書評データベース(2009年度2月分)

 

■2009年2月に紹介した本■

 犯意 その罪の読み取り方       乃南アサ     新潮社
 麦酒アンタッチャブル         山之口洋     祥伝社
 火村英生に捧げる犯罪         有栖川有栖    文藝春秋
 北海道「海」の人国記         伊藤孝博     無明舎出版
 バカが国家をやっている        勝谷誠彦     扶桑社
 貧格ニッポン新記録          ビートたけし   小学館
 RURIKO             林真理子     角川書店
 夜の桃                石田衣良     新潮社
 夜騎士物語              新堂冬樹     双葉社
 まず石を投げよ            久坂部羊     朝日新聞出版
 ラブコメ今昔             有川 浩     角川書店
 世界を不幸にするアメリカの戦争経済
     ジョセフ・E.スティグリッツ/リンダ・ビルムズ 徳間書店
 推理日記 PART11        佐野 洋     講談社
 女王蘭                新堂冬樹     祥伝社
 十三回忌               小島正樹     原書房
 ジェミニの方舟 東京大洪水      高嶋哲夫     集英社
 君は誰に殺されたのですか       江花優子     新潮社
 感染列島 映画ノベライズ版      涌井 学     小学館文庫
 綺麗な生活              林真理子    マガジンハウス
 警官の紋章              佐々木譲    角川春樹事務所
 グラニテ               永井するみ    集英社
 仮想儀礼(上・下巻)          篠田節子     新潮社
 10秒の壁              小川 勝     集英社新書
 中学教師裏物語            原田祐輔     バジリコ

【あ行】

 

【か行】

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】ノンフィクション
【著書名】 君は誰に殺されたのですか パロマ湯沸器事件の真実
【著者名】 江花優子
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2008年11月30日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】息子が東京で急死した。その10年後、死因が一酸化炭素中毒で
      あったことを知った。何故? どうして? 息子の死の真実を知
      りたいと願う両親の執念が警視庁を再捜査へと動かす。そして明
      るみに出た、驚愕の事実とは。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、第13回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞の著者が描き出し
たパロマ湯沸器事故についてのドキュメント。なぜ20人以上の犠牲者が生み
出されたのかを丹念な取材を基に書いており、警察捜査のずさんさ。判明した
死因を家族に知らせなかった無配慮。事故を認識しながら、対策をとらなかっ
た企業の無責任。再発防止に動かない監督官庁の怠慢などなど、マスコミ報道
では明かされなかった部分についても追及しています。パロマ湯沸かし器事件
の顛末を記録したノンフィクションですが、遺族の悲しみとやりきれなさも伝
わるもので、膨大な資料や記録と格闘し、関係者に丹念に取材して、まとめあ
げた記録でもある一冊です。

<本紹介>
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【ジャンル】ノベライズ
【著書名】 感染列島 映画ノベライズ版
【著者名】 涌井 学
【出版社】 小学館文庫
【初 刊】 2008年12月10日
【金 額】 552円+税
【カバー文】救命救急医・松岡剛のもとに現れた一人の急患。症状は新型イン
      フルエンザに思われたが、何かが違っている…。折しも東京都い
      ずみ野市の養鶏場では鶏が大量死する鳥インフルエンザが発生。
      市民がウイルス・パニックに陥る一方、剛の勤める市立病院では
      院内感染が拡がっていた。事態の調査と感染拡大を防ぐため、W
      HOのメディカルオフィサーで剛のかつての恋人である小林栄子
      が派遣されるが、ワクチン無効の未知なるウイルスの感染爆発“
      パンデミック”は加速し、未曾有の危機が日本中を震撼させる。
      衝撃のパニック・エンターテインメイト映画を小説化。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、映画『感染列島』を小説化したノベライズ版。新型ウイルスによる
パンデミック(感染爆発)の脅威が人類に襲いかかるパニック・ヒューマン・
ドラマですが、映画はまだ見ていないものの、映像化ではどのようになってい
るのか?とも考えながら読み進めることができたので、別の面白さというもの
もありましたが、未知なるウイルスの感染恐怖がうまく文章化されていました
し、DVD化された時にはぜひとも見てみたいと思います。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 綺麗な生活
【著者名】 林真理子
【出版社】 マガジンハウス
【初 刊】 2008年10月23日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】どうして人は美貌に惑わされ、容姿にこだわるのだろう? 目の
      前に現れた男が、美しい顔で港子を誘う。母親の恋人に唇がそっ
      くりなその男。警戒心がやがてその魅力に打ち砕かれるとき、彼
      女は…。『BOAO』連載を書籍化。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 30歳の港子は、美貌を保つため、シミやたるみといった加齢の証を消しに
くる顧客を相手に美容整形クリニックでレセプショニストを勤めている。その
港子は、付き合っている恋人がいるも、妻子持ちの男と付き合い、ズルズルと
した関係を続けていた。そこに更に容姿の良い男性が現れ、1人に絞れない港
子の最後は……。
 林真理子らしく、ドロドロとした恋愛話も絡めた作品でしたが、気軽に読め
る反面、どうもスッキリしないというか、主人公の態度は気に入らないですし、
ラストも呆気なさすぎて、物足りない。どうせなら、恋愛と容姿をテーマとし
ているのだから、更にドロドロとした残酷さを描けば良かったとも思います。

