書評データベース(2006年度7月分)

 

■2006年7月に掲示板にて紹介された本■

 イチローの流儀            小西慶三     新潮社
 異端の大義(上下巻)          楡 周平     毎日新聞社
 オブリビオン〜忘却          大石直紀     角川書店
 ただいま育休中            山田正人    日本経済新聞社
 徳川さん宅の常識           徳川義宣     淡交社
 「発電貯金」ならほっといてもお金がたまる 岩堀良弘   総合法令
 ひとり仕事術             中本千晶   バジリコ株式会社
 びっくり館の殺人           綾辻行人     講談社
 マングースの尻尾           笹本稜平     徳間書店
 ミス・ジャッジ            堂場瞬一     実業之日本社
 かもめ食堂              群ようこ     幻冬舎
 銀齢の果て              筒井康隆     新潮社
 きいろいゾウ             西加奈子     小学館
 結婚詐欺師クヒオ大佐         吉田和正     新風舎文庫
 キス                 西澤保彦     徳間書店
 子どもたちは夜と遊ぶ(上下巻)     辻村深月     講談社
 レストア               太田忠司     光文社
 フォーティ 翼ふたたび        石田衣良     講談社
 the TEAM(ザ・チーム)     井上夢人     集英社
 砂の迷宮               土居良一     柏艪社
 殺人ピエロの孤島同窓会        水田美意子    宝島社
 終末のフール             伊坂幸太郎    集英社
 ストロベリーナイト          誉田哲也     光文社
 制服捜査               佐々木譲     新潮社
 トーキョー・バビロン         馳 星周     双葉社
 ちぇりあい              戸梶圭太     祥伝社

【あ行】

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ルポルタージュ
【著書名】 イチローの流儀
【著者名】 小西慶三
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2006年3月30日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】大記録達成前の苦悩、スランプ克服法、試合前の徹底した準備、
      未公開オフの過ごし方、ドラマ出演の背景など、イチローの10
      年間を観察した記者が綴る、最高の野球職人の真髄に迫る最強の
      ルポ。天才の真実は舞台裏にある!
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、野球記者としてイチロー番を続ける著者が、オリックス時代の19
94年からWBC開幕前までの10年以上に及ぶ取材の中から、イチロー自身
に肉薄したルポルタージュ。天才打者の流儀、苦悩、プライベートの過し方な
ど、他では見られないイチローの姿が細かく記されています。WBCでのイチ
ローの存在感の舞台裏を読んでいる感じで、イチローの魅力を改めて認識でき
る一冊です。

<本紹介>
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【ジャンル】経済小説
【著書名】 異端の大義(上下巻)
【著者名】 楡 周平
【出版社】 毎日新聞社
【初 刊】 2006年3月25日
【金 額】 1619円+税(上下共)
【カバー文】総合家電メーカー東洋電器産業を見舞った未曾有の不況。カリフ
      ォルニアから東京、さらに東北とリストラの嵐に翻弄される、同
      族企業の「異分子」高見竜平の数奇な運命の行方は…。今日の日
      本を予見した大河経済小説。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 物語は、海外赴任から帰国した中堅社員の主人公が、会社の大リストラに反
発するうちに「異端」の烙印を押され、理不尽な人事に翻弄されるという経済
小説。東京・岩手・中国・米国と舞台を変えていきますが、正直上下巻で約8
00ページというのはボリュームが多すぎで、展開も幅を広げすぎていたのが、
逆に欠点になっているように感じました。会社を守ろうとする創業者一族と外
資系ファンドとの戦いは中々読みごたえがあり、ところどころで面白さもあり
ましたが、主人公の存在感も上下巻の作品としては薄く、長所と欠点が入り混
じった作品のように思います。

