書評データベース(2003年度10月分)

 

■2003年10月に掲示板にて紹介された本■

 約束の地               平谷美樹    角川春樹事務所
 カンバセイション・ピース       保坂和志    角川春樹事務所
 悪徳商法               大山真人     文春新書
 イラク戦争従軍記           野嶋 剛     朝日新聞社
 夢は荒れ地を             船戸与一     文藝春秋
 シービスケット       ローラ・ヒレンブランド ソニーマガジンズ
 ビンボー主義の生活経済学       森永卓郎     講談社
 恋するカツラ             小林信也     青春出版社
 雨の匂い               樋口有介     中央公論新社
 ススキノ、ハーフボイルド       東 直己     双葉社
 1985年の奇跡           五十嵐貴久    双葉社
 エンジェル              石田衣良     集英社
 セカンド・サイト           中野順一     文藝春秋
 新世界                柳 広司     新潮社
 エ・アロール             渡辺淳一     角川書店
 かび                 山本甲士     小学館
 子どもの王様             殊能将之     講談社
 読んでから死ね! 現代必読マンガ101 中条省平    文藝春秋
 ブルボン小林の末端通信        ブルボン小林   光文社
 必読北海道              中舘寛隆・編集 北海道読書新聞社
 盗作                 伊藤たかみ    河出書房新社
 マッチメイク             不知火京介    講談社
 CHEAP TRIBE         戸梶圭太     文藝春秋
 デフレが蝕む            日本経済新聞社編 日本経済新聞社
 南海ホークスがあったころ      永井良和/橋爪紳也 紀伊国屋書店
 哀愁的東京              重松 清     光文社

【あ行】

<本紹介>
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【ジャンル】ノンフィクション
【著書名】 悪徳商法 --あなたもすでに騙されている--
【著者名】 大山真人
【出版社】 文春新書
【初 刊】 2003年6月20日
【金 額】 690円+税
【カバー文】バブル崩壊後、手口は益々巧妙になり、被害は広がるばかり。
      「時代を映す鏡」といわれる悪徳商法の騙しのテクニックとそ
      の対処法。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 本書は、悪徳商法の事例が広く浅く紹介されているもので、天下一家の会や
豊田商事や霊感商法など、幾つか事例としても紹介しています。また、サムラ
イ商法、デート商法、自己啓発、点検商法、SF商法などの様々なマルチも紹
介しており、騙しのテクニックも記されています。ただ、事例編としての悪徳
商法の紹介については、多くを取り上げているものの、対策編については解決
策など詳しく書かれておらず、特に後半は物足りなさを感じました。

<本紹介>
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【ジャンル】レポート
【著書名】 イラク戦争従軍記
【著者名】 野嶋 剛
【出版社】 朝日新聞社
【初 刊】 2003年6月30日
【金 額】 1000円+税
【カバー文】米軍と一ケ月行動を共にした記者がつぶさに目撃した「生」のイ
      ラク戦争。命を賭けた従軍取材の興奮と恐怖、「戦争報道」の現
      実を伝える。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、イラク戦争で米軍・海兵隊に従軍した記者が、戦争の様子や恐怖、
そして取材方法などについて体験したことをレポートしたもの。記者の目線で
戦争の日常をレポートされていますが、米軍に守られつつ取材する際に中立を
保つことの難しさや、兵士も含め、戦時の心理的な描写など、アメリカ側から
みた目の当たりのイラク戦争についてが書かれていますが、アメリカサイド中
心になるのは致し方ないとも思いますが、軍事行動の被害についても触れてほ
しかったです。ただ、飾らないありのままの報道姿勢にはとても好感が持てま
した。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 雨の匂い
【著者名】 樋口有介
【出版社】 中央公論新社
【初 刊】 2003年7月25日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】癌で入院中の父親と寝たきりの祖父の面倒を一人でみる大学生・
      村尾柊一。彼は善意より殺意を必要とした…。必死だけど可笑し
      くて、優しいくせに傷つける、著者真骨頂のとにかく切ない物語。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
 ビデオ屋と飲み屋でバイトをしながら、余命3ヶ月の父親と寝たきりの祖父
の面倒をみる大学生の村尾柊一。祖父の仕事である塗装業のアルバイトを頼ま
れた緒川家とのつきあいや、バイト先の店長の娘らしき女、父の保険金を前借
りさせてくれといってきた離婚した母親など、柊一のまわりは変人が多く、真
面目な柊一の日常とまわりの人々を淡々と描いた物語。
 最初から展開が淡々としすぎていて、後半に展開の起伏はありますが、樋口
有介の新刊ということで期待していたものの、正直やや期待ハズレの作品でも
ありました。これまでのハードボイルド+ミステリーを期待していただけに、
こういった切ない物語も良いとは思いますが、これまでの作品と比べると見劣
りする作品となってしまいました。

