書評データベース(2003年度9月分)

 

■2003年9月に掲示板にて紹介された本■

 グロテスク              桐野夏生     徳間書店
 ドクター・ハンナ           戸梶圭太     徳間書店
 数字が語るニッポンの「素顔」     青木まもる    恒友出版
 SOHO独立開業 ビジネスの素134   井指賢/SOHOギルド編 クラブハウス
 生きいそぎ              志水辰夫     集英社
 虹列車・雛列車            花村萬月     マガジンハウス
 行儀よくしろ。            清水義範     ちくま新書
 最新・日本経済入門          石森章太郎プロ  小学館
 ナリタトップロード          黒須田守     廣済堂出版
 北海道警察 日本で一番悪い奴ら    織川 隆     講談社
 「通販」だけがなぜ伸びる       鈴木隆祐     光文社新書
 廃用身                久坂部羊     光文社
 死なないで              井上 剛     徳間書店
 BT’63              池井戸潤     朝日新聞社
 フォックス・ストーン         笹本稜平     文藝春秋
 木野塚佐平の挑戦           樋口有介     文藝春秋
 モルヒネ               安達千夏     祥伝社
 疾走                 重松 清     角川書店
 卵の緒                瀬尾まいこ    マガジンハウス
 レモン・インセスト          小池真理子    光文社
 開放区                木村拓哉     集英社
 小資本でできる小さな商売の始め方   田 隆      ぱる出版
 最後の馬喰 佐藤伝二         瀬戸慎一郎 KKベストセラーズ
 クライマーズ・ハイ          横山秀夫     文藝春秋
 クラッシュ              馳 星周     文藝春秋

【あ行】

<本紹介>
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【ジャンル】短編小説集
【著書名】 生きいそぎ
【著者名】 志水辰夫
【出版社】 集英社
【初 刊】 2003年2月28日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】人生の秋……ふと見つけてしまった遠い昨日の忘れ物。抒情豊か
      に名手が描く、人それぞれのたそがれ模様。「人形の家」「うつ
      せみなれば」「赤い記憶」ほか全8編を収録。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
 本書は8つの作品が収録されている短編集。いずれの作品も主人公が60歳
過ぎの男が多く、孤独と老いについてをそれぞれの作品で描いています。妻に
去られた男の虚しさなど、老いていく現実や表題の意味がジワジワと感じる作
品集でもありました。個人的には以前の作品のような冒険小説が好みではあり
ますが、主人公ぐらいの歳になった時には読み返してみたい作品です。

【か行】

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 グロテスク
【著者名】 桐野夏生
【出版社】 徳間書店
【初 刊】 2003年6月30日
【金 額】 1905円+税
【カバー文】美貌の妹ユリコと名門女子高の同級生和恵。最下層の娼婦として
      孤独でセンセーショナルな死を迎えた二人を取巻く黒い魂のドラ
      マ。『週刊文春』連載を単行本化。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、「東電OL殺人事件」を題材にし、他にもオウム事件や密入国事件、
金持ち進学校のイヤらしさまでも絡めた物語。作者は、一流企業に勤めながら夜
の街に立つようになったひとりの女・佐藤和恵を浮き彫りにするために、3人の
女性を配置する。語り手は翻訳家になりたかったフリーターの39歳で区役所の
アルバイトをしている。和恵とは名門Q女子高で同級だった。そして同じくQ女
子高で同級だったミツルは、学力においても経済力においても和恵と語り手を圧
倒する存在で、Q女子中から上がってきたがイジメを体験し東大医学部に進む。
そして語り手の妹のユリコは誰もが眼を見張るような美女だったが、売春が発覚
して高校を中退し、モデルなどをするが、生まれついての娼婦で、和恵が殺され
る一年ほど前に、ほぼ同じ場所で同じ犯人によって殺される。
 物語は、この3人を中心に物語は展開していきますが、人間の悪意や狂気、社
会の冷たさなど、心の奥底を見事に展開に取り入れ、差別を実にリアルに描いて
います。結末が中途半端に終わっていたのは欠点でもあり、この点が非常に残念
ではありますが、500ページを超える上下段の作品はボリュームもあり、かつ
読み手を飽きさせない良質の物語でした。

