書評データベース(2008年度2月分)

 

■2008年2月に紹介した本■

 沈底魚                曽根圭介     講談社
 永遠を旅する者            重松 清     講談社
 氷平線                桜木紫乃     文藝春秋
 北海道幸せ鉄道旅           矢野直美     北海道新聞社
 愛の挨拶               本岡 類     新潮社
 思わず使ってしまうおバカな日本語   深澤真紀     祥伝社新書
 新しい階級社会 新しい階級闘争    橋本健二     光文社
 いっぺんさん             朱川湊人     実業之日本社
 田舎の刑事の趣味とお仕事       滝田務雄     東京創元社
 青い鳥                重松 清     新潮社
 やってられない月曜日         柴田よしき    新潮社
 よりぬき読書相談室 みだれ打ち快答編 本の雑誌編集部編 本の雑誌社
 カンベンして欲しい人たち       町沢静夫   イースト・プレス
 このミステリーがすごい! 2008年版         宝島社
 このマンガがすごい! 2008年版           宝島社 
 学校のモンスター           諏訪哲二    中公新書ラクレ
 ガイシの女              汐見 薫     講談社
 狩人は都を駆ける           我孫子武丸    文藝春秋
 奇談蒐集家              太田忠司     東京創元社
 恋する天才科学者           内田麻理香    講談社
 ゴッドスター             古川日出男    新潮社
 高学歴ワーキングプア         水月昭道     光文社新書
 2020年の日本人          松谷明彦  日本経済新聞出版社
 日本人の平均値 2008       藤原郁郎   アーカイブス出版
 武士道シックスティーン        誉田哲也     文藝春秋

【あ行】

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 愛の挨拶
【著者名】 本岡 類
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2007年8月20日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】「定年になったら、一緒にこの曲を合奏しよう」 妻と交わした
      約束だった…。突然の訃報、独りきりの家、人生設計の破綻。そ
      れでも「大人のピアノ教室」に通い続ける証券マンに光はさすの
      か。ほろ苦い涙が滲む大人の純愛小説。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 大手証券会社に勤務する56歳の仁科は閑職に追いやられ、定年前に自主退
職すれば割増退職金が支給されるので、妻の布由子には退職を勧められていた。
その布由子が海外旅行先のオランダで亡くなったという連絡が入り、仁科はオ
ランダに向かう。布由子は、仁科にピアノを覚えさせ、布由子が学生時代から
弾いているヴァイオリンでエルガーの「愛の挨拶」を合奏したがっており、そ
のためピアノ教室に通っていた仁科は、ピアノを習う生徒たちと触れ合い、や
がて偶然ビルマから逃れてきた避難民たちと路上で出会った。政治的な理由で
母国を逃れてきた彼らの生活を目にすることで、それぞれの意識が少しずつ変
わっていき、ビルマの貧しいながらも豊かな精神生活、絆の深い家族関係が新
鮮な形として現れる。
 物語は、亡くなってはじめて思い知る妻への深い愛、亡き妻の夫への思いを
テーマにした作品ですが、ピアノ教室に通う人達との交流の群像ドラマともい
えます。夫婦の愛を妻が亡くなってからも確認していく主人公の姿には、正直
打たれましたし、単なる愛情物語だけではなく、ピアノ教室での出会いと交流
の物語も印象的で、特にラストは感動巨編といえるだけのラストシーンが待ち
受けています。これまでのミステリ作家としての本岡類が新たに新境地を開い
た力作ともいえます。

<本紹介>
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【ジャンル】新書
【著書名】 思わず使ってしまうおバカな日本語
【著者名】 深澤真紀
【出版社】 祥伝社新書
【初 刊】 2007年11月5日
【金 額】 740円+税
【カバー文】「私ってコーヒー飲めない人じゃないですか」「じゃがいもを切
      ってあげてください」…。おバカな言葉から、現代の日本が透け
      て見える。日本語の最前線に居続ける著者が、気になる日本語と
      そこに隠された時代の心理を読み解く。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、自分も知らず知らずに使っている「おバカな日本語」が面白おかし
く紹介されており、思わず目からウロコも落ちました。明らかにおかしすぎる
日本語はすぐに見分けが付きますが、例えば「感動をありがとう」「前向きに
楽しみたいと思います」などは、自分でも使っているかもしれないと思いまし
たし、言葉と文化を改めて感じさせられました。特に最近はビジネスなどでも、
おかしな日本語が平気で使われていますが、企業でメールマガジンを書いてい
るおバカな人達も多く、担当者はぜひとも読むべきです。でも時代背景と日本
語は繋がっているものだと認識しましたし、単純に愉しめる1冊です。