<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 オブリビオン〜忘却
【著者名】 大石直紀
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2006年5月25日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】忘れてしまおう、家族と殺人の忌まわしい記憶など。緊迫の逃亡
      生活を送る男に、ふり捨てても湧き起こる激しい郷愁。二度と会
      うはずのない娘、失われた過去に沈む驚愕の真相とは!? 愛と
      官能、緊迫のサスペンスミステリー。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 幼い頃、ジャングルジムから落ちて記憶を失い、中学生になった梓は、兄や
母と共に写った子供時代の写真が一枚もなく、自分に出生の秘密があるのでは
ないかと気付く。8年前、梓の父・信彦は、梓の母を殺した容疑者として手配
され、国外に逃亡。その事実を隠して梓を育てたのは、叔父叔母の一家だった。
信彦は、上海での潜伏生活の限界に直面し、けして戻るまいと思っていたはず
の生まれ故郷アルゼンチンへ向かう。そこは、信彦がかつて母と暮らし、陰惨
な経験を持つ因縁の土地だった。信彦はなぜ、国外逃亡を試みたのか? 梓は
自分の過去を乗り越えられるのか?
 本書は、第26回横溝正史ミステリー大賞のテレビ東京賞受賞作品。すでに
ドラマ化も決まっているようですが、主人公を取り巻く過去と再生をうまくサ
スペンスとして描いており、読んでいてドラマを見ているような感じも受けま
した。ドラマ化の際にもキャスティングが誰になるのか興味深いところですが、
ドラマとしてもぜひ見てみたい作品でした。

【か行】

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 かもめ食堂
【著者名】 群ようこ
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2006年5月25日
【金 額】 1238円+税
【カバー文】ヘルシンキの街角にある「かもめ食堂」。日本人女性のサチエが
      店主をつとめるその食堂の看板メニューは「おにぎり」。けれど、
      お客といえば、日本おたくの青年トンミただひとり。映画「かも
      め食堂」の原作。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 本書は、映画「かもめ食堂」の為に書き下ろしたという作品。その映画は見
ていないものの、映画の評判がいいようなので原作を読んでみましたが、群よ
うこの作品らしい鋭い観察感はありましたが、全体的には淡々としすぎていて、
特別印象に残るという感じではありませんでした。その映画は、小林聡美、も
たいまさこ、片桐はいりというキャスティングは面白そうだとは思いますが、
群ようこの作品ならば、あえてもっと深く掘り下げてほしかったです。それで
も映画は見てみたいとは思います。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 銀齢の果て
【著者名】 筒井康隆
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2006年1月20日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】老人であることは悪なのか? 和菓子司の隠居、宇谷九一郎の住
      む宮脇町でも、70歳以上の国民に殺し合いをさせるシルバー・
      バトルが遂に始まった! 21世紀最大の、禁断の問いをめぐる
      老人文学の金字塔。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 物語は、超高齢化社会の改善策として、政府が日本全国90ヶ所の地区対象
に70歳以上の男女が相互に、一人が残るまで相互に殺し合うというシルバー・
バトルを描いたブラック小説。老人版「バトル・ロワイヤル」という言葉が適
しているとも思いますが、筒井康隆らしいブラックパロディとして描かれます。
結末も筒井康隆らしさは感じられますが、もう一捻りしてほしかったようにも
思いますが、最近の筒井作品の中では、強烈で印象深い作品でした。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 きいろいゾウ
【著者名】 西加奈子
【出版社】 小学館
【初 刊】 2006年3月20日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】その昔。少女は、病室できいろいゾウと出会った。青年は、飛ば
      ない鳥を背中に刻んだ。月日は流れ、都会に住む一組の若い夫婦
      が田舎の村にやってきた…。ロングセラー「さくら」の著者が紡
      ぐ、ちっぽけな夫婦の大きな愛の物語。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 物語は、九州の田舎で暮らす「ムコさん」「ツマ」と呼び合う夫婦の物語で、
二人の田舎での日常生活と、その中で発生した小さなひずみが描かれます。全
体的に淡々としていて、ところどころに展開の起伏はあるものの、全体を通し
て非常にゆったりした作品です。その物語はホンワカとしているものの、よく
考えてみると登場人物はクセのある人物で、現実的な作品かと思いきや、非常
に非現実的な作品だったともいえます。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 結婚詐欺師クヒオ大佐
【著者名】 吉田和正
【出版社】 新風舎文庫
【初 刊】 2006年3月5日
【金 額】 753円+税
【カバー文】「ワタシト婚約スルト結納金ガ米軍カラ5千万円出マス。結婚ス
      ルト英国王室カラ5億円ノ結納金ガ支給サレマス」。破天荒な口
      上とパイロットの扮装で次々と女性を騙し、稀代の詐欺師と謳わ
      れた、クヒオ大佐。58歳になってもなお懲りず、新たな獲物に
      標的を定める、その本性とは…。女たちは彼のどこに惹かれたの
      か…。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 自分は米軍パイロット、父はカメハメハ大王の子孫、母はエリザベス女王の
双子の妹。ジェット機を操り世界各地を転戦……と、嘘の経歴と巧みな変装と
小道具で、女達から推定1億円をだまし取った実在の結婚詐欺師・クヒオ大佐
に迫った小説仕立てのノンフィクションが本書。
 事件はワイドショーなどでも当時大きく報道されていたので、興味があり読
みましたが、事件そのもののノンフィクションであれば良かったのですが、著
者が小説仕立てにかなり脚色していた点は正直大きな欠点だと思いますし、著
者とクヒオの対決シーンなどは省いてほしかったです。ただ、騙される女性の
心理などは、中々読みごたえある展開として描かれており、それなりに興味深
い内容にはなっています。