<本紹介>
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【ジャンル】教育
【著書名】 行儀よくしろ。
【著者名】 清水義範
【出版社】 ちくま新書
【初 刊】 2003年7月10日
【金 額】 680円+税
【カバー文】「教育論」となると、学校教育を論じることになりがちだ。学校
      教育を批判し、文部科学省の方針を批判するのが、いい教育論な
      のだと。だが、世の大人にとってもっと身近な、今、自分がすべ
      き教育のことを忘れてはいけない。たとえば、お葬式でどういう
      態度をとるか、オリンピックでどういう応援をするか、道をきか
      れたらどう答えるか、もらった宣伝ビラをどこに捨てるか、お祭
      りをどうやるか、困っている人をどう助けるか、…などは、その
      国の文化の中にあることで、その文化を継承させていく責任が大
      人にはある。今こそ、美しい日本人を育てるための教育論を、こ
      こに展開する。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、教育についてのエッセイ。学校教育という狭い視点ではなく、文化
から人への教育という幅広い視点で書かれ、改めて日本という国の文化を考え
させられました。パスティーシュ小説家としての清水義範は有名ですが、すで
に出ている「国語入試問題必勝法」なども含めた、教育についてのエッセイも
読みごたえがあります。

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリー
【著書名】 木野塚佐平の挑戦
【著者名】 樋口有介
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2002年2月25日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】国民的な人気をほこる村本啓太郎総理が57歳の若さで急死した。
      私立探偵・木野塚の周囲に、総理は暗殺されたらしいという不穏
      な噂が駆けめぐる。気がつくと重大事件の真相調査に巻き込まれ
      ていた木野塚の運命や如何に!
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 このシリーズは読んできていたシリーズですが、本書は読み忘れていました。
助手の梅谷桃世がケニアに渡ってから半年、木野塚探偵事務所は閑散たる有り
様。世間では現職の総理大臣の突然の死に、色々な憶測が飛び交っていた。そ
んな時、桃世がひょっこりと事務所に帰って来る。にわかに木野塚の周囲が慌
しくなっていく。そんな中、秘かに憧れていた美人キャスターからの依頼を引
き受けることになるし、総理大臣の死にまつわる陰謀にも巻き込まれ……。
 物語では、前作と比べるとケニアから戻った桃世が、更に切れ味鋭くなって
いて、主人公である木野塚佐平もそれまで持っていなかった携帯電話を持つこ
とになるし、事務所にはパソコンまで設置され、ようやく探偵事務所らしい機
能を持った点も新たな展開でした。大物政治家と木野塚との取引も面白かった
ですし、今後も期待できるシリーズです。

<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 開放区
【著者名】 木村拓哉
【出版社】 集英社
【初 刊】 2003年4月29日
【金 額】 1900円+税
【カバー文】『MYOJO』1995年6月号〜2003年5月号の連載エッ
      セイを加筆・訂正。恋愛、家族、SMAP、趣味など、木村拓哉
      が率直に語る。新たな撮り下ろし写真も多数収録。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 発売当時話題となったSMAPの木村拓哉のエッセイですが、図書館にあっ
たのでどんなものかと興味本位で借りて読みました。読み始める前は、結婚の
ことやSMAPのことを詳しく描いてあると思っていたのですが、それよりも
小さい頃からの自分の思いや考えをエッセイとしてまとめたという感じです。
写真が多くて読みやすいですし、ファンにとっては面白いでしょうが、多く出
ているタレント本と遜色無いエッセイという印象です。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 クライマーズ・ハイ
【著者名】 横山秀夫
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2003年8月25日
【金 額】 1571円+税
【カバー文】85年、御巣鷹山の日航機事故で運命を翻弄された地元新聞記者
      たちの悲喜こもごも。上司と部下、親子など人間関係を鋭く描く。
【満足度】 ★★★★★(文句なし!)
End------------------------------------------------
 本書は、1985年の日航機事故を取材する新聞記者にフォーカスをあて、
締め切りに追われる新聞作成の編集現場が臨場感溢れるタッチで克明に描いた
物語。群馬県の地方紙のベテラン記者・悠木は、同僚の安西と共に谷川岳の衝
立岩に登る計画を翌日に控えていたのだが、その日の夕刻、日航ジャンボ機が
群馬県の山中に墜落する大惨事が起き、その約束は永遠に果たせないことにな
った。そして悠木は事故に関する取材と記事を取り仕切る全権デスクに任命さ
れ、記者達はいまだ判然としない墜落現場を目指し、夜の山中へと出動してい
く。夜明けと共にテレビから流れる墜落現場の悲惨な映像。さらにショッキン
グな知らせが悠木を襲う。谷川岳に向かったはずの安西が、夜中に市内の歓楽
街で倒れ、植物状態になったというのだ。大と小、公と私、二つの事件の狭間
で悠木は揺れ動く……。
 警察小説でもミステリでもない本書は、横山秀夫の新境地ともいえる作品。
これまでとは違うテーマでありながら、組織と個人の物語を丁寧に描き、おそ
らく今年年末のベストランキングでも取り上げられる作品だと思います。ラス
トまでの展開も目が離せない場面が続き、実に読みごたえのある作品でした。

