書評データベース(2006年度12月分)
■2006年12月に掲示板にて紹介された本■
エデン 五條 瑛 文藝春秋
TENGU 柴田哲孝 祥伝社
旅のいろ 北方謙三 講談社
ダークネス 倉阪鬼一郎 早川書房
タックス・シェルター 幸田真音 朝日新聞社
隣りの若草さん 藤本ひとみ 白泉社
どうにかなるか 静と理恵子の血みどろ絵日誌
伊集院静/西原理恵子 双葉社
三四郎はそれから門を出た 三浦しをん ポプラ社
少年時代 池永 陽 双葉社
SOKKI! ソッキ 秦建日子 講談社
少女七竈と七人の可愛そうな大人 桜庭一樹 角川書店
神の箱舟 高野裕美子 小学館
Kの日々 大沢在昌 双葉社
瓦礫の矜持 五條 瑛 中央公論新社
空白の叫び(上下巻) 貫井徳郎 小学館
ミスター・シープ 中場利一 幻冬舎
魔夢十夜 小森健太朗 原書房
陽だまりのブラジリアン 楽月 慎 朝日新聞社
船泊まりまで 片山恭一 小学館
平凡キング 室井 滋 ネコ・パブリッシング
ひとがた流し 北村 薫 朝日新聞社
闇の底 薬丸 岳 講談社
行方不明者 折原 一 文藝春秋
乱鴉の島 有栖川有栖 新潮社
論争 格差社会 文春新書編集部編 文藝春秋
よりぬき読書相談室 どすこい幕の内編 本の雑誌編集部編 本の雑誌社
【あ行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】近未来連作ミステリ
【著書名】 エデン
【著者名】 五條 瑛
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2006年8月10日
【金 額】 2095円+税
【カバー文】新宿のスラムで育ったストリートギャング、亜宮柾人。彼が政治・
思想犯専用の特別収容所「K7号施設」に入れられた時、「闘い」
は始まっていた! 知力と暴力とが交錯する近未来ミステリー。
『オール読物』連載を単行本化。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
すでに死刑制度が廃止され、移民を受け入れる社会からはみ出た人間たちが
最終的に行き着く政治・思想犯専用の刑務所「K7号施設」に入れられた青年・
亞宮柾人が、謎に満ちた施設内で、次第に殺戮と破壊のカリスマに魅せられて
いく。亞宮は、信念が造り上げたこの不気味な収容所を「楽園」に変えられる
のか……。
物語は、新宿のスラムで育ったストリートギャング・亜宮柾人の闘いを描い
た近未来の短編連作ミステリ。これまでの五條瑛の作品とは違い、やや異質の
作品ではありますが、近未来社会を舞台とした矯正施設の謎は個人的には面白
かったです。
【か行】
<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 神の箱舟
【著者名】 高野裕美子
【出版社】 小学館
【初 刊】 2006年9月1日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】中国初の有人宇宙衛星・神舟5号打ち上げ成功の裏で、世界が度
肝を抜くナノテク兵器・携帯型ミサイル誘導装置が開発されてい
た。この極秘兵器が強奪され、なんと、日本の女子高生の手に渡
ってしまう…。『文芸ポスト』連載。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
2003年10月に中国初の有人宇宙衛星・神舟5号打ち上げ成功の裏で、
世界が度肝をぬくナノテク兵器、携帯型ミサイル誘導装置が開発された。名付
けて「光矢」。この極秘兵器が、台湾の秘密組織に強奪され、中国当局の必死
の探索の網の目をぬって、今度はよりによって日本の女子高生の手に渡ってし
まう。今や世界的に有名にして日本の100円ショップ商品の供給源である日
用品卸売市場・義烏を経由して……。
物語は、中国公安部と女子高生との極秘兵器の争奪戦を描いたサスペンス。
テーマが非常に面白かったものの、ラストも結末があまりにも呆気なさすぎた
のと、争奪戦が迫力不足だったのは残念です。次作に期待します。
<本紹介>
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【ジャンル】ハードボイルド
【著書名】 Kの日々
【著者名】 大沢在昌
【出版社】 双葉社
【初 刊】 2006年11月10日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】消えた身代金、残された恋人の亡骸、事件の鍵を握る謎の女「K」。
彼女は死んだ男を想い続ける聖女か、それとも金に魂を売った悪
女か? 裏の探偵が、闇に葬られた誘拐事件の真相を追う。『週
