書評データベース(2005年度7月分)
■2005年7月に掲示板にて紹介された本■
グルーヴ17 戸梶圭太 新潮社
君たちに明日はない 垣根涼介 新潮社
銀行にだまされるな! 須田慎一郎 新潮社
キャッチアウェーブ 豊田和真 角川書店
幸福を売る男 藤田宜永 角川書店
桃 姫野カオルコ 角川書店
黒笑小説 東野圭吾 集英社
黙の部屋 折原 一 文藝春秋
これであなたも競馬通! 柏木集保 NHK出版
ドキュメンタリーは嘘をつく 森 達也 草思社 〇
教科書が教えない 歴史有名人の晩年 新人物往来社編 新人物往来社
お気楽ライター道 ウサ吉 技術評論社
毛の商人 高須基仁 コアマガジン
円の支配者 リチャード・A・ヴェルナー 草思社
腐蝕の王国(上下巻) 江上 剛 小学館
上陸 五條 瑛 講談社
モビィ・ドール 熊谷達也 集英社
審判 深谷忠記 徳間書店
最新 今「地球」が危ない GAKKEN
仕事をしなければ、自分はみつからない。 三浦 展 晶文社
一日二時間で月一〇〇万円儲けるネット直販術 砂原康治 梧桐書院
檸檬のころ 豊島ミホ 幻冬舎
半島を出よ(上下巻) 村上 龍 幻冬舎
終末の海 片理 誠 徳間書店
殴られ屋の女神 池永 陽 徳間書店
【あ行】
<本紹介>
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【ジャンル】手記
【著書名】 お気楽ライター道
【著者名】 ウサ吉
【出版社】 技術評論社
【初 刊】 2005年6月1日
【金 額】 1380円+税
【カバー文】特別なコネも経歴もない、長年活字業界入ろうと勉強していたわ
けでもない女子大生のウサ吉が、地道なやり方で業界に入り、学
び、自分なりの仕事の仕方を見つけていった経験談です。等身大
の語り口と爆笑間違いナシの可愛いイラストで、出版業界の本音
が垣間見れます。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は、フツーの女子大生の著者が、紆余曲折を経てフリーライターになる
までの物語が書かれたもので、著者の奮闘ぶりや失敗を通じて、出版業界の仕
組みや、情報収集・企画立案・執筆のコツやテクニックについても書かれてい
ます。思わず笑ってしまいイラストも非常に良い効果で、読みやすく出版業界
に興味ある人にはお勧めの内容だと思います。
<本紹介>
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【ジャンル】経済
【著書名】 円の支配者
【著者名】 リチャード・A・ヴェルナー
【出版社】 草思社
【初 刊】 2001年5月14日
【金 額】 2000円+税(\100)
【カバー文】バブルの創出も崩壊も日銀の「日本改造十年計画」の中に仕組まれ
ていた! 政府が景気回復に向けて必死の努力をしていたとき、
なんと日銀は信用を収縮させ、景気回復を故意に遅らせたのであ
る。 なぜか? 著者は名探偵のごとく犯人を追いつめ、遂に日
銀の陰謀ともいえる行動を突き止める。 日本を震撼させる力作!
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
著者のリチャード・A・ヴェルナーは元日本銀行の客員研究員で、その時の
調査をもとに、日銀の内部事情を明らかにし、その金融政策がバブルの創出、
崩壊にいかなる影響を及ぼしたのかについて厳しい指摘しているのが本書です。
全て日銀が仕組んだ仕業としている点には正直疑問も残るものの、細かな分析
は読みごたえもあり、バブル経済について他とは違う視点で論じている点は興
味深かったです。
<本紹介>
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【ジャンル】ビジネス
【著書名】 一日二時間で月一〇〇万円儲けるネット直販術
【著者名】 砂原康治
【出版社】 梧桐書院
【初 刊】 2005年5月17日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】ネット直販術の手順とコツ、なんと通帳までも全部見せます、教
えます! サラリーマンでも短時間で、簡単に、確実に儲ける
「Yahoo!オークション」の裏ワザ・まる秘テク満載。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書の内容をまとめると、著者が自分の好きなものを企画して、ネットオー
クションで販売とマーケティングをし、その特許を売却するという過程をまと
めたもの。オークションでの販売方法を具体的に書いてあり、また取引者との
細かなやりとりも書いているため、これまで数多く出ているオークションノウ
ハウ本とは違った興味深さがありました。誰でもできることではなく、自らの
アイデアを商品とし、特許を取得し、オークションに出品するというやり方は、
特にネットで店舗運営している人には役立つ内容だとは思います。
【か行】
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 グルーヴ17
【著者名】 戸梶圭太
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2005年4月30日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】同じ日に、童貞を捨てる奴もいれば、命を捨てる奴もいる。土曜
の夜の六本木、17歳の高校生たちがそのパーティーに結集した
時、運命が動いた。あのトカジが挑んだ青春小説は、○○学園芸
能科がモデル?