<本紹介>
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【ジャンル】短編小説集
【著書名】 クラッシュ
【著者名】 馳 星周
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2003年8月31日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】人気ティーン向け雑誌の売れっ子モデル由佳の、渋谷での一夜の
      刹那な快楽とうつろな心を描いた「ストリートギャル」、歌舞伎
      町、大久保にうごめく ヤクの売人タケの絶望をとらえた「溝鼠」。
      都会の片隅で踏みにじられるかすかな希望。黒ぐろと横たわる絶
      望と焦燥。強烈な青春群像を峻烈に描ききった、馳星周待望の新
      短編集。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は8つの作品が収録された短編集。それぞれの登場人物は、理性のたが
がはずれ、情動に引きずられてぼろぼろの人生を歩んでいる人間ばかりで、描
かれる暴力の世界は馳星周ならではともいえます。ただ、馳星周はやはり長編
作品でこそ味の出る作家であり、本書の作品も悪くはないのですが、魅力が半
減されている印象は受けました。長編では絶対に読み手を裏切らないだけに、
次の長編には期待します。

【さ行】

<本紹介>
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【ジャンル】雑学
【著書名】 数字が語るニッポンの「素顔」
【著者名】 青木まもる
【出版社】 恒友出版
【初 刊】 2003年5月31日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】どこへ行くの? いつまで続くの? こんな日本。 低迷する日
      本の病状を各種のデータが見事に実証。あなたの見識をグーンと
      高める280の驚きと真実。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書はテレビ番組で紹介されているのを見て、買い求めて一気に読みました。
その内容ですが、社会一般、政治経済、生活・医療・福祉、文化・教育など、
大きく7つの章に分けられて様々なニッポンの素顔が数字となって現していま
す。数字が物語るデータは雑学的でもあり、また知られざる内容も多く、正に
ニッポンの素顔が数字から現れています。その数字から今後の日本を考えると
先行き暗いデータにもなっていますが、知らないデータも多く、情報として大
いに役立ちました。

<本紹介>
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【ジャンル】ビジネス
【著書名】 SOHO独立開業 ビジネスの素134
【著者名】 井指賢/SOHOギルド編
【出版社】 クラブハウス
【初 刊】 1998年1月10日
【金 額】 1365円+税(\200)
【カバー文】注目のインターネット・マガジン『JNEWS』が各界最前線7
      30日間を徹底検証した134の実例集。今、何が本当に儲かっ
      ているのかが分かる。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 本書はSOHOの実例集で、98年度版ではありますが、SOHOを考えて
いる人、またすでにSOHOをしている人にとっても、参考となる実例やビジ
ネスヒントが多く、内容も古さを感じませんでした。SOHOについては多少
興味があったので、古本屋で見つけて買いましたが、様々な事業内容が読めた
のはそれなりに面白かったです。

