書評データベース(2004年度4月分)
■2004年4月に掲示板にて紹介された本■
まんざら 中野 翠 毎日新聞社
青い翅の夜 王国記W 花村萬月 文藝春秋
コンセント、抜けてます。 栗林 彰 秀和システム
三度怒った競馬の神様 河村清明 二見書房
牧場発・種牡馬たちの真実 関口隆哉 オークラ出版
最終退行 池井戸潤 小学館
からくり民主主義 高橋秀実 草思社
オークション大魔王 金井 覚 文藝春秋
希望 永井するみ 文藝春秋
虚構金融 高嶋哲夫 実業之日本社
黄金蝶ひとり 太田忠司 講談社
パーフェクト・プラン 柳原 慧 宝島社
読売巨人軍をダメにした「ジャイアンツバカ」 江本孟紀 講談社+α文庫
崖っぷちジョッキー 谷中公一 光人社
サクラチル 小川竜生 角川春樹事務所
卒業 重松 清 新潮社
ザ・合併 中野富男 文芸社
これなら貯まる 中村敏夫 飛鳥新社
あと1億円生涯収入を増やす本 森永卓郎/加治将一 小学館
漁師VSインターネット 岩本 隼 出窓社
残虐記 桐野夏生 新潮社
ニッポンの課長 重松 清 日経BP社
預金封鎖に勝つ資産運用 副島隆彦監修 宝島社
世界の書店をたずねて 能勢 仁 郁文塾
書店風雲録 田口久美子 本の雑誌社
【あ行】
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 青い翅の夜 王国記W
【著者名】 花村萬月
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2004年1月30日
【金 額】 1429円+税
【カバー文】僕はただの犬にすぎなかったんだ…。自分がつくろうとしていた
王国の「王」が自分ではないことに突如気づいた朧。真の王たる
ものは、誰か? 「王国記」シリーズ。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
「ゲルマニウムの夜」から続く「王国記シリーズ」の最新作ですが、本書で
は主人公の朧が飛行機の中で突然自分の未来を悟るという新たな展開が描かれ、
これまでのシリーズ同様に見事なまでに暴走する神の子・朧の姿が描かれます。
まだまだシリーズは続きますが、大作シリーズの「百万遍」共々、花村萬月の
今後も目が離せないシリーズです。
<本紹介>
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【ジャンル】体験記
【著書名】 オークション大魔王
【著者名】 金井 覚
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2003年11月25日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】洋服から住宅まで、あらゆるアイテムが入手できる魔窟・ネット
オークション。そこで3年間、約ン百万をつぎ込んで落札しまく
った著者による馬鹿(買)い物列伝。ネットオークションを徹底活
用するとはこのことだ!
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は著者のヤフーオークション買い物記。ネットオークションについてノ
ウハウ本ということではなく、個人で落札した馬鹿なアイテムや、アイドルに
落札した物を着させるファッションショーなど、個人的な活用方法をさらけ出
した内容です。趣味で落札した物、好奇心で落札した危ない商品と、おもしろ
ヤフオクワールドが紹介されています。
<本紹介>
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【ジャンル】経済
【著書名】 あと1億円生涯収入を増やす本
【著者名】 森永卓郎/加治将一
【出版社】 小学館
【初 刊】 2004年1月10日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】ベストセラー作家2人が説く、幸福になるためのマネー・ライフ
実践の書。銀行の嫌がる預金者になろう、不動産で儲けるための
鉄則、小遣いは副業で稼げなど、さまざまな金儲けのノウハウを
伝授。『SAPIO』連載を単行本化。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
「年収300万円時代を生き抜く経済学」の森永卓郎と、「借りたカネは忘
れろ!」の加治将一が1億円貯めるためにはどうすればいいかを対談した内容
が本書。節税術や副業など、両者のマネー哲学は実際に実行できるかどうかと
いうと疑問な部分も多かったですが、経済の情報源としては面白かったです。
【か行】
<本紹介>
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【ジャンル】パソコン
【著書名】 コンセント、抜けてます。
【著者名】 栗林 彰
【出版社】 秀和システム
【初 刊】 2004年1月21日
【金 額】 1200円+税
【カバー文】ああ、あるあるある! パソコンやインターネットを使っていて
よくあることを、表裏ひっくるめてシニカルに解説。ネット編、
一般ユーザー編、不正コピー編、ハッカー/クラッカー編、SE
