書評データベース(2008年度4月分)
■2008年4月に紹介した本■
愛馬物語 クラリオンと歩む北の大地 市来 宏 幻冬舎
挑戦!競馬革命 角居勝彦 宝島社新書
記憶がなくなるまで飲んでも、なぜ家にたどり着けるのか?
川島隆太/泰羅雅登 ダイヤモンド社
風に顔をあげて 平安寿子 角川書店
カッサンドラの嘲笑 太田忠司 実業之日本社
貸し込み(上・下巻) 黒木 亮 角川書店
株式会社ネバーラ北関東支社 瀧羽麻子 メディアファクトリー
暗闇のヒミコと 朔 立木 光文社
鏡の告白 中村うさぎ 講談社
黒の紋様 塚本宇兵 新潮社
心の貌 昭和事件史発掘 柳田邦男編 文藝春秋
家計崩壊 深野康彦 講談社+α新書
鍬と宇宙船 秋山豊寛 ランダムハウス講談社
死写室 霞 流一 新潮社
1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター 五十嵐貴久 双葉社
上司は部下より先にパンツを脱げ 小倉 広 徳間書店
生活保護VSワーキングプア 大山典宏 PHP新書
遭難者を救助せよ! 細井 勝 PHP研究所
みんなが知りたい男と女のカラダの秘密 野口哲典 サイエンス・アイ新書
いのちのパレード 恩田 陸 実業之日本社
うちへかえろう 小川内初枝 小学館
なぜ若者は老人に席を譲らなくなったのか 大林宣彦 幻冬舎新書
日本競馬 闇の戦後史 渡辺敬一郎 講談社+α文庫
望みは何と訊かれたら 小池真理子 新潮社
吹雪の山荘 笠井潔ほか 東京創元社
標的走路 レスリーへの伝言 大沢在昌 JULIAN
【あ行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ノンフィクション
【著書名】 愛馬物語 クラリオンと歩む北の大地
【著者名】 市来 宏
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2008年1月10日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】ここに、誰もが夢見る豊かな生き方がある…。定年後、北海道に
移り住んだ著者が、荒野を開拓した牧場で愛馬とともに夢を追う
人生を綴るノンフィクション。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
処分寸前の馬を引きとって暮らす元高校教師の第2の人生。第2回感動ノン
フィクション大賞受賞作。淡々と綴られるが、その日々は大変。次々と襲いか
かるトラブルを馬とともに生きていく姿が、確かに感動を誘う。近くフジテレ
ビでドラマとして放送予定。
本書は、第2回感動ノンフィクション大賞受賞作で、動物好きではなかった
元高校教師の著者が、シェパードの仔犬、乗馬クラブのクラリオンという馬と
の出会いから、定年後に北海道に移り住み、愛馬と愛犬と暮らすまでを綴った
もの。乗馬クラブから追い出され、馬肉になる予定のクラリオンを、馬肉業者
から肉の値段で買い取るも、自宅で買うわけにもいかず、馬と愛犬と一緒に生
活をするために、生活を一変させた著者の勇気には感動を覚えます。動物好き
の人にはぜひとも読んでほしいノンフィクションでもありますし、確か5月に
ドラマ化されるようでもありますから、そのドラマも今から楽しみにしたいと
思います。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】短編ミステリ集
【著書名】 いのちのパレード
【著者名】 恩田 陸
【出版社】 実業之日本社
【初 刊】 2007年12月25日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】ホラー、SF、ミステリ、ファンタジー…。クレイジーで壮大な
イマジネーションが跋扈する、摩訶不思議な15篇。恩田ワール
ドの原点「異色作家短篇集」へのオマージュ。『月刊ジェイ・ノ
ベル』掲載に書下ろしを加え書籍化。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は表題作を含めた全15編の短編集。不思議で奇想なテーマで統一され
ているものの、恐怖、笑い、哀しさなど、様々なジャンルを交え、バラエティ
ー豊かな短編集となっています。。個人的には長編としても面白そうな作品が
多かったとも思いますし、作品によっては評価が大きく分かれそうなものもあ
りますが、恩田陸の意欲作といえるでしょう。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 うちへかえろう
【著者名】 小川内初枝
【出版社】 小学館
【初 刊】 2008年2月4日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】35歳ひとり暮らしの私は、クレジットカード利用者リストを修
正する職務に就き、毎日を過ごしていた。そんなある日、リスト
のなかに十数年来消息を絶っていた姉の名前をみつける。姉は私
の恋人と行方をくらませていた…。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