<本紹介>
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【ジャンル】経済
【著書名】 最新・日本経済入門 --大インフレがやってくる!--
【著者名】 石森章太郎プロ
【出版社】 小学館
【初 刊】 2003年7月10日
【金 額】 1200円+税
【カバー文】いよいよやってきたメガバンク破綻時代。資産を守るための賢い
      金の買い方から、安全な海外ファンドの選び方、海外口座の作り
      方まで、今最も知りたい財産の守り方と、日本経済のこれからを
      マンガと記事でわかりやすく解説。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、石森章太郎プロが日本経済を分かりやすく描いたマンガシリーズの
第2弾。前作の「新・日本経済入門」は監修が浅井隆でしたが、本書は「資産
疎開」や「銀行預金封鎖」などの著書で知られる太田晴雄が監修し、大インフ
レの際にどうやって資産を守るかに焦点を当てた内容です。これまでも太田晴
雄の著書は幾つも読んできているだけに、内容の目新しさは特には感じなかっ
たものの、各章に分けてマンガで分かりやすく説明し、更に解説文があり、資
産を守るための方法や海外銀行の口座の作り方なども、丁寧に紹介しており、
日本経済のこれからを見極める意味でも読んで損のない内容だとも思います。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 疾走
【著者名】 重松 清
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2003年8月1日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】剥き出しの「人間」どもの営みと、苛烈を生き抜いた少年の軌跡
      …。比類なき感動の結末が待ち受ける、現代の黙示録。重松清、
      畢生の1100枚。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、これまでの重松作品とは一線を画した、狂気と死とが濃縮された物
語。瀬戸内の干拓地で、家族や地域からもはみ出した少年・シュウジは、聖書
と、2本の足で走ることのみで孤独という地獄に耐えている。しかし、バブル
景気のあおりが故郷を直撃し、彼の運命も大きく狂っていく……。
 まず、これまで作風が一変し、人間の醜さをえぐり出すよう展開に驚きまし
たが、新たな重松ワールドとしては評価したいと思います。同じく少年犯罪を
テーマにした『エイジ』とは対極の重苦しさがありますが、他人との繋がりを
渇望する主人公の心情はよく表現できているとも思いますし、重苦しい展開だ
ったからこそラストが活きています。

<本紹介>
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【ジャンル】起業
【著書名】 小資本でできる小さな商売の始め方
【著者名】 田 隆
【出版社】 ぱる出版
【初 刊】 2003年5月10日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】脱サラ組や主婦・OLなど、素人を対象にした独立開業指南本。
      基礎知識にとどまらず、商売で成功するための「不変の法則」
      「儲けの法則」をやさしく説明。おすすめ商売42の具体例と
      問い合わせ先も掲載。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は独立開業の準備から始まり、具体的な事業の設定、事業計画づくり、
店舗・施設・設備計画、開業資金の作り方、開業準備の手順と注意点などを具
体例を挙げて説明しており、これから独立開業したい人やSOHOを目指す人
には役立つ一冊になるはずです。

<本紹介>
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【ジャンル】競馬
【著書名】 最後の馬喰 佐藤伝二
【著者名】 瀬戸慎一郎
【出版社】 KKベストセラーズ
【初 刊】 2003年7月20日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】伝説の馬喰・佐藤伝二が馬とともに歩んできた数奇な人生。そこ
      には、過去から現在までの、馬喰でしか知り得なかった日本競馬
      の真実がある。仰天の舞台裏に競馬界激震!
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 馬喰(ばくろう)とは、馬の良し悪しを鑑定する人、また馬の売買斡旋をする
人を意味する言葉で、本書はその馬喰を仕事とする佐藤伝二氏についてを取り
上げています。その佐藤伝二氏は仕事のお客さんでもあることから、本書を読
みましたが、佐藤伝二氏の今日に至るまでは勿論のこと、カツラギエースやホ
ワイトフォンテンやクライムカイザー、そしてアメリカ年度代表馬にもなった
エーヒーインディを発掘した相馬眼などが書かれ、セリ市場の駆け引きなどに
ついても触れられており、競馬ファンとして興味深い内容でした。また、名馬
の相馬としてスペシャルウィークやナリタブライアンを始め、馬体診断も細か
く書かれ、今年のクラシック有力馬や注目の2歳馬の馬体診断もしています。