<本紹介>
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【ジャンル】警察小説
【著書名】 警官の紋章
【著者名】 佐々木譲
【出版社】 角川春樹事務所
【初 刊】 2008年12月28日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】拳銃を所持した警官の失踪、覚醒剤密輸入事件の偽装疑惑…。佐
      伯刑事たちは、それぞれの任務のため、警官としての信念と誇り
      をかけて疾駆する。「笑う警官」「警察庁から来た男」に続く、
      道警シリーズ第3弾。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 北海道警察は、洞爺湖サミットのための特別警備結団式を一週間後に控えて
いた。そのさなか、勤務中の警官が拳銃を所持したまま失踪。津久井卓は、そ
の警官の追跡を命じられた。一方、過去の覚醒剤密輸入おとり捜査に疑惑を抱
き、一人捜査を続ける佐伯宏一。そして結団式に出席する大臣の担当SPとな
った小島百合。それぞれがお互いの任務のために、式典会場に向かうのだが…
…。
 本書は、『笑う警官』、『警察庁から来た男』に続く、北海道警察シリーズ
第3弾で、今回は様々な事件の背後に警察内部の腐敗構図を描いています。い
わゆるキャリア対ノンキャリアの構図をうまく作品の中で表現しており、他に
もシリーズの中での事件の真実も明らかとしており、シリーズとして前作から
の伏線を活かしており、今回が北海道警察シリーズの最終巻でもありますが、
シリーズをうまくまとめた内容にもなっています。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】小説
【著書名】 グラニテ
【著者名】 永井するみ
【出版社】 集英社
【初 刊】 2008年7月30日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】都内でカフェを経営する市ノ瀬万里。夫に先立たれながらも、一
      人娘・唯香と穏やかな日々を過ごしていた。年下の恋人と愛娘が
      出遭うまでは…。母43歳、娘17歳。一対一の女と女。親子の
      衝突、破壊、そして再生の物語。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
 物語は、母親と娘、そして母親の年下の恋人との三角関係を描いた作品で、
昼ドラマの男女のドロドロ感という表現がピッタリするような作品でした。設
定などもドラマ仕立てのようで、読みやすい作品ではありますが、どうも親子
の恋愛ドロドロ話というのは、生理的に合わないというか、イマイチでした。

<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 仮想儀礼(上・下巻)
【著者名】 篠田節子
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2008年12月20日
【金 額】 1800円+税(上下共)
【カバー文】男二人が金儲けのために始めたネット宗教。しかし、信者の抱え
      る闇は、ビジネスの範疇を超えていた。家族から無視され続けた
      主婦、愛人としてホテルで飼われていた少女、実の父と兄から性
      的虐待を受ける女性……居場所を失った女たちが集う教団は、次
      第に狂気に蝕まれてゆく。圧倒的密度と迫力! 二十一世紀の黙
      示録的長篇サスペンス。
【満足度】 ★★★★★(文句なし!)
End------------------------------------------------
 38歳の鈴木正彦は、8カ月前まで都庁に勤め、総務局総務部システム管理
課長にまで出世したエリート公務員だったが、趣味と実益を兼ねて余暇に書い
ていたゲームのノベライズのフリー編集者の矢口からゲームブックを書くこと
を唆されて、5千枚の物語を書きはじめ、睡眠時間を削りながら立ち向かうが、
体力の限界に達し、都庁を辞めて、退職金で仕事場用の中古マンションを購入
し、原稿を書くことに。しかし仕事を辞めたことを知った妻は激怒して結果離
婚することとなり、自宅も手放すことに。それと引き替えに原稿は何とか完成
したものの、編集者である矢口からの連絡が途絶えた。調べてみると、版元に
は話が通っていなかったことが判明し、契約していた下請けの編集プロダクシ
ョンが倒産し、矢口は行方不明となっており、正彦の元には発表のあてもない
原稿だけが残ることに。何とか、失踪した矢口を偶然見つけ、正彦が無理やり
仕事場に連れ帰るが、矢口がホームレス同然の身の上と知り、2人が失望の中
でテレビを眺めていた時に、テレビ画面にワールドトレードセンターに二機の
旅客機が突っ込んでいく様子が映し出された。矢口はそれを見ながら、「実業
の象徴、ワールドトレードセンターが、宗教によって壊された」と宣言し、新
宗教ビジネスを始まることを思いついた。団体名は「聖泉真法会」とし、教祖
は正彦のペンネームから「桐生慧海」とし、教義の元としては、正彦が書いた
ゲーム小説「グゲ王国の秘宝」とした。2人はまずHPを開設し、相談メール
に掲示板上で回答する形でユーザーを集め、アイデアを武器に教団をどんどん
成長させていくが、宗教を求めてきた信者達が抱える問題から、この団体が暴
走し始めた……。
 本書は、上下巻合わせて約900ページという圧倒的なボリュームでしたが、
展開にみるみる引き込まれ、一気に読むことができました。素人が始めた新興
宗教団体が一気に発展し、そして衰退する姿をサスペンスとして描かれた作品
ですが、宗教団体が暴走していく様子は、人間の狂気を見事に表現しており、
緊迫の姿が実にリアルで、信者の抱える問題を奥深く捉えています。最近の著
者の作品には物足りなさを感じていましたが、本書は篠田節子を代表する作品
であるとも思います。