編で構成。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
本書はパソコンでよくありがちなネタを川柳にまとめた、パソコン業界トリ
ビア本ともいえる内容です。パソコン利用者なら必ず一度は経験していて思わ
ず納得させられたり、また笑えたりと、色々なパソコン知識でのネタが豊富に
載っています。
<本紹介>
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【ジャンル】ノンフィクション
【著書名】 からくり民主主義
【著者名】 高橋秀実
【出版社】 草思社
【初 刊】 2002年6月5日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】原発・沖縄・宗教・環境などの社会問題を、実際の現場を歩いて
レポートする。マスコミが伝える単純化された図式ではなく、戦
後民主主義の生み出した歪みを浮き彫りにした異色作。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
本書は、統一教会、オウム反対運動、沖縄米軍基地、若狭湾の原発、諫早湾
の干拓などの問題について、関わっている人々についてのルポルタージュ。現
場でのインタビューから、マスコミで提示されている現実とは違い、複雑な利
害が錯綜し、それぞれの側の言い分についても知ることができます。ただ、論
点を整理するということではなく、マスコミや一般世論の単純に白黒つける現
実を揶揄的に描いています。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 希望
【著者名】 永井するみ
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2003年12月15日
【金 額】 2400円+税
【カバー文】5年前に老人を次々と殺害した少年が、少年院から戻ってきた。
母親や刑事、カウンセラー、被害者の孫たちを巻き込んで、やが
て起きる新たな事件…。長篇エンタテインメント。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
東京と千葉で、老女3人が連続して殺される事件が発生し、死体には「大変
よくできました」というハンコが押されていた。やがて捕まった犯人は14歳
の中学生だった。当然、顔写真や氏名は公表されなかったがネットで流出され、
整った顔立ちと「計画を立てきちんと実行するプロセスを楽しみたかった」
「狙いやすい子供ではなく年寄りをターゲットにしたのは、その人の生命価値
を数値化したら明らかにお年寄りより子供のほうが高くなるから」といった言
葉が人気を呼び、犯人の少年にはファンクラブまで出来た。それから5年。そ
の息子をもてあます母親、カウンセラーと旧知の雑誌記者、被害者の孫、当時
の事件を担当した刑事などを巻き込んで、新たな事件の幕が開く……。
作品としては、少年犯罪をうまく物語としていて非常に興味深い内容ではあ
りました。ただ気になったのはラストのエピソードと女性カウンセラーの恋愛
が余分だったのと、視点が広くなりすぎて、焦点が絞られていなかったのが残
念に思いましたが、加害者と被害者の両面から事件を捉え、登場人物達の苦悩
はよく描かれていました。
<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 虚構金融
【著者名】 高嶋哲夫
【出版社】 実業之日本社
【初 刊】 2003年11月25日
【金 額】 1900円+税
【カバー文】日本再生への志を抱いていたが、不審死を遂げた財務官僚が掴ん
でいた謀略とは? 有力地銀と金融庁幹部の不透明な関係とは?
迷走する日本経済を抉る書き下ろし金融サスペンス。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
地方銀行合併を巡り、銀行と官僚との贈収賄疑惑が浮上した。その渦中で、
東京地検特捜部が聴取したエリート官僚が転落死をし、米国では第一線の経済
学者が交通事故死を遂げた。そして事件の真相を追う地検検事が、日本経済凋
落をもたらした驚くべき真実にたどり着く……。
物語は、地方銀行合併と金融庁幹部の不透明な関係を暴ききれない検察にジ
レンマを感じながら、執念で真実にたどり着く東京地検特捜部検事の後鳥羽の
活躍を描いたサスペンス。日本経済の闇の部分をサスペンスとして描き、最初
から最後まで一気に読んだ作品でした。ラストでやや物足りなさが残ったもの
の、金融サスペンスとしては展開に惹きつけられましたし、存分に楽しめた作
品でした。
<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 黄金蝶ひとり
【著者名】 太田忠司
【出版社】 講談社
【初 刊】 2004年1月30日
【金 額】 2100円+税
【カバー文】鍾乳洞の奥に隠されていたとてつもない宝!? 5年生の夏休み、
洸は祖父の住む茶木村で過ごすことになった。アサギマダラの生
息地で自然豊かな村には、山を守る「テツ」がいるという。そん
な村に開発の手が!