<本紹介>
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【ジャンル】社会
【著書名】 新しい階級社会 新しい階級闘争
【著者名】 橋本健二
【出版社】 光文社
【初 刊】 2007年10月30日
【金 額】 1200円+税
【カバー文】「格差社会」を超え、階級間の利害が厳しく対立する「新しい階
      級社会」へと変質しつつある日本社会。その実態を、階級社会を
      研究し続けてきた気鋭の社会学者が豊富なデータを駆使して検証
      する。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、格差の拡大を考察したリポートで、その格差の拡大が、社会に質的
な変化をもたらし生活を脅かし始めていると指摘し、格差社会の行き着く先は、
新しい階級闘争の時代だとも書かれています。格差の背景を更に深く掘り下げ
てほしかったとも思いますが、今後日本は少子高齢化に伴い、更に社会不安を
抱えるでしょうし、そうなると更に格差は広がるとも思いますし、階級間の利
害というのも改めて考えさせられました。

<本紹介>
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【ジャンル】短編小説集
【著書名】 いっぺんさん
【著者名】 朱川湊人
【出版社】 実業之日本社
【初 刊】 2007年8月25日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】望みは必ず叶う。ただし、いっぺんだけなぁ…。いっぺんしか願
      いを叶えない神様を少年は見つけることができるのか。田舎で出
      合った8つの不思議ストーリー。『J−novel』掲載を単行
      本化。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 物語は、どんなお願いも1度だけかなえてくれる「いっぺんさん」という神
様を探しに、小学4年生の私と「しーちゃん」が自転車で山を目指す表題作を
始めとして、8つの作品が収録されています。どの作品も、懐かしい昭和の田
舎の風景に、少し怖くて不思議な物語として描かれていますが、夢と現実が交
差し、ファンタジーとホラー要素の作品集です。

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 田舎の刑事の趣味とお仕事
【著者名】 滝田務雄
【出版社】 東京創元社
【初 刊】 2007年8月30日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】ワサビ泥棒、コンビニ立てこもり事件…のどかな田舎だって難事
      件は起きる。辣腕刑事の黒川と無能な部下の白石、そしてなぜか
      黒川の奥さんも大活躍! 個性的な刑事たちが右往左往する脱力
      系警察ミステリ。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 彼の名は黒川鈴木。姓名どちらも姓に見えるという点で、まあ珍名の部類に
入る。職業は警察官。階級は巡査部長。既婚で子供はない。酒もタバコもやら
ない。ギャンブルなど論外。ふだんはヒマでも、事件が起これば無能な白石と
真面目な赤木、2人の部下を連れて現場に急行する。起こる事件はワサビ泥棒、
コンビニ立てこもり事件、カラス騒動にトーテムポール損壊事件……のどかな
田舎だって難事件は起きる。
 正に脱力系警察ミステリとはよく言ったもので、田舎の暇な刑事課が繰り広
げる事件をユーモアたっぷりなミステリ。しかも、ミステリ部分もプロットが
それなりにしっかりしており、軽い感じで読めて、登場人物も良い味出してい
ます。続編が出るようなので、ぜひ期待したいです。

