書評データベース(2005年度11月分)

 

■2005年11月に掲示板にて紹介された本■

 摘出 つくられた癌          霧村悠康     新風舎
 楽園の眠り              馳 星周     徳間書店
 二人乗り               平田俊子     講談社
 ホームタウン             小路幸也     幻冬舎
 ミッドウェイの刺客          池上 司     文藝春秋
 東京DOLL             石田衣良     講談社
 図解雑学 通貨と経済         野村茂治     ナツメ社
 政治の数字              伊藤惇夫     新潮新書
 ゲバゲバ70年!           大橋巨泉     講談社
 負けるのは美しく           児玉 清     集英社
 その日の前に             重松 清     文藝春秋
 ソウルで逢えたら           松岡圭祐     徳間書店
 うなぎ鬼               高田 侑     新潮社
 酒気帯び車椅子            中島らも     集英社
 フルスウィング            須藤靖貴     小学館文庫
 響きと怒り              佐野眞一     NHK出版
 誤読日記               斎藤美奈子    朝日新聞社
 渋谷ではたらく社長の告白       藤田 晋   アメーバブックス
 アマゾン・ドット・コムの光と影    横田増生  情報センター出版局
 復刊ドットコム奮戦記         左田野渉     築地書館
 働きすぎの時代            森岡孝二     岩波新書
 丸山タケシのテレビメッタ斬り  丸山タケシ ソフトバンクパブリッシング
 厭世フレーバー            三羽省吾     文藝春秋
 エキスペリエンツ7 団塊の7人    堺屋太一    日本経済新聞社
 えれじい               鳴海 章     講談社

【あ行】

<本紹介>
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【ジャンル】暗黒ミステリ
【著書名】 うなぎ鬼
【著者名】 高田 侑
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2005年6月20日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】何でも喰っちまうらしいぞ、やつらは…。取り立て屋とデリヘル
      の運転手をしている勝。心酔している社長に命じられた「仕事」
      とは…。密かに運び込まれる冷凍の箱、うなぎの群れ、ヤバイ仕
      事。ぞくりと肌が粟立つミステリー。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 デリヘルの運転手をしている倉見勝は、借金地獄にハマって組事務所に拉致
され、女房を売るか臓器を売るかという大ピンチに立たされるが、フロント企
業の社長に巨体を見込まれ、債券回収係にスカウトされる。身を粉にして働く
勝が、ある日、社長から命じられたのが、東京近郊にある黒牟なる街にコンテ
ナを運ぶ日当15万の運送仕事だが、初めて訪れた黒牟は、異様な街だった…。
 物語は、善良で不器用な男がその性格ゆえに転落してゆく様子が描かれ、土
俗ホラーの要素を融合させたミステリ。小説の怖さと笑いと紙一重で、ユニー
クかつ個性的な作品です。読み手によっては評価が分かれる作品だとは思いま
すが、強烈な印象が残りました。