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
まともなデビューすらしていない芸能コースの女子高生と、やりたい盛りの
普通科コースの男子達のパーティーまでを描いた青春小説が本書ですが、戸梶
らしくエログロが描かれるものの、比較的サラリと描いている作品です。ケー
タイでのメール会話もリズムを感じさせ、高校生パワー全開の痛快作品です。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 君たちに明日はない
【著者名】 垣根涼介
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2005年3月30日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】リストラを専門に請け負う会社に勤めている真介の仕事は、クビ
切りの面接官。昨日はメーカー、今日は銀行、女の子に泣かれ、
中年男には殴られる。はっきり言ってエグイ仕事だ。それでもや
りがいはあるし、心も身体も相性バッチリの恋人もいる。そして
明日は……? 笑って唸って泣かされる、恋と仕事の傑作エンタ
テインメント!
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
主人公の村上真介は企業の人員削減を専門とする日本ヒューマンリアクトの
一社員。物語は真介と、彼によって退職勧告を受ける人々のせめぎ合いに焦点
を当て、企業でのクビ切りを主軸にした作品。
リストラをする側、される側の厳しい現実を舞台とした人間ドラマが描かれ
ていますが、切実な内容ではあるものの、笑いもあり、暗くなりがちな題材を
比較的明るく描いていたのが印象に残ります。登場人物も存在感があり、著者
の作品としては珍しく殺人が起きませんが、新たな側面を見せてくれた作品で
す。
<本紹介>
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【ジャンル】レポート
【著書名】 銀行にだまされるな!
【著者名】 須田慎一郎
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2005年4月20日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】ペイオフ解禁を契機に、「収益力」をめぐる銀行間のサバイバル
レースが始まった。同時に銀行の最終戦争は、新たに誕生するギ
ガバンク「三菱UFJ」、「三井住友」、「みずほ」の三グルー
プによる競争に絞られた。各メガバンクは収益アップのターゲッ
トとして個人預金者に狙いを定め、新型店舗の開店や、クレジッ
トカード機能付きキャッシュカードの発行など、新たなビジネス
を展開。大変貌を遂げる銀行業界について、あなたが知っておく
べきことを詳細レポート。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
本書は、銀行業界の変貌をレポートすると共に、銀行業界を通して、日本型
経営の最終解体や敵対的M&Aの本格化に揺れる日本経済の展望を分析する経
済レポート。「1000万円以上預金があるのがいいお客さん。それ以下はゴ
ミです。ゴミからはキッチリとお金を取る」……という銀行サイドの本音も見
え、ギガバンクの攻防についても実に読みごたえある内容となっています。バ
ブル時代の奇妙といえる株の暴騰、三菱東京フィナンシャルグループによる合
併吸収でのUFJの消滅など、中々見えてこなかった銀行業界の側面をしっか
りと解説している点は高く評価できる内容です。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 キャッチアウェーブ
【著者名】 豊田和真
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2005年4月15日
【金 額】 1143円+税
【カバー文】君のためなら、どんな波でもつかんでみせる! あこがれの湘南
で初めてのサーフィンに果敢に挑む落ちこぼれ高校生3人組。初
恋の人ジュリアのために大洋は台風直後の大波に命をかけるが…。
サーファーとして自然をリスペクトしていくことを3人は学んで
いく。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
物語は、3人の高校生が憧れの湘南へ行き、初恋の人ジュリアの為に波にの
ろうと果敢に挑みつつ、自然を知るという内容。著者が16歳ということで話
題にもなりましたが、16歳の高校生とは思えない程の文章で、清々しい内容
でもあります。映画化も頭に入れて書いたとのことで、映画化されても面白い
作品だとは思います。
<本紹介>
