書評データベース(2007年度2月分)
■2007年2月に掲示板にて紹介された本■
ナイチンゲールの沈黙 海堂 尊 宝島社
なな転び八起き 久保純子 グラフ社
小説家 勝目 梓 講談社
去りゆく者への祈り 永瀬隼介 実業之日本社
削除ボーイズ0326 方波見大志 ポプラ社
シャドウ 道尾秀介 東京創元社
ステーションの奥の奥 山口雅也 講談社
シンデレラ・ティース 坂木 司 光文社
書店繁盛記 田口久美子 ポプラ社
昼は雲の柱 石黒 耀 講談社
パパとムスメの7日間 五十嵐貴久 朝日新聞社
バカをあやつれ! 戸梶圭太 文藝春秋
ヒステリック・サバイバー 深町秋生 宝島社
玉虫と十一の掌篇小説 小池真理子 新潮社
探偵と怪人のいるホテル 芦辺 拓 実業之日本社
東京ダモイ 鏑木 蓮 講談社
冬至祭 清水義範 筑摩書房
デイドリーム・ビリーバー 増田久雄 ポプラ社
天才たちの値段 門井慶喜 文藝春秋
東京公園 小路幸也 新潮社
つばき、時跳び 梶尾真治 平凡社
私の胸には蝮が宿り 長坂秀佳 角川書店
ワーキングプア 門倉貴史 宝島社新書
醜い日本の私 中島義道 新潮社
【あ行】
【か行】
【さ行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】自伝的小説
【著書名】 小説家
【著者名】 勝目 梓
【出版社】 講談社
【初 刊】 2006年10月10日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】死、別離、転向、そして悔恨。小説家という業を背負ったひとり
の「人間」が、夢と現実との間に引き裂かれ、様々な悔恨を噛み
しめながら、不器用に、ひたむきに生きていく物語。著者の半生
を振り返る最初で最後の自伝的小説。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は、夢と現実との間に引き裂かれ、様々な悔恨を噛みしめながら、不器
用に、ひたむきに生きていく自らの著者の半生を描いた作品。幼少時代、純文
学の同人雑誌から娯楽小説への転身、中上健次に対する羨望と敗北感、別れた
家族や女性に対する哀切の念など、これまでの経緯を、多彩な職業と女性の遍
歴を絡めつつ、率直に語られています。著者のその時々の悩むや苦しみ、そし
て心の葛藤が赤裸々に書かれており、自らの業を描いた人間ドラマでもありま
した。
<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 去りゆく者への祈り
【著者名】 永瀬隼介
【出版社】 実業之日本社
【初 刊】 2006年7月25日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】マフィアにしかできない恋がある−。新宿の中国マフィア組織の
裏社会へ転落しかけた少年を連れ戻せ! 元田舎刑事の私立探偵・
古城の奮闘が、組織の裏切り者を炙り出す。長編ハードボイルド
探偵小説。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
北関東の地方都市に探偵事務所を構える元警官の古城辰郎は、地元の実業家・
熊坂茂之から、上京後に音信不通になった19歳の息子の捜索を依頼される。
新宿の中国人の地下組織「幇」に関わり、軟禁されていることを知った古城は、
中国マフィアの裏社会へ転落しかけている少年を救い出すため、命懸けの捜索
行が、組織の裏切り者を炙りだしていく。マフィアのボス李秀龍とその恋人美
麗との恋は!? 少年は奪回できるのか? 警察とマフィアの息詰まる駆け引き
の結果は?