刊大衆』連載を単行本化。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
裏稼業専門の探偵・木は、消えた身代金の行方を巡り、ヤクザの組の2代目、
元ヤクザ、中国人マフィア、悪徳警官ら悪党達と駆け引きを繰り広げ、他者の
情報を少しでも多く引き出そうとしながら、身代金の行方を巡る攻防戦が始ま
った……。
作品自体は、「新宿鮫」シリーズのような作品よりも軽さが目に付きました
が、会話主体の展開が小気味良く、恋の展開も交えて描かれます。中盤あたり
から一気にテンポも早くなりますが、そのスピード感も実に良かったです。
<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 瓦礫の矜持
【著者名】 五條 瑛
【出版社】 中央公論新社
【初 刊】 2006年6月25日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】警察組織存続の名の下に、犠牲になった3人の男が選んだ道は、
欺瞞、糾弾、そして復讐。「俺は組織への復讐を、奴は服従を選
んだ。あいつは後悔していないのか…」組織に殉じるとは、正義
とは何かを問う渾身の書き下ろし。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
東北の大都市に「ある共通の過去」を持つ人間達が集まった。街は世界的大
イベントを控え盛り上がっている。彼らの狙いは何なのか……。
物語は、3人の男達による警察組織への復讐が描かれる作品。登場人物が多
く、展開の焦点が中々分かり難かったこともありますが、中途半端な描写が多
く、折角の展開が活かしきれていない印象を強く受けました。また警察組織に
対する計画も緻密性がなく、物足りなさを感じる作品でした。
<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 空白の叫び(上下巻)
【著者名】 貫井徳郎
【出版社】 小学館
【初 刊】 2006年9月20日
【金 額】 1700円+税(上下共)
【カバー文】ふつうの少年がなぜ人を殺すのか。世の中への違和感を抱え、彼
らは何を思い、どんな行動に出るのか…。やがて殺人者になる3
人の心の軌跡をたどった、戦慄のクライム・ノベル。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
自分の容姿や頭脳が凡庸なことを嫌悪している久藤美也。頭脳は明晰、経済
的にも容姿にも恵まれている葛城拓馬。両親との縁が薄く、自分の境遇を不公
平と感じている神原尚彦。物語は、この3人の中学生が殺人者になるまでの内
面を描き、その3人が同じ少年院に収容されて出会い、過酷で陰湿な仕打ちで
心が壊されていく中、3人の間には不思議な連帯感が生まれ、少年院を退院し
た彼らはそれぞれ自分の生活を取り戻そうとするが、周囲の目は冷たく、徐々
に行き場を無くし、再び3人が出会うまでを描いた物語。少年犯罪を少年の視
点から描いた作品でもあり、3人の少年達が、何を思い、どうして人を殺して
しまったのかの過程が丁寧で、物語に一気に引きこまれる展開でもありました。
ラストで多少評価は分かれてしまうかもしれませんが、上下巻でボリュームが
あったものの、没頭できる展開はボリュームを感じさせない魅力があります。
【さ行】
<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 三四郎はそれから門を出た
【著者名】 三浦しをん
【出版社】 ポプラ社
【初 刊】 2006年7月25日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】それでも本から離れられない…。人気作家にして筋金入りの活字
中毒者、三浦しをんの秘密の日常。初の、ブックガイド&カルチ
ャーエッセイ集。『Gag Bank』『朝日新聞』等に掲載し
たものに書き下ろしを加える。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は、直木賞受賞後、第1作となったブックガイド並びにカルチャーエッ
セイ集。当初は書評集だと思っていましたが、書評もあるものの、エッセイ部
分が多く、特に読書に関しての記述が多く、参考となる言葉も多かったです。
「書評とは愛の表明でなければならない」「愛がないなら、黙して語らずにお
け」という言葉は、素人ながら数十年書評を書き続けている自分に対しての教