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
5年生の夏休み、洸は物心がついてから会っていない祖父・白木義明の住む
茶木村で過ごすことになった。アサギマダラという蝶が群れとび、鍾乳洞があ
り、豊かな自然が残る村には、山を守る“テツ”がいるという。その祖父は、
あらゆることの先生として、村民から尊敬されていたが、その祖父が突然姿を
消した……。
本書は「かつて子供だったあなたと少年少女のための」というキャッチコピ
ーにて昨年7月より開始された、シリーズの第3回配本分。太田忠司らしく少
年を主人公に良質の謎解きミステリに仕上がっていて、その謎解き部分も楽し
く読むことができました。作品としては楽しめ、文字も大きく読みやすかった
ですが、このボリュームでこの値段は値段は高すぎると感じました。
<本紹介>
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【ジャンル】競馬
【著書名】 崖っぷちジョッキー
【著者名】 谷中公一
【出版社】 光人社
【初 刊】 2003年10月26日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】減量の苦しみ、乗り替わりの屈辱、騎乗馬が少ない寂しさ…。ジ
ョッキー稼業の現実を、「負け組」JRA現役騎手がすべて教え
ます! 勝てない地獄も全部しゃべる、タフな競馬本。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書はJRA現役騎手である著者が書いた自伝ともいえる競馬本。これまで
騎手が書く本というのは、リーディング上位騎手ばかりでしたが、谷中公一と
いう騎手は昨年1勝しかしていない騎手で、競馬ファンでも知らない人がいる
だろうともいえる騎手。その著者がこれまでの騎手本では誰も書かなかった減
量の苦しさ、なぜ騎乗馬が減ったのか、落馬事故についてなど、自らの競馬に
対する思いと共に書いています。今までは単に勝てない騎手として、その存在
すら殆ど気にしていない騎手でしたが、谷中騎手の人柄に触れ、応援したくな
りましたし、今後は騎乗レースにも注目してみたいです。また、ぜひとも騎手
の話を再び書いてほしいです。
<本紹介>
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【ジャンル】経済
【著書名】 これなら貯まる
【著者名】 中村敏夫
【出版社】 飛鳥新社
【初 刊】 2003年12月6日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】月20万円の年金で生活しつつ5年間で1000万円貯めた実践
経験から人生の後半を心豊かに暮らすコツを紹介。「自分運用」
ともいわれる資産運用法から自分の人生スタイル確立法まで、老
後をバラ色におくるテクニックを解説。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は、著者がタイのチェンマイで暮らす一休さんに蓄財の話を聞きながら
投資を学ぶというスタイルで書かれています。一休さんの株資金は300万円。
そこからの株戦略、年間を通しての資産運用方法など、独特の方法で利益を出
した実績と方法が、彼の信念とともに語られています。サブタイトルの「年金
20万円5年で1000万円貯める手法」につい目が行きがちですが、一攫千
金の話ではなく、海外で生活し、自分のスタイルで資産運用するという内容は
参考になりました。
【さ行】
<本紹介>
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【ジャンル】競馬
【著書名】 三度怒った競馬の神様
【著者名】 河村清明
【出版社】 二見書房
【初 刊】 2003年12月15日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】サンデーサイレンス後継馬を模索する生産者、小栗孝一と怪物オ
グリキャップの十年愛、生殖能力喪失のサクラユタカオーを救え
…。サラブレッドを走らせるのは、馬ひとすじの情熱。人と馬の
強固な結びつきを描く。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は著者が月刊誌「優駿」などで掲載された競馬での取材したノンフィク
ションをまとめたもの。ただ全てに追記する形で書き加えられているため、書
かれた当時と現在との変化も書いており、取材の丹念さを実感することができ
ます。これまでも「JRAディープインサイト」や「馬産地ビジネス」など、
競馬界のタブーや馬産地でとか知り得ない情報を丹念で丁寧な取材をもとに書