物語はハードボイルド系のサスペンス。スピード感もあり、展開での迫力も
感じるのですが、何かが物足りない。その物足りなさですが、登場人物の設定
が曖昧すぎるのと、心理が極端に変化することが多く、展開には満足いくもの
の、欠点も少なからず感じ、非常に良い設定だっただけに、物足りなさを感じ
たのは残念でしたが、作品自体としては面白いです。
<本紹介>
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【ジャンル】SF
【著書名】 削除ボーイズ0326
【著者名】 方波見大志
【出版社】 ポプラ社
【初 刊】 2006年10月4日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】直都が手に入れたのは、出来事を「削除」できる装置だった。削
除したいのは深爪の傷、息苦しい現実、それとも忘れられない過
ち? 生命力に満ちた人物造形と疾走感あふれる筆致が織りなす
リアル・エンターテインメント。
【満足度】 ★☆
End------------------------------------------------
本書は、2000万円の賞金が話題になった第1回ポプラ社小説大賞の受賞
作。過去の出来事を3分26秒だけ消せる機械を手に入れた少年の物語でもあ
るのですが、テーマは非常に面白いとは思うものの、展開が中途半端で、ラス
トにも大きな不満が残りました。厳しい言い方をすれば「これで2000万円
貰えるの?」。折角のテーマが活かされておらず、面白さも感じられず、読後
にも不満が残る内容でした。
<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 シャドウ
【著者名】 道尾秀介
【出版社】 東京創元社
【初 刊】 2006年9月29日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】母が亡くなり、父の洋一郎と2人だけの暮らしが始まった数日後、
幼馴染の亜紀の母親が自殺した。そして亜紀が交通事故に遭い、
洋一郎までもが…。父とのささやかな幸せを願う少年が、苦悩の
果てに辿り着いた驚愕の事実とは…?
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
人間は、死んだらどうなるの? いなくなるのよ いなくなって、どうなる
の? いなくなって、それだけなの。……その会話から3年後、鳳介の母はこ
の世を去った。父の洋一郎と二人だけの暮らしが始まって数日後、幼馴染みの
亜紀の母親が自殺を遂げる。夫の職場である医科大学の研究棟の屋上から飛び
降りたのだ。そして亜紀が交通事故に遭い、洋一郎までもが……。父とのささ
やかな幸せを願う小学5年生の少年が、苦悩の果てに辿り着いた驚愕の真実と
は?
「このミス」国内編の第3位を始め、年末恒例の各ミステリベストで上位に
支持された作品だけに興味深く読みました。物語は、父親と母親同士が共に学
生からの親友で、お互いの子供も同じ年という2つの家庭を巡るミステリ。母
親の葬儀の日、親友の母親に不気味な幻覚を見た少年。その親友の母親が投身
自殺を遂げ、少年には次々に不幸が襲います。ラストで明かされる真相につい
ての伏線も、展開の中に様々な形で散りばめられており、読みごたえのある作
品で評価の高さも伺えます。若干登場人物の心理描写で疑問に感じるところが
あったのは欠点だとも思いますが、欠点よりも長所が多く目に付く作品でもあ
ります。
<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 ステーションの奥の奥
【著者名】 山口雅也
【出版社】 講談社
【初 刊】 2006年11月15日
【金 額】 2500円+税
【カバー文】吸血鬼に憧れている小学6年生の陽太には、一風変わった叔父が
いる。ある日、その叔父と東京駅に出かけた陽太は、迷宮のよう
な駅構内で死体を発見してしまい、名探偵志望の級友・留美花と
事件の謎を解くべく奔走する羽目に…。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
小学6年生の陽太は吸血鬼に憧れていること以外はごく普通の小学生。そん
な陽太には一風変わった叔父がいる。名前は夜之介。陽太の家の屋根裏部屋に
居候している物書きだ。そんな叔父と甥が、ある日テレビで「東京駅」が大改
築されることを知り、夏休みの自由研究のテーマに選ぶことになる。取材のた
めさっそく「東京駅」に向かったふたりだったが、迷宮のような駅構内の霊安
室で無残な死体を発見してしまう!さらに、その日の夜中、宿泊していた東京
ステーション・ホテルの夜之介叔父の部屋で密室殺人事件が発生!しかも叔父
の姿は消失していた。連続殺人事件なのだろうか?夜之介叔父はいったい?陽