【た行】

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 ドクター・ハンナ
【著者名】 戸梶圭太
【出版社】 徳間書店
【初 刊】 2003年7月31日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】並はずれた美貌をもつ外科医・石月畔奈。オペでメスをふるうこ
      とに性的快感をおぼえる危ないドクターだ。犬猿の仲の内科医・
      藤井雅弘に再起不能のダメージを与えた彼女は、医学界に君臨す
      る藤井一族を敵にまわすことに…。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 凄腕の外科医・石月畔奈は、稀に見る美貌の持ち主。しかし彼女は、オペで
メスをふるうことに性的快感を覚え、セックスの最中に相手の体をメスで傷を
付け、内視鏡を無理矢理突っ込むなど、非常に危険なドクターだった。そのハ
ンナは仕事もセックスもやりたい放題で楽しく生活していたが、天敵の内科医・
藤井雅弘をお仕置きで再起不能にしたために、医学界に君臨する藤井一族を敵
に回すことになってしまい、人命無視の泥沼戦争が始まった……。
 物語は戸梶パワー全開の痛快サディスト医学物語(?)のクレイジーノベルで
すが、主人公のドクター・ハンナのハチャメチャぶりが全編で魅力的に描かれ
ます。最初から最後まで一気に読ませるパワーは戸梶作品でおなじみですが、
本書も実に痛快に物語でした。

<本紹介>
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【ジャンル】リポート
【著書名】 「通販」だけがなぜ伸びる
【著者名】 鈴木隆祐
【出版社】 光文社新書
【初 刊】 2003年7月17日
【金 額】 740円+税
【カバー文】通信販売業界における唯一の業界団体である日本通信販売協会が
      算出した推計によれば、2001年の業界全体の売上高は2兆4900億円
      といわれ、同協会が調査を開始以来、最高額を記録している。ま
      た、2001年度の日本の小売業全体の売上高が1360兆870億円、その
      中で通販業が占める割合も1.83%と前年比0.11%増加している。
      このようにバブル以降10年以上の長期にわたる平成デフレ不況下
      で、唯一堅調なのが通販業界だ。本書は、通販業界がなぜ今それ
      ほどに躍進し続けるのか、伸びを可能にするビジネスモデルは何
      かを、綿密な企業取材によってあぶり出した渾身のリポートであ
      る。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、おなじみのテレホンショッピングから個人のネット商店など、不況
の現代の中でも右肩上がりの成長となっている通販の世界と、マーケティング
や物流など、通販を支える業界全体を紹介したもの。客が実物を手に取れない
からこそ、客のニーズを読み、商品のある生活を提案するというコンセプトは、
商売の基本を再確認しました。他にも通販をめぐるトラブルなども指摘してお
り、業界の成功の秘訣が上手くリポートとしてまとめられています。

<本紹介>
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【ジャンル】小説集
【著書名】 卵の緒
【著者名】 瀬尾まいこ
【出版社】 マガジンハウス
【初 刊】 2002年11月21日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】捨て子だと思っている小学校4年生の育生、妙ちきりんな母親、
      そのとぼけたボーイフレンド、不登校の同級生、血の繋がらない
      親子を軸に、「家族」を軽やかなタッチで描く。坊ちゃん文学賞
      大賞受賞作に書き下ろし1編を収録。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、表題作「卵の緒」を含めた2編からなる中編集。その2編とも子供
の視点から家族のあり方を描いた物語で、家族の思いやりや心のふれあいを描
き、忘れかけている大切なものを思い起こしてくれる作品です。軽いタッチで
はありますが、家族であること、家族になることを改めて気付かせてくれ、読
後に清々しさを感じました。

【な行】

<本紹介>
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【ジャンル】短編小説集
【著書名】 虹列車・雛列車
【著者名】 花村萬月
【出版社】 マガジンハウス
【初 刊】 2002年6月30日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】作家花村の実にいい加減なアドバイスを守って旅に出た僕。北へ
      南へ、さあ明日はどこへ。一人旅にも慣れて楽しむ僕が見つけた
      ものは…。「神宿る風景」を素描し「私小説」を擬態した短編集。
      『小説すばる』掲載作を単行本化。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は5つの作品が収録された短編集。どの作品にも花村という作家が登場、
一見私小説とも思いますが、私小説ではなく心の風景を文学としての紀行作品
に仕上げています。花村萬月といえば、最近は長編作品が続いていますが、初
期の作品は短編でもありましたから、ある意味原点を意識した作品集なのかも
しれません。時代設定や旅の場所もバラバラではありますが、フト旅行に行き
たくなる短編集でした。