訓のような言葉でもありました。特に活字中毒の人にはお勧めのエッセイです。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 少年時代
【著者名】 池永 陽
【出版社】 双葉社
【初 刊】 2006年7月25日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】少年時代は、毎日が冒険だった…。昭和40年代初め。清流の町・
岐阜県郡上八幡に暮らす少年が成長していく物語。出会い、別れ、
喧嘩、恋。痛みを覚え、少年は大人になる…。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
舞台は昭和40年の岐阜県郡上八幡。清流で知られるこの町には「中学に入
るまでに町を流れる吉田川に飛び込めば一人前の男」という伝統があった。一
人前になるため奮闘する主人公と、友人・先生などの姿を瑞々しく描いた叙情
豊かな長編青春成長小説。
物語は、昭和40年代の岐阜県の村を背景に、主人公の少年とその友達を中
心に繰り広げられる青春物語。友情、初恋そして家族愛が描かれ、懐かしさを
覚える作品ですが、展開は淡々としており、もう少し幅を持たせても良かった
ようには思います。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 SOKKI! ソッキ
【著者名】 秦建日子
【出版社】 講談社
【初 刊】 2006年4月6日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】美女・田畑希美に釣られて速記研究会に入った「ぼく」本多丈晴
と、元・野球部エースの黒田一行。面白くて甘酸っぱい三角関係。
1980年代の早稲田大学を舞台に描く、スーパー・マイナーな
技術「速記」に懸けた青春。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
早稲田大学に入学した本多は、4月のある日、授業中に素敵だと思った女の
子が突然横に座り「自分が入ってるサークルに入らないか」と誘われた。その
サークルとは「早稲田大学邦文速記研究会」だった……。
物語は、大学での速記サークルを題材にした作品で、恋愛に対する主人公の
情けなさ、もどかしさ感じられる青春小説です。以前に読んだ著者の「チェケ
ラッチョ!」も面白かったですが、こちらはジミな速記を題材とはしているも
のの、人間関係、孤独感、そして恋愛感情と、大学生の青春がギッシリと詰め
込まれ、最後にはほろりとさせられます。読後感さわやかな、お勧めの一冊で
す。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 少女七竈と七人の可愛そうな大人
【著者名】 桜庭一樹
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2006年6月30日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】私、七竈17歳は遺憾ながら、美しく生まれてしまった。大人の
男たちからじろじろと眺めまわされるたびに私は怒りを感じる。
母に、世界に…。気鋭の作家が描き出す最高の恋愛小説。『野性
時代』連載に加筆訂正のうえ書籍化。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
川村七竃は美しいかんばせを持って生まれた呪われた美少女。鉄道を愛し、
孤高に生きる。いんらんな母は、すぐに新しい恋におちて旅に出る。祖父と二
人の日々。周囲から常に注目される彼女が心を許すのは親友の雪風だけだ。二
人でつくる鉄道模型の世界。完成された世界。母のかつての男の訪問、噂をき
きつけたスカウトの誘い、可愛そうな大人たちの騒ぎはだんだんと七竈を巻き
込んで……。
物語は、主人公である少女・七竈を繊細に描いた物語。物語というよりは
「お話」といった方がいいのかもしれませんが、淡々とした展開ではあるもの
の、雪国を舞台として、少女だった七竈が成長していく過程は、中々読ませる
作品です。
【た行】
<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 TENGU
【著者名】 柴田哲孝
【出版社】 祥伝社
【初 刊】 2006年7月20日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】1974年秋、群馬県の寒村で起こった凄惨な連続殺人事件は、
いったい何者の仕業だったのか? 70年代の世界情勢、さらに
2001年9.11米同時多発テロ事件にまで連関する壮大なミ
ステリー!