<本紹介>
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【ジャンル】SFミステリ
【著書名】 キス
【著者名】 西澤保彦
【出版社】 徳間書店
【初 刊】 2006年3月31日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】ロジックとトリックの名手が挑む、限りなくエロティックなSF
      ミステリー。『SF Japan』掲載3作に書き下し「舞踏会
      の夜」を付して単行本化。森奈津子シリーズ第3弾。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
 本書は、エロスと笑いの混じったSFミステリ。実在の作家・森奈津子シリ
ーズ第3弾とのことですが、これまでの西澤保彦の作品と比べると異質といえ
る作品で、短編の4作品が収録されていますが、正直本格推理を期待していた
だけに、期待ハズレの内容でした。

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 子どもたちは夜と遊ぶ(上下巻)
【著者名】 辻村深月
【出版社】 講談社(KODANSHA NOVELS)
【初 刊】 2005年5月7日
【金 額】 990円+税(上巻) 1050円+税(下巻)
【カバー文】同じ大学に通う浅葱と狐塚、月子と恭司。彼らを取り巻く一方通
      行の片想いの歯車は思わぬ連続殺人事件と絡まり、悲しくも残酷
      な方向へ狂い始める。掛け違えた恋のボタンと絶望の淵に蹲る殺
      人鬼の影には、どんな結末が待つのか?
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 同じ大学に通う浅葱と狐塚、月子と恭司。そして秀才といわれてきた弧塚と
浅葱が挑んだ論文コンクールで、最優秀はどちらかの手に渡ると思われていた
が、選ばれたのは「i」という謎の人物だった。その「i」の正体を突き止め
るうち、浅葱は「i」が昔生き別れた兄の「藍」だと知る。そして兄に会うた
めに残酷で悲しい殺人ゲーム始まった……。
 物語は、二人の殺人犯の間で繰り広げられる残虐な殺人ゲームが描かれる作
品でもありますが、心理を深く掘り下げて描かれるミステリです。犯人の苦悩
と悲しみ、そして恋心が絡み、僅かなすれ違いから大きな闇に引きずり込まれ
る心を上手く描いた作品です。