35歳で一人暮らしの私は、契約社員として、顧客クレジットカード申し込
み記載漏れリストを修正する職務に就き、糊口を凌ぐ毎日を過ごしていた。そ
んなある日、記載漏れリストのなかに、十数年来音信不通の姉の連絡先を見つ
ける。姉の出奔は、学生時代、私が当時付き合っていた恋人を奪って逃げたこ
とに端を発していた。しばらく躊躇した後、久しぶりに電話してみる。不思議
な体温のやりとりが続き、じゃあ、会おうかという話になった。姉は、幼少期、
母を「黒い太陽」と呼ぶほど、ひどい扱いを受け続けていた。年の暮れ。姉は
久しぶりに実家に帰ると言い出す……。
物語は、大阪を舞台とした作品で、音信不通の家族との溝が描かれたもの。
その家族の問題についても、展開の流れとラストのハッピーエンドでのギャッ
プも正直感じましたし、気薄な家族の物語であるのですが、どうも家族を嫌う
登場人物に強い違和感を感じました。
【か行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】脳化学
【著書名】 記憶がなくなるまで飲んでも、なぜ家にたどり着けるのか?
【著者名】 川島隆太/泰羅雅登
【出版社】 ダイヤモンド社
【初 刊】 2007年11月29日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】脳にとって、酒は百薬の長なのか? それとも…。酒と脳のアブ
ナイ関係を、2人の脳科学者がおもしろく、かつ真面目に大討論。
人類が長く友としてきた酒と脳の関係を通じて、人の脳について
考える。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は、「脳を鍛える大人のDSトレーニング」でも知られる東北大学の川
島隆太氏と、同じく脳研究の第一人者である泰羅雅登氏が、アルコールと脳の
関係を討論したもの。酒を飲めない川島氏が酒の危険性を警告し、「底なし」
の泰羅氏が酒の擁護派として登場し、ほろ酔いは脳の抑制を解き楽しい気分に
してくれるものの、酒が脳を委縮させるという事実も指摘しています。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 風に顔をあげて
【著者名】 平安寿子
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2007年12月15日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】25歳のフリーターは自由? それともヤバイ? ゲイの弟とか、
自称ボクサーの彼とか、子離れできない母とか、他人の心配して
るフリして、本当は、自分のことが一番心配だった…。書き下ろ
し長編。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
自称「プロのフリーター」の風実は25歳。ボーイフレンドとの微妙な関係
や、職場でのやりきれない思いをサラリーマンの友達・小池さんに愚痴る日々。
そんな不安定な風実の元に弟が転がり込んできた。その原因は「お母さんにゲ
イだってカミングアウトしたら怒っちゃって」だって?! そして、せっかく
昇進した小池さんにも、思ってもみなかった予想外の毎日が……。
物語は、フリーターの主人公が、自分の将来、恋人との関係、ゲイへカミン
グアウトしようとしている弟の相談、母親のこと…など、幾つもの悩みを通し
て、成長していく姿が描かれた作品でもあるのですが、どうも何だかスッキリ
しない作品。前向きに進もうとしている主人公ではあるものの、それがスムー
スにできず、読んでいてももどかしさを感じるほど。同世代の女性が読むと共
感できるかもしれませんが、これまでの著者の作品と比べると物足りなさを感
じる作品でした。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ミステリ
【著書名】 カッサンドラの嘲笑
【著者名】 太田忠司
【出版社】 実業之日本社(JOY NOVELS)
【初 刊】 2007年11月25日
【金 額】 819円+税
【カバー文】ネット上に探偵事務所を開いた藤森涼子の許へ、身許調査の依頼
が舞い込む。しかし依頼主の姉が目の前で飛び下り自殺をしてし
まう衝撃の事態に…。表題作ほか、現代性にとむ題材をテーマに
したミステリー全3編を収録。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
インターネット上に探偵事務所を立ち上げて独立した女探偵・藤森涼子。そ
こへ持ち込まれた最初の依頼は、65歳になる姉が婚約した相手の素行調査だ
った。ところが当の姉が涼子たちの目の前で飛び下り自殺してしまう。途絶え
ることになった依頼事項だが、その自殺の背景を追ううちに意外な事実が……。
本書は、表題作を含めた3つの作品が収録されている連作ミステリ集。「探
偵藤森涼子の事件簿」シリーズですが、登場人物は相変わらず個性が強く、個
人情報漏洩がらみの殺人、老人たちの連続孤独死など、現代性に富んだ社会派