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
26年前の群馬県の寒村で起こった連続殺人事件の捜査資料を見た中央通信
記者・道平慶一は、巨大な手で握り潰された頭骨、食いちぎられた顔面など、
人間業とは思えない他殺体の写真を見て、何者の仕業だったのかを再度調べて
みることに。そして当時無かったDNA解析を行うと、犯人は人類にはありえ
ない遺伝子を持つという意外な事実が明らかに。果たして1974年秋、群馬
県の寒村で起こった凄惨な連続殺人事件は一体何者の仕業だったのか?
物語は、群馬県の迦葉山山麓の古社に伝わる天狗伝説、68年にその正体を
めぐって全米の動物学者を困惑させた“アイスマン”騒動、それに66年頃、
ベトナム戦争時のカンボジア国境地帯で複数回起こった、米兵と巨大猿との遭
遇事件。こうした情報を基に組み上げたSFミステリーですが、種の遺伝子を
めぐる壮大な謎解きの物語で、アメリカ軍・国防総省の絡む国際謀略小説とも
いえます。様々なテーマが組み合わされているだけに、展開も中々凝っていて、
読みごたえがありました。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 旅のいろ
【著者名】 北方謙三
【出版社】 講談社
【初 刊】 2006年5月30日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】欲望の天国、運命の地獄。その女、要注意−。関わった男たちは
皆、苦痛に悦びを感じながら堕ちていく…。作家・北方謙三がエ
ンタテインメント魂全開で送る、衝撃の官能ハードボイルド決定
版。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
一見地味で貞淑な聖子は、元夫を含め男たちの心を捉えて離さない。しかし
関係する男たちにはいつも、悲惨な末路が待ち受けていた……。
物語は、1人の魔性の女と関係を持った男たちが栄華と没落を味わう物語。
主人公の聖子はとりわけ美人ではないが、ちょっとしたしぐさや視線の強さで
男達を次々と引きつける魔性の女で、会社社長、映画監督、料理人…など、聖
子が愛した男達は、才能を見いだされ、瞬く間に仕事で栄華を極めるのだが、
絶頂の中、そろって悲劇的な結末を迎える。作品の中には、生々しい性描写も
描かれているが、北方謙三ならばもう少しハードボイルド色を強くしてほしか
ったとも思いますし、やや物足りなさの残る作品でした。
<本紹介>
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【ジャンル】ホラーサスペンス
【著書名】 ダークネス
【著者名】 倉阪鬼一郎
【出版社】 早川書房
【初 刊】 2006年8月31日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】不連続な連鎖殺人事件、それぞれの犯人には動機がなかった。被
疑者はすべて現場で心臓麻痺で死亡。事件を追う者たちの上にも
死が襲いかかる。事件の背後に潜む意図とは何なのか? 戦慄の
ホラー・サスペンス大作。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
何の変哲もない幸せな新婚家庭の朝、コーヒーとカレーの匂いが漂う台所を
惨劇が襲う。妻の肉切り包丁が夫の頚動脈を一閃、夫は即死、まもなく妻の心
臓も停止した。その後も続発する無動機連鎖殺人。動機を持たない加害者が突
如殺人者に変貌し、犯行直後に突然死する事件は、新種のウイルスの仕業なの
か? 警察庁特務捜査官を中心に、影の名探偵の異名を取る犯罪学者ら各界の
雄が真相を探るが、やがて彼らにも魔手が……。
物語は、ある条件が揃うと発動する無動機連鎖殺人事件が描かれるホラーサ
スペンスで、次は自分が殺される、もしくは殺すかもしれないという恐怖に次
第に冒されていく展開。特務捜査官や犯罪学者、哲学者や新聞記者などがで真
相解明にあたりますが、その推理も読みごたえあります。ゾクゾクとしたホラ
ー要素がたっぷりで、最初から最後まで目が離せませんでした。
<本紹介>
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【ジャンル】経済小説
【著書名】 タックス・シェルター
【著者名】 幸田真音
【出版社】 朝日新聞社
【初 刊】 2006年9月30日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】証券会社に勤める深田道夫は実直さだけが取り柄の財務部長。そ