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 エンジェル
【著者名】 石田衣良
【出版社】 集英社
【初 刊】 1999年11月10日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】夏の夜、自分自身の埋葬を目撃したゲームソフト会社のオーナー・
      掛井純一。何者かに殺され、「幽霊」として甦った彼は、失われ
      た記憶と自らの死の謎の解明に挑むが…。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 ある夏の夜、自分自身の埋葬を目撃した掛井純一は、何者かに殺され「幽霊」
として蘇った。失われた記憶と自らの死の謎を追って、欲望と計算にまみれた
現世の人間を探偵していく。縁を切った資産家の父、父代わりの弁護士、映画
界の巨匠、ヤクザ風の男達、そして一目で魅せられた女優の卵……。死後の恋
を守り、すべての謎が解けた夜明け、死者の「生命」を賭けた究極の選択が、
純一に迫る。
 物語は、記憶喪失の幽霊が「自分自身の殺人事件」の謎に挑むファンタジッ
ク・ミステリ。冒頭の出だしは良かったですが、展開に甘さがあり、やや物足
りなさも感じました。また、物語の内容が真保裕一の「奇跡の人」に似ていて、
どちらも自分の記憶探しが重要にポイントとなっていますが、読みやすさとい
う点では、こちらの方が読みやすかったようには思います。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 エ・アロール
【著者名】 渡辺淳一
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2003年6月25日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】堅苦しい考え方を捨てて自分の生きたいように生きていこう! 
      東京・銀座の老人ホームを舞台に、華やかに恋をして生きる高齢
      者達の姿を描いたこの夏最大の話題作。大ベストセラー作家・渡
      辺淳一、二年ぶりの長編小説!
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、老人ホームを舞台に、三角関係に不倫、熟年別居、ストーカー、ホ
ーム内売春などをテーマとした高齢者のセックスに挑んだ長編小説。75歳の
プレイボーイ、65歳の元銀座ママ、80歳のセクハラ老人といった面々が繰
り広げる様々な人間模様を、明るく描いています。高齢者問題と、お年寄り達
の恋愛を描いたのは渡辺淳一らしくもあり、性愛と社会との密接な関わりあり
を上手く表現しています。

<本紹介>
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【ジャンル】連作小説集
【著書名】 哀愁的東京
【著者名】 重松 清
【出版社】 光文社
【初 刊】 2003年8月25日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】週刊誌のライターで生計を立てている絵本作家が主人公。作者自
      身を重ね合わせたかのような、ライターとしての多忙な日々と、
      絵本作家としての作品が書けない日々。元ITビジネスの旗手、
      落ちぶれたアイドル歌手、年老いたSM嬢、ホームレスの夫婦…。
      彼が出会い、見送ってきた「東京」が描かれる。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 中年絵本作家の進藤宏はフリーライターとして生計を立てている。かつては
新進の絵本作家として期待された新藤だったが、ある事件をきっかけに作品が
描けなくなっていた。その新藤はライターの仕事で、人生の下り坂差しかかっ
た人々に出会うのだが、彼らには共通点があり、それは進藤の幻の出世作「パ
パといっしょに」を知っていることだった。進藤は彼らとの時間を過ごし、そ
の度に、進藤の中で新しい絵本を描こうとする意欲が、少しずつ沸きあがって
くるのだった……。
 物語は、人々との出会いを通じて、新たに自分人生の希望を見つけるいう自
分探しともいえる作品です。先に読んだ「疾走」とは違い、こちらはこれまで
の重松作品らしい内容でした。その前作の「疾走」のインパクトが強烈すぎた
ために、特別強い印象は受けませんでしたが、読後にジワリとした感動がある
作品でした。