<本紹介>
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【ジャンル】競馬
【著書名】 ナリタトップロード
【著者名】 黒須田守
【出版社】 廣済堂出版
【初 刊】 2003年7月5日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】長きにわたり第一線で走り続けた名馬と、苦楽をともにしたパー
      トナーの若き騎手。GIの栄光から、惜敗、落馬、乗り替わり…。
      悲運につきまとわれた人馬の葛藤と成長を追ったノンフィクショ
      ン。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
 サブタイトルに「騎手・渡辺薫彦の栄光と苦悩」と記されていますが、本書
はナリタトップロードのレース回顧というよりは、渡辺騎手とナリタトップロ
ードというコンビの著書の強い思い入れが書かれています。競馬ノンフィクシ
ョンとして、過去のレースでの知られざる逸話などを期待していましたが、逸
話的なことは少なく、競馬ノンフィクションとしては物足りなさを覚えました。

【は行】

<本紹介>
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【ジャンル】ルポルタージュ
【著書名】 北海道警察 日本で一番悪い奴ら
【著者名】 織川 隆
【出版社】 講談社
【初 刊】 2003年7月1日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】「黒い警部」を生んだ腐敗組織の闇に迫る! 拳銃と覚せい剤を密
      売し、カネとオンナに溺れた「黒い警部」はなぜ生まれたのか。
      告発者と上官の相次ぐ怪死で真相は闇に葬られてしまうのか。巨
      悪の暗部を暴く!
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 昨年7月、北海道警察は当時の幹部・稲葉圭昭警部を覚醒剤使用容疑で逮捕
した。この逮捕をきっかけに、現職警部の拳銃密売、覚醒剤密売という道警を
巻き込む不祥事の発端となりましたが、この事件の真相を丹念な取材で著者が
まとめ、そしてマスコミでは明かされていない事実やも明らかにしています。
事件を隠蔽し続ける腐敗組織の実態や、なぜ当時の幹部の処分が曖昧なのかな
ど、著者は道警の隠蔽体質は勿論のこと、稲葉にスパイとして使われていた男
の元妻や母親、稲葉の愛人や父親などに取材を重ね、重要な言葉を引き出して
いることは、ルポルタージュとして読む価値ある内容でもありました。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】サスペンス
【著書名】 廃用身
【著者名】 久坂部羊
【出版社】 光文社
【初 刊】 2003年5月25日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】「廃用身」とは脳梗塞などの麻痺で動かなくなり、回復の見込み
      のない手足のことをいう医学用語。医師・漆原は医学的な効果を
      信じて老人患者の廃用身をつぎつぎに切断する。悪魔による老人
      虐待か、それとも奇跡の療法か?
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 物語は、麻痺した老人の四肢を切断して「治療」する医師の登場など、かな
り恐怖を感じる設定ですが、介護や医療問題を深く掘り下げたサスペンス。切
断に対する医者の手記から始まる物語は、サストまで一気に読み進みました。
登場人物の苦悩や高齢社会への警告についての描写も丁寧で、新人作家とは思
えないクオリティの高さです。作品評価は分かれるかもしれませんが、衝撃の
作品です。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 BT’63
【著者名】 池井戸潤
【出版社】 朝日新聞社
【初 刊】 2003年6月30日
【金 額】 1900円+税
【カバー文】心を病み妻に去られた男・大間木琢磨は、父の遺品に触れた瞬間、
      奇妙なタイムスリップを経験する…。現在と昭和30年代をクロ
      スオーヴァーする壮大なエンターテインメント。『小説トリッパ
      ー』連載に大幅に加筆して刊行。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 琢磨は2年前、精神の病を発症した。何度か入退院を繰り返すうち、愛する
妻を失い、職をなくし、社会の中での居場所も失ったように思った。ある日、
父の遺品の中から、一風変わった服が見つかる。そのポケットから出てきた一
本の車のキーが、偶然、自分探しの過去への扉をおしひらくことになる。そし
て、ある女性が父を夢中にさせて、呪われた一台のBTに運命の歯車を狂わせ
られる…。
 物語は、現在と40年を隔てた過去がクロスオーバーする構成。池井戸潤の
作品の特徴でもある金融サスペンスではない異色作ですが、展開での欠点も目
に付きましたし、上下段530ページは正直全部読むのに付かれました。ただ
異色作としての方向性としては面白いとは思いますし、金融サスペンス以外の
作品も今後は読んでみたいとは思います。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】謀略ミステリー
【著書名】 フォックス・ストーン
【著者名】 笹本稜平
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2003年5月15日
【金 額】 1905円+税
【カバー文】かつて傭兵仲間だった親友のジャズピアニストが怪死した。その
      謎を追ううちに、男はアフリカ某国の内戦に乗じたとてつもない
      陰謀に巻き込まれる…。日本、米国、アフリカを舞台に展開する
      本格国際謀略ミステリー。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 物語は、日本人でありながらフランス外人部隊上がりの元傭兵で、現セキュ
リティ・コンサルタントをする主人公が、傭兵時代のパートナーの不審な死の
謎を追うという物語。展開は味わいのハードボイルドでもあり、国際的な謀略
ミステリーでもありますが、米国、アフリカと舞台を移す毎にスケールも大き
くなり、特に山中の湖畔での死闘は読みごたえタップリで、世界を舞台とした
奥行きある作品に仕上がっています。