太は名探偵志望の級友留美花と、事件の謎を解くべく奔走する…。
山口雅也の作品で、思いっきりミステリを期待したものの、ミステリとして
は肩透かしを喰らいます。小学生や中学生が読むには面白いとも思いますし、
読み手によって評価は分かれるでしょうが、本格ミステリを期待して読み始め
ただけに、期待ハズレの部分が大きかったです。次作に期待します。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 シンデレラ・ティース
【著者名】 坂木 司
【出版社】 光文社
【初 刊】 2006年9月25日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】じっと我慢していても、夏は動かない。歯も治らない…。個性豊
かなデンタルクリニックのスタッフと、訪れる患者さんたちがそ
れぞれに抱えている、小さいけれど大切な秘密。都心の歯科医を
舞台にした、ひと夏の青春小説。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
サキは大学二年生。歯医者が大嫌いなのに、なぜかデンタルクリニックで受
付アルバイトをすることになって…。個性豊かなクリニックのスタッフと、訪
れる患者さんがそれぞれに抱えている、小さいけれど大切な秘密。都心のオフ
ィス・ビルの一室で、サキの忘れられない夏がはじまる……。
物語は5つの作品が連作となっている連作小説で、歯医者を舞台に日常の謎
が繰り広げられます。歯科技工士にして「名探偵」四谷くんの推理も冴え、シ
リーズとしての続編も読んでみたいです。
<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 書店繁盛記
【著者名】 田口久美子
【出版社】 ポプラ社
【初 刊】 2006年9月23日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】本屋さんの棚には、私たちの未来がつまっている−。書店の店頭
で日々奮闘する若い書店員たちの「右往左往」を書きとめた一冊。
本屋さんの事件簿、大型書店オープンまでの道のりなど、書店の
裏話が満載。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は、ジュンク堂池袋本店副店長の著者が、書店ビジネスの現実や、本に
まつわるエピソード、書店の裏表など日々の奮闘ぶりを書いたもの。アマゾン
を始めとしてネット書店が幅を利かせる今、著者は多くの読者に実際に書店へ
来て、欲しい本の周りの本も見て、「つい買ってしまった、などという遊びを
してほしい」と願っています。
個人的にはリアル書店を応援したいとも思う反面、住んでいる地域性もある
でしょうが、地元の書店が無くなってしまい、ここ数年は圧倒的にネット書店
での本の購入が増えていますが、著者のような書店員がいて、本の知識も豊富
に書店は絶対に無くしてはならない存在だとも思います。本書では書籍の魅力
は勿論ですが、事件簿や書店業界の話など、興味深い内容も多かったです。
【た行】
<本紹介>
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【ジャンル】短編小説集
【著書名】 玉虫と十一の掌篇小説
【著者名】 小池真理子
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2006年10月20日
【金 額】 1200円+税
【カバー文】登場人物は、女と男。名前はない。男がここに戻ってくることは
もうないだろうと女は思った。寂しい、というのではない。切な
い、というのでもない…。女と男の森羅万象を描く小説宇宙。濃
厚な11篇の「真実」。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
本書は、11の作品が収録されている短編集。非常に短い作品集でもあるた
め、比較的スラスラと読むことができます。少々残酷的な内容もあり、小池真
理子らしく中年の男女の世界が描かれますが、淡々としすぎていて個人的には
イマイチでした。
<本紹介>
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【ジャンル】幻想ミステリ集
【著書名】 探偵と怪人のいるホテル
【著者名】 芦辺 拓
【出版社】 実業之日本社
【初 刊】 2006年9月5日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】そこにあるのは胸躍る冒険物語、それとも恐怖に彩られた悪夢か。
めくるめく夢と幻想の迷宮へようこそ…。幻のデビュー作「異類
5種」から現在に至る傑作10編を精選。特別エッセイも併録し
た、幻想と怪奇の作品集。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