【か行】

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 カンバセイション・ピース
【著者名】 保坂和志
【出版社】 角川春樹事務所
【初 刊】 2003年7月30日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】幼少時の記憶や一族の歴史が「気配」として今も息づく古い家に
      暮らすことになった作家の「私」は、時空を超えた生のシンフォ
      ニーを聞く…。『新潮』連載に加筆し単行本化。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 物語は、一軒の古い家で生活を共にする家族とそうでない人達(と猫達)の
話。彼らはそこで暮らし、仕事をし、庭を眺め、考え、会話を交わす。あらす
じはそれだけで淡々としているが、家族の空間をよく現した作品です。「カン
バセイション・ピース」とは「家族の肖像」という意味ですが、読み進む毎に
登場人物(家族)の系図が分かり、独特の静かな世界が描かれています。

<本紹介>
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【ジャンル】ルポルタージュ
【著書名】 恋するカツラ
【著者名】 小林信也
【出版社】 青春出版社
【初 刊】 2003年7月10日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】女性たちは本当にハゲの男性が嫌いなのか?カツラで隠すからダ
      メなのか? カツラーはいつカミングアウトすればいいのか? 
      知られざる、カツラー(カツラ使用者)たちの恋愛をめぐる悲喜
      こもごもに迫る、抱腹絶倒のルポ。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 本書は、カツラ使用者(カツラー)の恋愛事情をまとめたレポート。色々なカ
ツラーのカツラにまつわる恋愛体験が紹介され、カツラゆえの苦悩、いつ告白
するか、恋とカツラのジレンマなど、恋愛にまつわるカツラエピソードが面白
おかしく書かれています。著者もカツラであることをカミングアウトしてから、
カツラに関する著作が増えてきましたが、本書はそれなりに楽しく読むことが
できました。

<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 かび
【著者名】 山本甲士
【出版社】 小学館
【初 刊】 2003年5月25日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】主婦・友希江は、病床の夫の左遷を謀る企業への復讐を決意する。
      もう我慢はしない。夫にも、会社にも、法にも頼らない。今まで
      の鬱憤をひとつ残らず晴らしてやる! 負けるものか、負けてた
      まるか…。サスペンス小説。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 勤務中に脳梗塞で倒れた夫を退職に追い込もうとする会社に対し、妻である
友希江が闘いを挑む。その妻のなりふりかまわぬ行動に大企業ヤサカがついに
牙を剥いた。企業存亡の論理か、女の意地か?
 「主婦がたったひとりで大企業を窮地に追い込む!サスペンス」という帯に
惹かれて読みましたが、主婦の復讐劇というのは分かりますが、常識的な妻に
して幼稚園児の母が、夫が過労で脳梗塞になり、会社から見捨てられたので、
キレて会社に復讐するという設定はちょっと的外れのような気もしますし、読
み手によっては評価は分かれるとも思いますが、目が離せない展開は続きます
が、やや期待ハズレのサスペンスでした。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 子どもの王様
【著者名】 殊能将之
【出版社】 講談社
【初 刊】 2003年7月31日
【金 額】 1900円+税
【カバー文】ショウタの親友トモヤは学校にはほとんど行かず本ばかり読んで
      いる。そのせいか途方もないつくり話をよくする。この団地の外
      側には何もない、現に団地の案内図には外側なんて描いてないじ
      ゃないかという。今日も学校はあったよとショウタがいうと、昨
      晩大急ぎで造ったのさ、といった調子だ。他にも団地に住む西の
      良い魔女と東の悪い魔女の話とか、残虐非道な子どもの王様の話
      とか……。だがある日、ショウタはトモヤがいうとおりの姿かた
      ちをした男を目撃する。もしかしてあれが子どもを穴蔵に閉じ込
      め、召し使いとしてこきつかうという子どもの王様?
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 ショウタの友だちで同じ団地に住んでいるトモヤは、登校拒否を続けていた。
学校が終わってトモヤの家でいつも、トモヤは沢山の空想の話を作り、ショウ
タはそれを聞いているのだった。その作り話の中に「子どもの王様」の話があ
った。子どもを虐げるという「子どもの王様」の話も、いつものトモヤの作り
話だとショウタは思っていたが、トモヤの語る外見通りの男が団地に現れ始め
たのだ……。
 物語は少年達の世界を題材にした作品で、これまでの殊能将之独特のミステ
リではないだけに、ファンにとっては大きく評価が分かれる作品だろうとは思
います。ただ自分の子供の頃をフト思い出しましたし、子供の空想力の世界を
うまく表現できている作品だと感じました。

