書評データベース(2008年度6月分)

 

■2008年6月に紹介した本■

 授乳時のケータイで子どもは壊れる   正司昌子     ベスト新書
 裁判員法廷              芦辺 拓     文藝春秋
 食堂かたつむり            小川 糸     ポプラ社
 ザ・万歩計              万城目学   産業編集センター
 ツクツク図書館           紺野キリフキ メディアファクトリー
 天体の回転について          小林泰三     早川書房
 中国はいかにチベットを侵略したか マイケル・ダナム   講談社
 百舌姫事件              太田忠司     徳間書店
 ももこの21世紀日記 N’07    さくらももこ   幻冬舎
 温かな手               石持浅海     東京創元社
 赤いコートの女 東京女性ホームレス物語 宮下忠子    明石書店
 いやな世の中<自分様の時代>     勢古浩爾     ベスト新書
 異形の大国 中国           櫻井よしこ    新潮社
 ありがとう、ごめんね、そしてさようなら 重松清 編著  新潮社
 ライオンの冬             沢木冬吾     角川書店
 歴代首相               小林弘忠     実業之日本社
 長生き競争!             黒野伸一     小学館
 日本人はこうして奴隷になった     林 秀彦     成甲書房
 日本人の背中             井形慶子    サンマーク出版
 モーニング              小路幸也     実業之日本社
 もいちど修学旅行をしてみたいと思ったのだ 北尾トロ   小学館
 メディアに心を蝕まれる子どもたち   有田芳生    角川SSC新書
 黄金の羽根 思うままに人生は変えられる
      スーザン・ゾグリオ/澤口亜樹訳/渡部昇一監訳 万来舎
 あぽやん               新野剛志     集英社
 打たれ強くなるための読書術      東郷雄二     ちくま新書

【あ行】

<本紹介>
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【ジャンル】連作ミステリ
【著書名】 温かな手
【著者名】 石持浅海
【出版社】 東京創元社
【初 刊】 2007年12月20日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】料理上手なサラリーマンのギンちゃん、いつも元気な女子大生の
      ムーちゃん。それぞれのパートナーとのんびり暮らしているのに、
      なぜか次々事件に巻き込まれる兄妹の正体とは…? 表題作を含
      む全7編を収録したミステリ連作集。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 大学の研究室に勤める畑寛子の同居人・ギンちゃんは名探偵。サラリーマン
の北西匠の同居人・ムーちゃんも名探偵。ギンちゃん&ムーちゃん兄妹は、人
間の生体エネルギーを糧にする謎の生命体。宿主である寛子や匠の清らかな生
体エネルギーを確保するために、彼らが遭遇した殺人事件や騒動を鮮やかに解
き明かす……。
 物語は、一風変わった名探偵兄妹とそのパートナーが活躍する連作短編集。
主人公の探偵兄弟が地球外生命体と、異色のキャラが主人公ではあるものの、
ミステリに関しては正統派で、石持浅海らしいミステリといえます。ただ、で
きるなら長編作品でのミステリを読みたいです。

<本紹介>
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【ジャンル】ルポルタージュ
【著書名】 赤いコートの女 東京女性ホームレス物語
【著者名】 宮下忠子
【出版社】 明石書店
【初 刊】 2008年1月31日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】引きこもりの息子を抱え、その宿代の金策に奔走しながら野宿す
      る夫婦。偏見と差別の孤独な結婚生活から、ひとり逃れた女。売
      春、性的暴行、望まない妊娠、出産後も公園を徘徊する女…。路
      上を彷徨う女たちの再生の軌跡。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、2人の東京の女性ホームレスの軌跡をルポルタージュした作品。著
者は、高校の教員、福祉センターの医療相談員などを経て、路上生活者の巡回
相談などのボランティア活動をしていますが、その著者だからこそ、女性ホー
ムレスとの関わり、その背景を書き、精神科医、保健師らと手を尽くして、ホ
ームレスの女性たちの再生を綴っています。ワーキングプアやネットカフェ難
民といわれる若者達が増大し、高齢社会の進行に伴って高齢単身者の増大など、
世代を超えた生活困難者は確実に増大していますが、ホームレスの実態と今後
の対策を、国や自治体でも真剣に考える時期なのではないかとも思いました。