【さ行】

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ミステリ
【著書名】 the TEAM(ザ・チーム)
【著者名】 井上夢人
【出版社】 集英社
【初 刊】 2006年1月30日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】盲目の人気霊能力者・能城あや子と、百発百中の「霊視」を支え
      る仲間たちが、過去の事件の真相や不思議な現象の真実を次から
      次へと暴き出す、快作ミステリー。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 盲目の能上あや子は、霊に悩む人々の災いを鎮める自称・霊導士。巷では人
気霊能者で通っている。テレビに出演し、依頼者の相談を受け、霊視をするが、
実は、彼女を支えるスタッフたちが収集する情報で霊能力があるかのように装
っているだけだった。睡眠中、金縛りにあい、覚えのない痣や傷ができている
若妻や、友人の狐憑きを疑う中年女性、地下室から聞こえる幽霊の声に悩む主
婦など、依頼者の住宅へ侵入したりなどして、その原因をスタッフが探り、あ
くまで霊視しているかのように伝えるのだ。やがて、週刊誌の記者があや子の
能力を疑いだし、調査に乗り出すのだが……。
 物語は、盲目の霊能力者と、彼女を支える仲間達が、過去の事件の真相と不
思議な事象の真実を次から次へと暴き出すミステリー。インチキ霊能力者では
あるものの、過去の事件の真相や、不思議な現象の真実を解決していく展開で
すが、霊能力者・能城あや子のキャラクターは勿論のこと、彼女を支えマネー
ジメントを取り仕切る株式会社能代コンサルティング社長の鳴滝昇治、その会
社に隣接する有限会社OMOの社員・草壁賢一と藍沢悠美のチームワークも抜
群で、更にゴシップ週刊誌の記者など、登場人物も個性的で存在感があり、物
語を一層盛り立てています。井上夢人も岡嶋二人時代に比べ、作品も今一つの
印象がありましたが、本書は岡嶋二人の初期作品も思い起こすような作品で、
できることならシリーズ化してほしい作品です。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 砂の迷宮
【著者名】 土居良一
【出版社】 柏艪社
【初 刊】 2006年2月10日
【金 額】 1524円+税
【カバー文】新人看護婦の里美は精神科の患者桜井に、幼い頃に別れた父の面
      影を見る。やがて里美が自分の心の奥底に探し当てたものとは?
      看護婦と患者の人間としての対等な関係を、細やかな筆致で描い
      た心理ドラマ。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 新人看護婦の里美は、人の心を見通す精神科の患者・桜井と真摯に向き合い、
対等な人間関係を築き上げていく。そして心を通わせたゆえに、やがて激しく
ぶつかり合い、その末に里美が心の奥底に探し当てたものとは……。
 物語は、治療という垣根を越え、医者と患者の対等な人間関係を描き出した
作品。特に人の心の描写は細かく、正に心理ドラマを見ている感じで、読みご
たえのある作品です。

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 殺人ピエロの孤島同窓会
【著者名】 水田美意子
【出版社】 宝島社
【初 刊】 2006年3月6日
【金 額】 1100円+税
【カバー文】東硫黄島高校同窓生が4年ぶりに島に集まった。だが、突如現れ
      た殺人ピエロにより、島は恐怖の孤島と化す。次々と同窓生たち
      を惨殺し始める殺人ピエロの正体は? 12歳が書いた連続殺人
      ミステリー。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 日本から1500キロ離れた東硫黄島。島の外輪火山が噴火し、住民は東京
に強制移住させられ、現在は、観測所を守っている老人がひとり住むだけの孤
島である。そんな島で同窓会が開かれることになり、4年ぶりに東硫黄高校同
窓生が集まった。出席者はクラスメイト36人中、不登校だった1人を除いた
35人。和やかなムードで進んでいた同窓会は、突如現れた殺人ピエロにより
恐怖の孤島と化す。ゲーム的な趣向で、次々と同窓生たちを惨殺し始める殺人
ピエロの正体は?
 本書は、今年の「第4回『このミステリーがすごい!』大賞」の特別奨励賞
受賞作。12歳が書いた作品として、どんな内容なのか期待して読みましたが、
色々と欠点はあるものの、エンターティメントとしては中々面白い作品でした。
孤島での連続殺人というと「バトル・ロワイヤル」を思い出しますが、本書は
荒っぽさが目立ったものの、ゲーム的な殺人描写をインパクトある展開に取り
入れているところは良かったようには思います。