【さ行】

<本紹介>
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【ジャンル】競馬ノンフィクション
【著書名】 シービスケット --あるアメリカ競走馬の伝説--
【著者名】 ローラ・ヒレンブランド/翻訳・奥田祐二
【出版社】 ソニーマガジンズ
【初 刊】 2003年7月10日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】世界恐慌に苦しむ1938年、マスコミをもっともにぎわせたの
      はルーズベルト大統領でも、ヒトラーでも、ムッソリーニでもな
      かった。ルー・ゲーリックでもクラーク・ゲイブルでもない。そ
      の年、新聞がもっとも大きく紙面を割いたのは、脚の曲がった小
      さな競走馬だった。馬主は自動車修理工から身を起こした西部の
      自動車王、チャールズ・ハワード。謎めいた野生馬馴らしの過去
      を持つ、寡黙な調教師のトム・スミス。片目が不自由な赤毛の騎
      手、レッド・ポラード。馬の名は、シービスケット。これは、悲
      劇の名馬と男たちの奇跡の物語である。ニューヨーク・タイムズ
      ベストセラー6週連続第1位となった感動のノンフィクション。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、アメリカでの元祖アイドルホースともいうべきシービスケットの劇
的な生涯と、関わった人々とを描いた実話。馬主、調教師、騎手とそれぞれに
影の部分を色濃く持ち、主人公でもあるシービスケットも最初は全くの無名馬
で酷使され続けるが、その隠れた競走能力が徐々に引き出され、西海岸の王者
に上りつめる。そしてクライマックスとなる東部地区王者ウォーアドミラルと
のマッチレース、長期休養、そして西海岸最大のレース・サンタアニタハンデ
……と、そのストーリーには興奮させられました。ある程度は海外ホースも名
前ぐらいは知っていましたが、このシービスケットは知らなかっただけに、よ
り熱く読むことができました。アメリカではすでに映画が公開されているよう
で、映画もぜひ見てみたいです。