ミステリとなっています。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】経済小説
【著書名】 貸し込み(上・下巻)
【著者名】 黒木 亮
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2007年9月30日
【金 額】 1400円+税(上下共)
【カバー文】バブル期に行なった脳梗塞患者への過剰融資で告訴された大手都
銀は、元行員の右近祐介にすべての責任を負わせようとする。右
近は我が身に降りかかった嫌疑を晴らし、銀行の巨悪を告発する
べく、証言台に立つことを決意した…。(上巻)
右近の証人出廷によって、銀行の危機管理の拙劣さが明るみに。
そこへ、金融被害問題に強い関心を持つ国会議員が登場し、事態
は一気に打開されるかに思われた。ところが、事件の裏には複雑・
奇怪な真実が隠されていた…。(下巻)
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
物語は、脳梗塞で判断能力を失った資産家を銀行が手玉に取り、巨額の融資
と歩積みの預金をさせた上で、複雑な金融取引の途中で銀行の関係者などが巨
額の資金を横領し、返済不能に陥った被害者の不動産の競売を強要したという
事件を描いたもので、フィクションではありますが、旧三和銀行が起こした事
件を元にして描かれており、銀行関係者のモラルの無さ、組織のために偽証で
も行う態度は怒りがこみ上げてきます。誰が署名を偽装したのか、書類の偽装
は誰が行い、金を抜いたのは誰か、金はどこへ消えたのか……と、実際にあっ
た事件はまるでミステリーで、この事件の判決も偽造した張本人の法廷証言が
あるにもかかわらず、驚くべき理屈で、偽造保証契約も有効とされましたが、
正義はどこへ行くのか?とも改めて考えさせられました。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 株式会社ネバーラ北関東支社
【著者名】 瀧羽麻子
【出版社】 メディアファクトリー
【初 刊】 2008年2月22日
【金 額】 1200円+税
【カバー文】東京の大企業でバリバリ働いていた弥生の転職先は、北関東の納
豆会社ネバーラ。働きマン、田舎でひと休み…できるのか!?
笑えてほっこりできる「お仕事+納豆」小説。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
東京の外資系企業でバリバリ働いていた弥生だが、とある事情で戦線離脱、
北関東の田舎町へ。逃げるように転職した先は、納豆会社ネバーラ。働きマン、
田舎でひと休み、ひと休み……できるのか!?
物語は、東京の大企業でバリバリ働いていた20代後半の弥生が、とある事
情で突然仕事を辞めて東京から逃げ出して、北関東の田舎の納豆の会社で働く
という物語。納豆好きではない主人公が、田舎特有ののんびりとした時間に癒
され、周囲の人達の励ましもあって、立ち直っていきますが、独特のゆったり
感があり、非常に読みやすい作品です。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 暗闇のヒミコと
【著者名】 朔 立木
【出版社】 光文社
【初 刊】 2007年12月25日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】高級老後施設で理由なき殺人が起きた。冤罪を叫んでアイドルに
なった女看護師。彼女の闇を見つめる新聞記者は…。人間の底な
しの渇きを描く。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
高級養護老人施設「ロワジール奥多摩」の入所者である男女が、近くの河原
から水死体となって発見された。この施設は富裕老人層だけを対象とした超高
級老人ホームで、被害者は所内では公認の恋人同士だった。捜査の結果、唯一
アリバイのない看護師・河本絵里が浮上、警察は半年後に彼女を逮捕するが、
河本は「疑惑の女」として各メディアの注目を集め、ネット界のアイドル的存
在になっていた。冤罪を叫ぶ彼女は、果たして「白」なのか「黒」なのか……。
物語は、高級老後施設で起きた殺人事件で、元看護士の女性が容疑者となる
も、確たる証拠がなく、女性看護士は冤罪を謳い世論を巻き込んでいきます。
その事件を追う新聞記者の視点で描かれた作品で、現在の裁判の現状と共に描
かれます。著者の『死亡推定時刻』と比べると、どうしてもワンパンチが足り
ないというか、展開にもう少し深く踏み込んでほしかったです。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ルポルタージュ
【著書名】 鏡の告白
【著者名】 中村うさぎ
【出版社】 講談社
【初 刊】 2007年10月24日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】失恋。不倫。過食。メール中毒。ペット依存…。人生の途上で突
然「心の病」という穴に落っこちてしまった女性10人と、中村