の誠実さゆえに処理を任された隠し口座を残して、社長が急逝し
てしまったことから人生が大きく狂い始める…。人間の欲望と悲
哀を描く経済小説。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
急死したワンマン社長から海外に隠した資産の管理を託されていた中小証券
会社の財務部長・深田道夫は、その遺産だった絵画の売却で得た450万ドル
を秘密に運用したことから人生が狂いはじめる。仲間たちにのせられ、つい手
を出した原油先物取引で一夜にして20億円を手に。平凡なサラリーマンが迷
い込んでしまった「税」の脱け道。その先にあるのは……。
物語は、真面目な主人公が巨額の金により転落していく姿を描いた経済小説。
最近の幸田真音の作品はパターンが似ているものが続いただけに、本書はあま
り期待しないで読み始めましたが、最近の作品の中では良かった作品だと思い
ます。外口座やSPC、原油先物取引など、経済事件の要素を散りばめ、欲望
がもとでの罠と転落は、主人公というよりも人間の悲しさが描かれています。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 隣りの若草さん
【著者名】 藤本ひとみ
【出版社】 白泉社
【初 刊】 2006年7月18日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】時に笑い、時に涙、時に壮絶バトル! ひと癖ふた癖じゃおさま
らない梅子、桃子、桜子、百合子の4姉妹と、退官した大学教授
の父、それを見守る老犬がくりひろげる、おかしくもせつない物
語。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
母親の渡仏で主婦役を引き受けた24歳の次女・桃子を始め、ひと癖ふた癖
じゃおさまらない梅子、桜子、百合子の4姉妹が、退官した大学教授と共に繰
り広げるおかしくもせつない物語。
物語は、退官した大学教授と娘4人(梅・桃・桜・百合)の日々の暮らしの
エピソードを、飼い犬・元帥の目から見た作品。特に四姉妹の個性が強く、実
在しそうな感じの家族で、できることならドラマ化してほしいとも思うような
面白さがあります。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】エッセイ
【著書名】 どうにかなるか 静と理恵子の血みどろ絵日誌
【著者名】 伊集院静/西原理恵子
【出版社】 双葉社
【初 刊】 2006年7月25日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】どんなに躓き、転んでもあとには引けぬギャンブル道! 泣く子
も黙る「最恐」コンビがお届けするハチャメチャエッセイ第5弾。
サイバラの書き下ろしカラー漫画8ページを収録。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
本書は、伊集院静と西原理恵子によるギャンブルエッセイの第5弾。競輪、
カジノ、麻雀なんでもござれの伊集院エッセイに西原氏の激辛イラストが絶妙
にマッチしています。このギャンブルエッセイのシリーズはこれまでも読んで
きていますが、特に西原理恵子のイラストはいい味を出しています。第6弾も
今から楽しみです。
【な行】
【は行】
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 陽だまりのブラジリアン
【著者名】 楽月 慎
【出版社】 朝日新聞社
【初 刊】 2006年6月30日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】40歳で取締役営業本部長になった俺は、突然、ランジェリーに
目覚めた…。女装することで自己を解放し、人生に折り合いをつ
けていく主人公の“第2の青春”と家族の再生を描く。『小説ト
リッパー』掲載作に加筆し単行本化。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
40歳で取締役営業本部長の地位を勝ち取った川村幸一は、ある晩、女房の
パンティーに手を伸ばしたことから女装癖に目覚めてしまう。ネットで知り合
ったバイセクシュアル、イチロウの指導でランジェリーバーに出入りし、ブラ
ジリアンカットのパンティーをはきサンバを踊る川村、だが深入りするほどバ
ーの複雑な男関係に巻き込まれ、高2の娘に趣味がばれ、会社では抜擢した部
下が退職願。女装の男・川村に、勝負の時がやって来る……。