本書は、著者の怪奇幻想系の作品群を収録した非ミステリ・ノンシリーズの
作品集。レトロな探偵風味たっぷりの表題作「探偵と怪人のいるホテル」、
「仮面と幻想の踊る街角」など、花筺城太郎と殺人喜劇王の登場するシリーズ
をはじめ、ごく初期の作品から最近作までを網羅、著者ならではの世界が描か
れます。
<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 東京ダモイ
【著者名】 鏑木 蓮
【出版社】 講談社
【初 刊】 2006年8月10日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】男は帰還(ダモイ)を果たし、全てを知った。極限の凍土・シベ
リア捕虜収容所で起きた中尉斬首事件。60年間の沈黙を自らに
強いた男が突如、姿を消した…。風化する歴史の記憶を照射し、
日本人の魂を揺さぶる本格ミステリ。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
1947年11月、極寒の地シベリアの日本人捕虜収容所で一人の将校が首
を切り落とされ殺害された。それから58年が経過。自費出版専門の出版社・
薫風堂に勤める槙野は、高津という老人からシベリア抑留の経験を纏めた句集
を出版したいと依頼された。出版に向けて作業が進む中、京都の舞鶴港でロシ
ア人女性の死体が発見され、身元保証人の日本人男性が行方不明に。そして、
高津もその新聞記事と共に姿を消してしまう……。
本書は、第52回江戸川乱歩賞受賞作。江戸川乱歩賞受賞作ということで期
待して読みましたが、正直物足りなさを感じる作品でした。シベリア抑留を舞
台とし、帰還を夢見て、厳しい寒さと僅かな食料、そして過酷な労働をしてき
た捕虜兵の極限状態の心理と様子は非常に良く表現されていたものの、肝心の
ミステリ部分がそれらを台無しにしていて、中途半端な印象を強く受けました。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 冬至祭
【著者名】 清水義範
【出版社】 筑摩書房
【初 刊】 2006年11月15日
【金 額】 1900円+税
【カバー文】仕事を捨ててでも子供を守る! 不登校になってしまった息子と、
様子が変になっていく妻。家庭の崩壊を防ぐために、父親として
なにができるのか? 父と息子、そして家族の再生の物語。『陸
奥新報』ほか連載を単行本化。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
戸田直人はKSテレビの報道局プロデューサー。仕事は順調で、気の休まる
暇もないが毎日充実している。家庭は妻・今日子に任せてあるので安心だ。と
ころが、息子・拓人が学校へ行くことが出来なくなっていた。不登校、昼夜逆
転の生活、リストカット。責任を感じた今日子も様子が変になっていく。家庭
が壊れはじめる……。
物語は、息子の不登校をきっかけに、家庭崩壊から家族の再生までを描いた
物語。清水義範にしては極めて珍しいシリアスな作品ですが、家庭を顧みるこ
とのなかった父親が、子供のために、仕事を辞め、実家の兄の納豆の店を継ぐ
ことを決意し、家族の再生へと繋がりますが、仕事を捨てて家族を守る父親像
が非常に印象的でもあり、ラストも心に残る内容でした。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 デイドリーム・ビリーバー
【著者名】 増田久雄
【出版社】 ポプラ社
【初 刊】 2006年9月6日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】北海道から上京した俳優志望の裕太と、沖縄生まれのチンピラ・
幸次。性格も体格も正反対のふたりが、お互いの熱さと脆さに惹
かれて同居を始める。幻の昭和最後の年、64年−。男の友情を
真っ直ぐに描く、純・青春小説。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
平成元年でもある昭和64年、裕太は北海道から俳優を目指して上京した。
そして初めての新宿歌舞伎町でボッタクリの客引き女に捕まっているところを、
沖縄出身の小柄なチンピラ・幸次に助けられる。礼を述べる裕太を、幸次はテ
レビ局のプロデューサーに会わせてやろうと連れ回すが、酒を奢らせた挙句、
騙して財布を抜き取り、幸次は行方をくらました。一週間の路上生活を経て、
ゴールデン街の酒場でアルバイトを始めた裕太は、伊勢丹の屋上で幸次と再会
するが、あっさりと誤魔化され、翌日、映画の撮影所で映画監督に紹介される
こと。そこでまたしても騙され金を持ち逃げされるが、裕太はエキストラのア
ルバイトの口をつかみ、俳優への第一歩を踏み出した。そのバイト先の酒場か