<本紹介>
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【ジャンル】短編小説集
【著書名】 終末のフール
【著者名】 伊坂幸太郎
【出版社】 集英社
【初 刊】 2006年3月30日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】「8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡する」と発表されて5
      年後。秩序崩壊した混乱の中、仙台市北部の団地に住む人々は…。
      表題作のほか、「太陽のシール」「籠城のビール」など全8編を
      収めた連作短編集。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 「8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡する」と発表されてから5年が経
ったが、恐怖心が殺人、放火、強盗を巻き起こし、社会に秩序が無くなり、世
界中が大混乱に陥る中での、仙台市北部の団地に住む人々の葛藤を描いた近未
来SF短編集。自分の言動が原因で息子が自殺したと思い込む父親、長らく子
宝に恵まれなかった夫婦に子供ができ、3年の命と知りながら産むべきか悩む
夫、妹を死に追いやった男を殺しに行く兄弟、世紀末となっても黙々と練習を
続けるボクサー、落ちてくる小惑星を望遠鏡で間近に見られると興奮する天体
オタク、来るべき大洪水に備えて櫓を作る老大工など8つの作品で構成される
短編小説集。
 物語は、パニック小説ではなく、暴動が済んだ後の一時的な小康状態の中の
市民の姿を描いた短編で、それぞれの作品で事情を抱えながらも、前向きな姿
勢で日々生きている主人公の姿が描かれます。個人的にはパニック小説として
描いてほしいテーマではありますが、8つの作品それぞれに特徴ある作品で、
極限状態で生き抜こうとする強さを描いています。

<本紹介>
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【ジャンル】警察小説
【著書名】 ストロベリーナイト
【著者名】 誉田哲也
【出版社】 光文社
【初 刊】 2006年2月25日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】青いシートにくるまれ、放置されていた惨殺死体。警視庁捜査一
      課の主任警部補・姫川玲子は、直感と行動力を武器に事件の真相
      に迫る…。熱気と緊張感を孕んだ描写と、魅力的なキャラクター。
      渾身の長編エンターテインメント。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 ため池のほとりに造られた公園で他殺体が発見された。遺体の腹部は、致命
傷とは別に大きく切り開かれており、捜査に携わる警視庁捜査1課主任の玲子
は、ブルーシートで厳重に梱包された遺体が人目のつく場所に放置されていた
ことが気になった。やがて、身元が判明した会社員の被害者が、毎月第2日曜
日の夜に行き先も告げずに外出していたことが判明。そんな中、玲子は遺体損
壊の理由に気付く……。
 物語は、猟奇殺人に挑む女刑事を主人公にした警察小説。緊張感も伝わって
きて、熱気のある作品ですが、残虐的な描写も多く、読み手によって多少選り
好みもあるかとは思いますが、シリーズ化での今後の玲子も読んでみたいです。

<本紹介>
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【ジャンル】警察小説
【著書名】 制服捜査
【著者名】 佐々木譲
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2006年3月25日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】警察官人生25年。不祥事をめぐる玉突き人事のあおりで、強行
      犯係の捜査員から一転、単身赴任の駐在勤務となった巡査部長の
      川久保。駐在警官の刑事魂が嗅ぎつけた、健全な町の「過去の腐
      臭」とは…。これが本物の警察小説だ!
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 物語は短編4編と中編1編からなる連作集。盗犯係などで実績を積んできた
刑事の川久保が十勝地方の駐在になったところから物語がスタートし、そこで
起きる少年失踪、動物虐待、児童虐待、少女誘拐など、地方事件を描いた警察
小説。ベテラン捜査員の不在からくる手がかりの見落とし、目に見える権力構
造とは違うところで動く地方の実態や背後の闇の深さなど、主人公と駐在・川
久保の対応は派手さはないものの。刑事ドラマとして読みごたえある作品です。