<本紹介>
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【ジャンル】新書
【著書名】 いやな世の中<自分様の時代>
【著者名】 勢古浩爾
【出版社】 ベスト新書
【初 刊】 2008年4月14日
【金 額】 724円+税
【カバー文】ケッ、いやな世の中だな、夢も希望もないわ、と思いながら、そ
      れでも、地道に、まじめに、懸命に生きるしかないか、と思う人
      のための「勢古流」人生論。蔓延する「自分病」を一刀両断にし、
      あえて時代に遅れる生き方を説く。
【満足度】 ★★★☆
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 サブタイトルに「自分様の時代」とありますが、自己チューが増えて、確か
に嫌な世の中になったものだ……と、本書読んで非常に共感することが多かっ
たです。本書の中で「社会は信用で成り立っている。(中略)ただ信頼関係が崩
れかかっていることもまた事実である、政治家も役人も経営者も親も教師も、
結局は自分の利益しか考えていない。(中略)ところが筋金入りの「自分様」た
ちは、信用や信頼など歯牙にもなりない。かれらの行動原理は自分の感情の快
不快とごね得と損得勘定である」という部分は非常に共感できましたし、こう
した「自分達」がまかり通る世の中は、本当に「いやな世の中」になったもの
だとも思います。ただ著者は「かれらを変えようとしても無駄である。無視す
るしかない」と言っていますが、無視できることと無視できないことがあるの
も世の中であり、共感できるところは非常に多いものの、結論付けが結局は問
題回避?という感じだったことが、少々残念ではありました。

<本紹介>
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【ジャンル】外交
【著書名】 異形の大国 中国
【著者名】 櫻井よしこ
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2008年4月20日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】とまらぬ領土拡大の野望、捏造される歴史、他国を厭わぬ環境汚
      染、世界第3位といわれる軍事予算…。13億の人口を抱える虚
      構の大国が行き着く先は……。中国の真の姿を知るための著者渾
      身の中国論。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、「週刊新潮」に連載されたエッセイ「日本ルネッサンス」を加筆し、
まとめたもの。共産党政権の正統性を確保するために平気で行う歴史の捏造、
軍事力の強化、チベットやウイグルの人権弾圧、環境汚染などの社会問題は勿
論のこと、自国だけではなく他国に対する中国の数々の振る舞いなど、数多く
の中国の問題点を鋭く追及しています。また、中国のギョーザ事件についても、
毒物は、ギョーザが密封される前に食品の加工プロセスで混入された物証が揃
っていることを指摘し、日中間の歴史・領土問題・環境問題・外交など、幅広
く検証しており、非常に納得させられ、かつ考えさせられる一冊でした。

<本紹介>
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【ジャンル】投稿作品
【著書名】 ありがとう、ごめんね、そしてさようなら
【著者名】 重松清 編著
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2008年4月25日
【金 額】 1200円+税
【カバー文】「お父さん、悪い娘でごめんね…」 重松清が感動し、時に笑い、
      あるいは涙した。市井の人々が綴った、家族へのとっておきのメ
      ッセージ41通を収録。ラジオ番組「マイ・ストーリー」の投稿
      作品を加筆・修正し書籍化。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、MBSでのラジオ番組「マイ・ストーリー」に投稿された、家族へ
のメッセージで厳選された41通を収録したもの。家族への思いは、それぞれ
に違うものですが、その深い愛情が文章から感じる一冊で、家族の深い絆が刻
まれています。それぞれの投稿に作家である重松清がコメントを付けていて、
そのコメントにも温かさがあります。家族間が希薄となり、様々な事件や問題
が起きるこの頃ですが、家族に対する感謝の気持ちの大切さというものを、も
っと多くの人が感じていくべきではないかとも、改めて思いました。