<本紹介>
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【ジャンル】ハードボイルド
【著書名】 ススキノ、ハーフボイルド
【著者名】 東 直己
【出版社】 双葉社
【初 刊】 2003年7月25日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】タフでもなければクールでもない。しかし、そうなろうとあがい
      ている少年の物語。北の歓楽街、ススキノを舞台に、高校生探偵・
      松井省吾が奔る!
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 主人公は高校三年生の松井省吾。その省吾の彼女はススキノで働く年上の美
女・真麻。省吾は真麻のヒモのような状態で、お金をもらって夜な夜なススキ
ノを飲み歩いている。ある日、同級生の金井から相談を持ち込まれ、カッコつ
けながら事件に巻き込まれてしまう。そして省吾の前に立ちはだかるのは不気
味な変態同級生・柏木だった……。
 東直己のこれまでの大人のハードボイルドとはちょっと違い、本書は高校生
が主人公のススキノ物語で、高校生が主人公であるからタイトルも「ハーフボ
イルド」にしたのでしょう。読ませる展開であるのは勿論ですが、ユーモアを
交え、実にテンポ良い作品となっています。ススキノを物語の舞台としている
東直己らしさが満載の青春ハードボイルドです。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 1985年の奇跡
【著者名】 五十嵐貴久
【出版社】 双葉社
【初 刊】 2003年7月25日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】モー娘。じゃなくておニャン子の時代。僕らの弱小野球部にスゴ
      イ奴がやってきた! 練習よりも『夕焼けニャンニャン』。そん
      な僕らが、まさかまさかの甲子園!? 「リカ」で第二回ホラーサ
      スペンス大賞を受賞した作者が放つ、友情、愛情満載の長編青春
      物語。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 物語は、弱い公立高校の野球部にある事情で転校してきた超高校級の投手が
入部し快進撃を続け、野球部のメンバー達の成長が80年代の風物詩と共に描
かれる作品。当時を振り返りながら読むことができ、懐かしさも覚えましたが
軽快なタッチで描かれる青春小説です。これまでの作品とガラリと作風を替え
てきましたが、著者の次作にも注目してみたいです。

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 セカンド・サイト
【著者名】 中野順一
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2003年5月30日
【金 額】 1429円+税
【カバー文】キャバクラのボーイ・タクトは、新人キャストの花梨が不思議な
      ある力を持つのを知り、その存在を気にかける。そんな時、人気
      ナンバーワンのエリカが殺された! 第20回サントリーミステ
      リー大賞受賞作。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 ギャバクラ・ヘラクレスに勤めるチーフのタクトが、売れっ子のエリカから
ストーカーの退治を依頼された。そのころ、ギャバクラ嬢を狙う通り魔事件が
発生しており、不本意ながら引き受けることになったが、ストーカーは常連客
の大倉で、退治には成功した。一方、新人キャストの花梨にただならぬ雰囲気
を感じ、花梨の予知能力に気付いたタクトは、それを承知で彼女と付き合うこ
とに。しかし、終わったと思ったストーカー退治は終わっておらず、その数日
後にエリカが他殺体で発見された。大倉の周辺を調べるタクトだが、そこには
中国マフィアとドラックの影がチラつき始め、そして花梨が失踪する……。
 物語の設定としては面白い設定ではあるものの、ストーリーはシンプルで、
主人公の周辺状況や過去の経緯をもっと細かく触れて欲しかったです。また、
サントリーミステリー大賞受賞作ということで、期待して読みましたが、テン
ポは良かったものの、暴力シーンの迫力も欠けていましたし、それぞれの場面
での物足りなさもありました。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ミステリ
【著書名】 新世界
【著者名】 柳 広司
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2003年7月30日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】第二次大戦が終わった夜、原爆が生まれた砂漠の町で一人の男が
      殺され、混沌は始まった。狂気、野望、嫉妬、憐憫…天才物理学
      者たちが集う神の座は欲望にまみれた狂者の遊技場だったのか。
      そしてヒロシマ、ナガサキと二つの都市を消滅させた男・オッペ
      ンハイマ−が残した謎の遺稿の中で、世界はねじれて悲鳴を上げ
      る。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、原爆開発の拠点となった砂漠の町を舞台にした本格ミステリー。1
945年8月、戦争終結に沸くロスアラモスで起こった撲殺事件。その場にい
たのはノーベル賞級の天才的頭脳ばかり。動機は原爆開発をめぐる科学者同士
の嫉妬なのか、それとも?
 物語では、原爆の父・オッペンハイマーやフェルミなど、著名な科学者が次
々と登場します。ミステリとしての犯人探しもさることながら、ヒロシマ、ナ
ガサキの惨状を知り、次第に狂気に追いやられる原爆が生んだ科学者達の苦悩
に焦点が当てられ、読みごたえあるミステリでした。