<本紹介>
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【ジャンル】短編小説集
【著書名】 青い鳥
【著者名】 重松 清
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2007年7月20日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】先生はうまく話せない。だから“たいせつなこと”しか言わない。
      いじめ、自殺、虐待。吃音の教師を通して答えのない問題に向き
      合い、伝えたい思いを描く感動作。『小説新潮』に掲載されたも
      のに大幅な加筆・改稿を施す。
【満足度】 ★★★★★(文句なし!)
End------------------------------------------------
 村内先生は中学の非常勤講師。国語教師なのに吃音を持つ先生の、一番大切
な仕事は、ただ「そばにいること」。「ひとりぼっちじゃない」と伝えること。
いじめ、自殺、学級崩壊、児童虐待……子どもたちの孤独にそっと寄り添い、
だからこそ伝えたい思いを描く感動作。すべての中学生、中学生だったすべて
の大人に捧げる救済の書。
 本書は8つの連作短編小説で、いずれも吃音の国語の非常勤講師・村内先生と、
その村内先生が赴任する学校での生徒との出来事を綴った物語。吃音があるか
らこそ、必要で本音しかしゃべらない村内先生と、クラスの孤独な生徒との交
流と救済が描かれていますが、思春期の生徒の悩みや不安を、真剣に向き合い、
言葉で救う村内先生の姿には大きな感動を覚えます。イジメ、学級崩壊、児童
虐待など、現代の問題を短編ながらしっかりと子供の目線で物語が描かれてい
るのは、重松清らしい作品であり、子供達の成長にも胸が熱くなりました。

【か行】

<本紹介>
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【ジャンル】心理学
【著書名】 カンベンして欲しい人たち
【著者名】 町沢静夫
【出版社】 イースト・プレス
【初 刊】 2007年9月4日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】話が通じないのは、あなたが悪いんじゃなかった! ワンマン、
      ブチギレ、自己チュー…精神科医があなたのまわりのカンベンし
      て欲しい人たちを診断! あの人の深層心理と、付き合い方のコ
      ツを教えます。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書では、数多くの事例を挙げて、精神医学から見た「カンベンして欲しい
人たち」の精神状態やその対処法についてが書かれています。職場、近所、家
庭など、身の回りにもカンベンして欲しい困ったちゃんは多いとも思いますが、
いざ自分の身に降りかかった時には納得できる診断内容になるかもしれません。
しかし改めて思ったことでもありますが、自己チューは近年大増加していると
いうことでしょうね。社会常識が薄れてきているのは本当に残念です。

<本紹介>
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【ジャンル】ブックガイド
【著書名】 このミステリーがすごい! 2008年版
【出版社】 宝島社
【初 刊】 2007年12月20日
【金 額】 476円+税
【カバー文】2007年のミステリー界を総括する一冊。2007年ベストテ
      ン、人気作家59人の特別書き下ろし「私の隠し玉」&20周年
      記念特別エッセイ、第6回「このミステリーがすごい!」大賞発
      表、「このミス」座談会などを収録。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 昨年末に出た「このミス」の最新版ですが、上位ランクされている作品は昨
年あまり読んでいなかったので、ブックガイドとしての情報源にはなりました。
でも「このミス」も、いつの間にか20周年になっていたのですね。そのこと
が非常に印象深かったです。

<本紹介>
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【ジャンル】ブックガイド
【著書名】 このマンガがすごい! 2008年版
【出版社】 宝島社
【初 刊】 2007年12月20日
【金 額】 552円+税
【カバー文】年間マンガガイドの決定版! 今年度は強力合本版として、昨年
      の「オトコ版」「オンナ版」が一冊にまとまりました。目玉企画
      にオトコ編、オンナ編それぞれの今年もっとも面白かったマンガ
      ランキングを掲載。また、1位インタビューはもちろん、大物マ
      ンガ家インタビューやジャンル別イチオシマンガガイド、長寿マ
      ンガ大賞などの企画も充実。今年の腐女子ブームがわかる「腐女
      子入門」もついてマンガ好きにはたまらない一冊です。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 昨年まで「オトコ版」と「オンナ版」が別々だったのが1つになり、更に価
格も下がりましたから、お得感もありました。マンガの情報源になったのは勿
論ですが、個人的には福本伸行の顔写真入りインタビューが非常に良かったで
すし、作品の裏話が読めたことも興味深かったです。