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【ジャンル】短編小説集
【著書名】 黒笑(こくしょう)小説
【著者名】 東野圭吾
【出版社】 集英社
【初 刊】 2005年4月30日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】笑いのマエストロが放つ超ブラックユーモア。丸い物がすべて巨
乳に見えるようになって…「巨乳妄想症候群」。メル友に会うた
め写真と実物の差を埋めようとする女…「奇跡の一枚」。他、
「選考会」等全13編の猛毒爆笑短編集。
【満足度】 ★★★★
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本書は、「怪笑小説」「毒笑小説」に続く第3弾となる13編の短編が収録
されたブラックユーモア短編集。したたかなシンデレラの実像を描いた「シン
デレラ白夜行」、別れた恋人にストーカーとして調教される「ストーカー入門」、
モテない男の夢を形にしたような「モテモテ・スプレー」、売れないお笑いコ
ンビの奮闘を描いた「笑わない男」など、主人公の悲劇や喜劇がブラックユー
モアたっぷりに描かれます。1編が20ページ程度と短い短編ではあるものの、
奥深さのある短編集です。
<本紹介>
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【ジャンル】競馬
【著書名】 これであなたも競馬通!
【著者名】 柏木集保
【出版社】 NHK出版(生活人新書)
【初 刊】 2005年5月5日
【金 額】 660円+税
【カバー文】知れば知るほど、競馬はもっと面白くなる……。日本の競馬が新
しい時代に入った。国際競走の増加、外国人騎手の活躍、3連単
をはじめとする新馬券の登場など、話題も豊富で目が離せない。
毎週楽しんでいる人も、しばらく休養していた人も、サラブレッ
ドの奥深さ、スポーツとしての醍醐味や興行のしくみにもう一度
触れて、長く競馬に親しもう。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
著者は競馬中継の解説もしており、本書は新書ではあるものの、競馬につい
てを幅広く取り上げています。世界における日本の競馬の位置、生産牧場の減
少や調教師制度のひずみ、現在の日本競馬ビジネスにおける問題点、血統、馬
券……、淡々とではあるものの、競馬素人でも興味を持たせるような語り口で
分かりやすく書かれています。競馬ファンとしては物足りなさは感じましたが、
競馬の奥深さの一端が見えてくる内容になっていた点は良かったです。
<本紹介>
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【ジャンル】人物
【著書名】 教科書が教えない 歴史有名人の晩年
【著者名】 新人物往来社編
【出版社】 新人物往来社
【初 刊】 2005年5月20日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】あの人は、どのように〔老い〕を迎えたか?意外に知らない日本
史有名人の晩年と死に方とは…。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
本書は、江戸の伊達政宗から昭和の美空ひばりまで、日本史に活躍した有名
人物91人の「晩年」にスポットをあて、頂点を極め、現役を退いたあと、い
かに老いを迎えたか、その知られざる晩年の姿を紹介しています。雑学的でも
あり、「トリビアの泉」歴史有名人版ともいえる内容で、中々面白かったです。
【さ行】
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 幸福(しあわせ)を売る男
【著者名】 藤田宜永
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2005年4月25日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】リストラされて、妻からも離婚され、なにもやる気を失っていた
真二郎の下に、官能小説を書かないかとという話が舞い込んでく
る。性欲を捨てていたと思っていた50男が、巡る様々な女性と
は…。大人の情愛小説。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
リストラされてやる気を失い、女房しか知らず女性に縁の無い主人公が、大
学時代の同人誌仲間から官能小説を書くことを勧められ、小説を書き始めるが、
題材を探して散歩中に隅田川の橋に佇む女性に関心を抱き、恋愛感情が呼び戻
される……。
物語は、下町の人情を絡めながら、50代の主人公の性と中年男性の人生の
転機を描いた作品。女性への恋愛感情は勿論のこと、隣に住む芸者、女性編集
者、料亭の女将など、様々な女性達の悩みにも触れ、主人公の生真面目さと大