<本紹介>
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【ジャンル】ルポルタージュ
【著書名】 アマゾン・ドット・コムの光と影
【著者名】 横田増生
【出版社】 情報センター出版局
【初 刊】 2005年4月23日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】出版業界のタブーをものともせず、急成長した要因は何か。徹底
      した秘密主義の裏側では何が行われているのか。元・物流業界紙
      編集長が覗いたネットビジネス、その裏側に広がる底辺。月刊
      『文芸春秋』掲載を大幅に加筆修正する。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、秘密主義を貫くアマゾン・ジャパンの内情を暴くべく、市川塩浜に
あるアマゾン物流センターでアルバイトとして働いた筆者の潜入ルポ。サブタ
イトルに「躍進するIT企業 階層化する労働現場」とありますが、このサブ
タイトルが本書の中身を良く表したタイトルだとも思います。6ヶ月にわたる
潜入取材から、その実情が書かれていますが、ネットビジネスの裏側といえる、
格差社会の実態は正直衝撃的でもありました。代替可能な時給900円のアル
バイトには、仕事に対するモチベーションなど全くなく、1500円以上で送
料無料のサービスがなぜ可能なのかも書かれています。更に、潜入ルポにより
生じた疑問をもとに色々と調べ、取次との関係や直接仕入れでの掛け率と仕入
れ部数、シアトル本社との関係、再販制度の問題などが記されていて、出版業
界の内情の一部を知ることができ、非常に興味深かったです。約1万5000
平方メートルのところに200人あまりのアルバイトが黙々とピッキング(本
を抜き出す作業)して梱包する。正社員からアルバイト、派遣社員などの安価
な労働力に切り替えている日本経済の縮図と労働現場がここに書かれています。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 厭世フレーバー
【著者名】 三羽省吾
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2005年8月5日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】突然、父親が失踪。没頭していた陸上をやめ、14歳のケイは新
      聞を配り始めるが……。家族という不可思議な関係を描くポップ
      な一冊。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 物語は、日常が崩壊した家族の、ふたたび現実に向き合うまでの混乱の日々
を描いた家族物語。豪快で型破りな父親がリストラを機に失踪。残された家族
たちの生活も一転し、中学2年生のケイは、中学卒業とともに家を出ようと陸
上部を辞めて新聞配達を始め、17歳のカナは、おでん屋で深夜までバイトを
し、27歳の長男のリュウは、家長の意識に目覚め、家族の生活費を稼ぎだす
ように。そして42歳の母の薫は家事を放棄し酒浸りに……。
 父親の失踪を機に、家族がバラバラになり、その混乱を描いた作品ですが、
14歳の少年の苛立つ日常を皮切りに、家族の秘密が少しずつ語られていき、
家族の絆とは何かという重いテーマを軽快なタッチで描いた作品です。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 エキスペリエンツ7 団塊の7人
【著者名】 堺屋太一
【出版社】 日本経済新聞社
【初 刊】 2005年7月15日
【金 額】 1900円+税
【カバー文】「団塊の世代」から30年。早期退職を迫られている銀行員に、
      商店街再生の依頼が舞い込む。それに応え、知恵と経験溢れる7
      人の団塊たちが立ち上がった! 『日経ビジネス』連載「ジ・エ
      キスペリエンツ」を改題、加筆・修正。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 銀行員の56歳の坂本龍生は、これまで支店長、新規産業部長などを歴任し
てきたが、今は早期退職を勧められている。ある日、高校の同級生・木戸が訪
ねてきて、経営するそば屋のある「梅之園ハッピー通り商店街」の窮状を訴え
た。坂本は知り合いの建築家、コンサルタントら、知識と経験を備えた団塊世
代の「エキスペリエンツ」に呼びかけ、商店街再生のために立ち上がる……。
 物語は、東京のとある商店街を舞台に、シャッター通りと化した街を現役を
退職した7人のエキスペリエンツ(知識や経験をもった熟達者)が再生すると
いう話。まちつぐりと商店街活性化を物語とした作品ではありますが、物語と
して本書で描かれる内容は東京ならではの設定で、地方でのまちづくりでは、
これほどうまくは行かないとも思うのですが、まちづくりの可能性を示した作
品です。2007年は団塊の世代が大量に定年退職を迎えることから、200
7年問題とも呼ばれていますが、大量の退職者が地域社会での生活が中心とな
ることから、まちづくりにおいてこれらの人々の活躍も期待され、そういう背
景も踏まえた作品であることは高く評価できると思います。こういった作品が
これまで無かっただけに、内容も新鮮で、堺屋太一ならではの小説で、読み応
え十分な作品でした。

<本紹介>
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【ジャンル】警察小説
【著書名】 えれじい
【著者名】 鳴海 章
【出版社】 講談社
【初 刊】 2005年9月8日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】女性警官殺しと中学生の銃乱射事件。共通するマグナム弾を追う
      潜入捜査官・佐倉。頼れるのは、うだつの上がらない極道・跡見
      のみ…。組織人でありながらぎりぎりのところで踏みとどまろう
      とする男の矜持を、哀切を込めて描く。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 物語は、美人巡査部長の射殺事件と中学生の銃乱射事件を背景に、共通する
マグナム弾の行方と真犯人を追い奔走する男達の活躍と悲哀を描いた作品。鳴
海章らしい小気味良いハードボイルド作品で、潜入捜査官の佐倉の孤独な捜査
が非常に良く描かれています。