ら帰る夜道で、裕太は公園でリンチに遭う幸次を見かける。二度も自分を騙し
た幸次を、裕太はヤクザの手から救い出す。儚い恋に破れて荒れつつも、着実
に俳優への地歩を固める裕太。ちゃらんぽらんながらも、親身になって裕太を
世話する幸次。しかし、二人の友情を病魔が引き裂くのだった……。
物語は、真っ直ぐな裕太と幸次の友情物語で、昭和から平成へと移る激動の
時代を、熱い男の友情で描いた純粋な青春小説。著者は映画プロデューサーだ
けあって、非常にテンポも良く、展開の場面が映像で浮かんでくるような感じ
も受けました。また、タイトルにもなっている「デイドリーム・ビリーバー」
はモンキーズの名曲ですが、読みながら頭の中をこの曲が流れました。読後も
非常に心地良かったです。
<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 天才たちの値段
【著者名】 門井慶喜
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2006年9月15日
【金 額】 1714円+税
【カバー文】子爵の屋敷の地下室に秘蔵されていた巨匠ボッティチェッリ作
「秋」。これは世紀の大発見か、罪深き贋作なのか? 鑑定眼な
らぬ「鑑定舌」で真贋を見きわめる天才美術探偵、神永美有が活
躍する美術ミステリー。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
美術品の真贋を舌で見分ける天才美術探偵・神永美有が西洋名画から正倉院
御物まで様々な美術品にまつわる謎を快刀乱麻解き明かす……。
本書は、オール讀物推理小説新人賞を受賞した著者のデビュー作。美術品の
真贋を眼力ではなく舌で見わけるという天才美術探偵・神永美有が、ボッティ
チェッリやフェルメールなどの泰西名画から正倉院宝物まで、様々な美術品に
まつわる謎を解き明かしていく美術ミステリ。デビュー作とは思えない程、謎
解きも凝っていますが、美術に関して興味がある人なら、かなり面白く読むこ
ともできるでしょうが、個人的には少々読み疲れるミステリでした。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 東京公園
【著者名】 小路幸也
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2006年10月30日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】ファインダー越しに感じてるこの気持ち。これって、ただの好奇
心? それとも、もしかして恋? カメラマン志望の大学生・圭
司をとり巻く様々な人間模様。柔らかな光を浴びて、ゆっくりと
芽吹く恋の物語。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
「幼い娘と公園に出かける妻を尾行して、写真を撮ってほしい」…くつろぐ
親子の写真を撮ることを趣味にしている大学生の圭司は、ある日偶然出会った
男から奇妙な頼み事をされる。バイト感覚で引き受けた圭司だが、いつのまに
かファインダーを通して、話したこともない美しい被写体に恋をしている自分
に気づく…。
物語は、日比谷公園、砧公園、吉祥寺、井の頭公園などの東京都内の公園巡
りをするうちに芽生える恋心を描いた作品。著者の作品では「東京バンドワゴ
ン」以来でしたが、公園から公園へ、小さな抵抗を重ねる人妻のなぞから、誰
かを探し続ける人々を描いた物語は、人間ドラマ的でもあり、登場人物達の交
流は素敵な物語として描かれています。
<本紹介>
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【ジャンル】SF
【著書名】 つばき、時跳び
【著者名】 梶尾真治
【出版社】 平凡社
【初 刊】 2006年10月18日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】幽霊伝説のある旧家に住むことになった「私」は、ある日、突然
出現した不思議な少女に魅せられる。150年の「時の壁」を超
える恋の行方は? 「黄泉がえり」の作者が放つ、究極のタイム
トラベル・ロマンス。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
物語は、現代に生きる作家の青年・惇と、江戸時代末期に住むつばきという
女性が、時を隔てて出会い、そして恋をするという物語。タイムトラベルでの
恋愛物語ではありますが、時代背景や設定が非常に細かく描かれていることも
あり、映画を見ているような感覚で読むことができました。ただ恋愛過程が曖
昧で、どのように互いに惹かれあうことになったのかが描かれておらず、ここ
が少々ひっかかりましたが、ラストも良く、読みごたえがありました。
【な行】