いてきた著者ですが、本書ではその著者の競馬に対する熱い思い、自分と競馬
とのエピソードが多く書かれ、一競馬ファンとして親しみの持てる競馬ノンフ
ィクションです。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 最終退行
【著者名】 池井戸潤
【出版社】 小学館
【初 刊】 2004年2月20日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】ゼネコンへの巨額不良債権を放棄する一方、中小企業に対しては
貸し渋り、貸し剥がし。中小企業の経営者を相手にコツコツ働い
てきた現場行員が、私利私欲に凝り固まったエリート頭取に鉄槌
を下す。長編銀行ミステリー。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
東京第一銀行の副支店長・蓮沼鶏二は、締め付けを図る本部と、不況に苦し
む取引先や行員との板挟みの中、本部の意向を第一に考えて動く支店長と対立
し、毎日のように遅くまで残業し、最後に支店を出る「最終退行」の常連だっ
た。バブル期の経営責任もとらず、公的資金に頼りながら、なおも会長として
院政を敷く元頭取、その会長に策謀を巡らすリストラに遭った行員との攻防。
銀行ぐるみの不正の匂いをかぎつけた副支店長は、ついに反旗を翻した……。
物語は、銀行組織に、中小企業の経営者を相手にコツコツと働いてきた現場
銀行員が、仕事への誇りを賭けて闘いを挑んだ物語。池井戸作品らしく、銀行
を舞台に現在の会社組織の影の部分をミステリー仕立てとして描き、最初から
最後まで惹きつけられる展開でした。
<本紹介>
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【ジャンル】ハードボイルド
【著書名】 サクラチル
【著者名】 小川竜生
【出版社】 角川春樹事務所
【初 刊】 2003年11月8日
【金 額】 1900円+税
【カバー文】真実は死の中に、夢は流れた血の中に…。欲望の街、六本木。過
去を棄てた男、山県竜二は、そこで、野望と権力抗争の渦に巻き
込まれていく…。伝説の殺し屋、人斬り竜二の苛烈なる生涯!
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
人に知られたくない過去を持つ龍二は、イタリア人のロスの経営する六本木
のレストランでバーテンとして働いていた。そんな中、店の常連客だった大木
が、老舗暴力団・東政会の3代目を襲名することになるが、代替わりの混乱に
乗じて、勢力の拡大を狙う新興暴力団・銀桜会の李と麻布会の蓮見が反目。闇
金融で裏社会とつながるロスも抗争に巻き込まれてゆく……。
物語は伝説の殺し屋・人斬り龍二を主人公にしたハードボイルド。本書は
「桜と龍」などの龍二シリーズ最新作。ただ、著者は昨年末に亡くなられてい
るため、おそらく本書が遺作となった作品だとも思います。中学生の時に殺人
犯の汚名を着せられ、東京でやくざになった龍二を描いた「桜と龍」、そして
その後の龍二が描かれる本書とシリーズではその龍二の存在感溢れる作品とな
っています。
<本紹介>
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【ジャンル】短編小説集
【著書名】 卒業
【著者名】 重松 清
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2004年2月20日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】ある日突然「僕」を訪ねてきたのは、自殺した親友のひとり娘だ
った。少女の手首にはリストカットの傷跡が…。表題作ほか、そ
れぞれの「卒業」に臨む4組の家族の物語。『小説新潮』掲載に
加筆して単行本化。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
本書は「卒業」を題材にした、4つの短編集で、重松清らしく「家族」をテ
ーマにした作品集です。登場する4人の主人公は40歳の男性で、物語は一人
称で進んでいきますが、それぞれに家庭があり、親の介護や死に向き合い、思
春期の子どもに悩み、リストラされたりと、それぞれの背景は異なりますが、
家族の在り方を見事に描いています。母親の痛いほど強く、深い愛情がみごと
に描かれた「まゆみのマーチ」、父親の死に向き合い、その人生に思いをはせ
る「あおげば尊し」、自殺した親友の娘との交流を通し、生を浮き彫りにする
「卒業」、なさぬ仲である母親との長すぎた和解までを描いた「追伸」と、そ
れぞれの物語は淡々と進んではいますが、いずれの作品も胸に刻み付けられる、