<本紹介>
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【ジャンル】自己啓発
【著書名】 黄金の羽根 思うままに人生は変えられる
【著者名】 スーザン・ゾグリオ/澤口亜樹訳/渡部昇一監訳
【出版社】 万来舎
【初 刊】 2008年6月16日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】あなたはいまの人生に満足していますか? いまの生き方を変え
      たい、心が満たされる人生を送りたい。そんな願いを自在にかな
      える7つの方法を紹介する。巻末付録として、書き込み式の「人
      生を変える実践エクササイズ」も収録。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、単なる成功法則の自己啓発本ではなく、自分自身をリセットし、自
身の再発見により人生の創造に重心をおく大切さを説き、大きく7つの扉とエ
ピローグとして紹介されています。日本人は自分自身を見つめ直すという習慣
が中々ありませんが、生きがいを追求することや第二の人生を歩み始めるにあ
たっての自分自身の再認識の大切さ、自己中心的ではなく、見返りを求めない
人間関係を築くことや、生きがいの見つけ方など、心の底からの喜びを感じる
人生を送るためのエッセンスが詰め込まれた一冊でもあり、心が満たされない
という人や充実した人生を送りたいという方には、指標を示した一冊だと思い
ます。「人生を思い描くことによって、人生は変えられる」……という著者の
言葉は、非常に分かりやすく、ビジネスとしても活かせる内容です。

<本紹介>
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【ジャンル】連作短編集
【著書名】 あぽやん
【著者名】 新野剛志
【出版社】 集英社
【初 刊】 2008年4月25日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】遠藤慶太は29歳。大航ツーリストの企画課から成田空港支所に
      「飛ばされて」きた。遠藤は「本社に返り咲くぞ」と心に誓うが
      …。空港で起こるトラブルを解決する「あぽやん」の活躍を描く。
      『別冊文藝春秋』連載を単行本化。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 29歳で大航ツーリストの社員の遠藤は、上司と衝突し、企画部から成田空
港支店に飛ばされた。あぽやんとはAPO、エアポートを意味する略語から派
生した言葉で、旅行会社に勤め、空港に異動した人々を差しますが、異動で腐
る遠藤は「絶対あぽやんにはならないぞ、本社に返り咲くぞ」と心に誓うもの
の、多くのあぽやんたちとともに、オフィスで、カウンターで数々のトラブル
を処理するうちに、「あぽやん」の真の面白さ、やりがいに目覚めていく……。
 物語は、空港で働くツアー会社の社員の主人公が、予約ミスなどのトラブル
を解決するとともに、活躍と成長が描かれ、非常にテンポの良い作品です。6
話の連作となっていますが、トラブルに遭いながらも笑顔で客を送り出す主人
公に共感を覚えましたし、空港業務の裏側もユーモラスに描かれているので、
面白かったです。

<本紹介>
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【ジャンル】新書
【著書名】 打たれ強くなるための読書術
【著者名】 東郷雄二
【出版社】 ちくま新書
【初 刊】 2008年2月10日
【金 額】 680円+税
【カバー文】解答がひとつではないということに耐え、複眼的な見方で本を読
      む。そのための本の探し方から、段階を踏んだ読書、読んだ本の
      活用法など、使える技術を伝授する。これまでとはひと味違う成
      熟した「大人」の読書術。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書でいう「打たれ強くなる読書」とは、読んだ内容を鵜呑みにせずに、様
々な見方での読書術についてが書かれており、読書の目的は「知的に打たれ強
くなる」ためのもので、それを実現するためには「能動的な読書」を行うべき
と指摘しています。何気ない読書でも、その読書の活用法についてを具体的に
記しており、良い読書視点が書かれています。

【か行】

 