人の恋愛が描かれる、読みごたえある作品です。
<本紹介>
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【ジャンル】連作短編小説
【著書名】 上陸
【著者名】 五條 瑛
【出版社】 講談社
【初 刊】 2005年4月25日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】同居しながら建設現場を渡り歩く金満、安二、アキム。どこにで
もいそうなダメ男三人は、過去にある大きな秘密を抱えていた。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
物語は、リストラされて職を転々とし現場にきた中年の金満、酒と博打が趣
味で前科のある安二、不法滞在パキスタン人のアキムの建設現場を渡り歩く男
3人組の物語。密入国や不法就労に絡んだ揉め事が短編として描かれています
が、作品として問題提起もしており、連作短編ながら長編のスタイルでの展開
となっているだけに、読みごたえのある作品です。
<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 審判
【著者名】 深谷忠記
【出版社】 徳間書店
【初 刊】 2005年4月30日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】人は犯した罪を償えるか?……幼女誘拐殺人犯として有罪判決を
受けた柏木。懲役15年の刑を終えて出所した彼は、意図的に冤
罪を着せられたと主張するが……。柏木は本当に無実なのか、狙
いは何か? 周到な仕掛けと伏線で読者に挑んだ著者会心の書下
し本格推理。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
1998年に起きた女児誘拐殺害事件の判決公判が行われ、被告の大学生の
柏木に懲役15年が言い渡された。それから16年後。この事件を捜査し、犯
人逮捕にあたった村上は、すでに警察を退職していたが、かつての上司が久留
島の受勲を祝う催しを開いた時に、出所した柏木が訪ねてきた。その柏木は今
も無罪を主張し、自らのホームページで、事件に対する情報を求めていた。そ
の後も、柏木は村上の自宅の周りに出没するのだが、狙いは何なのか。村上は
柏木の有罪を確信しているのだが……。
物語は、1つの刑事事件を通じて、その事件に関わった人々の、人間として
の弱さや冤罪問題についてを描いた作品。前半は単調ではあったものの、読み
進むうちに展開の奥深さが広がっていきました。人は罰によって罪を償えるの
か?を問う、心に残る一冊でした。
<本紹介>
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【ジャンル】ノンフィクション
【著書名】 最新 今「地球」が危ない
【出版社】 GAKKEN
【初 刊】 2005年4月30日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】地球上には、現在確認されているだけでも、150〜170万種
の生物がいるといわれている。21世紀の地球と人類のために、
今、何をなすべきか? オゾン層破壊、遺伝子汚染、核事故など、
地球環境に関する最新データを紹介。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
カバー文でも分かるように、地球環境問題に関するデータを紹介したのが本
書。様々な現代の環境問題が取り上げられていますが、読めば読む程、その深
刻さを痛感しましたし、個人でできることは限られる部分もあるものの、より
一層環境問題についてを考えていきたいと改めて感じました。全ページカラー
で環境汚染の酷さを感じる写真入りでもあるため、読みやすいのは勿論のこと、
環境の悪化についても分かりやすく紹介されています。
<本紹介>
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【ジャンル】ノンフィクション
【著書名】 仕事をしなければ、自分はみつからない。
【著者名】 三浦 展
【出版社】 晶文社
【初 刊】 2005年3月5日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】仕事をしない20〜30代の若者が社会的問題となっている。い
わゆる“団塊の世代”の子どもにあたるこの世代の若者たち…。
彼らはコギャルやガングロ、プリクラや携帯電話といったファッ
ションの火付け役でもあった。いつしか大人になった彼らは、
「自分に合わない仕事ならしたくない」「自分に向いた仕事がわ
からない」など、ぼんやりと曖昧に豊かな社会ならではの自由を
甘受し、“フリーター世代”を形成した。路上での食べ歩き、コ
ンビニ文明、活字離れなどなど、迷走する現代の若者たちを目の