【さ行】

<本紹介>
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【ジャンル】経済
【著書名】 世界を不幸にするアメリカの戦争経済
【著者名】 ジョセフ・E.スティグリッツ/リンダ・ビルムズ
【出版社】 徳間書店
【初 刊】 2008年5月31日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】イラク戦争にかかった費用は3兆ドル。この膨大な経費は、アメ
      リカ経済、そして世界経済にいかなる衝撃を与えているのか? 
      ブッシュ政権によるコスト隠蔽操作を暴き、戦争という巨大ビジ
      ネスが引き起こす負の連鎖を看破する。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 本書はサブタイトルに「イラク戦費3兆ドルの衝撃」とありますが、政府は
市民が戦争の巨大なマイナス面に気づかないようにし、その情報伝達の周到な
虚偽を、徹底的に暴いていきます。開戦から5年間も、直接的な対イラク戦費
は議会への詳細な説明責任を伴う予算ではなく、自然災害対策的なものとして、
緊急予備費から賄われ、その額は少なく報告され、本来、戦費に支出する性格
のものではない国防費からも補填。更に今回の戦争は、戦争請負企業の従業員
を多用し、彼らに支払う巨額の費用への説明責任も国防総省は果たさなかった
ばかりか、戦争は、大義ではなく金銭的欲望で動く請負兵士によって担われ、
そのことを利用して政府は戦闘の負担を多くの若者に担わせることを避け、国
民は、自国が戦争をしているという意識すらもたないように誘導され、軍事請
負会社とその社員だけが勝者であった、と著者は指摘しています。衝撃的内容
であったのは勿論のこと、ブッシュ政権による二重帳簿や常習的過小評価とい
った隠蔽操作を暴き、戦争の本当の代価を看破しているのは、お見事であり、
ノーベル賞経済学者が書いただけあって、世界経済への計り知れない影響につ
いても読み応えがありました。

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ批評
【著書名】 推理日記 PART11
【著者名】 佐野 洋
【出版社】 講談社
【初 刊】 2008年9月25日
【金 額】 2300円+税
【カバー文】ミステリー小説の大家による辛口推理時評。東野圭吾「使命と魂
      のリミット」、横山秀夫「震度0」、逢坂剛「道連れ彦輔」、海
      堂尊「螺鈿迷宮」など、話題作を論じたエッセイ集第11弾。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、作家生活50年を飾る著者の辛口ミステリー批評第11弾。プロの
ミステリ作家が、他の作家の作品のミステリを批評していますが、その視点は
非常に面白く、ミステリの見方としての参考にもなりました。しかし、このシ
リーズが11弾を迎えるというのも、長く続いていますが、もっと多くの作品
を批評してほしいです。

<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 女王蘭
【著者名】 新堂冬樹
【出版社】 祥伝社
【初 刊】 2008年10月30日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】お前の中の天使を封印しろ。そして、夜の世界に咲き誇る女王蘭
      になれ…。自分を裏切り、父親を死に追い込んだ「風俗王」藤堂
      への復讐を誓った優姫は、敵の主戦場である水商売に身を投じる。
      風俗産業の闇を描くサスペンス小説。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
 本書は、前作といえる『黒い太陽』の続編で、『夜騎士物語』のように風俗
の世界での争いが描かれていますが、新堂冬樹らしい暗黒さがなく、サスペン
スとしても正直弱い。どうせなら復習劇としてドロドロに描いてほしかったで
すし、深夜ドラマを見ている感じで、イマイチ感が強いです。