【さ行】

<本紹介>
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【ジャンル】新書
【著書名】 授乳時のケータイで子どもは壊れる
【著者名】 正司昌子
【出版社】 ベスト新書
【初 刊】 2007年10月20日
【金 額】 714円+税
【カバー文】両腕のない人間を描く子どもたち、崩壊する日本語…。「子ども
      たちの異変の実態」に大人たちがどう立ち向かうべきか、やれば
      必ず成果が上がり、子どもたちに輝かしい未来が拓け、国を担う
      人材が育つ方法を記した提言の書。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 太陽も月も星も見たことがないという子どもたち。四角い川を描く子どもた
ち。手がないヒトを描く子どもたち……子どもたちに異変が起きている。子ど
もの脳が壊れてかけているのだろうか。それとも、あまりに科学技術が進み、
自然との触れあいが足りなくなっただけなのだろうか。便利さを追求した科学
文明のその果てに、子どもたちの身体から「自然」が消えかけている。このま
までは教育再生どころではない。今世紀の日本を担う貴重な人材が払底する最
悪の事態を取り除くにはどうしたらよいか。天才幼児教育の現場から緊急提言!
 タイトルは、テレビを見ながら、携帯メールをし授乳をする母親が増えてい
るとのことで、そうして子供達はテレビを見すぎて、手を使わなくなり、気付
うちに親が過保護になりすぎて、大切な子育てがどんどん壊れている現実が書
かれています。本書の中には、俄かには信じがたいことが次々と書かれており、
母親は赤ちゃんを見ずにテレビやケータイの画面に見入り、子供もおっぱいを
与えられながら、音に反応してテレビの方を見ているという構図が現実にあり、
母親の語りかけがないので、子どもの脳に刺激が与えられずに、言語などの発
達が遅れるケースもあるとのことですが、そうした問題点も指摘しつつ、子供
が本来持っている力を引き出し、伸ばすためにはどうすれば良いかも書いてい
ます。様々な事例と共に書かれているだけに、これから子供を産むお母さん、
小さな子供がいる親は、この現在の子供の現実と育児の大きな変化は読んでほ
しい内容でもあります。

<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 裁判員法廷
【著者名】 芦辺 拓
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2008年3月1日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】裁判員は、医師、教師、主婦、OL、無職男、それにあなた。二
      転三転する評議、そして事件の真相は!? 綿密な取材にもとづ
      いた、裁判員制度のすべてがわかるリーガルサスペンス。「審理」
      「評議」「自白」の3編を収録。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 物語は、来年から始まる裁判員制度を取り上げた法廷ミステリー。審理、評
議、自白の3部構成となっていて、従来の裁判との違いの裁判員法廷が描かれ
ます。「有罪にしろ」と訴える被告人、ついに現れなかった不在の証人など、
読者が裁判員となる視点で、事件についての問いかけやその心境をうまく表現
しています。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 食堂かたつむり
【著者名】 小川 糸
【出版社】 ポプラ社
【初 刊】 2008年1月15日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】衝撃的な失恋のあと、倫子は故郷に戻り、実家の離れで食堂かた
      つむりを始めた。ここの料理を食べると、恋や願い事が叶うとい
      うまことしやかな噂とともに、食堂は評判になるが…。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
 ある日料理店のアルバイトから戻ると、家財道具もろとも同棲していた恋人
の姿は消え、部屋はもぬけの殻になっていた。衝撃的な失恋とともに声まで失
った倫子は、ふるさとに戻り、実家の離れで小さな食堂を始める。お客は一日
に一組だけ。決まったメニューはなく、事前のやりとりからイメージをふくら
ませて、その人のためだけに作る料理。食べたお客に変化が現れ、いつしか
「食堂かたつむり」で食事をすると願いごとが叶うという噂が広まっていった
一方、十年前に家を出るもととなった母親との確執は解消されず、依然ぎくし
ゃくとした関係が続いていたのだが……。
 確かテレビの「王様のブランチ」で紹介されて面白そうだと思ったので、図
書館にリクエストして読みましたが、読後の感想としては何とも微妙な作品。
その物語中では、珍しい料理などが次々出てきて、面白い視点で描かれている
のですが、登場人物がその料理を食べての感想が非常に少なく、展開に深みが
全くありません。言い方が悪いかもしれませんが、小学生ぐらいが読む分には
面白く感じるかもしれませんが、折角の題材が活かしきれていません。この物
語風に書くとすれば、美味しい食材は揃っているものの、料理に失敗してしま
った……という感じです。