【か行】

<本紹介>
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【ジャンル】自伝
【著書名】 ゲバゲバ70年!
【著者名】 大橋巨泉
【出版社】 講談社
【初 刊】 2004年3月25日
【金 額】 1900円+税
【カバー文】昭和のTVと共に歩んだ大橋巨泉、自らの歩みを振り返る! 1
      1PM、ゲバゲバ90分、クイズダービー、HOWマッチ…。数
      々の名番組を生んだTV司会者が、番組の裏側や往年のスターた
      ちとの交友を綴った本格的自伝。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 本書は、大橋巨泉が古希を記念に執筆されたという自伝で、生い立ちからテ
レビ史、セミリタイア後の生活などを500ページにわたり綴っています。こ
れまでのセミリタイア本とは違い、過去の番組を多く取り上げているのは懐か
しかったです。

<本紹介>
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【ジャンル】読書エッセイ
【著書名】 誤読日記
【著者名】 斎藤美奈子
【出版社】 朝日新聞社
【初 刊】 2005年7月30日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】175冊のベストセラー・話題の書を、「誤読術」で読みといた
      ミーハー書評決定版。タレント本や実用書も取り上げた「書評欄
      の裏番組」的コラム、00年〜04年『週刊朝日』『アエラ』連
      載を単行本化。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、175冊の書籍を著者独特の辛口で切りまくるレビュー集。タレン
ト本からベストセラーまで、幅広く取り上げていますが、単なる書評とは違う
辛口書評は逆に珍しく、楽しく読むことができました。読書の参考というわけ
ではありませんが、読書好きなら中々興味深い毒舌レビュー本です。

【さ行】

<本紹介>
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【ジャンル】経済
【著書名】 図解雑学 通貨と経済
【著者名】 野村茂治
【出版社】 ナツメ社
【初 刊】 2005年7月25日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】通貨という視点で「金融論」「マクロ経済学」「ミクロ経済学」
      「国際金融論」を解説。通貨と経済の関係について具体的な事象
      を取り上げ、学問的な観点からわかりやすく説明。経済学の基礎、
      外国為替がわかる。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、貨幣の発生から発展までを概観し、国内・国外での取引における決
済のしくみに関して、分かりやすく解説しています。更に現実の経済発展に伴
って貨幣がどのような進展を遂げてきたのか、あるいは政策当局が経済を安定
的な成長軌道に乗せるために財政・金融政策をどのように行ってきたのかを、
現代の経済理論を使い、わかりやすい言葉で説明しており、経済の雑学として
面白く読むことができました。

<本紹介>
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【ジャンル】政治
【著書名】 政治の数字
【著者名】 伊藤惇夫
【出版社】 新潮新書
【初 刊】 2005年5月20日
【金 額】 700円+税
【カバー文】政界の正解は、世間の不正解だ。政治家、役人にこれ以上騙され
      ないためには、この「数字」を見るべし。在フランス大使館の1
      ヶ月のワイン代、社会保険庁が職員用に購入したマッサージ機の
      台数、都心の超一等地に立つ議員宿舎の家賃、役立たずの国会に
      かかる巨費、日本一小さな村に国庫からつぎ込まれるお金…。見
      れば見るほど腹が立つ数字ばかり。永田町生活30年の著者が贈
      る、立腹と脱力のデータ集。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、永田町界隈の政治事情が数字のデータとして書かれたもの。在フラ
ンス大使館の一カ月間のワイン代に、国会議員の「海外視察」旅行代金。国会
会期中の手当や社会保険庁が職員用に購入したマッサージ器の台数。または、
投票を棄権すると一人あたりいくらの税金が無駄になるのか……など、腹が立
つより呆れる数字が次々と紹介されています。新書として気軽に読める内容で
はありますが、中身は結構深いものがあり、改めて現実の政治の数字データと
いうものを考えさせられました。

