となっており、本書も家族の在り方がテーマと
なっていますが、本書はこれまでの重松作品とはやや異質ともいえる作品となって
おり、他の作品は現実感たっぷりに描かれているものの、本書は非現実的な感じを
受けましたし、主人公と関わる登場人物達の存在感も希薄に感じられたのと、展開
のところどころに中途半端さを感じました。その中途半端さが何であるのかは、う
まく説明できませんが、もう少し耀子との関わりや玲子との結婚生活を展開に織り
交ぜても良かったのではないかとは思いました。

<本紹介>
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【ジャンル】ハードボイルド
【著書名】 野獣駆けろ
【著者名】 大沢在昌
【出版社】 講談社(KODANSHA NOVELS)
【初 刊】 昭和58年9月5日
【金 額】 620円+税
【カバー文】デビュー作「陰の間」発表から30年後の今、続編の執筆を始めた社
      会派の大作家、辺見俊悟に、正体不明の脅迫が始まった。奇しくも辺
      見を護ることとなったのは高松圭介、六本木を棲み家とする元傭兵だ。
      圭介に迫る脅迫者の目的は?そして、続編の秘密とは?
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 六本木を棲み家としている圭介は元傭兵。生きることに退屈し、覆面のノンフィ
クション作家としても活躍していた。その圭介が知人で出版社の編集者でもある河
合からの紹介で、社会派の大作家でもある辺見と会うこととなったが、それは河合
が脅迫を受けている辺見の警護をしてほしいという依頼でもあった。その依頼を圭
介は断ったのだが、その数時間後、河合は圭介の自宅前で殺害された。事件と関わ
ることとなった圭介だが、その事件が辺見の大ヒットとなったデビュー作の続編に
関わることを知るが、辺見はその続編について口を割ることはなかった。そして辺
見を乗せて運転していた車に向けて銃弾が打ち込まれ、自分の命も狙われていると
知った圭介は、河合を殺した相手を見つけるため、圭介は友人でもある同じく元傭
兵の清水と共に、辺見の警護と共に相手と戦うことを決意する……。
 大沢在昌の初期の作品ですが、今の作品よりもハードボイルド色の濃い作品です。
主人公の過去と存在感、戦闘場面での迫力、そして登場人物の背景は実に読ませる
要素がたっぷりで、最初から最後まで惹きつけられた作品です。物語で重要な鍵を
握る、作家・辺見が命を狙われる理由、そして最後に描かれる圭介が知った真相と
犯人との対峙場面は緊張感もあり、作品の古さを全く感じさせない物語でした。

【ら行】

<本紹介>
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【ジャンル】連作小説
【著書名】 レヴォリューションNo.3
【著者名】 金城一紀
【出版社】 講談社
【初 刊】 2001年10月8日
【金 額】 1180円+税
【カバー文】話題集中の直木賞作家の受賞第1作。オチコボレ男子高三年生の僕。
      難攻不落の女子高の門を、卒業までに必ず突破してみせる! 溢れるパ
      ワーと感性がきらめく青春小説の新たな古典。デビュー作も収録した
      連作小説。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 新宿区で唯一の落ちこぼれ男子校に通う主人公の“僕”を始めとした生徒は、脳
死状態の偏差値と殺しても死にそうにない生命力の強さから「ゾンビ」と呼ばれて
いた。その僕らは生物教師であるドクター・モローに「世界を変えてみたくはない
か?」とそそのかされ、勉強の得意な女子の遺伝子を獲得すべく「ザ・ゾンビーズ」
を結成し、良家の子女が通う女学院の学園祭への潜入作戦を試みる……。
 物語での主人公の「僕」を始めとして、中学時代に民族学校に通っていた舜臣、
ハーフのアギー、暴力教師、生物教師のドクター・モロー、難病を持つヒロシ……
と、とにかく魅力的な人物が登場します。オチコボレ男子校に通う主人公達が女子
高の学園祭に潜入する計画が連作小説として描かれていますが、一昨年と昨年の失
敗、そして新たな計画を立てての襲撃で、主人公らのレヴォリューションが描かれ
ますが、そこには友人の死の不条理さや、人間は自由であるべきとの主張が組み込
まれています。青春小説としても、ハチャメチャさと多民族的価値観が合わさり、
登場人物のパワーがみなぎる作品です。

【わ行】

<本紹介>
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【ジャンル】レポート
【著書名】 私はストーカーとこうして闘った!! 女性11人の記録
【著者名】 ストーカー対策研究会編
【出版社】 双葉社
【初 刊】 2001年7月25日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】ストーカーと闘った女性11人の記録。ストーカー規制法施行以前の
      社会的無理解などの中で苦しみながらも果敢に闘ってきた女性を取材
      し、まとめる。後半はストーカー撃退のための最新対処法を掲載。
【満足度】 ★★
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 本書は、実際にストーカー被害にあうということがどういうことなのか、11人
の女性のストーカーとの闘いを記録に残したもの。また、被害にあっている人に役
立ちそうな対処法も明示されています。本書の中での11人の女性のストーカー被
害は様々なケースですが、読んでいて思ったのは未解決は少なく、殆どがアッサリ
と解決していること。もう少しストーカー被害の対策などを具体的に示してくれる
と参考になるでしょうが、レポートとしてはまとまっているものの、ノンフィクシ
ョンとしてのストーカー被害については詳細を読んでみたかったです。

 

 

 

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