【た行】

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 盗作
【著者名】 伊藤たかみ
【出版社】 河出書房新社
【初 刊】 2003年6月30日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】自殺した親友が残したフロッピーと彼の名を使って僕は作家にな
      った。ある日突然何も書けなくなった僕は、彼が生きているのか
      と疑い、死の真相を追い始める。生と死のパラレルワールドを潜
      りぬけて神を殺す小説家の物語。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 主人公で探偵小説を書いている「僕」のペンネームは、高校時代の友人の名
で、5年前に亡くなったその友人のことが気になって帰郷した「僕」は、彼の
残した様々な生の痕跡にからめ取られるように、現在と過去、記憶の空白、生
と死のすき間へと落ち込んでいく。ビートルズのジョンとポールの関係に亡き
友人と自身を重ねながら、「僕」は、書いている自分とは何者か、実は死者に
書かされているだけではないかと苦悩する……。
 物語は、ビートルズのアルバム「アビイ・ロード」に由来するポールの死亡
説を、主人公であるカツミと克巳を暗示した作品で、死の影におびえながら推
理に挑む主人公の心理描写を全面に描いています。その主人公の孤独をよく表
現できているのですが、謎の幾つかが置き去りにされていたのが、読後気にな
り、作品の物足りなさもやや感じました。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 CHEAP TRIBE --ベイビー、日本の戦後は安かった--
【著者名】 戸梶圭太
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2003年8月10日
【金 額】 1476円+税
【カバー文】東北の零細炭抗に生まれ、偽大学生としてデモに参加、強姦未遂
      で殺人、ムショを出たらホームレス。時代に流された沼田永吉の
      人生。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、人権なんて言葉とは無縁の炭坑に生まれ、両親と死に別れ、醜悪極
まりない青年に育ち、社会の底辺を這いずり回るように生きた沼田永吉の生涯
を描いた物語。これまでの戸梶作品に、リアルさとシリアスさを加えたような
展開で、学生運動、ノストラダムス、覚醒剤、援助交際と、ハマっていく主人
公は不気味ではあるものの、目が離せない展開が続き、正に戸梶節といえるパ
ワーで一気に描いています。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ルポルタージュ
【著書名】 デフレが蝕む
【著者名】 日本経済新聞社編
【出版社】 日本経済新聞社
【初 刊】 2003年8月20日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】世界に先んじ未体験ゾーンに突入した日本、デフレの脅威が迫る
      アメリカ、ドイツ…。全地球規模で広がる「経済版異常気象」の
      実相を、第一線記者がレポート。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、地球規模で起きているデフレ現象からの脱却は可能なのかを書いた、
第一線記者による現場ルポ。内容は大きく分けて、「裏切られる経験則」「企
業の興亡」「がけっぷちの資産」「世界に広がる衝撃波」「克服への挑戦」
「新たな活力を求めて」「デフレ処方箋を考える」と7つに分けられ、世界的
なデフレ問題を取り上げています。様々な意見がインタビューや座談会から伺
え、データも図や表で分かりやすく記しており、経済本としても非常に読みや
すかったです。

【な行】

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】文化史
【著書名】 南海ホークスがあったころ
【著者名】 永井良和/橋爪紳也
【出版社】 紀伊国屋書店
【初 刊】 2003年7月5日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】南海ホークスの足跡をたどりながら、単なる球団史ではなく、人
      々が娯楽を求めて集まるスタジアムという場の有り方や、ファン
      の応援スタイルの変遷といった大衆文化論的な視点から戦後日本
      社会を活写する。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、かつての南海ホークス(現ダイエーホークス)の歴史から、南海電車
本社、在阪パ他球団(近鉄、阪急)、観客動員、大阪球場などをテーマに、現
代までの流れをファンの視点から書いた文化史。今まであまり語られることの
無かった球場設計やファンの応援行動を調べ上げ、プロ野球史としても読んで
面白い内容でした。