<本紹介>
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【ジャンル】連作短編集
【著書名】 その日の前に
【著者名】 重松 清
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2005年8月10日
【金 額】 1429円+税
【カバー文】昨日までの暮らしが、明日からも続くはずだった。それを不意に
      断ち切る、愛するひとの死…。生と死と、幸せの意味を見つめる
      最新連作短編集。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 物語は連作での短編集となっており、いずれの作品もガンに侵されて余命短
い者と、それを取り巻く周りの人間模様が描かれています。家族モノの感動作
を多く出している著者が、誰にでも必ず訪れる「死」をテーマに短編として描
かれていますが、より深い家族愛が本書では描かれます。生きることの尊さ、
生まれてから現在生きていることの素晴らしさ、そして死を迎えた時に家族に
何を残せるのか、愛する人達との別れを改めて考えさせられました。深いテー
マではありますが、人間模様としてしっかりと描かれ、多くの感動と涙が与え
られる作品です。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 ソウルで逢えたら
【著者名】 松岡圭祐
【出版社】 徳間書店
【初 刊】 2005年6月30日
【金 額】 1200円+税
【カバー文】330万部突破のミリオンセラー作家が贈る感動作。日本人であ
      ることを隠して韓国芸能界にデビューした、33歳の女性。そこ
      で目にした“業界の裏側”…出逢ったものは!? 松岡圭祐の心に
      残る"自分探し"小説。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 物語は、借金返済のため韓国に渡り、芸能界でデビューすることになった3
3歳の子持ちの主婦・鈴川明恵の奮闘を描いた作品。松岡圭祐としては異質の
作品ではありましたが、韓国語講座の初級クラスをたった3ヶ月受講しただけ
で韓国に渡り、アイドルとして33歳の主婦がデビューするという設定には違
和感を覚えましたが、単純に物語としては面白くは読むことはできました。韓
流ブームに乗って書いたようにも思いましたが、韓国ドラマ好きであればお勧
めかもしれません。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 酒気帯び車椅子
【著者名】 中島らも
【出版社】 集英社
【初 刊】 2004年12月10日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】家族と自分の体を壊された平凡な男が裏社会に仕掛けた戦いとは、
      驚天動地の恐るべきものだった…。2004年7月、52歳で急
      逝した中島らもが最後に挑んだ暴力と愛の復讐物語。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
 商社の部長をしている「私」は、自らが進めてきたプロジェクトに横槍を入
れてきた暴力団に毅然と対応したために、妻を集団強姦の上に殺され、8歳の
一人娘を担保に誘拐され、自らは膝から下を切断せざるをえない暴行を加えら
れた。しかし、近所の居酒屋の飲み仲間である町の発明王・やっちゃんが改造
してくれた車椅子を武器に、皆殺しの復讐のために立ち上がった……。
 物語はとにかくハチャメチャな作品ではあるものの、内容があまりにも過激
すぎて、正直読後は後味の悪さを感じました。中島らもの新作がこれから読め
ないのは何とも残念ではありますが、本書は読む手によって評価も分かれる作
品だと思います。

<本紹介>
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【ジャンル】ビジネス
【著書名】 渋谷ではたらく社長の告白
【著者名】 藤田 晋
【出版社】 アメーバブックス
【初 刊】 2005年6月29日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】史上最年少の上場、ネットバブル崩壊による苦悩の日々、企業パ
      ートナーとの出会いと別れ、女優・奥菜恵との結婚、IT経営者
      たちとのエピソード…。サイバーエージェントの社長である著者
      が綴ったノンフィクション。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、サイバーエージェント社長・藤田晋が、起業を志す頃から会社を立
ち上げ、史上最年少の上場、ネットバブル崩壊など、現在に至るまでの激動の
半人生を赤裸々に綴った手記。女優の奥菜恵との結婚と離婚、史上最年少での
上場と派手な活躍は知ってたが、起業に伴う苦労や面白さ、株価暴落での絶望
感、初期のビジネスモデルの稚拙さなど、知られざる一面は非常に興味深かっ
たです。308ページのボリュームの割には非常にアッサリと読むこともでき、
楽天の三木谷社長やライブドアの堀江社長との交流とビジネスでのやり取りも
読み応えがありました。