<本紹介>
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【ジャンル】新書
【著書名】 学校のモンスター
【著者名】 諏訪哲二
【出版社】 中公新書ラクレ
【初 刊】 2007年10月10日
【金 額】 760円+税
【カバー文】個性の過剰な尊重、対学校のクレーマーと化した親、「オレ様」
      化を許す“自由な”おとな社会の歪み…。40年の現場体験を通
      して、子どもの変化と格闘してきた著者のリアルな認識が満載の
      本。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、著者の書いた『オレ様化する子どもたち』の続編になるもので、元
高校教師である著者が、教師の理解を超える子供達(モンスター)についての実
例を紹介したもの。そのモンスターの親達のモンスターペアレント問題は多く
伝えられていますが、本書はそうした親子が出現した背景や理由を、経済や歴
史など、教育の世界とは別の座標軸で体系づけています。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 ガイシの女
【著者名】 汐見 薫
【出版社】 講談社
【初 刊】 2007年11月27日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】バリバリ働くイメージとは裏腹に、実情はパワハラ、セクハラが
      横行するシビアな世界の「ガイシ=外資系企業」。企業犯罪の犠
      牲になった兄の無念を晴らす杏子が、「ガイシの闇」に立ち向か
      う!
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 外資系企業を渡り歩いてキャリアアップしている杏子は、アメリカ人ジャー
ナリストの夫を持つが、仕事もプライベートも問題が多く、投資信託会社に勤
める兄を頼りにしている。しかし、その兄が特急電車に飛び込み亡くなった。
遺書があり、目撃者がいたことから自殺と断定されるが、杏子は兄の死に企業
犯罪のにおいをかぎ取り、自ら事件を調べはじめる……。
 物語は、外資系銀行の東京支店で働くキャリアウーマンが、兄の死の謎に挑
むミステリー仕立ての作品。その事件を調べていくうちに、金融界の腐敗や外
資系企業の現実が杏子によって暴かれていき、その過程で杏子は様々な女性達
と関わりを持ち、それぞれの女性達の嫉妬や裏切り、夢と欲望、自己実現を目
指す女性達の姿も描いています。経済とミステリをうまく絡め、企業犯罪の犠
牲で亡くなった兄の敵を取るべく奮闘する主人公・杏子の姿はとても良かった
です。

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ集
【著書名】 狩人は都を駆ける
【著者名】 我孫子武丸
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2007年12月10日
【金 額】 1333円+税
【カバー文】動物嫌いの私立探偵のもとには、なぜかペット絡みの依頼ばかり
      が舞い込む。ドーベルマン誘拐、野良猫連続殺し、ドッグショー
      の警備等々、京都を舞台に今日も大活躍。手に汗握るミステリー
      5編を収録する。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 京都で探偵事務所を営む私のもとに久しぶりに持ちこまれた依頼は、何と誘
拐事件。「雷蔵はあずかった。1000万円用意しろ」との脅迫文が届けられ
たのだ。もっとも、雷蔵とは家で飼われているドーベルマン。つまりは犬の誘
拐事件なのであった……。
 物語は、動物絡みの依頼を背景とした5つのミステリ集。小気味よい関西弁
が非常に面白く、心温まるペット探偵のユーモアのあるミステリで、ペット好
きでミステリ好きであれば、楽しく読めるミステリ集だとも思います。

<本紹介>
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【ジャンル】短編ミステリ
【著書名】 奇談蒐集家
【著者名】 太田忠司
【出版社】 東京創元社
【初 刊】 2008年1月15日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】「求む奇談!」 謎めいた新聞広告に誘われた人々が語る不思議
      な体験。蒐集家は無邪気に喜ぶが、傍らで耳を傾ける美貌の助手
      が口を開くや、奇談は種も仕掛けもある事件へと変化する。夜ご
      と繰り広げられる探偵奇談7篇を収録。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 鏡の中に住まう美しい姫君の恋、西洋の都で出会った若き魔術師の予言、邪
眼をもつ少年と猫とともに巡る夜の街の冒険など、ささやかな不思議から、人
生を変える奇跡まで。多岐にわたる奇談が、謎めいた二人組……奇談コレクタ
ー「恵美酒」と、無愛想な美貌の助手「氷坂」の元に持ち込まれる。無邪気に
謎を謎として喜ぶ恵美酒だが、その背後で物語に耳を傾けていた氷坂が口を開
くや、奇談は一転、種も仕掛けもある“事件”としての全貌を明らかにする!
 物語は、安楽椅子探偵の7つの作品で、短編ではあるものの、全体を通して
も読みやすい作品集でした。昔から読んでいる好きな作家でもありますが、上
手さが光るミステリで、読後も良いです。