物語は、人並み以上の努力で営業本部長職を得た生真面目男の主人公が、あ
ろうことか女装癖にのめり込み、表と裏の顔を何とか両立させようと四苦八苦
する姿を描いた物語。女装癖に目覚めた主人公という変わった設定ではありま
すが、展開がところどころ飛びすぎていて、安直になっている部分もあり、設
定のインパクトは強烈だったものの、もう少し展開を絞った方が良かったよう
に思います。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 船泊まりまで
【著者名】 片山恭一
【出版社】 小学館
【初 刊】 2006年7月20日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】忘れないでね。あなたを探している、わたしがいたことを、いつ
までもおぼえていてね。叔母夫婦から借りた家に引っ越してきた
俊一と冴子夫婦にまつわる、あやうく、悲しく、美しい、愛の道
行き。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
ひっそりと、世間と関わらないように暮らす、俊一と冴子の夫婦は、無理を
しないで、のんびりと暮らすことだったが、冴子のお腹には、ひとつの命が宿
っており、問題もなく、順調に育っていた。しかし、穏やかな生活も、冴子の
奇妙な行動から、ひっそりと影が落ちるようになった。その原因は……。
物語は日常のひずみを描いた作品で、心の不安や崩壊していく精神、そして
夫婦の絆の再確認が描かれています。夫婦の恋愛小説ではあるものの、心理を
付き詰めていく作品でもあり、読みごたえのある作品でした。
<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 平凡キング
【著者名】 室井 滋
【出版社】 ネコ・パブリッシング
【初 刊】 2006年8月30日
【金 額】 1238円+税
【カバー文】やっぱし、猫、好きですか? ムロイが猫の世界を可愛い写真と
ニャンちゃって漫画で描きます。人との付き合いにちょっぴり疲
れたら、ページをめくって猫ワールドに入ってみて下さい。猫た
ちが新しいパワーをくれるかも!
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
本書は、サブタイトルに「ニャンちゃって漫画」とありますが、チビ、ロン
グ、コロ、キンちゃん、シロ、タマ……と個性豊かな6匹の猫達に、近所のノ
ラ猫も加わり、女優・室井滋と愛猫達が繰り広げる、微笑ましくて、ちょっと
おかしな日常を綴ったフォトエッセイ。猫達との交流がほのぼのとしていて、
猫好きにはお勧めできるエッセイです。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 ひとがた流し
【著者名】 北村 薫
【出版社】 朝日新聞社
【初 刊】 2006年7月30日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】高校からの幼なじみの千波、牧子、美々。千波が不治の病を宣告
され、3人はそれぞれの思いや願い、記憶の断片を思い起こして
いく。かけがえのない友よ、時間たちよ…。『朝日新聞』に連載
された、北村薫の心ゆさぶる長編小説。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
それぞれ40代のアナウンサーの千波、作家の牧子、元・編集者で写真家の
妻の美々の3人は、高校時代からの友人同士。千波は母を看取り現在は独り暮
らしをし、牧子と美々は共に子連れで離婚。牧子は、大学受験を控えた娘・さ
きと二人で生活をし、美々は写真家の類と再婚をして、娘の玲は、類を実の父
と信じ、写真家を志している。そしてある日千波はニュースのメインキャスタ
ーに抜擢されるが、その直後の検診で、深刻な病が見つかった……。
物語は、主人公達女性3人の友情と家族達、そして思い出を描いた作品。単
なる友情物語ではなく、登場人物達の過去の積み重ねを丹念な描いており、北
村薫らしい、ゆったりした流れの中で、感動を覚える作品でした。
【ま行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 ミスター・シープ
【著者名】 中場利一
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2006年7月25日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】嫌な上司、仕事のトラブル、複雑な人間関係、そしてややこしい
