書評データベース(2002年度12月分)
■2002年12月に掲示板にて紹介された本■
魔笛 野沢 尚 講談社
半パン・デイズ 重松 清 講談社文庫
小さき者へ 重松 清 毎日新聞社
エア・ドゥ夢はなぜ破れたか 日本経済新聞社編 日本経済新聞社
ファースト・プライオリティー 山本文緒 幻冬舎
砂の狩人(上・下巻) 大沢在昌 幻冬舎
ろくでなし(上・下巻) 新堂冬樹 幻冬舎文庫
私の話 鷺沢 萠 河出書房新社
ニューヨーク底辺物語 境セイキ 扶桑社
ギャンブルボーイズ 成澤勝秋 碧天舎
銀行総務特命 池井戸潤 講談社
愛する人への感謝状 武田鉄矢 小学館
女王さまの自己破産確定 花井愛子 エム・ウェーブ
くねくね日記 田口ランディ 筑摩書房
まどろむベイビーキッス 小川勝己 角川書店
ラッシュライフ 伊坂幸太郎 新潮社
半落ち 横山秀夫 講談社
インターネット時代の著作権 富樫康明 日本地域社会研究所
闇狩人 矢月秀作 学習研究社
経済が楽しくなる本 日経STOCKリーグ編
日本経済新聞社
幸田真音緊急対談 日本国債 幸田真音ほか 角川書店
やっとかめ探偵団と鬼の栖 清水義範 実業之日本社
正義の競馬 蛯名正義 集英社
【あ行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ルポルタージュ
【著書名】 エア・ドゥ夢はなぜ破れたか
【著者名】 日本経済新聞社編
【出版社】 日本経済新聞社
【初 刊】 2002年9月12日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】「道民の翼」の悲劇はなぜ起きたのか? 社内の軋轢、行政の無策、
大手の攻勢……。発足から民事再生法申請まで、経営陣、道庁、経済
界など関係者の動向を赤裸々に描いた衝撃のルポ。破たんの真相に迫
る!
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
北海道民として興味深く読み始めましたが、ルポルタージュとしてはよくまとめ
られているとは思うものの、北海道のニュースなどの方がより詳しく報道されてい
ましたし、一冊のドキュメントとしては少々物足りなさは感じました。ただ、本書
の中に書かれていたこととして、北海道の中央依存体質が挙げられていましたが、
エアドゥも様々な問題があって今日に至りますが、この中央依存体質から脱却でき
なかったことが一番の要因のようには思います。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】エッセイ
【著書名】 愛する人への感謝状
【著者名】 武田鉄矢
【出版社】 小学館
【初 刊】 1996年12月10日
【金 額】 1165円+税
【カバー文】人間、年はとって見るものです。若いころより寂しくありません。武
田鉄矢の『普段着』エッセイ。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
知人から貰った本ですが、本書はタレントである著者が家族や友人に対しての感
謝の36話を書いたエッセイ集。非常に読みやすいエッセイでもあり、本書の中で
書かれていた「そもそも夫婦とはそのふたりで宗教団体なのだ」という一文にはな
るほどと思わされる内容でした。かつてのフォーク仲間達とのエピソードも一部書
かれていましたが、こういったエピソードをもう少し詳しく読んでみたかったです
が、中々味のあるエッセイ集でした。
<本紹介>
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【ジャンル】法律
【著書名】 インターネット時代の著作権
【著者名】 富樫康明
【出版社】 日本地域社会研究所
【初 刊】 2000年5月29日
【金 額】 1900円+税
【カバー文】えっ!!ホームページにも著作権があるの? 著作権は私たちの生活に
大切な財産権! 知らないではすまされない「著作権Q&A」100
連発。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
本書は、著作権法の法律に基づき、著作権とは何か、著作物とはどのようなもの
か、著作権の表現方法はどうすればよいか、どんなことに注意し、著作権を活用す
ればよいかをQ&A方式で解説したもの。インターネット専門の著作権の本かと思
いましたが、インターネットについての著作権は後半のみで、全体的にQ&Aとし
ては難しい内容で、読みにくかったです。著作権についても、もっと身近な話題と
して取り上げてくれれば分かりやすいですが、専門的すぎていたため、読後も読み
疲れしました。
【か行】
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 ギャンブルボーイズ --少年たちよ、ターフを目指せ!--
【著者名】 成澤勝秋
【出版社】 碧天舎
【初 刊】 2002年8月20日
【金 額】 1000円+税
【カバー文】競馬学校で騎手を目指す3人の少年。だが、希望に輝く彼らの前に恐
るべき罠が立ちふさがる。真実を知った彼らは、いちかばちかの大勝