<本紹介>
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【ジャンル】偉人伝
【著書名】 恋する天才科学者
【著者名】 内田麻理香
【出版社】 講談社
【初 刊】 2007年12月20日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】女嫌いでケンカ好きだったニュートン、女グセが悪い暴言家だっ
      たアインシュタイン…。大きな業績を挙げた天才科学者16人の、
      人間としての側面に焦点を当てて、キャラクターやエピソードを
      紹介する。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、誰もが知っている著名な科学者達の人間ドラマ、エピソードを紹介
したもので、タイトルに相応しく、それぞれのの恋愛や結婚の様子もたっぷり
と書かれており、よくぞここまで意外なエピソードを集めたものだと感心しま
す。女グセが悪かったアインシュタイン、美人数学者にふられたために「ノー
ベル数学賞」を作らなかったノーベルなど16人の恋愛遍歴から「いい男度」
を判定するというのも面白い。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 ゴッドスター
【著者名】 古川日出男
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2007年11月30日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】あたしはごくありふれたOLだった。夕暮れの横断歩道で、ひと
      りの男の子に出会うまで。融解する時間、崩壊する日常、そして
      「ママ」となったあたしの、新しい世界がはじまる…。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 入り口はやっぱりここにあったの。このコンディションに。あたしの絶望に
……あたしはごくありふれたOLだった。夕暮れの横断歩道で、一人の男の子
に出会うまで。疾走する時間、崩壊する日常、そして「ママ」となったあたし
の新しい生活が始まる。圧倒的密度とリズムが五感を揺さぶる、誰も体験した
ことのない“母子”の物語。
 物語の世界観がかなり独特で、正直物語の説明をするのも難しい作品です。
9歳前後の男の子・カリオは記憶が一切なく、街で偶然カリヲを見つけた独身
のキャリアウーマンが、カリオを自宅マンションに連れ帰るのだが、食事や排
泄のしかたすら忘れているカリオに一から教え、一緒に暮らすうちに、自らの
記憶にも異変が起きはじめ、自分がカリヲを確かに産み育ててきたという、あ
るはずのない記憶が彼女に宿る。更に展開に大きく関わることとなる初老のホ
ームレスとの3人の記憶に関する物語でもあるのですが、インパクトのある作
品ではありました。

<本紹介>
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【ジャンル】新書
【著書名】 高学歴ワーキングプア
【著者名】 水月昭道
【出版社】 光文社新書
【初 刊】 2007年10月20日
【金 額】 700円+税
【カバー文】大学院重点化とは、文科省と東大法学部が知恵を出し合って練り
      に練った、成長後退期における「既得権維持」のための秘策であ
      った。高等教育現場に生じた歪みのカラクリを解き明かす。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 本書でいう高学歴とは、大学院の博士課程を修了して「博士号」を取得した
人で、博士課程まで進んだ方を受け入れてくれる大学や企業のポストが少なく、
正規雇用者での就職ができない現状について書かれています。ただ、一般的な
ワーキングプアは、不況で正規の職にありつけなかった結果、低賃金の暮らし
を余儀なくされている人のことでしょうが、ここで書かれる高学歴ワーキング
プアは、大学院に進む経済力があり、自らで望んだことなのでしょうから、確
かに現実の歪みの問題点や社会問題などは書かれていますが、どうも表題にも
なっている高学歴ワーキングプアという言葉にはピンとこないですし、博士号
の人が就職できていないデータが少ないのも物足りなく感じました。

【さ行】

 

【た行】

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 沈底魚
【著者名】 曽根圭介
【出版社】 講談社
【初 刊】 2007年8月9日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】眠れるスパイ「沈底魚」が動き出した。正体は大物政治家か、そ
      れとも中国の偽装工作か…。真相究明に暗闘する公安刑事たちの
      姿をリアルに描いた、本格公安ミステリー!
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 長期間身を潜め、社会的地位を得てから諜報活動を開始するスパイ―沈底魚。
その沈底魚が、日本の大物国会議員の中にいるという情報が、米国に亡命した
中国外交官からもたらされた。それを裏付けるように、ホトトギスという謎の
情報提供者が、沈底魚が中国に漏らしたという機密文書を外務省に送りつけて
くる。警視庁外事課は沈底魚捜査本部を設置して、捜査に乗り出すことに。重
要容疑者は、次期首相候補との呼び声が高い芥川健太郎。だが、捜査過程で、
沈底魚の事件は彼を陥れるための中国の偽情報工作であることが判明。機密文
書を漏洩した日本人スパイも割り出し、事件は解決したかに見えたのだが……。
 昨年の第53回江戸川乱歩賞受賞作で、公安警察の縄張り争いをミステリと
した作品ですが、テーマとしては非常に好みのテーマでもあり、捜査内容も中
々スリリングで面白かったのですが、展開が二転三転しすぎで、これが逆に欠
点だったように思います。近年の江戸川乱歩賞受賞作もとびきりの大ヒット作
というのは中々見られませんが、もう少し展開をまとめてくれればと思った作
品です。