<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 ザ・万歩計
【著者名】 万城目学
【出版社】 産業編集センター
【初 刊】 2008年3月25日
【金 額】 1200円+税
【カバー文】万博公園に出現したオレンジ色の巨大怪鳥とは。係長から「マキ
      メっち」と呼ばれるとき。「この世に存在するはずのない曲」へ
      の想い…。オニを遊ばせ、鹿に喋らせる、マキメ・マナブのマー
      ベラスな日々を綴ったエッセイ集。
【満足度】 ★★★☆
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 本書は著者初のエッセイ集。お風呂で突然、宇宙のどこかにいる高等生物に
向けて放つべき楽曲を一曲につき一小節だけ選ぶというミッションを授かって
みたり、ゴキブリこと「黒い稲妻」との仁義なき戦いなど笑える話もあれば、
家族との思い出、小説家へのデビューまでの道のりなど、著者の人柄が伺える
内容で、中々楽しめるエッセイでした。

【た行】

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 ツクツク図書館
【著者名】 紺野キリフキ
【出版社】 メディアファクトリー
【初 刊】 2008年2月15日
【金 額】 1200円+税
【カバー文】つまらない本しか置いてない、ツクツク図書館。職員も建物もへ
      んてこぞろい。そこにある秋、ひとりの着ぶくれ女がやってきた。
      女は働かないでわがまま放題。だけど、図書館にある「伝説の本」
      の話を聞いて…。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 物語は、つまらない本しか置いていない「ツクツク図書館」を舞台に、わが
まま放題でまったく働かない着膨れた女、彼女に振り回される弱気な館長、つ
まらない本を運んでくる運び屋、語学屋、超遠視の女、そしてちょっと不思議
な猫……など、図書館も職員もへんてこぞろいの図書館物語。
 何ともシュールな作品でしたが、ヘンテコさが実に面白く、つまらない本し
か置いていない図書館の日常が描かれます。本好きで笑いが欲しい人にはお勧
めかも。

<本紹介>
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【ジャンル】SF短編集
【著書名】 天体の回転について
【著者名】 小林泰三
【出版社】 早川書房
【初 刊】 2008年3月25日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】宇宙旅行へ導く案内役は美少女エレベーターガールだった…。萌
      えとニュートン力学が無垢な青年の魂を揺さぶる表題作他、書き
      下ろしを含む全8編を収録したSF短編集。
【満足度】 ★★★☆
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 科学文明と無縁に育った青年が天空にのびる“天橋立”で出会った女の子は、
とびきり可愛い宇宙旅行の案内係だった―無垢な若者が初体験するめくるめく
恋と大気圏離脱を描いた表題作、“ロボット工学の三原則”の間隙を突く「灰
色の車輪」、男女の権利格差が逆転した社会の秘密を描く「性交体験者」、異
星人との驚くべき最悪のコンタクトが語られる「三〇〇万」等、バラエティに
富んだアイデアを論理的に突き詰めた、全8篇収録の奇想SF博物館。『海を
見る人』に続く傑作ハードSF短篇集。
 小林泰三らしいSF作品ともいえ、パロディあり、ミステリあり、ホラー要
素あり、エロありグロありと、ある意味バカSFともいえるでしょうが、独特
の世界観として描かれています。作品によって良し悪しがありますが、風変わ
りなSFを読みたいという人にはお勧めです。

<本紹介>
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【ジャンル】歴史
【著書名】 中国はいかにチベットを侵略したか
【著者名】 マイケル・ダナム
【出版社】 講談社インターナショナル
【初 刊】 2006年3月15日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】「初めは友好的に振る舞い、そのうち暴力的になる」中国の侵略
      の実態。既成事実を周到に積み重ね、不条理を条理とする…。多
      くの民衆が死んでゆく中、不気味な力に果敢に立ち向かったチベ
      ットの戦士たちが伝える警告の書。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、タイトルでも分かるように、第二次世界大戦後に行われた、中国共
産党政権によるチベットへの軍事侵略の実態が書かれた一冊で、事実としての
残酷さ、チベット人に対する侵略のよる仕打ち、住宅と食料の強制提供、チベ
ットと中国を結ぶ道路建設で大量のチベット人が無報酬で強制労働をさせられ
殺された事実、チベットの宗教・文化・習慣を侮辱して共産党を賛美する教育
の強制、寺院や町の破壊と仏像や経典の略奪、僧侶達の大量殺戮、女性達への
集団強姦……などなど、恐るべき事実が書かれており、その凄惨さには言葉を
失います。中国のチベットへの侵略については、大まかにのみ知ってはいたも
のの、ナチスよりも酷いといえる、その侵略の実態は全世界の多くの人に知っ
てもらいたいとも思いますし、チベットの人達が自国を守るために戦い、亡く
なられたことを思うと、中国に対して怒りがこみ上げてきます。日本は第二次
世界大戦で敗戦を喫しましたが、日本という国は残っています。また、第二次
世界大戦後、複数の国が、欧米の植民地から独立はしましたが、チベットは国
自体を失い、中国は解放や併合という名のもとに侵略を始めたのですから、恐
るべき国家です。本書の中では、チベット問題の背景と歴史も書かれています
が、改めてチベットの地に平和が訪れることを願ってやみません。