【は行】

<本紹介>
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【ジャンル】経済
【著書名】 ビンボー主義の生活経済学
【著者名】 森永卓郎
【出版社】 講談社
【初 刊】 2003年7月24日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】長びくデフレで、サラリーマンは年収300万円時代を迎えた。
      日本の「安定」を根本から揺るがす階級社会へと変化している今、
      自分にとっての幸福を探す経済学。シンプルな生活設計で豊かな
      人生をおくろう!
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、ニュースステーションなどでもおなじみの経済アナリスト・森永卓
郎が実践経済学を分かりやすく書いたもの。様々な雑誌でのコラムをまとめた
もので、これまでの森永氏の著作で書かれていることと内容がダブっているこ
とも多いですが、経済を分かりやすく解説し、それを生活で活かせる方法を多
く取り上げている点は多いに評価できると思います。また、ネットオークショ
ンの賢い利用術や、100円ショップの戦略などもお金をかけずに得する生活
術が書かれ、参考になる内容も多かったです。

<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 ブルボン小林の末端通信
【著者名】 ブルボン小林
【出版社】 光文社
【初 刊】 2003年1月30日
【金 額】 848円+税
【カバー文】調べものをしたり、オークションで欲しいものを手に入れたり、
      メールを出したり受け取ったり。Web「生活」者となった我々
      は、少し前には考えられなかったことを普通に行うようになりま
      した。だけど、昔と比べて楽になったのでしょうか。便利さは目
      に見えるけど、それに伴う不便さが目にみえない。そのせいで我
      々は、何に疲れているのかも分からないでいるのではないでしょ
      うか。
【満足度】 ★★★★
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 作者は芥川賞作家・長嶋有の別名で、本書はメルマガでのエッセイをまとめ
たもので、ネット上でありがちな光景をネタに未来のネットを語っているもの
です。ネットは披露宴的だとか、引っ越しネット見積もりのポイントとか、つ
い笑ってしまう気軽なエッセイ集です。

<本紹介>
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【ジャンル】ガイド
【著書名】 必読北海道
【著者名】 中舘寛隆・編集
【出版社】 北海道読書新聞社
【初 刊】 2003年7月15日
【金 額】 2400円+税
【カバー文】北海道新聞日曜読書面の好評「ほっかいどうの本」がついに一冊
      になった! 北海道の本・北海道の書き手による本のなかから、
      必読343冊を厳選紹介!
【満足度】 ★★★☆
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 本書は1996〜2002年までに発行された北海道に関する343冊を紹
介したもの。ジャンル別に、自然、移住、旅、政治、経済、歴史、アイヌ、文
学、そしてスポーツや趣味など、実に多くの書物が紹介されていますが、知ら
ない書物が多く、ガイドブックとして参考になる一冊でした。

【ま行】

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 マッチメイク
【著者名】 不知火京介
【出版社】 講談社
【初 刊】 2003年8月7日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】大手プロレス団体のスターが試合中に死んだ。自殺か? 他殺か?
     「最強」を夢見る新 米レスラー・山田聡は、真相に迫れるか?
      第49回江戸川乱歩賞受賞作。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
 物語は、プロレスのスター選手が試合中に死亡し、強くなりたいと一心に願
う新人レスラーが犯人を捜すという物語。登場人物が多く、中盤からはスピー
ド感も出てきたものの、展開もぎくしゃくしており、肝心のミステリ部分は拍
子抜けする程甘く、江戸川乱歩賞受賞ということで期待して読みましたが、正
直期待ハズレの作品でした。同じプロレスを題材としたミステリでは、桐野夏
生の「ファイアーボール・ブルース」がありますが、こちらの方が迫力やスピ
ード感もあり、ミステリとしても読ませる作品だっただけに、今年の江戸川乱
歩賞はレベルが低かったのではないかとも思えました。次作には期待したいで
す。