【た行】

<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 摘出 つくられた癌
【著者名】 霧村悠康
【出版社】 新風舎
【初 刊】 2005年10月15日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】仕方がない、癌だったことにしよう…。もみ消される数々の医療
      ミス。命の重みを忘れた大学病院の内情を現役外科医が告発する
      衝撃のサスペンス小説。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 関西の名門国立大学の医局に入って2年目の本木は、乳癌摘出の手術中に左
右の乳房を取り違える重大なミスを犯してしまった。執刀医の教授は、ミスが
外部に漏れることがないよう、左の乳房にも癌細胞を植え付け緘口令を敷いた。
このことで、ミスが一転して功績に変わったと安心する本木だったが、このこ
とをきっかけに巧妙に仕組まれた罠の中へはまっていく……。
 物語は、エリート医師達の仮面に隠されたエゴ、ずさんな手術、金で変わる
対応、製薬会社の犠牲、出世目的の捏造など、乳癌手術のミスを巡って様々に
交錯する大学病院医師たちの思惑と良心の呵責にさいなまれる若き研修医。そ
して、肉体的にも精神的にも傷つけられた患者の苦しみを描いた医療サスペン
ス。「白い巨塔」の現代版ともいえる内容ですが、著者は現役外科医でもある
だけに、実にリアルな内容で、それぞれの登場人物の心理を上手く表現した作
品です。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 東京DOLL
【著者名】 石田衣良
【出版社】 講談社
【初 刊】 2005年7月28日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】マスター・オブ・ザ・ゲーム=MGと呼ばれる天才ゲームクリエ
      イター。背中に濃紺の翼をもつ少女ヨリが彼の孤独を変えてゆく
      …。青く透明なビルと虚ろさが混在する東京湾岸…石田衣良がハ
      ードにシャープに描くパーフェクトな人形に恋をした男の物語。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
 32歳のゲームクリエイター・相楽は、人気ゲームソフトの開発責任者で、
東京湾岸の高級マンションに住んでいる。その相楽が、コンビニで働く20歳
のヨリに出会い、新作ゲームのキャラクターモデルを頼むのだが、やがて二人
はビジネスだけの付き合いではなく、恋愛へと発展するのだが……。
 石田衣良の新作ということもあって、期待して読み始めましたが、正直期待
ハズレの一冊でした。都会派の恋愛小説ではあるのですが、現実感がなく、印
象も薄い展開で、文章力は相変わらずの上手さがあるものの、作品としての面
白さは感じませんでした。次作に期待です。

【な行】

 

【は行】

<本紹介>
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【ジャンル】連作小説
【著書名】 二人乗り
【著者名】 平田俊子
【出版社】 講談社
【初 刊】 2005年7月7日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】嵐子さんの一日は午後2時に目覚まし時計を止めることからスタ
      ートする。目覚ましが鳴ったからといってすぐに起き出す嵐子さ
      んではない。嵐子、不治子、そして道彦。絡み合い、絶妙に輪舞
      する、それぞれの想いと因果の3編。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、3編の物語から構成される作品で、最初に収録されている「嵐子さ
んの岩」は、46歳の嵐子が主人公。いいかげんな男性に恋してしまい、その
結果、夫と別れて、一人でマンションで暮らしている。続く表題作の「二人乗
り」は、嵐子の妹の40歳の不治子が主人公。13歳の娘がいるが、夫は不倫
相手の元に行き、娘は祖父母のところにと、こちらも家に一人暮らし。そして
「エジソンの灯台」は、不倫相手の元に走った不治子の夫で38歳の道彦が語
り手になり、不倫相手とその老いた父親との三人暮らしを始めたものの、不倫
相手の過去に嫉妬その家を出てしまう……物語となっています。ほろ苦さのあ
る恋愛小説でもありますが、構成としては読み応えがあり、面白い連作でした。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 ホームタウン
【著者名】 小路幸也
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2005年8月25日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】札幌で働く柾人のもとへ、両親の死という過去で疎遠となってい
      た妹から手紙が届いた。結婚するという連絡に喜んだが、式間近
      になって妹と婚約者がほぼ同時に失踪。柾人はふたりを捜し出す
      ため戻ることのなかった故郷へ向かう。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 北海道の老舗百貨店<三国屋>の顧客管理部特別室に勤務する27歳の柾人はデ
パートの内偵をしており、両親が起こした事件が心の傷となり、妹・木実とも
離れて暮らしている。その木実から結婚を決意したと手紙が届くのだが、三国
屋社員の木実の婚約者と木実が相次いで失踪してしまい、柾人は二人を探すべ
く行動を起こすのだが……。
 物語を読んでいて、フト柳沢きみお原作でドラマ化もされた「特命係長只野
仁」のデパート版のようにも思いました。家族探しの物語ではあるものの、登
場人物それぞれに個性があり、読後は温かみを感じる作品です。