そんな物語集です。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 ザ・合併
【著者名】 中野富男
【出版社】 文芸社
【初 刊】 2003年10月15日
【金 額】 1000円+税
【カバー文】合併で地域住民が受ける利益と不利益を、小説的手法でえぐり出
し、理想的な市町村合併のあり方に迫る。今日、地方行政で話題
となっている市町村の合併問題にリンクさせた社会派小説。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
本書は市町村合併について、小説として様々な問題点を浮き彫りにし、架空
の町での合併を描いたもの。現在も全国的にも市町村合併の話が多く進められ
ていますが、ここでは自治体の問題、商工会の課題、各産業問題、合併のリス
ク、行政問題と、現実的な問題を例を挙げて描かれています。
合併問題は各自治体で様々な問題点を抱えるだけに、本書はあくまでもモデ
ル的小説という感じで、細かな財政状態や、自治体住民の負担についてを多く
取り上げてほしかったですが、それでも市町村合併の大まかな流れは分かりや
すかったです。
<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 残虐記
【著者名】 桐野夏生
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2004年2月25日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】失踪した作家が残した原稿。そこには、25年前の少女誘拐・監
禁事件の、自分が被害者であったという驚くべき事実が記してあ
った。奔流のようにあふれ出した記憶。『週刊アスキー』連載に
加筆して単行本化。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
本書は、東電OL事件をモチーフにした「グロテスク」に続き、新潟の少女
監禁事件をモチーフにしたもの。25年前の少女誘拐・監禁事件の被害者で、
現在は作家となった「小海鳴海」こと生方景子。彼女の元に出所した犯人から
手紙が届き、彼女は失踪。そして物語は、夫が出版社に彼女の手記を送付する
ところから始まります。手紙と手記という珍しい構成ではありますが、少女誘
拐・監禁事件の真実が明らかにされます。テーマの重さはありますが、桐野夏
生らしい切り口として物語が描かれ、事件が及ぼした両親の離婚、社会的な差
別、容疑者との関係、検事との確執など、展開も読みごたえがありました。
<本紹介>
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【ジャンル】レポート
【著書名】 世界の書店をたずねて
【著者名】 能勢 仁
【出版社】 郁文塾
【初 刊】 2004年1月15日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】海外書店めぐりの楽しさを書店研究の第一人者である著者が紹介
する、愛書家のためのガイドブック。ヨーロッパ、アメリカ、ア
ジアと3大陸にわたり、23カ国115書店を掲載。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
本書は、ヨーロッパ、アジア、アメリカの3大陸での世界の115書店の海
外書店訪問記。書店のレファレンス機能、ファッションの国の展示の美しさ、
特化された専門書店など、各国の書店事情をまとめた1冊です。普段知ること
がなかった世界の書店を取り上げ、その特徴などもレポートし、中々興味深い
内容でした。
<本紹介>
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【ジャンル】手記
【著書名】 書店風雲録
【著者名】 田口久美子
【出版社】 本の雑誌社
【初 刊】 2003年12月15日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】個性派書店「池袋リブロ」を牽引した、また現場で実際に働いて
いた人々の証言を中心に、20年間にわたり書店の現場で見続け
てきた書店員の姿を通して、出版流通の戦後日本書店史の一断面
を描いた一冊。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は、池袋西武百貨店内にオープンしたリブロを中心に、当時の書店事情、
書籍販売、出版事情まで含めて、リブロの社員だった田口さんが書いた一冊で
す。ベストセラー本の変遷、バブル下での書店の繁栄、小説本の棚割りでジャ
ンル分けを諦めるほかなくなった経緯、書店業の内幕、開業当時から現在まで
の書店事情の変遷など、書店事情を語った本として、本好きならきっと面白く