【た行】

<本紹介>
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【ジャンル】育児
【著書名】 ただいま育休中
【著者名】 山田正人
【出版社】 日本経済新聞社
【初 刊】 2006年1月22日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】子どもと接する楽しさ・大変さ、日本の子育て環境の良いとこ、
      悪いとこ…。働き盛りのパパが体験した、とびきりユニークな1
      年間。とっても温かくなって、すこし考えさせられる物語。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、経済産業省の課長補佐が1年間の育児休暇をとって子どもを育てた
日記。最初の子は双子で、この時は同じ職場で働く夫人が休暇をとって育て、
筆者が育児をしたのは3人目の子ですが、最初の子育ては夫人任せだったから
勝手が分からなかったものの、少しずつ子育てのコツを覚え、「子を育てる大
人」とは何かについても触れられています。著者のように育児休暇が取れる男
性は国内では、まだまだ限られるとは思いますが、男性からの子育て日記は珍
しいですし、少子化が進む中、育児休暇の体験を書いたことは意義ある内容だ
とも思います。

<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 徳川さん宅の常識
【著者名】 徳川義宣
【出版社】 淡交社
【初 刊】 2006年3月31日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】尾張徳川家第21代当主が、平成の世の常識に語り遺したもの。
      漢字用語の乱れにカンシャクを起こし、名門ゆえの一般常識との
      食い違いに右往左往…。現代のお殿様の辛口ユーモアに、抱腹絶
      倒、目からウロコの一冊。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 本書は、尾張徳川家第21代当主のエッセイ集。漢字の乱れに癇癪を起こし、
名門ゆえの一般常識との食い違いなど、ちょっぴり辛口のエッセイ集です。尾
張徳川家第21代当主のエッセイ集ということで、物珍しく読んでみましたが、
徳川家の歴史を垣間見ることができ、色々なエピソードも書かれています。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】暗黒小説
【著書名】 トーキョー・バビロン
【著者名】 馳 星周
【出版社】 双葉社
【初 刊】 2006年4月20日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】ブラック・マネーを掻っ攫え! 若くして「人生の敗者」となっ
      た3人が仕掛ける起死回生の大勝負。汚い仕事に手を染める消費
      者金融から、金を強請ろうと画策する若者たちを描く。裏切り、
      暴力、計略。圧巻の暗黒小説。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 騙されてヤクザに飼われる元IT起業の青年社長、その同級生だったヤクザ、
なじみのホステス。人生の敗者となったこの3人が、一発逆転のために、大手
消費者金融の総務部長にブラックマネーの匂いを嗅ぎつけ、金を強請ろうと画
策する。そこへ、ヤクザ、悪徳警官、ジャーナリストなどが入り乱れ、次々に
トラブルが発生する。最後に笑うのは一体誰なのか?
 物語は、馳星周らしく、新宿・歌舞伎町が舞台となっていますが、今回は経
済小説的な要素が加味されており、これまでの作品とは一味違う作品となって
います。登場人物もそれぞれに個性的で、暴力、策略、騙しとおなじみの馳ワ
ールドが展開され、スピード感ある作品となっています。ノワール部分で多少
初期の「不夜城」などと比べると弱さも感じましたが、展開の面白さは抜群で、
最近の作品はややまとまりすぎて面白さが半減していただけに、久々のヒット
作といえる作品です。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 ちぇりあい
【著者名】 戸梶圭太
【出版社】 祥伝社
【初 刊】 2006年3月20日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】何の取り柄もない俺の前に、突如現われた謎の巨乳美少女…。全
      国の童貞君に捧ぐ、純愛ファンタジー? 究極の若返り薬をめぐ
      り、アキバ系オタク童貞たちを襲う天国と地獄…。全国の童貞に
      鉄槌を下す、残酷ファンタジー!
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 ある時、変人の医学者・亀山田は、成人童貞から有用物質が分泌されている
ことを突き止める。一方、亀山田の宿命のライバル医学者・鳴滝は、研究成果
を横取りしようと、童貞野郎をいじめ抜くという手法を考え、アダルトアニメ
の好き者が集まるネットを通じて情報を流し、映画館に集めてアニメ映画を見
せ、興奮したところを棒でぐさりと突き刺して、開いた穴から脳内物質を取り
出し塞いでまた収穫できるようにする手法を画策するのだが、その結果は?
 タイトルの「ちぇりあい」は「ちぇりーぼーいあいでんてぃてぃ」を略した
タイトルで、戸梶圭太のパワー全開のハチャメチャ作品。物語はドタバタのブ
ラックSFの感じ、昔の筒井康隆に近い感じもしましたが、そこに戸梶圭太独
特の展開をパロディも加えて描かれます。