恋愛。サラリーマンなら誰だって、自分の気持ちを押し隠し、黙
々と歩いているんだ…。リアルな銀行員の毎日を描く。『日経ビ
ジネスアソシエ』連載を単行本化。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
ボクは合併で大きくなったメガバンク銀行に勤めている。元々は合併した方
ではなく、されたほう。やっと環境に慣れてきたと思っていたら、また合併。
しかも、またまた合併される側らしい。嫌な上司、仕事のトラブル、複雑な人
間関係、そしてややこしい恋愛…。
物語は、合併が繰り返される銀行員の日常が描かれる作品。気になったのは、
携帯メールや携帯電話での会話の文章で、これがどうも読み難く、リアル感は
あるものの、物語が読み難かったのはマイナスです。サブタイトルに「ノーサ
ラリーマン・ノークライ2」とあり、前作が「ノーサラリーマン・ノークライ」
のようで、前作を読んでいれば、面白さもあったとは思いますが、単体で読む
と今ひとつの印象です。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ミステリ
【著書名】 魔夢十夜
【著者名】 小森健太朗
【出版社】 原書房
【初 刊】 2006年5月30日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】学校近くのホテルで生徒が変死体で発見された。さらにふたりの
女子生徒が何者かに突き落とされ、死体は二重に折り重なってい
た。いったい学院では何が起こっているのか? 俊英が真正面か
ら挑む長編小説。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
ルームメイトから頼みを受けた丹崎惠が、自殺した女子生徒の足跡を調べる
うち、学内にカルトめいた集団があり、自殺した女性がそれに関わっていたら
しいことを知る。それが引き金であったかのように事件は始まる。学校近くの
ホテルで生徒が変死体で発見され、さらにふたりの女子生徒が何者かに突き落
とされたのだ。しかも死体は二重に折り重なっていた。いったい学院ではなに
が起こっているのか……。
物語では、暗号解読、易経、密室殺人が描かれ、本格的ミステリではあるも
のの、展開の中での女子高生の描写が軽すぎて、折角の題材が活かされていな
いように思いましたし、読み手によって評価が分かれるミステリだとも思いま
す。オカルト的要素もあり、ゾクゾク感も味わえ、存在感のある登場人物には
楽しませてもらいました。
【や行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】サスペンス
【著書名】 闇の底
【著者名】 薬丸 岳
【出版社】 講談社
【初 刊】 2006年9月8日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】少女を犠牲者とした痛ましい性犯罪事件が起きるたびに、かつて
同様の罪を犯した前歴者が首なし死体となって発見される。狂気
の劇場型犯罪が、日本中を巻き込んだ…。運命が導いた、哀しす
ぎる「完全犯罪」。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
刑事である長瀬は、少年時代に自分の不注意から、妹を幼女性愛者に殺され
た過去の持つ。その長瀬の周辺で、幼女への残虐な犯罪が起こるたび、性犯罪
の前歴者が殺される事件が発生する。犯人はフランス史に名高い首切り役人の
名サンソンと名乗る。その名の通り、サンソンは見せしめに性犯罪の前歴者の
首を切断する。捜査の結果、斬首された男たちに共通する過去が見えてくる…。
物語は、社会復帰しても再犯に走る性犯罪者の問題を描いた問題作。江戸川
乱歩賞を受賞した「天使のナイフ」は少年法の不備を付いた作品でしたが、そ
の「天使のナイフ」が良かった分、多少見劣りを感じてしまいました。しかし、
劇場型犯罪への対応を迫られる警察や、長瀬やサンソンの内心も交えて、多面
的に絡みあう事件をテンポ良く描き、作品としては読みごたえがありました。
ラストの評価は多少分かれるかとも思いますが、次の作品にも期待したいです。
<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 行方不明者
【著者名】 折原 一
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2006年8月5日
【金 額】 1524円+税
【カバー文】ある朝、一家四人が忽然と姿を消した。女性ライター・五十嵐み