【ま行】

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 モルヒネ
【著者名】 安達千夏
【出版社】 祥伝社
【初 刊】 2002年2月20日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】院長と婚約したばかりの女医・真紀の前に、昔の恋人のヒデが現
      われた。末期ガンに冒された彼は、モルヒネで死を懇願するが…。
      生と死を通して、極限の男女関係を描いた恋愛長編。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
 小学生のときに父の暴力で姉を失って以来自殺願望にとりつかれた真紀。い
つでも自分の時間を自分で止められる職業だからという理由で医師になった。
30歳になった真紀は小さな診療所で働き、赤貧で温厚な長瀬院長と婚約をし
て一見多忙で平穏な日々を送っていた、そんなとき、ホスピスに入院手続きを
しに訪れたピアニストの倉橋克秀と再会する。大学時代に恋に落ち、ピアノの
師事を受けにオランダへ行くからとなんの約束もなく彼女の前から姿を消して
きりの男との再会は7年の空白が消えてゆくが、不治の病に冒された彼は、自
死用のモルヒネを用意してくれないかと言う……。
 物語のテーマとしては重いテーマでもある「生と死」を取り上げていますが、
登場人物の存在感が薄く、主人公の苦悩と弱さを物語としているのですが、全
体的には物足りなさを感じる作品でした。

【や行】

 

【ら行】

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 レモン・インセスト
【著者名】 小池真理子
【出版社】 光文社
【初 刊】 2003年7月25日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】生後まもなく誘拐されて行方不明になっていた4歳下の弟、昭吾
      が見つかった。最初は半信半疑だった澪だが、24年ぶりに再会
      した昭吾は最愛の父の面影をそのまま受け継いでいた。背が高く、
      端整な顔立ち。奨学金とアルバイトで生活費を稼ぎながら大学に
      通う彼には、孤独を引き受けてきた人間特有の強烈な憂いがあっ
      た。互いに恋に落ちてはならないと分かっていながら、どうして
      も惹かれあっていく二人は…。恋愛小説の旗手が、禁断の恋をテ
      ーマに愛の本質に迫る意欲作。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 嶋田澪は28歳。両親とは死別し、弟の崇雄は赤ん坊の時に誘拐され、今は
喫茶店を経営する男の愛人として報酬を受け、生計を立てていた。天外孤独と
なった澪だが、母方の叔母・本田美沙緒とだけは姉と妹のような付き合いを続
けており、弁護士である美沙緒は、ある日仕事を通じて岩崎昭吾と出会い、昭
吾の登場が澪の運命を変える。彼こそが24年間行方の分からなかった弟・崇
雄だったのだ……。
 物語は、近親相姦(インセスト)の不条理な恋愛を切なく描いた作品。相変
わらず女性心理の描写は上手いと感じた作品ですし、平行して描かれる叔母の
不倫も興味深く読めましたが、ラストが急ぎ過ぎでしたし、近年の小池作品の
特徴のようにも感じますが、官能世界がパターン化してきており、かつてのサ
スペンスの鋭さが感じられなくなってきているのが残念です。意欲的なテーマ
に取り組んだことは評価できますが、物足りなさも感じた作品です。

【わ行】

 

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