<本紹介>
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【ジャンル】医療ミステリ
【著書名】 ナイチンゲールの沈黙
【著者名】 海堂 尊
【出版社】 宝島社
【初 刊】 2006年10月21日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】東城大学医学部付属病院・小児科病棟に勤務する浜田小夜は、子
供たちのメンタルサポートを不定愁訴外来・田口に依頼する。そ
の渦中、患児の父親が殺され、思いもかけない展開を…。メディ
カル・エンターテインメント第2弾。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
東城大学医学部付属病院・小児科病棟に勤務する浜田小夜。担当は、眼球に
発生する癌―網膜芽腫(レティノブラストーマ)の子供たち。眼球を摘出されて
しまう彼らの運命に心を痛めた小夜は、子供たちのメンタルサポートを不定愁
訴外来・田口公平に依頼する。その渦中に、患児の父親が殺され、警察庁から
派遣された加納警視正は院内捜査を開始する。小児科病棟や救急センターのス
タッフ、大量吐血で緊急入院した伝説の歌姫、そこに厚生労働省の変人・白鳥
圭輔も加わり、事件は思いもかけない展開を見せていく…。
物語は、前作「チーム・バチスタの栄光」の8ヶ月後の物語。登場人物の存
在感は健在ではあるものの、前作がパワフルすぎたのか、今回は正直トーンダ
ウン。前回程のハチャメチャさが消え、展開も散漫になったいたのが残念です。
作品自体は悪くはないものの、どうしても前作と比べてしまうため、やや物足
りなさの残る内容でした。
<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 なな転び八起き
【著者名】 久保純子
【出版社】 グラフ社
【初 刊】 2006年1月7日
【金 額】 1143円+税
【カバー文】TVで人気のアナウンサーが結婚・出産を経て、母として社会人
として成長していく様子が、日々のさりげないエッセイを通して
綴られる。飾らない人柄で好感度抜群のデビュー作。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
本書は、元NHKアナウンサーの著者の2年間に書き綴った手記をまとめた
もの。結婚、出産、子育ての様子が書かれており、子育てと仕事の両立などに
ついても触れられています。発売当時話題となっていたので読みましたが、特
に同じような境遇の女性には共感できるところは多いように思います。
【は行】
<本紹介>
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【ジャンル】近未来シミュレーション小説
【著書名】 昼は雲の柱
【著者名】 石黒 耀
【出版社】 講談社
【初 刊】 2006年11月28日
【金 額】 2000円+税
【カバー文】富士山地下で、怪しげな低周波地震が頻発。そしてついに噴火。
被災地となる御殿場市と、そこに関わる人々を救うことは出来る
のか−。緻密な構成力とスケール感で未来の大噴火を仮想体験で
きる、近未来シミュレーション小説。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
火山学者の娘・真紀と、実業家の息子・亮輔は、御殿場市に住む父親同士の
縁もあって、富士山麓で発見された謎の遺跡の発掘現場で出会う。その謎の遺
跡を覆う地層は、これまで富士山で知られていなかった規模の火砕流が市街地
の近くに達していたことを如実に示していた。やがて丹沢山地の地下で起きた
地震が、富士山の地下にあるマグマの眠りを覚ます……。
著者は「死都日本」で南九州の霧島・阿蘇を含むカルデラ火山の破局的大噴
火を起こし、「震災列島」で東海地震・東南海地震そして名古屋を襲う大津波
を起こしましたが、今回は富士山大噴火を題材としています。前半が高校生カ
ップルの青春小説のようになっているので、読みやすいものの、期待ハズレ。
後半にようやく展開が激しく動き、パニック小説らしさは見られるものの、災
害時の自治体の対応設定が曖昧で、題材としては非常に興味深かったものの、
正直前の2作に比べると迫力や衝撃も低いです。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 パパとムスメの7日間
【著者名】 五十嵐貴久
【出版社】 朝日新聞社
【初 刊】 2006年10月30日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】イマドキの女子高生・小梅16歳と、冴えないサラリーマンのパ
パ47歳。大地震をきっかけに、2人の人格が入れ替わってしま
った! ハートウォーミングな家族愛を描いた、笑いと涙のノン