読めることだと思います。
【た行】
【な行】
<本紹介>
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【ジャンル】ルポルタージュ
【著書名】 ニッポンの課長
【著者名】 重松 清
【出版社】 日経BP社
【初 刊】 2004年1月31日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】起死回生の「りそな」課長、雪印の苦情係課長、デパートの駅弁
祭課長コンビなど、全国でがんばる21世紀のカチョーさん21
人を応援するルポルタージュ。『日経ビジネスアソシエ』連載に
加筆して単行本化。
【満足度】 ★★★★
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本書は様々な全国の課長21人をルポルタージュしたビジネスノンフィクシ
ョン。経営破綻後もそごうに留まる横浜店の売出計画課長を始めとして、苦情
対応に追われつつもスノーブランド再生を目指す雪印乳業お客様センター課長、
ヒットツアーを連発するはとバス企画部計画課副長、100万本の南高梅林を
擁する和歌山県南部川村のうめ課長、大ヒットスポーツドリンクのブランド・
マネジャーを務める往年の名ラガーメンなど、ルポというよりも経済や社会、
そして会社を支えている課長たちのドラマが描かれます。
【は行】
<本紹介>
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【ジャンル】競馬
【著書名】 牧場発・種牡馬たちの真実
【著者名】 関口隆哉
【出版社】 オークラ出版
【初 刊】 2004年1月12日
【金 額】 1429円+税
【カバー文】ステイゴールドが日高で背負う重い責任、勝ち組サッカーボーイ
と負け組オグリキャップの明暗…。現役時代の栄光なんて通用し
ない! 競馬より過酷な種牡馬サバイバルレースを北の大地から
渾身レポート。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
本書は、5章に分けられ、それぞれに種牡馬の現実が書かれるレポート。馬
産地、種牡馬界の生き残りといえるサバイバルレースの中で生きる種牡馬達を
取り上げています。セキテイリュウオー、キョウトシチー、チアズサイレンス、
親子3代内国産種牡馬のアンバーシャダイ、メジロライアン、メジロブライト、
SS系種牡馬、オグリキャップ、メリーナイスなど、種牡馬入りした当時と現
在との違い、そして今後の期待についてが書かれています。種牡馬を対象とし
ていますが、それぞれの種牡馬と関わる人々についても触れられています。
<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 パーフェクト・プラン
【著者名】 柳原 慧
【出版社】 宝島社
【初 刊】 2004年2月5日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】「身代金ゼロ!せしめる金は5億円!」誰も殺さない誰も損をし
ない。ネット・トレーディング、ハッカー、代理母など、今日的
アイテムを盛り込んだ誘拐ミステリー。第2回「このミステリー
がすごい!」大賞、大賞受賞作品。
【満足度】 ★★★★★(文句なし!)
End------------------------------------------------
代理母をして生計をたてている小田桐良江は、自分が出産した三輪俊成が母
親から虐待されているところを目撃し、連れ帰ってしまう。良江のかつての愛
人でキャバクラの店員をしている田代幸司と、その兄貴分であるアングラカジ
ノの店長・赤星サトルは、良江と俊成を連れて、元相場師の張龍生の家に転が
り込む。そして俊成の父親が投資顧問会社の経営者であることを知った4人は、
「誰も殺さない、誰も損をしない、せしめる金は5億円」という前代未聞の誘
拐計画を実行に移す。しかし、成功したかに見えた計画は、あるハッカーの出
現により、思わぬ方向へ転がり始める……。
物語は、ネットトレーディング、金融工学、コンピュータウイルス、ハッカ
ー、バイオサイエンス、代理母、瞬間像記憶など、現代的なアイテムを盛り込
んだ誘拐ミステリー。様々なアイテムを取りこんではいるものの、全て展開を
見事に盛り上げており、更に自閉症の俊成、ボケ老人となった龍生の父、精神
を病む俊成の母、コンピュータに精通した女性刑事など、登場人物も個性的で、
正に息をつかせぬスピード感溢れる作品に仕上がっています。これまでの「こ
のミステリーがすごい!」の受賞作品は正直賞に相応しくない作品ばかりでし
たが、本書は大賞に相応しく、久々に大当たりといえる作品でした。これはお
勧めです!