うさぎとの対話。『FRaU』連載を単行本化。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
本書は、「心の病」にかかってしまった女性10人と著者との対話集。著者
自身もホストクラブへの依存やブランド浪費などで、自らの心の病についても
これまで複数書いてきていますが、本書はそれぞれに赤裸々な告白があり、心
の叫びが読み手にも伝わってきます。興味深い対話ではありましたが、心の病
で悩む女性達の苦しみも感じられ、それが少し重かったです。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】法医学
【著書名】 黒の紋様
【著者名】 塚本宇兵
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2007年8月15日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】そこに殺しの痕跡が! 都会で連日発生する数々の惨劇。犯人が
残した1センチ四方の“動かぬ証拠”が、人間の狂気を告げる…。
ベテラン捜査官が綴る迫真の現場とは。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は、警視庁で30年指紋を扱ってきたベテラン鑑識課員のリポートで、
1987年の中野の不動産会社社長殺人死体遺棄事件から、1993年の巣鴨
の資産家父娘首切り惨殺事件までの十数件の凶悪事件における指紋捜査につい
てが書かれています。リポートは物語としてのサスペンス仕立てにもなってお
り、指紋が事件解決にどう繋がっていくのかは非常に興味深かったです。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】社会問題
【著書名】 心の貌 昭和事件史発掘
【著者名】 柳田邦男編
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2008年1月10日
【金 額】 1667円+税
【カバー文】光クラブ事件、金閣寺放火事件、下山事件、山一日銀特融、三井
三池炭塵爆発、三河島事故、伊勢湾台風、東京五輪女子バレー…。
12の事件の当事者・関係者の人物像や心理の動きを検証。日本
と日本人の「心の貌」を解き明かす。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
最近人々の耳目を集める事件は、かつて類似の事件が起きていることが少な
くない。本書は、著者が、昭和に起きた12の事件や出来事を取り上げ、それ
を最も望むべきゲストとともに、現代にひきつけて解読を試みた作品である。
「光クラブ事件…ライブドア事件」、「山一日銀特融…山一自主廃業」、「三
河島事故…尼崎事故」、「東京五輪女子バレー…高橋尚子」等々、2人もしく
は3人の執刀者によるメスさばきは、事件の本質を見事に浮かび上がらせる。
本書は、現在を照らし出す12の事件を発掘し、22人の評者と共に論じた、
戦後史解析。過去の事件の背景を探り、現代の事件との類似点を読み取ってい
きますが、本書を読むと正に時代を代表するような事件が、過去の事件の背景
を探る事で、時を超えて同じような事件が繰り返されることへの問題点を探っ
ています。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】新書
【著書名】 家計崩壊
【著者名】 深野康彦
【出版社】 講談社+α新書
【初 刊】 2007年11月20日
【金 額】 800円+税
【カバー文】収入減、物価上昇、住宅ローン破産、目減りする預貯金・年金…。
全員が等しく豊かになれるという時代は、もう終わりを告げてい
る。資産運用の変化を解説し、正しい対応のとり方を紹介する。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
サブタイトルに「見えないインフレ時代を生きる知恵」とも書かれています
が、本書は値上げラッシュが今後のインフレ社会到来の始まりであると指摘し、
今後の資産運用や投資についてを書いたもの。タイトルがややショッキングで、
様々な負担増で家計が崩壊していくことを検証しているものだと思いましたが、
そうではなく資産運用についてが殆どのため、タイトルから深読みすると大き
く期待を裏切られます。資産運用の基礎は書かれていますが、新書でもあるた
めか、内容に物足りなさを感じました。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】エッセイ
【著書名】 鍬と宇宙船
【著者名】 秋山豊寛
【出版社】 ランダムハウス講談社
【初 刊】 2007年11月29日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】「失われようとしているもの」を、涙を流しながら葬送すること
で実現する「豊かさ」とは一体どんな「豊かさ」なのか。お百姓
になった宇宙飛行士が語る、持続可能な暮らしの恵みとは?