【な行】

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 長生き競争!
【著者名】 黒野伸一
【出版社】 小学館
【初 刊】 2007年11月4日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】聡、弘、明男、正輝、博夫、規子の6人は小学校時代からの幼な
      じみの76歳。全員ヒマな上、元気なので、時折同窓会を開いて
      いる。ある日、誰が一番長生きするか賭けようということになり
      …。笑えて切ない年寄りファンタジー。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 聡、弘、明男、正輝、博夫と、かつてのマドンナ・規子は小学校時代からの
幼なじみで、全員が76歳。この6人は時折、同窓会を開いていたが、マッチ
ョで健康に自信がある明男の提案で、それぞれの出資金の合計5700万円を
一番長生きした人間が受け取る「長生き競争」の賭けが始まった……。
 物語は、老人版のバトル・ロワイヤルともいえる内容ですが、この同級生以
外にも登場人物が非常に多く、痴呆や介護などの老後問題も絡めています。た
だし、面白い作品ではあるものの、次々に亡くなっていく老人達の死がちょっ
と淡々すぎているのが気にはなりました。

<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 日本人はこうして奴隷になった
【著者名】 林 秀彦
【出版社】 成甲書房
【初 刊】 2008年3月25日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】明治から昭和初期まで、日本にはバカ面はひとりもいなかった! 
      嗚呼それなのに…。もはやすべては手遅れである。日本滅亡は妄
      想ではない。醜なる祖国に林秀彦が怒り狂う。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 「帰国して知った。日本の現状のすべては、目に余る後進性に彩られている。
いつの間にか日本は世界でも相当下位の後進国に転落している。形而上のレベ
ルのことだ。人間性のレベルの意味だ。すでに日本人とは呼べない無国籍状態
の中で、他民族の奴隷になっている」……NHK朝の連続ドラマ「鳩子の海」
の脚本家・林秀彦が18年の海外生活から帰国。九州・大分の山麓に暮らしな
がら混迷をきわめる祖国をひたすら観照し、日本人のすさまじいまでの劣化の
真因を探る「絶望の果ての怒りに満ちた日本論」。
 本書は、「鳩子の海」の劇作家であり、何年も海外に移住して帰国をした著
者が感じた絶望と怒りの日本論。内容はかなり過激な部分もあり、一部偏った
考えや感情論に走ったところはあるものの、日本人の論理や哲学の無さへの指
摘はお見事で、傲慢な書き方ではあるが、その背景に日本人に対する愛情が見
えてきます。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】エッセイ
【著書名】 日本人の背中
【著者名】 井形慶子
【出版社】 サンマーク出版
【初 刊】 2008年3月5日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】なぜか気になる、「日本人」というブランド…。世界90か国で
      読まれる『ひらがなタイムズ』の元編集長で、渡英70回を超え
      るイギリス通としても知られる著者が、欧米人の目に映った日本
      人のたたずまいを鮮やかに描く。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 現在世界90か国で読まれる『ひらがなタイムズ』の元編集長であり、イギ
リスをテーマにしたベストセラーを世に送り出してきた著者が、外国人から聞
いた日本人の知らない日本人の魅力「日本人の背中」に迫ったのが本書。「あ
なたにはわからないだろうが、日本人は世界中の人々と比べて本当に特殊。私
たちには理解できないことが多すぎる」……多国籍企業で働く欧米人のビジネ
スマンから、無銭旅行で地球を一周したというバックパッカーまで、著者は出
会った外国人にこのように言われ続けたそうです。しかし、欧米人の多くは、
このような「わからない日本人」に困惑し、格闘しつつも、しだいに日本びい
きになっていく。欧米人が惹かれ、驚くものは何なのか。それを豊富なエピソ
ードをもとに解き明かします。外国人の目から見た日本はこんな感じなのか?
という驚きが幾つもあり、非常に新鮮な内容でした。また個人的には、ここで
書かれる『「オタク」と「マンガ」に世界が注目』は面白かったです。