あたりにして、“自分を探すな、仕事を探せ。”筆者はそう訴え
る。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
本書は、若者文化論としての無業者問題についてを論じたもの。著者の主張
している「自分を探すな、仕事を探せ」ということについて、ある意味納得す
る部分もあるのですが、どうも若者に対する苦言が空回りしている感もありま
した。若者文化に関する分析や観察は興味深い内容ではあっただけに、もう少
し細かな分析と社会的な問題点も論じてほしかったです。
<本紹介>
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【ジャンル】SF小説
【著書名】 終末の海
【著者名】 片理 誠
【出版社】 徳間書店
【初 刊】 2005年3月31日
【金 額】 1900円+税
【カバー文】核戦争による現代社会の崩壊後、圭太は父や仲間とともに大型漁
船で海上基地を目指していた。だが、船は嵐に遭い、座礁してし
まう。そんな彼らの目の前に、巨大な豪華客船が現れ…。第5回
日本SF新人賞佳作入選作品。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
核戦争による現代社会の崩壊後、少年・圭太は、父やその仲間とともに大型
漁船で日本を脱出し、南太平洋に浮かぶ海上基地フロート・ナインを目指して
いた。だが船は嵐に遭い、座礁してしまう。そんな彼らの前に現れた、巨大な
豪華客船。救世主のように思われたその船は、調査に訪れた大人達を載せたま
ま、忽然と姿を消してしまう。それから二年、謎の「箱船」は、何度か圭太達
の前に姿を現すが、大人達は誰一人帰ってこなかった……。意を決して「箱船」
に乗り込んだ子供達は、なんと、船が完全に無人であることを知る。この船は、
いったい……何なのか?
第5回日本SF新人賞佳作入選作とのことで読みましたが、作品としては面
白いSFではあるものの、登場人物の存在感がやや薄く、大人のSFというよ
りは子供向けのSFという印象が強いです。ただ、物語の設定は非常に面白く、
アニメ化やコミック化となると、より作品の面白さが引き立つようには思いま
した。
【た行】
<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 ドキュメンタリーは嘘をつく
【著者名】 森 達也
【出版社】 草思社
【初 刊】 2005年3月22日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】ドキュメンタリーとは事実の客観的記録である……ほんとうにそ
うなのだろうか? すべての映像は、じつは撮る側の主観や作為
から逃れることができない。ドキュメンタリーを事実の記録とみ
なす素朴で無自覚な幻想からは、豊かな表現行為は生まれようが
ない。だが、撮ることに自覚的で確信犯的な作品の中には、観る
側の魂を鷲づかみにしてきたものが多々ある。本書は、ドキュメ
ンタリーというものが拓いてきた深甚な沃野に向き合い、その悪
辣で自己本意で、自由で豊潤な表現世界の核心へと迫るものであ
る。たんなる映画作品論ではない。この現実世界の見方そのもの
を揺さぶる鮮烈な論考である。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は、草思社の月刊PR誌「草思」に連載されたものをまとめたもので、
映像作家でもある著者が、自身のドキュメンタリーの世界を論じたエッセイ。
「殺人集団」の視線が足りぬとオウムの撮影がお蔵入りになった経緯、精神障
害者の犯罪を扱ったニュース特集で、モザイクの多用を強いられた体験、そし
てテレビ全体からのドキュメンタリーの後退……とドキュメンタリーの現状を
浮き彫りにし、マイケル・ムーアの作品がダメな理由や、ドキュメンタリー史
の本質的な事件にも斬り込んでいます。
【な行】
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 殴られ屋の女神
【著者名】 池永 陽
【出版社】 徳間書店
【初 刊】 2005年3月31日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】一発1000円の殴られ屋。奇妙な商売を始めた理由は、ノック
アウトされる寸前に見える幻の女性。仕事を失い、妻を失い、家
を失い、全てを失って、今夜も男は街に出る…。連作長篇小説。
『問題小説』掲載を単行本化。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
須崎康平は、一発1000円の殴られ屋。小学2年生の頃、母親に殴られて、
脳内に白い女神像が現れ、その幻の女性に会うために、恵比寿駅西口で殴られ
屋を始めた。それぞれの客は、色々な問題を抱え、銀行員の夫に暴力を振るわ