『自然と人間』連載を書籍化。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は、日本人初の宇宙飛行士でもある著者が、要職を用意されながら定年
を待たずに福島県大滝根山の麓に移住し、“農のある暮らし”を始めて12年。
ジャーナリストとして、宇宙から地球を見つめ直した著者がたどり着いた生き
方と、持続可能な暮らしの恵みを語るエッセイ集。「農業で自然を豊かにして
いく」という意識と努力が共有され、広まることによって、初めてこの国に市
場原理を超える基礎がつくられると著者は語っていますが、本当の豊かさとは
何かを改めて考えさせられる一冊でもありました。
【さ行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】連作ミステリ
【著書名】 死写室
【著者名】 霞 流一
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2008年2月25日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】映画館、試写室、ロケ先&セットの撮影現場etc.で発生する、
奇怪な事件の数々。密室、透明人間、斬首魔、建物消失などVF
X級の謎に、酩探偵・紅門福助が挑む! トリックとロジックの
映し出すシネマジック連作ミステリ。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
本書は、映画界を題材にした全8編の連作ミステリで、映画企画、撮影、試
写、公開を、製作・配給のプロセスを順に追って描かれています。独特のミス
テリを描く霞流一ならではの短編集ではありますが、これまでの作品と比べる
とシンプルな短編でもあるので、読みやすかったです。奇抜すぎるトリックを
楽しめるかどうかは、読み手次第にもなるでしょうが、特に著者の作品を初め
て読む人にはお勧めかも。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター
【著者名】 五十嵐貴久
【出版社】 双葉社
【初 刊】 2007年10月25日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】私、井口美恵子44歳・主婦。ダンナと会話はないし、ムスコは
何考えてるかわからない。何とかしなくちゃと思ってたある日、
幼なじみに誘われてバンドをやることになって…。たっぷり笑え
てじんわり泣ける家族小説。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
44歳の井口美恵子は、夫と15歳になる息子との3人暮らしで、それなり
の家庭生活を営んできたものの、息子が高校受験に失敗し、夫は家庭に無関心
で、不安な日々を送っていた。そんなある日、幼なじみのかおりと会い、バン
ドに誘われた。一度は断るものの、バンドを始め、それぞれ事情を抱えている
ほかのメンバーとともにオバサン素人バンドは猛練習を重ね、「スモーク・オ
ン・ザ・ウォーター」を演奏する……。
家族小説ではあるのですが、普通の主婦がステージで「スモーク・オン・ザ・
ウォーター」を演奏するまでが描かれ、そのバンドを通して、家族の絆が深ま
っていくのですが、物語の中で、かつての流行歌や映画タイトルなども出てき
て、非常に懐かしさも覚えました。また、タイトルにもなっている「スモーク・
オン・ザ・ウォーター」ですが、学生の時にバンドを組んでいて、ギターで何
度も弾いた曲で、非常に思い出のある曲でもあるので、感慨深さもありました。
読み終わった後で、久しぶりにディープパープルを聴きたくもなりましたよ。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ビジネス
【著書名】 上司は部下より先にパンツを脱げ
【著者名】 小倉 広
【出版社】 徳間書店
【初 刊】 2008年4月17日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】リクルートで徹底的に学び、3社のベンチャーでとことん試し、
社長となって「これだ!」と確信したすごい社員の作り方を公開。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
何とも過激なタイトルではありますが、サブタイトルに「リクルートで学び、
ベンチャーで試し、社長となって確立した99の仕事術」とあるように、著者
の経験と実績に基づいて、仕事に対する考え方や取り組み方を実話エピソード
と共に99の仕事術にまとめたもの。本書で書かれる「パンツを脱げ」という
言葉は、着飾らずに自分をさらけ出し、自己開示しよう……という意味合いで
書かれています。99ものエピソードは1話読み切りでもあるため、非常に読