負にでるが……!? 綿密な取材に基づいたギャンブル・バイオレンス。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
競馬学校へ入学した、青森から上京してきた平九郎、元暴走族の政樹、有名調教
師を父に持つ圭一。個性の異なる3人は共に励まし合い競い合いながら騎手への道
を歩んでいく。しかし、ある策略が競馬界の片隅で進行していた。その真実を知っ
た3人はある勝負をすることに……。
著者は競馬雑誌「競馬フォーラム」の初代編集長で、そのため競馬学校を舞台と
した面白い作品が描かれています。ただし、物語の題材としては非常に面白い着眼
点だと思いますが、主人公である3人の少年達の競馬学校生活や見習過程などはも
っと詳しく描いてほしかったですし、物語の後半で展開がガラリと変わるのですが、
その過程も中途半端さを感じ、折角の題材が活かしきれていないような印象を受け
ました。競馬ファンならば読んで面白い作品ではありますが、もう少し競馬の面白
いを活かした作品にしてほしかったです。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 銀行総務特命
【著者名】 池井戸潤
【出版社】 講談社
【初 刊】 2002年8月10日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】極秘企業選別リストの売買、女子行員のAV出演、破綻銀行のペイオ
フ発動に仕掛けられた罠……。銀行で起こる不祥事処理に挑む指宿修
平。特殊な「捜査権」を与えられた男の孤独な闘いを描いた銀行ミス
テリー。『週刊現代』連載
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
極秘「企業選別リスト」の売買事件、美人女子行員「AV出演」で明るみに出た
銀行員の淫靡な欲望、ストーカー事件の陰に隠された陰謀、人事対総務の熾烈な暗
闘、破綻銀行のペイオフ発動に仕掛けられた罠……。見かけは端正で完璧なエリー
ト集団が引き起こす生々しい不祥事に、総務部特命が挑む。
物語はタイトルにもあるように銀行の総務部特命を描いたもので、著者の作品は
幾つか読んでいますが、本書は面白く読むことができました。著者は元三菱銀行員
だけに、銀行内部の描写はよく描かれているとも思いました。
<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 くねくね日記
【著者名】 田口ランディ
【出版社】 筑摩書房
【初 刊】 2002年5月15日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】父親との葛藤、娘とのつきあい、編集者との闘い、親しい友人との酒
と会話のひととき、日本各地、そしてカンボジアへの旅。その波乱に
富んだ日常は、まさに「事実は小説より奇なり」……。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
前作「ぐるぐる日記」に続いて、2000年8月から2001年8月までの1年
分のエッセイを収録したのが本書。エッセイとして非常にボリュームがあり、「ぐ
るぐる日記」同様に考えさせられることもありましたが、旅の話が中心でもう少し
個人的な日常や社会問題についてをより多く書いてほしかったです。それでも充実
しているエッセイだと思います。
<本紹介>
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【ジャンル】経済
【著書名】 経済が楽しくなる本
【著者名】 日経STOCKリーグ編
【出版社】 日本経済新聞社
【初 刊】 2002年9月20日
【金 額】 1200円+税
【カバー文】インフレとデフレをちゃんと説明できますか? 知っているようで実
はあいまいな経済の仕組みを、イラストで徹底的に噛み砕いて解説し
ます。経済アレルギーの人も楽しく勉強ができる、絵本のような入門
書です。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
色々と経済についての本を読んできていますが、本書は正に経済の入門に相応し
い経済本です。全ページ・カラー・イラスト入りで読みやすく、経済の基本がしっ
かりと押さえられています。学生を対象にした経済学習サイトをもとにして作られ
ているだけに、学生や主婦には特に向いているように思いますし、経済の復習の意
味でも読んで良かった一冊です。楽しみながら経済の基本が学べる…そんな内容に
なっていて、絵で学べるのは分かりやすかったです。
<本紹介>
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【ジャンル】対談
【著書名】 幸田真音緊急対談 日本国債
【著者名】 幸田真音ほか
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2002年8月25日
【金 額】 1000円+税
【カバー文】ベストセラー小説「日本国債」の著者・幸田真音が、国際問題を中心
に、木村剛、竹中平蔵、塩川正十郎、田原総一朗、佐高信、金子勝ら、