れて子供を虐待する母親。職を失う体罰教師。不良グループにお金をせびられ
る中学生。低賃金で労働搾取される元タイ式ボクシング選手。後妻の命日に息
子を打ち負かしたい老人など、様々で、殴られる須崎も心身共に傷を負ってい
た……。
物語は、殴られ屋の主人公と、様々に問題を抱える人々が描かれる作品で、
主人公・登場人物共にしっかりと描かれ、抱えている心の問題も細かく描写し
ており、読みごたえのある作品となっています。結末に多少物足りなさは感じ
たものの、見所が多い内容です。
【は行】
<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 毛(ヘア)の商人
【著者名】 高須基仁
【出版社】 コアマガジン
【初 刊】 2004年2月7日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】「土下座でナンボ」の脱がせ屋稼業、「悪役」ヘアヌードプロデ
ューサーが語る、今だから明かせる裏エピソードを紹介。『週刊
アサヒ芸能』『BUBKA』連載に大幅加筆。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
本書は、ヘアヌードの仕掛人として知られる著者が、写真集の裏エピソード
も交えたエッセイ。菅野美穂ヘアヌード写真集の真相や叶姉妹からの訴訟問題
など、全体的にワイドショー的な内容で、気軽に読めるエッセイです。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 腐蝕の王国(上下巻)
【著者名】 江上 剛
【出版社】 小学館
【初 刊】 2005年5月10日
【金 額】 1400円+税(上下共)
【カバー文】バブル前夜から銀行再編までの経済裏面史! 頭取と専務に登り
つめた藤山と西前。しかしバブル期に行なった無軌道な融資で不
良債権の山が。これを隠蔽するため…。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
大手の東名富国銀行の頭取・藤山と副頭取・西前は、かつてのバブル以前の
部長と主任の時代に藤山が若手女子行員を妊娠させてしまい、その始末をつけ
た西前との二人三脚で今の地位に上り詰めていくが……。
物語は、メガバンクを舞台に、色、金、権力を巡る壮絶な人間模様を描きだ
した作品。上司に逆らい左遷された行員、保身に走る行員、裏でうごめく大物
フィクサー……など、他の登場人物も丁寧に描かれ、銀行の表と裏をよく描い
た作品で、上下巻共に一気に読みました。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 半島を出よ(上下巻)
【著者名】 村上 龍
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2005年3月25日
【金 額】 1800円+税(上巻) 1900円+税(下巻)
【カバー文】北朝鮮のコマンド9人が開幕戦の福岡ドームを武力占拠、2時間
後、複葉輸送機で484人の特殊部隊が来襲、市中心部を制圧し
た。彼らは「反乱軍」を名乗った…。財政破綻し、国際的孤立を
深める近未来日本に起こった奇蹟。
【満足度】 ★★★★★(文句なし!)
End------------------------------------------------
物語は、北朝鮮特殊戦部隊の精鋭が福岡ドームを占領し、3万人の野球観戦
客を人質にして、福岡を日本国から独立させようと図る、緊迫した近未来政治
小説。いきなり武力占拠から始まる展開ではなく、最初に日本の円と国債と株
の大暴落が起き、国民の預貯金が凍結されるという経済問題から始まりますが、
この経済大国から転落した日本に北朝鮮が付け入る展開となり、福岡ドームで
の武力占拠へと繋がります。そして特殊戦部隊の人質作戦に手をこまねいた日
本政府は、テロの拡散を恐れて福岡を封鎖するものの、特殊戦部隊は住基ネッ
トと納税者番号を駆使して、悪質な資産家を逮捕し、財産を没収して、その資
産をもとに福岡内部の政治・経済を押さえ、更に制圧を広げていき、自分達に
攻撃が加えれば報復の処刑とテロを行うと脅迫し、規律に反した部隊兵を見せ
しめに公開射殺していき、特殊戦部隊の完全な勝利に終わったかに思えたのだ
が……。
久々の村上龍の作品でしたが、上下巻合わせて900ページ強のボリューム
ではあったものの、目が離せない展開が続き、興奮が続く面白さでした。単に
近未来テロを描くというだけではなく、その展開には日本が抱える経済問題も
盛り込まれ、ネタバレになるので詳しくは書けませんが、日本の犯罪少年達の
活躍もあり、スリルとサスペンスのある展開が最後まで続きます。村上龍の作
品は個人的には当たりハズレがあると思っていますが、本書は大当たりの作品
で、内容も非常に濃く、読後も興奮が続きました。お勧めの一冊です!