ストップ・エンターテインメント長編。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
大手化粧品会社に勤める47歳の恭一郎。娘の小梅はイマドキのの16歳の
女子高生で、最近娘と会話が無いどころか嫌われてる風でもあることに心を痛
めている。そんな二人がたまたま一緒に乗った電車が地震により横転事故。そ
の衝撃で二人の心は入れ替わってしまう……。
物語は突然父と娘が入れ替わってしまった騒動が描かれる物語で、映画「転
校生」をフト思い出す作品でもありました。娘になってしまった父は、初デー
トが壊れるように画策し、父になってしまった娘は、会社の企画会議のために
奔走することとなり、互いの生活や立場を知り、何とか危機を乗り切ろうと協
力し合ううちに心が通い合うことにもなる……という展開。多少、父と入れ替
わった娘の会社での奮闘ぶりには無理があったとは思いますが、父と娘のギャ
ップは良く描けていましたし、最後は親子愛がしっかりと描かれた心温まる作
品に仕上がっていました。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 バカをあやつれ!
【著者名】 戸梶圭太
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2006年10月30日
【金 額】 1429円+税
【カバー文】独裁者を夢見る警察署長と、村八分の恨みから故郷に復讐したい
町長とが、町を「史上最悪の下層社会」にするために立ち上がっ
た。次々に繰り出される「構造改革」。果たして下流社会はつく
りだせるものなのか?
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
高知県の田舎町に警察署長として赴任したエリート警察官僚と、幼い頃に地
域から受けた壮絶ないじめの恨みを抱える町長とが、町を「この世で最低最悪
の下層社会」にするプロジェクトを開始した。大型ショッピングモールの誘致、
パチンコ店の新規参入促進、風俗店営業の規制緩和、ホームレスにやさしい町
づくり、前科者の再チャレンジ支援などなど、次々に繰り出される構造改革。
果たして下流社会はつくりだせるものなのか?
相変わらずの戸梶パワー全開の作品でもあり、登場人物もそれぞれに強烈な
個性で、展開も過激さとスピード感満点ではありますが、戸梶作品には慣れて
いるものの、そのブラックさが強烈過ぎました。笑って読める作品で、基本的
には戸梶作品は大好きですが、読み手によって評価は大きく分かれる作品でし
ょう。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】サスペンス
【著書名】 ヒステリック・サバイバー
【著者名】 深町秋生
【出版社】 宝島社
【初 刊】 2006年11月18日
【金 額】 1420円+税
【カバー文】アメリカでスクール・シューティングに遭い、心に深い傷を負っ
て帰国した和樹。だが、トラウマを抱えながらも新たに通い始め
た高校で、スポーツ系とオタク系の生徒が全面対立する学園バト
ルロイヤルに巻き込まれ…。
【満足度】 ★★★★☆
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アメリカでスクール・シューティングに遭い、心に深い傷を負って帰国した
和樹。トラウマを抱えながらも新たに通い始めた高校ではスポーツ系とオタク
系の生徒間に根深い対立があり、激化する諍いに和樹は巻き込まれていく。そ
んななか、スポーツ系の生徒が改造銃で連続して狙撃されるという事件が起き
る。相手サイドに対する不信感はつのり、やがて両陣営が全面対立する学園バ
トルロイヤルへ…。
物語は、スポーツ系とオタク系の生徒の学園バトルロイヤルが描かれるサス
ペンスですが、単なる学園バトルロイヤルではなく、主人公を始めとして登場
人物の背景も良く描かれ、展開に更なる幅を持たせています。その主人公の和
樹は、アメリカの学校での銃乱射事件によって心身共に大きなトラウマを抱え
日本に帰国。そして日本で仲良くなったスポーツ系生徒とオタク系生徒の意味
のない争いに巻き込まれていきますが、イジメの対立構造も新鮮な描写で、重
苦しいテーマの中にもしっかりと友情物語も描かれ、ラストもよくまとめられ
ており、子供達の心の闇の世界が物語でよく表現されていました。
【ま行】
<本紹介>
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【ジャンル】社会学
【著書名】 醜い日本の私
【著者名】 中島義道
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2006年12月15日
【金 額】 1000円+税
【カバー文】なぜ日本人は「汚い街」と「地獄のような騒音」に鈍感なのか?