【ま行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】エッセイ
【著書名】 まんざら
【著者名】 中野 翠
【出版社】 毎日新聞社
【初 刊】 2003年12月25日
【金 額】 1333円+税
【カバー文】雑誌『サンデー毎日』連載のコラム「満月雑記帳」が今年も1冊
に。世相から身辺の出来事まで縦横無尽に斬り込む痛快エッセー
集。各章末に書き下ろしのコラムを掲載。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
カバー文にもあるように、「サンデー毎日」でのコラム「満月雑記帳」の昨
年分をまとめたのが本書。これまでもこのコラム本を読んできましたが、中野
翠らしい切り口で、世相について書かれており、共感できる内容も相変わらず
多かったです。本と映画の話も多く、じっくり読むことのできるコラム集です。
【や行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】プロ野球
【著書名】 読売巨人軍をダメにした「ジャイアンツバカ」
【著者名】 江本孟紀
【出版社】 講談社+α文庫
【初 刊】 2003年11月20日
【金 額】 740円+税
【カバー文】就任1年目に日本一……ジャイアンツの監督として初の偉業を達
成した原辰徳監督が、まさかの更迭。ライバル阪神タイガースの
お株を奪うお家騒動で世を騒がせ、「球界の盟主」の威信もすっ
かり地に堕ちた読売巨人軍。原前監督が唱えた「巨人愛」は自己
愛が辿り着くべき「ジャイアンツバカ」へと昇華して、チームを
崩壊に導いた。“エモやん”こと野球評論家の江本孟紀氏が、巨
人再建のためのスパイシーエールを、かつての好敵手堀内恒夫監
督に送る!!
【満足度】 ★★★
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本書は大きく3章に分けて、「ジャイアンツバカ」として巨人軍への辛口の
エールを書いてあるもの。以前に読んだ「2004年版プロ野球を10倍楽し
く見る方法」とダブっている部分もありますが、結構納得いく提言が書かれて
おり、中でも江本のいうコンバート案や巨人再建論は、巨人ファンではありま
せんが、面白く読むことができました。
<本紹介>
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【ジャンル】経済
【著書名】 預金封鎖に勝つ資産運用
【著者名】 副島隆彦監修
【出版社】 宝島社
【初 刊】 2004年3月2日
【金 額】 933円+税
【カバー文】「2005年から数年内に、日本で預金封鎖が実施される」とい
う恐るべき予測がついに現実味を帯びてきた。国際分散投資やオ
フショアバンク、海外ファンド購入など、来るべき預金封鎖に打
ち勝つための7大秘策を大公開!
【満足度】 ★★★★
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著者の「預金封鎖」についての著書は読んだことがありましたが、本書は0
5年以降、米国債の大暴落から始まる恐慌から政府が「預金封鎖」を強行する
という前提で、その対策や資産運用ノウハウについてが図や表を交えて紹介し
ています。これまでの著書の内容と大きく変わらないものの、ムック本という
こともあってかカラーページで非常に読みやすかったことと、優良海外ファン
ドをデータ、投資利回り、運用シュミレーション、問い合わせ先など、かなり
細かく紹介しているのは参考になりました。特に海外ファンドに興味ある人に
はお勧めの1冊だと思います。
【ら行】
<本紹介>
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【ジャンル】手記
【著書名】 漁師VSインターネット
【著者名】 岩本 隼
【出版社】 出窓社
【初 刊】 2003年3月15日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】念願の漁業権取得。新たに漁船・隼丸を造り、漁師生活一筋の夫
を尻目に妻と娘はインターネットの虜に…。イワモト・ワールド
の面々が繰り広げる、面白くもほろ苦いインターネット騒動と昔
ながらの漁師暮らし。
【満足度】 ★★★
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著者は週刊誌に記事を書きながら千葉県で漁師兼農業を営み、パソコンを買
ったものの、文章はワープロで書き、メールとネット専用機として使っていた
ものの、何時の間にか妻と娘が自分のサイトを立ち上げ、著者は漁業権を手に
入れ、地域新聞を出し、妻はドイツ語の本を外国のネット仲間と家族の手助け
で訳し、ショッピングモールのサイトを立ち上げるという著者家族の家族エッ
セイともいうべき内容です。
当初はタイトルと帯から、漁師の著者がネットの活用についてを書いたもの
だと思い、この点が読む前と後でギャップがややあったものの、漁師に興味の
ある人にはお勧めです。
【わ行】
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