【な行】

 

【は行】

<本紹介>
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【ジャンル】生活
【著書名】 「発電貯金」ならほっといてもお金がたまる
【著者名】 岩堀良弘
【出版社】 総合法令
【初 刊】 2006年4月6日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】クリーンなイメージの太陽光発電システム。しかし、業界の実態
      を知っていないと思わぬ落とし穴も…。住宅用の太陽光発電シス
      テムを導入するという前提に立ち、わかりやすい言葉で、後悔せ
      ずにエコライフを実現する方法を伝授。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、太陽光発電システムの仕組みを始めとして、どうして太陽光発電で
お金が貯まるのか、悪質な業者による強引な販売などの多くの問題と共に、太
陽光発電の実態レポートや業界の実態について深く掘り下げた内容です。利用
者の実例や実際に設置されている人の感想なども多く書かれており、これから
太陽光発電システムを検討している人にはお勧めの一冊です。

<本紹介>
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【ジャンル】ビジネス
【著書名】 ひとり仕事術
【著者名】 中本千晶
【出版社】 バジリコ株式会社
【初 刊】 2005年10月29日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】個人で仕事をする人にとっての「仕事の創り方」「キャリアプラ
      ンニング」「時間とお金の管理術」「働く環境」などについての
      具体的な知恵を、現場での生の声をもとにまとめた一冊。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、フリーランスの立場で働く人のための、著者の体験を通して書かれ
たノウハウ集。仕事の作り方、営業、お金の管理や節税テクニック、自分をど
う磨いていくか、自分の心と体をどう守るか……など、一人で仕事をこなして
いくためのノウハウをバランスよくまとめ上げられています。自営業の立場と
しても参考になる部分は多かったですが、単にフリーランスで仕事をしている
以外の人達にも参考になる部分は多いように思いますし、特にこれから起業や
独立を考えている人にはお勧めの一冊です。

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 びっくり館の殺人
【著者名】 綾辻行人
【出版社】 講談社
【初 刊】 2006年3月17日
【金 額】 2000円+税
【カバー文】クリスマスの夜、「びっくり館」に招待された三知也たちは、
      「リリカの部屋」で発生した奇怪な密室殺人の第一発見者に! 
      あれから10年以上がすぎた今もなお、事件の犯人はつかまって
      いないというのだが…。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 小学6年生の三知也は、びっくり館と呼ばれる古い屋敷に住む病弱な少年と
友達になった。怪しげな噂に包まれたその屋敷で少年は、風変わりな祖父と死
んだ姉そっくりの人形とひっそり暮らしていた。やがてクリスマスの夜、館に
招待された三知也を恐ろしい惨劇が待ち受けていた……。
 物語は、奇妙な仕掛けに満ちた館を舞台に、密室殺人の謎を描くミステリー。
本書は「館シリーズ」の8作目となりますが、本書自体が少年少女向けの作品
で、そのためか、これまでのシリーズと比べるとおとなしいというかアッサリ
しすぎていました。展開自体はおなじみの叙述トリックもあり、仕掛けも良か
ったものの、本来の面白さに欠ける作品でした。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 フォーティ 翼ふたたび
【著者名】 石田衣良
【出版社】 講談社
【初 刊】 2006年2月23日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】人生の半分が終わってしまった。それも、いいほうの半分が…。
      投げやりに始めたプロデュース業で、様々な同世代の依頼人に出
      会い変身する吉松喜一、40歳。生きることの困難と、その先の
      希望を見つめた感動作。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 物語は、投げやりに始めたプロデュース業で、様々な40代の同世代の依頼
人に出会い変身する主人公の40歳の吉松喜一を描いた作品。作品は40代の
応援歌的作品で、主人公の苦悩や希望が描かれますが、展開の上手さといい読
みやすさといい、面白い作品だとは思います。しかしながら、描かれる世界は
かなりのステレオタイプでもあり、幅を広げすぎたのは大きな欠点だと思いま
すし、読み手によって評価は分かれる作品だとも思います。