どりは、取材をつうじて家族の闇を浮き彫りにしてゆく。一方、
謎の連続通り魔殺人事件に遭遇した売れない推理作家の「僕」は、
容疑者の尾行を開始するが…。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
埼玉県蓮田市で、ある朝、一家四人が忽然と姿を消した。両親と娘、その祖
母は、どこへ行ってしまったのか? 女性ライター・五十嵐みどりは、取材を
通じて家族の抱える闇を浮き彫りにしてゆく。一方、都内では謎の連続通り魔
事件が発生していた。たまたま犯行現場に遭遇した売れない作家の「僕」は、
小説の取材のため犯人の正体を探ろうとするのだが……。
物語は、事件と事件が複雑に絡み合い、最後は一点に集約される展開で、い
かにも折原一らしい叙述ミステリです。展開としては面白く、叙述ミステリを
堪能できましたが、ラストが無理のある結末でこれが少々残念でした。
<本紹介>
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【ジャンル】ブックガイド
【著書名】 よりぬき読書相談室 どすこい幕の内編
【著者名】 本の雑誌編集部編
【出版社】 本の雑誌社
【初 刊】 2006年7月15日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】スカッとしたい! ドキドキしたい! じゃあ、何を読めばいい
? プロの書評家6人が読書の悩みをスパッと解決する、面白ブ
ックガイド。WEB本の雑誌『読書相談室』に掲載されたものを
編集して単行本化。
【満足度】 ★★★☆
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本書は、HP上に寄せられた読書に関する悩みについて、専門の相談員が懇
切丁寧に答えるユニークなシリーズの5冊目。本読みのプロが読書の悩みに回
答してくれる至極のブックガイドでもあり、難問珍問に答えながら、とってお
きの本を紹介しています。回答者たちの知識に脱帽。
【ら行】
<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 乱鴉の島
【著者名】 有栖川有栖
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2006年6月20日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】友人の作家・有栖川有栖と休養に出かけた臨床犯罪学者の火村英
生は、手違いから目的地とは違う島に連れて来られてしまう。絶
海の孤島に集まり来る人々。奇怪な殺人事件…。火村シリーズ、
4年ぶりの長編。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
本書は、火村シリーズの4年ぶりの長編ミステリで、初の孤島物。有栖川有
栖と火村のコンビが孤島での連続殺人事件に挑む物語で、有栖川有栖らしく読
みやすい展開でもありました。ただしラストと動機については物足りなさは感
じましたし、初の孤島での連続殺人事件ということもあったのか、殺人の連続
性があまり感じられなかったのは少々残念でしたが、全体を通せばそれなりに
良かったです。
<本紹介>
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【ジャンル】新書
【著書名】 論争 格差社会
【著者名】 文春新書編集部編
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2006年8月20日
【金 額】 750円+税
【カバー文】貧富の差は広がるか、ニートは誰の責任か、格差社会を生き抜く
には。『世界』から『文芸春秋』まで、重要論文・対談12本を
収録。格差論争の全体像を明らかにする。入学・就職試験にも頼
れる一冊。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
本書は、「格差社会」論争を、総合雑誌に掲載された学者の論文、対談など
を再録して整理することを試み、貧富の差は本当に広がっているか、ニートは
増加しているかなど、論者によって大きく異なるデータのとらえ方、考えの違
いについてをまとめたもの。様々な意見が載っているのは論争にはなっている
ものの、肝心の「格差社会」についてが意見としてまとめられておらず、全体
像は分かるものの、細かな部分が曖昧だった点は残念です。
【わ行】
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