経済の第一人者たちと熱く語った対論集。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
音田真音と経済問題を中心にカバー文記載の6人と対談している内容。期待して
いた程、日本経済についての各対談者との対談では中身の濃さを感じられなかった
ものの、特に木村剛、竹中平蔵の両者との対談は中々興味深かったです。対談なの
で読みやすかったですが、同じ内容で別の対談者(藤巻健史や浅井隆など)との対談
を読んでみたいものです。
【さ行】
<本紹介>
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【ジャンル】ハードボイルド
【著書名】 砂の狩人(上・下巻)
【著者名】 大沢在昌
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2002年9月25日
【金 額】 1667円+税(上下共)
【カバー文】暴力団組長の子供ばかりを狙った猟奇殺人が発生。警視庁の上層部は
内部犯行説を疑い、極秘に犯人を葬ろうとした。この不条理な捜査に
駆り出されたのは、かつて未成年の容疑者を射殺して警察を追われた
元刑事の西野だった……。(上巻)
組長の子供を殺したのは中国人の仕業だと暴走した暴力団員。ついに
中国人マフィアと暴力団の全面戦争が始まった。新宿に戒厳令が敷か
れ、緊急配備につく機動隊。警察庁の女性キャリア時岡は、西野に拳
銃の使用を許可したが……。(下巻)
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
サンケイスポーツ連載中から読んでいましたが、連載時に読み、単行本として読
んでもまた新鮮な感じで読み終えることができました。物語の舞台が新宿、そして
中国マフィアと暴力団の抗争、そしてその抗争に関わる元刑事の西野と実に読みご
たえがあり、迫力を感じさせてくれましたが、どうしても新宿を舞台とした中国人
マフィアの抗争となると、馳星周の作品と比べてしまい、馳星周の「不夜城」と比
べると多少の物足りなさというかスリル感が少なかったようには感じてしまいまし
た。それでも、大沢在昌ならではといえる展開に、上下巻共に一気に読まされまし
たし、面白い作品でした。
<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ+対談など
【著書名】 女王さまの自己破産確定
【著者名】 花井愛子
【出版社】 エム・ウェーブ
【初 刊】 2002年9月30日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】藤臣柊子とのつっこみバクロ対談、青木雄二の迫力ひとり語り、覆面
弁護士MOが教える自己破産ウラワザとハイテク、花井愛子の新作エ
ッセイ+原作「ご破産」コミック完全収録。自己破産のすべてがわか
る必読保存版。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
以前に著者の「ご破算で願いましては」を読んでいたので、内容はダブっている
ところもありますが、本書では著者の自己破産に至る経緯をコミックとして、そし
て更に詳しく書いたエッセイ、他にも対談もあり、自己破産の裏ワザが書かれてい
たり、自己破産申告用紙の書式見本があったりと、自己破産についてが詳しく紹介
されています。相続トラブルで自己破産に追い込まれてしまった著者の苦労は前書
「ご破算で願いましては」以上に感じられましたし、自己破産を真剣に考えている
人にとっては、大いに役立つ一冊だと思います。
【た行】
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 小さき者へ
【著者名】 重松 清
【出版社】 毎日新聞社
【初 刊】 2002年10月20日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】勝て、とは言わない。負けるな、とも言えない。それでも、僕は入場
行進曲のリズムに合わせて、手拍子を打つ。途切れなく打ちつづける。
(「三月行進曲」より)
人生を抱きしめた、深い共感を心に刻む6つの
物語を収録。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
6つの作品が収録されている重松清の最新作ですが、それぞれの物語で切なさと
勇気を感じ、物語の主人公を応援したくなる……そんな作品集でした。人生の中で
の悩みや重さを物語の中でとても上手く表現されていて、重松清らしさが全面に出
ています。特に表題作でもある「小さき者へ」、冒頭に収録されている「海まで」
と「フイッチのイッチ」は目頭が熱くなる作品でした。
【な行】
<本紹介>
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【ジャンル】手記
【著書名】 ニューヨーク底辺物語
【著者名】 境セイキ
【出版社】 扶桑社
【初 刊】 2000年10月10日
【金 額】 1200円+税
【カバー文】NYホームレス歴6年、ドラッグ歴8年、在NY歴16年、日本人歴
40年……。脱・どん底。僕がホームレスを「卒業」するわけとは…?