<本紹介>
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【ジャンル】短編小説集
【著書名】 フルスウィング
【著者名】 須藤靖貴
【出版社】 小学館文庫
【初 刊】 2005年8月1日
【金 額】 457円+税
【カバー文】速球で鳴らした玉村謙太郎は、8年間所属したチームを解雇され、
      別のチームでバッティング投手を務めていた。花形選手時代にも
      増して、一軍のために日頃の精進が常に要求された。2年目に入
      り、今まで見えなかった野球への熱い情熱を見出していた彼に、
      ある日転機が訪れる(「ビリケン打撃投手」)。恋愛あり、犯罪
      あり、ミステリーあり。パワーあふれる気鋭が多彩な趣向を凝ら
      した野球短編小説集。新作2編収録。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、野球をテーマとした6つの作品が収録される短編集。ミステリ、恋
愛、犯罪…など、各作品でジャンルもバラバラで、その分全体的にはまとまり
がなく感じましたが、最初に収録されている「ビリケン打撃投手」は非常に良
く、この作品の印象は強いです。

<本紹介>
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【ジャンル】ルポルタージュ
【著書名】 響きと怒り
【著者名】 佐野眞一
【出版社】 NHK出版
【初 刊】 2005年8月25日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】阪神淡路大震災、JCO臨界事故、NY同時多発テロ、JR西日
      本脱線転覆事故…。これらの現場を「解読」し、そこに立ち現れ
      る病理と叫びを綴ったルポルタージュ。『文芸春秋』等掲載に加
      筆・改稿し、書き下ろしを加えたもの。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、JR福知山線脱線事故、17歳連鎖殺人事件、雪印食中毒事件、J
CO臨界事故、阪神大震災、ニューヨーク同時テロの過去10年に起きた6つ
の大事件、大事故、大災害を、著者が独自に取材しリポートとしてまとめたル
ポルタージュ。著者のルポは幾つか読んでいますが、いずれも取材の量には圧
倒され、本書もリアルな事故の現実と、タイトルにもなっている「響きと怒り」
が文章からも届きます。「東電OL殺人事件」で事件現場の闇を解いた著者が、
これらの現場を解読し、そこに立ち現れる日本人の病理と叫びを見事に綴って
います。

<本紹介>
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【ジャンル】ビジネス
【著書名】 復刊ドットコム奮戦記
【著者名】 左田野渉
【出版社】 築地書館
【初 刊】 2005年8月10日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】「ちびくろ・さんぼ」だけじゃなかった! 業界のタブーも恐れ
      ぬ交渉で、数々の本を甦らせてきたエピソードと、出版界のニッ
      チをビジネスにした血と汗と涙?のストーリー。不況の出版業界
      で成功したベンチャーの仕掛けとは?
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、絶版や品切れのため、入手困難な書籍を投票により復刊させようと
いうサイト「復刊ドットコム」の立ち上げから、実際に復刊させるまでを書い
た奮戦記で、知られざる絶版本を、リクエストと共に紹介した「ブックガイド」
としても楽しめる1冊です。業界のタブーも恐れぬ交渉で、数々の本を甦らせ
てきたエピソードは読書好きなら読む価値ある内容です。

<本紹介>
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【ジャンル】ノンフィクション
【著書名】 働きすぎの時代
【著者名】 森岡孝二
【出版社】 岩波新書
【初 刊】 2005年8月19日
【金 額】 780円+税
【カバー文】いたるところから働きすぎの悲鳴が上がっている。まっとうな働
      き方ができる社会を作っていくために、いま何が必要なのか。グ
      ローバリゼーション、情報技術、消費社会、規制緩和などに着目
      して、今日の過重労働の原因に迫る。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、現代を「働きすぎの時代」と捉え、その背景を資本主義の変化の4
つの特徴である「グローバル資本主義」「情報資本主義」「消費資本主義」
「フリーター資本主義」に求めており、過重労働の原因に迫ったもの。豊富な
データをもとに、全世界が働きすぎの時代に突入してしまっており、社会の仕
組みが働きすぎを助長していることも教えてくれています。働きすぎの惨状に
も触れられており、非常に勉強になった一冊です。