みやすく、そのエピソードも新入社員向け、中堅社員向け、管理職向けと分か
れているため、仕事術としてのポイントが分かりやすく解説されています。時
間の効率化、仕事の見直し、組織でのコミュニケーションと活性化についてな
ど、非常にシンプルで仕事にも活かせる実用的なビジネス本であり、目からウ
ロコ的な内容も多かったです。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】新書
【著書名】 生活保護VSワーキングプア
【著者名】 大山典宏
【出版社】 PHP新書
【初 刊】 2008年1月29日
【金 額】 720円+税
【カバー文】「おにぎり食べたい」……日記にそう書き残して孤独死した男性
は、数カ月前まで「生活保護」の対象者だった。北九州市で続発
する餓死事件。役所が繰り広げる水際作戦。一方で、「怠け者が
生活保護を食い物にしている」という報道も後を絶たない。明ら
かにされるワーキングプアとの根深い関係……。「生活保護年収
400万円相当(四人世帯)>ワーキングプア」という衝撃の事
実からあぶり出される真実とは? 3500件以上の相談に応じ
てきた専門家が、生活保護の現場から格差是正の処方箋を示す。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は、ケースワーカーとして3500件以上の案件を担当してきた著者が、
生活保護の現場から、格差是正の処方箋を提示したもの。生活保護の実情とい
うのは、中々表には出てこないですが、本書の中では、行政側、生活保護費受
給側の両者の言い分、実態についてを掘り下げていますが、問題点の深さを改
めて感じました。自立支援に繋がる生活保護は大事だとも思いますし、ここで
はマスコミ報道の功罪についても書かれているのですが、マスコミ報道での生
活保護については、不正受給の問題や、支給しない行政側についてを大きく取
り上げますが、生活保護を必要としている人の姿や、ケースワーカーの実態に
ついては殆ど報道されることはなく、その生活保護の実情、表には出ない真の
問題等、中立的な立場で解説している点には改めて考えさせられました。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ノンフィクション
【著書名】 遭難者を救助せよ!
【著者名】 細井 勝
【出版社】 PHP研究所
【初 刊】 2007年10月10日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】世界にたった一つの命を救え! 3000メートル級の山々が連
なる北アルプスで、山の安全を守る富山県警山岳警備隊。自らに
苦しい訓練を課し、命を危険にさらして、人命救助にかける男た
ちのドラマを描く。
【満足度】 ★★★★★(文句なし!)
End------------------------------------------------
「世界にたった一つの命を救いたい」という思いのもと、自らの命を危険に
さらし、救助へ向かう男たちがいる……富山県警山岳警備隊。日本の近代アル
ピニズム発祥の地であり、多くのクライマーが愛する岩と雪の殿堂「剱岳」。
彼らは、この剱岳をはじめ、3000メートル級の山々が連なる北アルプスの
安全を守っている。いまにも崩れそうな雪塊の元、視界ゼロのホワイトアウト
のなか、雪崩や落石、滑落の恐怖に立ち向かいながらの捜索も1度や2度では
ない。彼らは、なぜ自らに過酷な訓練を課し、山岳技術を磨き、危険な場所へ
命をかけて救助に向かうのか……。
本書は、命をかけて山岳救助に向かう男たちのドラマともいえ、隊長はじめ
隊員全員と山岳警備隊を支える人々へのインタビューから、愚直なまでに職務
に向かう警察官として、また山を愛し、人に尽くして求めぬ山男たちの姿が描
かれます。山岳警備隊がどのような組織であるかは漠然としか知っていません
でしたが、命がけの人命救助を仕事とした隊員達の動機や取り組み、隊員の家
族、救助ヘリコプターのパイロット、民間の山岳ガイド、医師など、救助を支
える多彩な人達の思いも含めて、非常に温かみのある人間ドラマとして書かれ
ています。著者の取材の丹念さも強く感じましたし、大きな感動がありました。
また生きることも大切さ、そして仕事にかける思いを改めて考えさせられまし
たし、何が大切であるかを痛切に感じた一冊でもありました。
【た行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】競馬
【著書名】 挑戦!競馬革命
【著者名】 角居勝彦
【出版社】 宝島社新書
【初 刊】 2007年12月24日
【金 額】 700円+税
【カバー文】牝馬ウオッカのダービー制覇に、海外GT奪取。世界に通用する
調教師である著者が、仕事の流儀、チャレンジングスピリット、
そしてその「強さ」の秘密を語る。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