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
この本については、著者である境セイキさんから直接メールをいただき、早速取
り寄せて読ませていただきました。境さんは、ニューヨークから私のHPを検索し
てくれて、本書についても説明してくれていたのですが、いざ読んでみると、我々
日本人の知らないニューヨークの世界が描かれています。ホームレスに至る経緯や、
ドラッグからの脱却についてなど興味深い記述が多いですが、それ以上にメディア
で紹介されるニューヨークとは違う姿が本書の中からクッキリと浮かび上がってき
ます。境さんは淡々と文章を書いてはいるものの、ホームレスとして暮らした年月
が文章にも刻みこまれていて、読み手にも教訓を与えてくれる良書です。
【は行】
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 半パン・デイズ
【著者名】 重松 清
【出版社】 講談社文庫
【初 刊】 2002年11月15日
【金 額】 695円+税
【カバー文】東京から、父のふるさと、瀬戸内の小さな町に引越してきたヒロシ。
アポロと万博に沸く時代、ヒロシは少しずつ成長していく。慣れない
方言、小学校のヤな奴、気になる女の子、たいせつな人との別れ、そ
して世の中……。「青春」の扉を開ける前の「みどりの日々」をいき
いきと描く、ぼくたちみんなの自叙伝。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は、主人公のヒロシの小学校時代を7つの話で構成されています。東京から
父親の故郷に移った1年生のヒロシが、中学校の制服を試着するまでの成長記録と
いえる物語です。読んでいる最中から自分の小学生時代を沢山思い出しましたし、
主人公のヒロシのような小学生の時を誰もが過ごしていたはずです。懐かしさだけ
ではなく、ホロ苦い思い出や、学校での出来事など、昔を振り返ることができる作
品です。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】短編小説集
【著書名】 ファースト・プライオリティー
【著者名】 山本文緒
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2002年9月25日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】あなたのファースト・プライオリティーは何ですか? 31歳女性、
31通りの最優先事項。直木賞受賞後第一作。『星星峡』連載に書き
下ろしを加えて単行本化。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は、31歳の女性を主人公に31編の短編集にした短編集で、一つの作品が
10ページ程度と非常に短いけれども、どの作品にも自分や知っている人を重ね合
わせることが出来る登場人物が散りばめられており、それぞれの主人公の現状や日
常の落とし穴という部分が上手く表現されていて、このあたりは山本文緒の上手さ
といえるでしょう。
<本紹介>
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【ジャンル】警察小説
【著書名】 半落ち
【著者名】 横山秀夫
【出版社】 講談社
【初 刊】 2002年9月5日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】請われて妻を殺した警察官は、死を覚悟していた。全面的に容疑を認
めているが、犯行後2日間の空白については口を割らない「半落ち」
状態。男が命より大切に守ろうとするものとは何なのか。感涙の犯罪
ミステリー。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
妻を扼殺したとして自首してきた元警部。証拠も十分だが、殺害から自首までの
「空白の2日間」については一切口を閉ざす。命をかけてまで彼が守ろうとするも
のは何なのか? 捜査官、検察官など6人の男によって徐々に真相は明らかになっ
てくる……。
「動機」など警察小説を描いてきた著者の初めての長編小説で、期待して読み始
めましたが、見事に期待に応えてくれた作品でした。警察機構についての描写が相
変わらず見事で、緊迫したストーリー展開を見せてくれています。「なぜ扼殺した
のか」という点での心理描写がやや甘く感じるものの、読後には深い感動を残して
くれる小説です。
<本紹介>
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【ジャンル】バイオレンス
【著書名】 闇狩人(バウンティ・ドッグ)
【著者名】 矢月秀作
【出版社】 学習研究社(WOLF NOVELS)
【初 刊】 2002年9月17日
【金 額】 830円+税
【カバー文】P2(プライベートポリス)ピカイチの凄腕である城島恭介は、警視庁
特捜部の刑事から依頼を受け、強烈な麻薬の利権をめぐる闇組織が暗
躍している事実を知り、組織壊滅のために烈しく銃火を放つ!