「心地よさ」や「気配り」「他人を思いやる心」など、日本人の
美徳に潜むグロテスクな感情を暴き、押し付けがましい「優しさ」
と戦う反・日本文化論。
【満足度】 ★★★☆
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日本人は美に敏感な国民である。そして、欧米人に比べても、細やかな心使
いを持ち、洗練されている。しかし、いや、だからこそ、この国には騒音が怖
ろしいほど溢れかえり、都市や田舎の景観は限りなく醜悪なのだ! 微温的な
「心地よさ」や「気配り」の裏側に潜むグロテスクな感情を解き明かす、ホン
トウの反日・文化論。
本書は、日本の街、繁華街・商店街、空を覆う電線、悪趣味な看板・幟、耳
をつんざく騒音等などの醜い景観に対して腹を立てて抗議し、日本文化につい
て様々な角度から検討しているもので、改めて騒音問題や景観問題も考えさせ
られます。
【や行】
【ら行】
【わ行】
<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 私の胸には蝮が宿り
【著者名】 長坂秀佳
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2006年11月2日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】作家・城研九四郎は、取材で訪れた青森県弘前で少女・千織に出
会う。ところが、研九四郎に取材を依頼したTVプロデューサー・
十詩の他殺体が、弘前城の堀の中で発見され…。雪の弘前が舞台
の本格ミステリ巨編。
【満足度】 ★★
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作家で脚本家の城研九四郎は、取材で青森県弘前を訪れ、雪の弘前城で偶然
知り合った日籠千織に自宅へ招待される。広大な館で彼らを出迎えたのは、千
織の義母で未亡人の志乃、その娘で三人の義姉妹たち、そして、研九四郎に取
材を依頼したTV局のプロデューサー十詩もいた。十詩はこの家にまつわる莫
大な遺産と一族についての奇妙な仮説をたてていた。しかしその翌日、能舞台
の衣装を着た十詩の他殺体が城の塀の中で発見される。それは氷の張った完全
な密室状態だった。犯人はどうやって彼女を殺したのか……?
著者の作品は初めて読みましたが、本格ミステリではあるものの、人物背景
が薄く、折角のミステリがアッサリしすぎているのは大きな欠点。主人公も存
在感があまり感じられず、題材を活かしきれていないミステリとなっていたの
が残念です。
<本紹介>
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【ジャンル】新書
【著書名】 ワーキングプア
【著者名】 門倉貴史
【出版社】 宝島社新書
【初 刊】 2006年11月24日
【金 額】 720円+税
【カバー文】労働人口の4人に1人は生活保護水準で暮らしている! 実際に
「ワーキングプア」に陥って生活苦にあえいでいる人たちへのイ
ンタビューやさまざまな統計データとともに、「ワーキングプア」
の平均像を浮き彫りにする。
【満足度】 ★★★★
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日本には働く貧困層(ワーキングプア)が存在し、しかも、増えていると著
者は本書の中で指摘しています。そのワーキングプアと呼ばれている人達はど
んな生活を送っているのかも丹念に取材をし、突如リストラに遭って正社員の
座を追われた中高年、厳しい雇用環境の中で仕方なくフリーターやニートの道
を選んだ若者と事情は様々ですが、誰もが生活苦にあえいでいる様子を紹介し
ています。格差社会についての書籍は数多く出版されていますが、本書は分か
りやすく、また多角的に捉えており、実例を多く交えてバランス良く書かれて
います。
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