著者は、昨年の日本ダービーで64年ぶりに牝馬によるダービー制覇という
偉業を成し遂げた若手調教師で、その著者が競馬観、現在に至るまでを記して
います。競馬ファンなら新鋭の調教師であるものの、日本ダービーを制覇し、
シーザリオで海外GIも制した角居調教師の名は知っているでしょうが、競馬
ファン以外であれば無名に近い人なのだとも思います。ただし、まったくの外
から競馬社会に入り、新しい厩舎運営方法や調教方法、海外にも目を向ける積
極的なレース選択で、好成績を上げている現実はビジネスとしての成功ともい
えますし、そのチャレンジ精神は競馬ファン以外でも通じるものがあるかと思
います。また、競馬界への本音も書かれており、非常に好印象を持った新書で
もありました。
【な行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】新書
【著書名】 なぜ若者は老人に席を譲らなくなったのか
【著者名】 大林宣彦
【出版社】 幻冬舎新書
【初 刊】 2008年1月30日
【金 額】 760円+税
【カバー文】日本がこんな国になったのは、ぼくの責任です…。老人に席を譲
らない若者を責めるのは間違っている。責任は、長く生きること
の尊さを教えてこなかったぼくら大人にある。言っておかなけれ
ば絶対に後悔する、魂の人生論。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
老人に席を譲らない若者を責めるのは間違っている。責任は、長く生きるこ
との尊さを教えてこなかったぼくら大人にある。戦前は、「心」がどうあるべ
きかを教えることのできる大人が大勢いた。しかし戦後、豊かで便利な生活を
目指すあまり、誰もがモノやカネに執着し、結果、美しい日本の風習や風景が
どんどん消えた。ぼくらはそれを嘆くが、まさに自業自得。今こそ、古き良き
文化や知恵を若者や子供に伝える最後のチャンスだ。それができないぼくらに、
もはや存在価値はない。言っておかなければ絶対に後悔する、魂の人生論。
本書は、映画監督の大林宣彦氏の人生論が書かれたものですが、中身は決し
て押し付けがましいものではなく、周りの環境によって人間形成がなされ、人
と人との繋がりの大切さを説いています。本書を読んで、久しぶりに大林監督
の映画も見たくなりました。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】競馬
【著書名】 日本競馬 闇の戦後史
【著者名】 渡辺敬一郎
【出版社】 講談社+α文庫
【初 刊】 2007年11月20日
【金 額】 743円+税
【カバー文】喰い尽くされる競馬界!! 八百長、不正、誤審、人災……歴史の
中に埋もれ、闇に葬られた真実を第一人者が初公開!! 100年
を超える歴史の中で多くの名勝負を生み出してきた日本競馬界。
しかし戦後は、血腥い事件が頻発していた。各地で開催される闇
競馬は盛況を極め、治安の低下を招き、ヤクザたちの収入源とな
っていた。そして、お役所主義のJRA、人と人とのつながりが
モノをいう古い体質の厩舎関係者は、これらの不都合な真実を隠
蔽し、闇に葬り去ってきた。半世紀にわたり現場を検証し続けて
きた著者が、移りゆく歴史の中で埋もれてきた数々の事件を初公
開する。
【満足度】 ★
End------------------------------------------------
タイトルにもあるように、日本競馬界の戦後の闇の部分を取り上げたもので
はあり、その昔に行われた八百長競馬や暴力団との関わりなど事実に基づくも
のではありますが、事実誤認の部分も多く、サイレンススズカが皐月賞に出走
していないのに、勝手に出走したような記述があったり、競走馬の馬名すら間
違っている箇所が幾つもありました。これでは逆に信憑性にも欠けてしまうし、
よくこれで出版することができたと思うほど。講談社さん、せめて校正ぐらい
はしっかりやりましょうよ。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 望みは何と訊かれたら
【著者名】 小池真理子
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2007年10月20日
【金 額】 1900円+税
【カバー文】2006年2月、夫と娘と暮らす沙織は、過去を共有する秋津吾
郎と曇天のパリで再会する。1972年、彼女の属するセクトは
市民社会の破壊と再生にむかって突き進んでいた…。存在の根源
にかかわる真実と望みを問う作品。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
1951年生まれの沙織は、音楽プロダクションを経営する夫と大学院生の
娘と共に穏やかに暮らしているが、70年代初めの学生時代、過激派活動家と