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
城島恭介は「P2」の凄腕の持ち主で、死線を潜り抜けてきた元傭兵。新宿の公
園で若者達がドラッグをやり殺し合う事件が起き、警視庁特捜部の刑事から依頼を
受けた恭介は、その背後に麻薬の利権を巡り闇組織が動いている事実を知る。殺し
のプロから何度も命を狙われながら、恭介は組織撲滅のために戦う……。
本書は冒頭からアクションが繰り広げられる、ハードバイオレンス。これでもか
という程のアクションですが、その展開につい引きこまれてしまいます。その展開
がパターン化しすぎていたように感じたのは欠点だと思いますが、ノベルス本とし
ては楽しく読むことができました。
【ま行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 魔笛
【著者名】 野沢 尚
【出版社】 講談社
【初 刊】 2002年9月20日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】白昼の渋谷。無差別爆弾テロ。犯人は女だった……。警察をあざ笑う
かのようにテロを仕掛け続ける女が求めるのは、罰か、救いか? 悪
魔的な頭脳で日本を恐怖に陥れた彼女を、若き刑事と、その獄中の妻
が追う。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
突然に渋谷のスクランブル交差点付近で、白昼に無差別爆弾テロが行われ、数多
くの死者・犠牲者が発生。犯人の狙いは何なのか? 日本中を恐怖に陥れた犯人を、
組織から見放された刑事と、獄中の妻が事件の真相を追い、犯人の正体を突き止め
るが、犯人は現金10億を要求。次々に爆破事件を起こす犯人を捕まえることはで
きるのか……?
物語は、単なる無差別テロ事件だけではなく、事件背景にはテロ集団の信仰宗教
団体、公安、組織の秘密を知り組織から見放される刑事と、過去に事件を起こして
しまったその妻……と、登場人物や事件背景も凝っていて、実に読みごたえのある
作品で、野沢尚の作品らしく、物語が頭の中で映像として浮かんできました。渋谷
での爆破の様子や、ラストのスリリングな展開も緊張感があって、読んでいてハラ
ハラさせられました。物語は犯人の手によって描かれたものではあったので、犯人
の真相がもっと詳しく描かれていれば更に良かったようには思いましたが、野沢尚
の新境地ともいえるサスペンスです。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 まどろむベイビーキッス
【著者名】 小川勝己
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2002年9月30日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】キャバクラ「ベイビーキッス」で働いているみちる。店での営業活動
に必死な彼女は、他の女の子たちから反感を買い始めてしまう。一方、
家では自分のHPを作り、親しい友人たちとのやり取りをしていたが
……。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
キャバクラで働くみちるは、ネット上でハンドルネームSHIHOというもう一
つの顔を持っていた。キャバクラ業界で、他人を信じることができなくなったみち
るは、ネット世界に何を求めていくのか……。
著者は前作「葬列」で横溝正史賞を受賞し、その「葬列」が面白かっただけに、
受賞後の本書にも期待していましたが、「葬列」同様に登場人物の複雑な人間関係
を物語として面白く描いていますが、「葬列」程のインパクトはなく、また主人公
を突き放した非情さが本書の良さなのかもしれませんが、それが欠点でもあったよ
うに思えます。またラストの悲劇、登場人物の狂気も、つい前作と比べて物足りな
さを感じました。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】競馬エッセイ
【著書名】 正義の競馬
【著者名】 蛯名正義
【出版社】 集英社
【初 刊】 2002年10月1日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】積み重ねの連続が、僕の明日をつくって行く-。凱旋門賞の夢、ふた
たび! 男・エビショー"強さ"の秘密! 武豊騎手との同期生ジョッ
キー対談も併録。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
週刊プレイボーイで連載のエッセイを一冊にまとめた本書ですが、非常に読みや
すいエッセイでした。「3歳クラシック篇」「夏競馬攻略篇」「アメリカ遠征篇」
「僕の競馬雑感」「古馬重賞篇」「心に残る10大レース」「同期性ジョッキー対
談」と、騎手・蛯名正義の騎乗エピソードも満載で、競馬の違う一面も読むことが
できますし、特に武豊との対談は興味深かったです。
【や行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 やっとかめ探偵団と鬼の栖
【著者名】 清水義範
【出版社】 実業之日本社
【初 刊】 2002年8月20日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】親子3人の失踪事件発生。一家の幼児は両親から虐待されていたらし
い……。大人になりきれない人間と、人生経験豊かな名古屋の婆ちゃ
ん探偵・波川まつ尾が対決する! 「やっとかめ探偵団と唐人お吉」
も収録。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
シリーズになっている「やっとかめ探偵団」ですが、清水義範の作品は多く読ん
できていたものの、このシリーズは初めて読みました。清水義範らしさを感じる作
品ではあるものの、今までのシリーズを読んでいないだけに、多少の物足りなさと
いうか、主人公の魅力が半減されていたようには思いますが、シリーズを通して読
むと面白さは更に増すでしょう。引き続きシリーズは読んでみたい作品ではありま
す。
【ら行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】暗黒小説
【著書名】 ろくでなし(上・下巻)
【著者名】 新堂冬樹
【出版社】 幻冬舎文庫
【初 刊】 2002年10月25日
【金 額】 571円+税
【カバー文】黒鷲。不良債務者を地の果てまでも追う黒木の呼称だ。彼の眼前で婚
約者は凌辱され、精神は死んだ。二年後、偶然目にしたレイプ犯の写
真で、黒木は再び黒鷲として蘇り、復讐に動き出す。だが次々と関係
者は殺され、覚醒剤中毒者、娼婦、金融屋、ヤクザたちの影が蠢く。
欲望を漲らせて、最底辺を生きる人間の恐怖。
【満足度】 ★★★★★(文句なし!)