【は行】

 

【ま行】

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 百舌姫事件
【著者名】 太田忠司
【出版社】 徳間書店(TOKUMA NOVELS)
【初 刊】 2008年3月31日
【金 額】 857円+税
【カバー文】町に須黒魔術団がやってきた。その魔術団が来た町には宝石強盗
      事件が起きるという。そんな折、宝石店からダイヤの指輪が盗ま
      れ、さらには、町の古い伝説を彷彿させる串刺し死体が発見され
      て…。名探偵・狩野俊介シリーズ。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 町に須黒魔術団がやってきた。宝飾店輝美堂の店長は「彼らが訪れた町では
必ず宝石強盗が起きる」という噂に怯え、石神探偵事務所に相談に来る。魔術
団は町に伝わる「百舌姫伝説」に材をとったショーを上演するが、後援の地元
新聞・真実日報社からの圧力で取り止めになってしまう。そんな折、輝美堂か
らダイヤの指輪が盗まれた。さらに、商工会議所会頭の死体が自宅庭の木に串
刺し状態で発見された。それは伝説の中の“百舌の早贄”を彷彿させるものだ
った。町を揺るがす怪事件に、狩野俊介と野上探偵が立ち向かう。
 本書は「狩野俊介シリーズ」の最新刊。このシリーズは好きなシリーズでも
ありますが、主人公の俊介の成長も伺え、前作からは確か3年ぐらいの間が空
いたと思いますが、ミステリの正統派ともいえる展開で良かったです。

<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 ももこの21世紀日記 N’07
【著者名】 さくらももこ
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2008年2月25日
【金 額】 1100円+税
【カバー文】日常のシンプルな幸福を綴ったさくらももこの絵日記エッセイ第
      7弾。オールカラーのイラストはすべて描き下ろし。さくらもも
      こ携帯サイトに掲載された「ももこの近況」の2006年11月
      〜2007年10月をまとめ書籍化。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 本書は、著者の携帯サイトに掲載された「ももこの近況」をまとめたものと
のことですが、絵日記エッセイのシリーズ最新作。シリーズを通して、気軽に
読めますし、うまく絵日記としているのも軽くてスイスイと読めます。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 モーニング
【著者名】 小路幸也
【出版社】 実業之日本社
【初 刊】 2008年3月25日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】大学時代の親友の訃報に接した「私」は、葬儀の席で大学時代バ
      ンドを組んでいた仲間と再会する。葬儀を終えたとき、仲間の1
      人の淳平が自殺を口にする。説得を試みる「私」と仲間たちだっ
      たが、封印してきた過去が浮上し…。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 大学時代の親友・真吾の訃報を聞き、葬儀に出るために福岡に帰ったダイは、
大学時代にバンドを組み、共に暮らしていた仲間たちと再会する。葬儀を終え、
帰途に就こうとしたとき、今は俳優になっていた淳平が「これから自殺する」
と口走り、3人はレンタカーで横浜まで同行。二十数年前へとさかのぼる、思
い出話のロングドライブが始まった……。
 物語は、45歳の男達が、大学卒業以来、それぞれが心の奥底に秘めてきた
苦い記憶を語り合い、友情を確認するまでを描いた作品。物語の中で重要な2
0年前の出来事については、正直共感できず、ラストも物足りない。バランス
の良い作品だとは思いますが、全体的にはイマイチという印象でした。