【ま行】

<本紹介>
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【ジャンル】戦記小説
【著書名】 ミッドウェイの刺客
【著者名】 池上 司
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2005年7月25日
【金 額】 1762円+税
【カバー文】伝説の海軍潜水艦・伊168。田辺弥八艦長率いる67人の男た
      ちの、熱き「たった一隻の戦い」。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 1942年6月、ミッドウェイ海戦。日本の機動部隊は大型空母4隻を失い、
致命的な敗退が始まった。しかし空母「飛龍」の奮戦により、米空母「ヨーク
タウン」を大破させることができた。田辺弥八中佐の指揮する伊一六八潜水艦
は、ヨークタウンを撃沈せよとの緊急電報を傍受。伊一六八は、慎重に接敵し、
9時間をかけて、周囲の駆逐艦の警戒網をくぐり抜け、ヨークタウンの真横に
出て、4本の魚雷を発射した……。
 本書は、リアルな潜水艦乗りの男達のドラマを描いた物語。戦記小説を読む
のは非常に久しぶりでしたが、戦闘シーンなどは実際の話を描いている割には、
緊迫感もそれほど感じられず、全体的に迫力不足で、正直物足りなさはありま
したが、久しぶりに戦記ものを読むのは新鮮ではありました。

<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 負けるのは美しく
【著者名】 児玉 清
【出版社】 集英社
【初 刊】 2005年9月10日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】母の死がきっかけで入った役者の道から、3年前に逝った娘への
      哀惜の思いまで。映画界の絶頂期を担った監督、俳優たちとの出
      会い、結婚、転身したテレビ界のこと、大好きな本について綴っ
      た回想記。『すばる』連載を単行本化。
【満足度】 ★★★★
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 本書は、俳優で最近では読書家としても知られる著者が、母の死がきっかけ
で入った映画界、忘れ得ぬ監督や俳優達、結婚、その後転身したテレビ界のこ
と、大好きな本、そして愛娘の闘病から死について……と自らの回想記を書い
たもの。映画やテレビドラマのエピソードも興味深かったですが、自らのスタ
イルやモットーを貫く姿勢は非常に共感できました。また、娘の死や少年時代
については心に響く文章です。

<本紹介>
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【ジャンル】コラム
【著書名】 丸山タケシのテレビメッタ斬り
【著者名】 丸山タケシ
【出版社】 ソフトバンクパブリッシング
【初 刊】 2005年5月21日
【金 額】 1200円+税
【カバー文】笑いと毒気が渦巻く魅惑のテレビ時評。朝日新聞夕刊(首都圏ほ
      か「週刊TVナビ」面)で連載中の人気コラム「TV構造改革」
      待望の書籍化。「月刊アサヒ芸能エンタメ!」連載や書き下ろし
      も収録。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は朝日新聞連載中のコラム「TV構造改革」の原稿を中心に、週刊誌連
載や書き下ろしも収めた芸能コラム。14型のテレビデオを武器に、めぼしい
番組に赤丸をつけて格闘してきた様子はかなり面白かったです。「ポスト・ナ
ンシー関」との呼び声が高いという紹介もあるようですが、正にナンシー関の
ような辛口テレビコラムで、独自の視点も良かったです。

【や行】

 

【ら行】

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 楽園の眠り
【著者名】 馳 星周
【出版社】 徳間書店
【初 刊】 2005年9月30日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】女子高生と刑事。夜の闇の中、底なしの慾望と孤独に苛まれる男
      と女。罪悪感は加虐心を加速させる。幼児虐待に潜む暗い罠。現
      実世界と切り結ぶ、深化した長編小説。『週刊アサヒ芸能』に掲
      載したものを加筆、訂正して単行本化。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 麹町署生活安全課の刑事・友定は、離婚した妻が出ていったあと、息子と二
人で暮らしている。しかし息子を愛している一方で、無抵抗の雄介を虐待する
自分を抑えきれない。ある夜、終夜営業の託児所から抜け出した雄介と、父親
から性的虐待をうけていた女子高生・妙子が出会い、二人の逃避行が始まった。
雄介の行方を必死になって追う友定は、出会い系サイトを介して、妙子にコン
タクトを取ろうとするのだが……。
 物語は、幼児虐待をテーマとした作品。スピード感ある展開は馳星周ならで
はですが、これまでの作品とは違い、暴力を受ける側(虐待される側)の心理を
深く掘り下げており、やや異質の作品ともいえます。久しぶりの馳作品という
ことで、かなり期待して読みましたが、幼児虐待のテーマから社会問題の重さ
が感じられず、登場人物の心の闇を更に掘り下げてほしかったとも思います。
今回の舞台は池袋で、これまでの新宿の舞台とは違う設定は新たな魅力を引き
出しているとも思います。個人的には面白い作品ではあったものの、これまで
の作品と比べると物足りなさの残る内容ではありました。

【わ行】

 

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