して武装闘争に挺身。その当時リンチにより仲間の1人が殺され、沙織はアジ
トを脱出し逃亡。偶然助けられた吾郎という男の家に匿われた過去を持ってい
た。その吾郎と、パリのモロー美術館で33年ぶりに再会した沙織は、2人だ
けが共有する甘美な記憶を確かめるように逢瀬を重ねる……。
物語は、全共闘運動、日本赤軍のリンチ殺人事件を彷彿とさせるような地下
活動での過激化組織でのリンチ事件と逃走劇も交え、主人公の半生が描かれた
作品で、その極限状態の時代を共有した男女の愛を描いています。学生運動を
経験していたという著者が、自らの過去を照らし合わせて作品を描いたものだ
とは思いますが、作品自体は単なる団塊世代のノスタルジックな作品とはなっ
ておらず、自らの存在を問う作品に仕上げており、男女の性愛を超える、人間
としての男と女の愛情の根源にも迫っています。
【は行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ミステリ
【著書名】 吹雪の山荘
【著者名】 笠井潔/岩崎正吾/北村薫/若竹七海/法月綸太郎/巽昌章
【出版社】 東京創元社
【初 刊】 2008年1月25日
【金 額】 2000円+税
【カバー文】吹雪の大晦日の夜、それぞれの思惑を胸に清沢郷の山荘に降り立
った6名。首なし死体の謎、呪われた山荘の呪縛を解くことが出
来るのか…。豪華名探偵役キャラクターで贈る本格リレー・ミス
テリ。巻末に解決予想も掲載。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
雪が降りしきる年末、山荘村の清沢郷に降り立ったフランス人教師ナディア・
モガールたち。それぞれの思惑を胸に、山荘で新年を迎えようとするその時、
幽霊山荘と呼ばれる場所で首なし死体が発見される。幽霊騒動も勃発し、謎は
深まるばかり。のろわれた山荘の謎と、首なし殺人の真相をナディアたちは暴
けるのか? ナディア・モガール、若竹七海、ブッキー、刈谷正雄、法月綸太
郎……、あの有名キャラクターが総登場。豪華執筆陣の本格リレー・ミステリ、
いよいよ刊行。
本書は6名の執筆陣によるリレー小説で、名探偵&ワトスン役の名キャラク
ターが、首なし死体の謎と、呪われた山荘の謎を解いていきます。途中で脱線
しかけけたものの、ラストがうまくまとめられたのはお見事で、リレーミステ
リとしては楽しく読むことができました。
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ハードボイルド
【著書名】 標的走路 レスリーへの伝言
【著者名】 大沢在昌
【出版社】 JULIAN
【初 刊】 2008年2月25日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】友人のレスリーがある日、撮影所から姿を消し、その行方を捜す
ことになった「僕」。それは友人としてではなく、法律事務所に
勤める調査士としてだった…。佐久間公シリーズの始点。幻の処
女長編「標的走路」を収録。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は、若き日の佐久間公シリーズの始点でもある「レスリーへの伝言」を
単行本化したもので、同シリーズの初の長編「標的走路」も復刊収録していま
す。大沢在昌の初期作品でもありますが、最近の作品とは違った勢いというか、
パワーを感じましたし、どちらの作品も正に良質のハードボイルドで、非常に
新鮮さを覚えました。
【ま行】
<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】新書
【著書名】 みんなが知りたい男と女のカラダの秘密
【著者名】 野口哲典
【出版社】 サイエンス・アイ新書
【初 刊】 2008年3月24日
【金 額】 952円+税
【カバー文】どうしてヒトの男女の身体がいまのように進化してきたのか。ど
うして美人やハンサムがもてるのか。男女の身体の基礎知識やセ
ックスと性に関する正しい知識を、心理学や進化論などもからめ
ながらQ&A形式で解説する。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
以前に読者モニターとして、この本が送られてきたことを書きましたが、男
女の性についての雑学的なもので、性教育の入門書的な中身です。教育的な部
分もありますが、避妊や性行動に関する部分も多く、カラーイラストも多いた
め、非常に分かりやすい内容にもなっていますが、Q&A方式で書かれて、回
答が1ページにイラストが1ページの計2ページ分の回答なので、分かりやす
い回答ではあるものの、内容によっては非常に物足りない回答も多かったです。
ただし、異性のカラダのことは、中々聞けないことでもありますし、性教育の
初心者知識など軽く読むことができるので、興味がある人にはお勧めかも。
【や行】
【ら行】
【わ行】
|
|||
|
|