【ま行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】短編小説集
【著書名】 桃
【著者名】 姫野カオルコ
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2005年3月31日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】許されぬ恋。背徳の純粋。誰もが目を背け、嫉妬し、傷ついた…。
胸に潜む遠い日の痛み。苦みに癒される6つの物語。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
当時中学生だった森本隼子は教師の河村と激しい恋に落ちた。二人は密会を
重ねるが、噂が広まり、同じ中学校で許されぬ恋を目撃した6人が、各自の思
い出を綴る短編集。
本書は、著者の作品である「ツ、イ、ラ、ク」を軸とした短編集ではあるも
のの、続編という形ではなく、時の隔たりをテーマにした作品です。表題作
「桃」で32歳となった森本隼子が中学時代を思い出す物語ですが、この表題
作が悲しくて切なく、一番印象に残る作品でした。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ミステリ
【著書名】 黙の部屋
【著者名】 折原 一
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2005年4月25日
【金 額】 2095円+税
【カバー文】画家、石田黙とは何者か? 風変わりな絵の作者を追う美術雑誌
の編集者。地下室に監禁されてひたすら絵を描き続ける男。実在
の絵をめぐる迫真の美術ミステリ。図版多数収録。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
ある雨の夕刻、美術雑誌の編集者が古物商で見つけた一枚の風変わりな絵。
画家、石田黙とはいったい何者なのか? 地下のアトリエに監禁され、絵を描
き続ける男。記憶を失った謎の男の正体は?
物語は実在する石田黙という画家の絵画を織り込んだ作品。実在の画家が登
場し、エピソードも一部事実が含まれているそうで、どこからがフィクション
なのかが判り難い点は面白いとは思うものの、おなじみのトリックは他の作品
と比べると圧倒的に少なく、これまでの折原作品から比べるとインパクトも少
なく、物足りなさを感じました。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 モビィ・ドール
【著者名】 熊谷達也
【出版社】 集英社
【初 刊】 2005年1月10日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】イルカが住む巌倉島。涼子は環境保護団体の一員として、生態調
査を行う一方、ドルフィンスイムの手伝いをしていた。だが、突
然のシャチの出現で平和な島に波紋が広がり…。初の本格的な海
の物語。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
物語は、伊豆諸島の架空の島「巌倉島」を舞台とし、そこのNPO組織「鯨
類鳴音研究所」の若き責任者である比嘉涼子と、新たに雇い入れたダイバー葛
西拓海との屈折した恋を背景とし、イルカの群れを襲うシャチと研究所の人々、
島民、イルカウオッチングのために島を訪れた観光客達の、戦いと共生への思
いを中心とした物語。イルカやシャチの生態やクジラを含めた海洋ほ乳類と人
間との関係史なども交えて、物語の幅を広げていますが、動植物の生態系問題、
それに伴う自然と人間との関係をうまく物語に活かしています。
【や行】
【ら行】
<本紹介>
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【ジャンル】連作小説
【著書名】 檸檬のころ
【著者名】 豊島ミホ
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2005年3月5日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】かっこ悪くて、情けなくて、でも忘れられない瞬間がある。田ん
ぼと山に囲まれた、コンビニの一軒もない田舎の県立高校を舞台
に綴る、青春の物語。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
物語は、山と田んぼに囲まれた田舎の進学校に通う生徒達と、彼らをすぐ近
くで見守る人々の姿を描いた連作短編集。淡々とした展開ではあるものの、初
恋、部活、失恋、受験、上京などを7つの作品に盛り込んでいます。地味では
あるものの、高校時代をつい思い出す作品です。
【わ行】
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