<本紹介>
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【ジャンル】旅行記
【著書名】 もいちど修学旅行をしてみたいと思ったのだ
【著者名】 北尾トロ
【出版社】 小学館
【初 刊】 2008年4月21日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】京都、奈良、日光、東京、鎌倉、箱根…。あなたが修学旅行でい
      ったのはどこですか? その旅のことを覚えていますか? 高校
      卒業後30年を経たオヤジ3人が、1970年代に光り輝いてい
      た日本の大観光地を巡る。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 北は北海道から南は九州、そして韓国まで、国内の観光名所42箇所+韓国
を、生徒役の著者、引率役のライター、記録係のカメラマンの「オヤジ3人」
が旅する姿を、軽妙な文章と写真で紹介する紀行エッセイ。
 本書は、著者を始めとする中年の3人が、修学旅行の定番地を旅したもので
すが、これは大人向けの観光ガイドとしても面白かったです。修学旅行は行っ
た地域や名所は覚えているものの、その名所の別の見方やら、曖昧だった記憶
をハッキリさせるなど、何だか一緒に旅行をした気分にさせてくれます。でも、
僕も修学旅行をもう一度してみたいなァ。。。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】新書
【著書名】 メディアに心を蝕まれる子どもたち
【著者名】 有田芳生
【出版社】 角川SSC新書
【初 刊】 2008年3月30日
【金 額】 740円+税
【カバー文】深刻なイジメやあいつぐ少年事件の背景には、過去10年余りの
      間に、劇的に発展したメディアの影響があった。親はわが子をど
      う守っていけばいいのか? TVでは言えなかったメディアの危
      険性に対する警告。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 本書は、メディアの功罪についてを書いたもので、後半はインターネットに
対する対談集となっています。前半は、テレビやゲームの持つ危険性について
が書かれていますが、中でもオウム事件と酒鬼薔薇事件とを比較し、共通点に
ついてを書いていますが、その中で、オウム事件の影響が、一部の事件に影響
を与えた可能性は確かにあるでしょうが、それを少年犯罪に当てはめて「犯罪
が凶悪化した」とするのは、納得できないところもあり、メディアと事件との
因果関係について曖昧な記述が多く、できればもっと掘り下げて書いてほしか
ったです。

【や行】

 

【ら行】

<本紹介>
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【ジャンル】ハードボイルド
【著書名】 ライオンの冬
【著者名】 沢木冬吾
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2008年3月31日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】伊沢吾郎、82歳。旧日本陸軍狙撃手。軍人恩給で暮らしながら、
      狩猟解禁期間には猟をし、生活の足しにしている。髭の森といわ
      れる山の中で両親をなくした孫娘の結と静かに暮らしていたが…。
      愛と絆を描くハードボイルド。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 物語は、東北の雪山を舞台に、死者18人を出した大銃撃戦に身を投じた元
陸軍狙撃手の死闘を、孫娘の回想で紡いた作品。山中での戦闘場面も迫力があ
り、銃については細かな描写でしたが、主人公も存在感がありましたが、全体
的な流れの中では粗さが目に付きました。設定は非常に良いとも思うので、も
う少し主人公のフィリピン時の描写があれば、更に展開が引き立つとも思いま
したし、やや物足りなさも感じた一冊です。

<本紹介>
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【ジャンル】政治
【著書名】 歴代首相
【著者名】 小林弘忠
【出版社】 実業之日本社
【初 刊】 2008年2月7日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】第1代・伊藤博文から、第58代・福田康夫まで、歴代首相58
      名のすべてを読み解く。対米協調路線の吉田茂、日ソ共同宣言を
      目指す鳩山一郎の対立と妥協など、日本の舵取りを担った歴代首
      相たちのエピソードが満載。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、初代・伊藤博文から現・福田康夫までの58名の歴代首相の業績、
プロフィールは勿論のこと、エピソード、在職期間・通算日数、在職時の時代
背景、在職中の主な出来事までを解説したもの。58名の歴代首相をうまくま
とめており、歴史を振り返る意味でも読んで良かった一冊です。

【わ行】

 

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