【ま行】

<本紹介>
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【ジャンル】冒険小説
【著書名】 マングースの尻尾
【著者名】 笹本稜平
【出版社】 徳間書店
【初 刊】 2006年2月28日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】武器商人の戸崎は、盟友の娘であるジャンヌに命を狙われる。父
      が惨殺されたのは彼の仕業と勘違いしたジャンヌだが…。大物工
      作員「マングース」と武器商人との華麗なる死のゲーム。息も吐
      かせぬ巧妙な罠が待つ、国際謀略小説。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 ヨーロッパを舞台に活躍する武器商人の戸崎真人は、ある日突然、盟友ラフ
ァエル・ポランスキーの娘であるジャンヌに命を狙われる。ブリュッセル近郊
の自宅で、ポランスキーが車内で喉を掻き切られ惨殺されたためだ。それを戸
崎の仕業と勘違いしていたジャンヌだったが、やがて真犯人を探し出すべく戸
崎と行動を共にすることに……。
 物語は、フランス情報機関幹部の立場を利用して副業で私腹を肥やす工作員・
マングースと、武器商人・戸崎との死闘を描いた冒険小説。世界を飛び回りな
がらのスケールの大きい作品ではありましたが、著者の他の作品と比べると見
劣りしてしまい、物足りなさを感じました。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 ミス・ジャッジ
【著者名】 堂場瞬一
【出版社】 実業之日本社
【初 刊】 2006年3月25日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】メジャーデビューを果たす橘由樹が登板する開幕戦、大観衆の見
      守るなか、ヤンキース対レッドソックスの激闘が展開される…。
      大リーガーとなった日本人投手と審判員との確執を描く、書き下
      ろし長編野球小説。
【満足度】 ★★★★★(文句なし!)
End------------------------------------------------
 日本野球で実績を残した投手・橘は、大リーグのレッドソックスへ入団。そ
の橘と高校・大学の先輩で、当時天才投手と言われながら怪我で選手生命を絶
たれた竹本は大リーグの審判員で、この2人が同じ大リーグの試合で顔を合わ
すことに……。
 物語は、野球の才能に恵まれながら夢破れて野球を追われた男と、これから
栄冠を掴みとろうとする男の人間ドラマが描かれる野球小説。試合のスピード
感は勿論のこと、大リーグの迫力や緊迫感がうまく文章として表現されており、
橘の所属するレッドソックスの監督、エース、チームメイト、代理人、通訳な
ども非常に表情豊かに描かれており、大リーグの魅力が作品として描かれます。
堂場瞬一はこれまでにもスポーツ小説を描いていますが、本書がその中でも群
を抜いた作品であり、最初から最後までじっくりと味わえた作品でした。

【や行】

 

【ら行】

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 レストア
【著者名】 太田忠司
【出版社】 光文社(KAPPA NOVELS)
【初 刊】 2006年3月25日
【金 額】 800円+税
【カバー文】雪永鋼は腕のいいオルゴールのレストア(修復師)。その日、彼
      のもとに持ち込まれたのは、ひとつのオルゴールと奇妙な「謎」。
      そして鋼を苦しめる「過去」には一体なにが? オルゴールの音
      色のように哀しくて優しいミステリ。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 オルゴールの修復師である鋼は、心の痛みを抱えながら、愛犬・ステラと共
にひっそりとオルゴールを修復する日々を送っていた。しかし飯村睦月が持ち
込んだオルゴールからは、彼女の父親が聴いていたのとはまったく違う曲が流
れるという。持ち主の想いが込められたオルゴールとともに持ち込まれる奇妙
な謎。そして鋼を苦しめる過去には一体何があったのか?
 物語は、オルゴール修復師を主人公のもとに持ち込まれる「曰くのある」オ
ルゴールと、それをめぐって壊れた音と壊れた魂の再生の人間関係を描いたミ
ステリ。太田忠司らしい丹念なミステリでしたが、再生と修復をうまく物語に
取り入れ、質の高いミステリに仕上がっています。

【わ行】

 

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