End------------------------------------------------
不良債権者の追跡及び不良債権の回収業をしていた黒木は、2年前に婚約者が目
の前でレイプされ、その婚約者は自殺。黒木も廃人同様なその日暮らしを続けてい
た。その黒木は、仕事の依頼で偶然レイプ犯の写真を目にし、復讐を果たそうとす
るものの、突き止めたレイプ犯は何者かに惨殺されていた。そして真相を追究する
黒木の関係者も次々に何者かに狙われ殺されることに。事件の背後には何が動いて
いるのか……。
上下巻を一気に読みましたが、物語の展開はお見事で、登場人物も実に個性的で、
サディストのヤクザ、シャブにより狂人となった元同僚、密売人、嘘吐きの娼婦な
ど、存在感たっぷりの登場人物がしっかりと脇を固め、新堂ワールドとしての暗黒
小説が描かれます。ラストの展開も予測していた以上で驚かされましたし、上下巻
共に大満足のいく作品でした!
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ミステリー
【著書名】 ラッシュライフ
【著者名】 伊坂幸太郎
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2002年7月30日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】歩き出したバラバラ死体、解体された神様、鉢合わせの泥棒…。無関
係に思えた五つの物語が、最後の最後で一つの騙し絵に収録する。こ
れぞミステリー!
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
世の中「金で買えないものはない」と豪語する画商の戸田。綿密な調査を行って
から忍び込むため、これまでに一度も捕まったことがないプロの泥棒、黒澤。町中
を霊感させていたビジネスホテル連続殺人事件の次の犯行を見事に予見し、神様と
あがめられている男、高橋。その高橋にひかれ、彼を信奉するグループに入った河
原崎。不倫関係にある青山と共謀し、彼の妻を殺す計画を企てる心理カウンセラー
京子。そして、21年間勤めた会社を突如リストラされ、再就職活動しても目下4
0連敗中でうだつの上がらない豊田。仙台を舞台に、それぞれの憎しみや懐疑心が、
バラバラ殺人、強盗、ひき逃げなど、さまざまな犯罪を引き起こす。そして、ある
大きな「うねり」が彼らをのみ込んでいく……。
本書は、一見無関係に思える5つの物語が、互いにそれぞれ複雑に絡み合いなが
ら、少しずつ、まるで一枚の騙し絵のように形づくられていきます。神様の解体、
歩き出したバラバラ死体、拳銃を隠し持つ失業者、現場で予想外の珍客と鉢合わせ
をした泥棒……と、彼らが遭遇する予想だにしない事件の数々は、スピード感もあ
り、ミステリーとして堪能させられる作品でした。
【わ行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】自伝的私小説
【著書名】 私の話
【著者名】 鷺沢 萠
【出版社】 河出書房新社
【初 刊】 2002年10月20日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】裕福な家庭に生まれ、思春期に父の死、家庭の経済的破綻、大きな生
活レベルの変化を経験し、大学時代の作家デビュー、短い結婚生活、
在日の自覚……次々ふりかかる波乱の半生をユーモラスに語る、著者
初の自伝的私小説。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
自伝的私小説とのことで、鷺沢ファンとして非常に期待して読みましたが、帯に
も書かれているような父親の死についてや、家庭の経済的な破綻、結婚生活などは
詳しいことは書かれておらず、確かに鷺沢萠の半生が書かれているのだが、帯を読
んで買ったファンなら、かなり物足りなさを感じるでしょうし、個人的には不満の
残る私小説で、これまでの半生についてをより詳しく掘り下げて書いてほしかった
です。
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