【や行】

<本紹介>
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【ジャンル】SF
【著書名】 約束の地
【著者名】 平谷美樹
【出版社】 角川春樹事務所
【初 刊】 2003年6月8日
【金 額】 2100円+税
【カバー文】「約束の地」…それは安息の未来への道か? それとも果てなき
      暗黒への扉か? 血で血を洗う殺戮の連鎖。圧倒的スケールで人
      類の来るべき日を描くサイキックSF巨編。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 物語は、超能力を持つがゆえに普通人の社会からはみ出してしまう者たちが、
穏やかに同胞と暮らせる「約束の地」を求めて東北の廃村に移り住む。しかし、
超能力者の兵器化を目論む自衛隊の佐官が表と裏の組織を動かして彼らの捕獲
に乗り出し、事態は凄惨なサイキック戦争へと進展してゆく……。
 SFファンなら読後に感じるのは、筒井康隆の「七瀬ふたたび」の現代版だ
ろうという点。超能力者達が安息の地を求めて自分たちの世界を作ろうとする
が、一般の人間はそれすら許さないのは「七瀬ふたたび」と同じですが、本書
の場合は、それがサイキック・ウォーズにまで発展してしまうこと、自分たち
の存在と一般の人間の存在の違いを理解したサイキックたちが人間そのものを
超える存在になっていく過程で起こった摩擦だということ、そして一般の人間
の使う「言葉」がいかに不完全なものであるかということを提起しているとこ
ろに大きな特徴があります。SF作品は久々に読みましたが、かつて「七瀬ふ
たたび」を読んだ時の感動を思い起こしましたし、SFの王道といえる作品で
す。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 夢は荒れ地を
【著者名】 船戸与一
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2003年6月15日
【金 額】 1905円+税
【カバー文】暴力はどこまで許されるのか? 我々日本人はあまりにアジアを
      知らなさすぎる。PKOで派遣されたカンボジアの地で現地除隊
      した、元自衛隊員。彼がそこで夢見た「正義」とは…。『週刊文
      春』連載を単行本化。
【満足度】 ★★★★
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 2001年、現役自衛官の楢本辰次は、PKO後に現地除隊して以来、8年
間行方不明になっている越路修介を捜しにカンボジアにやってきた。目的は修
介の妻・春美と自分が結婚するつもりであることを伝えるためだった。修介捜
しが難航する中、楢本は汚職や人身売買が横行するカンボジアの現実に直面す
る。その後、ようやく会えた修介が現地で行なおうとしている「あること」に
楢本は驚かされる……。
 物語は、第三国で行動する日本人達を追った、いつもの船戸作品。上下段で
約620ページというボリュームながら、テンポ良い展開で一気に読み終えま
した。船戸作品なだけに、おそらく年末の「このミス」でも上位に支持される
作品だとも思いますが、展開の動機付けがやや煩わしく感じた部分があり、そ
れがやや残念ではありましたが、物語としては読みごたえある作品です。

<本紹介>
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【ジャンル】マンガ評論
【著書名】 読んでから死ね! 現代必読マンガ101
【著者名】 中条省平
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2003年6月15日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】マンガの中にこそ、人間の真実が宿っている…。松本大洋、井上
      雄彦の作品に共通するパワーの源とは? 古谷実、ねこぢるの世
      界に描かれる毒と黒い笑いとは? 101の名作を独特の視点で
      読み解く、現代マンガ評論の決定版。
【満足度】 ★★★★
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 本書は「週刊文春」で連載のコラムを一冊にまとめたもの現代のマンガ評論。
本書では101作品を取り上げ、あらすじ、みどころ、作者の略歴なども簡潔
に紹介。ジャンルも様々ですが、面白いマンガを探している人にはお勧めでき
る内容ですし、マイナーで知らなかった作品も割と多く紹介されているのは、
マンガ好きとしては嬉しい内容です。かつて別冊宝島で出していたような、数
多くの作品の細かなガイドという感じではありませんが、著者には今後もより
多くの作品を解説してもらいたいと思います。

【ら行】

 

【わ行】

 

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