<本紹介>
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【ジャンル】ファンタジー
【著書名】 永遠(とわ)を旅する者
【著者名】 重松 清
【出版社】 講談社
【初 刊】 2007年11月20日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】主人公はカイム。永遠の生を生きる、すなわち死ねない男。物語
      の舞台はすべて、1000年の旅をしてきたカイムが訪れた、
      「いつか、どこか」の町。坂口博信、井上雄彦との絆が生んだ、
      壮大なスケールで描く命の賛歌。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、ゲームソフト「ロストオデッセイ」の 主人公の過去の話として作
られたもので、サブタイトルにも「ロストオデッセイ 千年の夢」とあります
が、こうした作品を重松清が書くこと自体意外性がありますが、ゲームには全
く興味がなかったものの、不老不死の主人公カイムの千年の放浪のエピソード
は、一小説として非常に魅力を感じました。ゲームソフト「ロストオデッセイ」
は、1000年間を生き続ける不死の男・カイムを主人公に、カイムと仲間達
の冒険の旅を描くファンタジーRPGとのことですが、RPGを小説にし、し
かもゲームでの回想シーンが描かれているため、ゲームソフトと書籍の見事な
コラボともいえるでしょう。

【な行】

<本紹介>
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【ジャンル】社会問題
【著書名】 2020年の日本人
【著者名】 松谷明彦
【出版社】 日本経済新聞出版社
【初 刊】 2007年6月22日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】今後100年以上にわたって人口が減り続けるという巨大な変化
      に直面する日本社会。この未曾有の時代に適合した持続可能な経
      済社会システムとは? 日本人のこれからの働き方、住まい方、
      過ごし方を提案する。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、今後50年間に数千万人規模の人口減少に見舞われる日本社会は、
どう対応するにせよ、価値観の変化なしには切り抜けられそうになく、どう生
きれば豊かな人生に結びつくのか、人口減少時代の日本人の新しい生き方を示
したもの。著者は、先の日本社会だけではなく、現在の日本での労働生産性の
伸びに比べて賃金の上昇幅が低いことに注目し、適正な給料が払われていない
ことも指摘していますが、高齢化、長寿化を背景に、年金や福利厚生をどのよ
うに再構成し、どのように財政の収支をバランスさせていくかについて論じて
います。やや楽観的な部分もあるものの、現実の社会問題も踏まえ、様々な問
題点を書いています。

<本紹介>
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【ジャンル】統計
【著書名】 日本人の平均値 2008
【著者名】 藤原郁郎
【出版社】 アーカイブス出版
【初 刊】 2008年1月5日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】日本人はどれぐらい長生き? 一日のうちの平均的な通勤時間の
      長さは? 身体、家庭、生活、社会、政治・経済など、様々なテ
      ーマから知る日本人の平均値。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、テーマ毎にカラーでの図解と解説が載っていて、統計的な平均値と
共に、現状の日本の有り様が理解出来ます。テーマ別に、身体、家庭、生活、
社会、政治・経済、その他とありますが、雑学的でもあり、気軽に読むことが
できます。

【は行】

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】短編小説集
【著書名】 氷平線
【著者名】 桜木紫乃
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2007年11月30日
【金 額】 1333円+税
【カバー文】こころも身体も乾いている…。跡継ぎを作る重圧、ムラの男に身
      体を売る女性、東南アジアから嫁として買われてきた少女など、
      北海道の生活観溢れる性を女性の視点から淡々と描く。表題作ほ
      か全6編収録。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 本書は、北海道を舞台に、様々な立場の男と女が繰り広げる愛と性の物語集。
表題作は地方独特の閉塞感と、あっけらかんとした売買春が共存するオホーツ
ク海沿岸の寒村が舞台で、売春で生きる女・友江と、5歳ほど年下で、親・故
郷を捨て、財務官僚となって北海道に戻ってくる誠一郎の物語。各作品それぞ
れに性描写がありますが、いやらしさを感じず、自然な景色となっており、女
性達の強さがそれぞれに描かれています。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】フォトエッセイ
【著書名】 北海道幸せ鉄道旅
【著者名】 矢野直美
【出版社】 北海道新聞社
【初 刊】 2005年7月15日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】ゴールなんか決めず、行けるところまで進もう。決して急がずに
      …。2002年から2005年まで、北海道をめぐった列車の旅。
      各駅停車を軸にひと駅ごと足を停め、出会った人、沿線を彩る草
      花、車窓を流れる風景を写真で綴る。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 コミック「鉄子の旅」で一躍有名にもなった著者ですが、本書は2002年
から2005年の間に北海道をめぐった列車の旅を、各駅停車を軸にひと駅ご
と足を停め、出会った人、沿線を彩る草花、車窓を流れる風景を写真で綴って
います。とにかくその風景写真が綺麗で、正に北海道の自然の醍醐味をカラー
写真から感じることができるとも思います。旅行記としても丁寧に取材してお
り、写真だけではなくエッセイとしても読みごたえがあります。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 武士道シックスティーン
【著者名】 誉田哲也
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2007年7月25日
【金 額】 1476円+税
【カバー文】「ようするにチャンバラダンスなんだよ、お前の剣道は」「兵法
      がどうたらこうたら。時代錯誤もいいとこだっつーの」 柔の早
      苗と剛の香織はまたとない好敵手。勝負の行方は? 痛快・青春
      エンターテインメント。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 日本舞踊から剣道に転向し、独特の足捌きをする早苗と、パワー、スピード、
勝負勘の全てに秀でる剣道エリートの香織。二人は中学最後の区民大会で戦う
が、香織はなぜか早苗に負けてしまう。敗れた悔しさを片時も忘れない武蔵オ
タクの香織に、一切そんなことは忘れているお気楽不動心の早苗。そんな因縁
の二人が一緒の高校になった!
 物語は、剣道にかける女子二人の青春小説ですが、正に武士道精神の主人公
2人の存在感が際立っていて、2人の視点で展開が進んでいきますが、主人公
の焦りや迷いも読み手にしっかりと伝わってきます。これまでの著者の作品と
は異質の作品でもありますが、剣道を通して成長していく主人公の姿は、爽快
感もありました。これは面白かったです。

【ま行】

 

【や行】

<本紹介>
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【ジャンル】連作小説
【著書名】 やってられない月曜日
【著者名】 柴田よしき
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2007年8月20日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】私、高遠寧々、28歳。実はコネ入社だけど、いちおう大手出版
      社経理部勤務。彼氏なんていなくても、気の合う同僚もいるし、
      お気楽な一人暮らしを満喫中。でもそんな平凡な日々にも、いろ
      んな事件は潜んでて…。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 以前に著者が書いた『ワーキングガールウォーズ』に近い作品でしたが、コ
ネ入社で大手会社に勤務するOLの主人公の日常を描いた作品で、働いている
女性が読むと共感できるところも多いようにも思います。一日ごとの一週間の
連作短編集にもなっているので、非常に読みやすかったです。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ブックガイド
【著書名】 よりぬき読書相談室 みだれ打ち快答編
【著者名】 本の雑誌編集部編
【出版社】 本の雑誌社
【初 刊】 2007年9月20日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】ジャンル別とテーマ別Q&Aで、プロの書評家6人が読書の悩み
      に一発回答。読みたい本が連鎖する面白ブックガイド。WEB本
      の雑誌『読書相談室』に掲載されたものを編集して単行本化。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 WEB本の雑誌の人気コーナー「読書相談室」の単行本化第6弾。尽きせぬ
読書相談に最強書評家相談員(東えりか、池上冬樹、三村美衣、西上心太、大
矢博子、関口苑生)が、ずばり回答。ブックガイドとしても楽しめる1冊。
 このシリーズは単行本で読んできていますが、シリーズ別とジャンル別に分
けて、数多くの本を紹介しており、数多くの書籍の中から、色々と紹介してく
れているのは非常にありがたく、読書好きにはお勧めの一冊です。

【ら行】

 

【わ行】

 

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