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 十三回忌
【著者名】 小島正樹
【出版社】 原書房
【初 刊】 2008年10月22日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】ある素封家一族の当主の妻の不審死、それが始まりだった。一周
      忌にはモニュメントに刺し貫かれた少女、三回忌には木に括りつ
      けられ首を切られた少女…と忌まわしい殺人が続く。そして十三
      回忌、厳戒態勢のなか事件が起こる!
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 宇津城家当主、恒蔵の妻が不審死を遂げた。しかし警察はこれを自殺として
捜査を打ち切ってしまう。それが不可解な連続殺人事件の始まりになった。そ
の一周忌には円錐形のモニュメントに真上から突き刺さった死体、三回忌には
木に括りつけられさらに首を切られた死体、七回忌には滝に打たれ唇だけ切り
取られた死体……と続いていく。犠牲者はいずれも恒蔵の愛人の娘たちだった。
そして十三回忌を迎える。厳戒態勢のなか、やはり事件は起こった……。
 物語は、登場人物が非常に多いため、読みながら展開を理解していくにも時
間がかかりましたが、読み応えのあるミステリではありました。ただし、その
展開が詰め込みすぎの部分もあるため、ミステリとしての評価は大きく分かれ
るでしょうが、凝った伏線などは読み手によっては評価が高いとは思います。

<本紹介>
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【ジャンル】パニック小説
【著書名】 ジェミニの方舟 東京大洪水
【著者名】 高嶋哲夫
【出版社】 集英社
【初 刊】 2008年7月30日
【金 額】 1900円+税
【カバー文】大型の台風23号と24号が合体、巨大台風ジェミニが東京を襲
      う。愛する家族は、都民は、首都水没の危機を乗り越えられるの
      か。「M8」「TSUNAMI」に続く災害小説の3部作完結編。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 9月、大型台風接近。気象庁は東京への上陸なしとの見解を発表するが、気
象学者の玉城孝彦はコンピュータでのシミュレーションによって別の結果を導
き出した。2つの台風が合体して生まれる史上最大の台風が首都圏を直撃する
と。玉城は以前から『荒川防災研究』という論文で荒川氾濫による江東デルタ
地帯の水没を指摘していたが、やがてその予測が現実のものとなっていく。双
子台風「ジェミニ」誕生。そして都市水没の危機……。
 本書は、東京を襲う巨大台風の風水害を描いた作品で、東京をマグニチュー
ド8の地震が襲う『M8』、東海・東南海・南海地震による巨大津波が東海地
方をのみ込む『TSUNAMI』に続く、災害小説の完結編。データと資料を
もとにしていることもあり、リアル感もたっぷりで、防災についても描かれて
いますが、災害の恐怖も迫力ある描写で読んでいても引き付けられ、家族再生
の物語でもあります。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】新書
【著書名】 10秒の壁
【著者名】 小川 勝
【出版社】 集英社新書
【初 刊】 2008年6月22日
【金 額】 700円+税
【カバー文】陸上競技100m。かつてこの種目で「10秒」を突破すること
      は、世界中の夢であり目標だった。一瞬の勝負の裏に潜む幾多の
      ドラマを発掘するとともに、この先「人類最速」はどのレベルま
      で進化するのかを考察する。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本著は、陸上競技100mでの10秒の壁を破るまでの過程と、10秒の壁
を破ってからの記録への挑戦が描かれたもので、サブタイトルに『「人類最速」
をめぐる百年の物語』とも記されています。また、日本人がかつて100mで
世界記録を出していたというような雑学的なことも書かれており、100分の
1秒単位で勝負が決するこの種目の、過去の数字をめぐるドラマが書かれてい
ます。

【た行】

<本紹介>
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【ジャンル】レポート
【著書名】 中学教師裏物語
【著者名】 原田祐輔
【出版社】 バジリコ
【初 刊】 2008年11月17日
【金 額】 1200円+税
【カバー文】聖職だとはいうけれど、先生だって人間なのだ! キャリア20
      年の現役ベテラン教師が、仕事の実態からプライベートまで、あ
      りのまま赤裸々に綴った中学校インサイダー・レポート。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 本書はサブタイトルに「知ってるようで知らない中学校のリアル、教師+生
徒+親の生態」とありますが、現役中学教師が中学校の実態を書いたレポート。
自らの体験や実例が基になっていることもあり、中々興味深かったですが、確
かに教師にも色々な人がいるだろうし、昔とは違って、対応しなければならな
い問題も多いだろうし、教師の能力さというのも大きいでしょう。また教師と
しての悩みというものも分かりますが、どこか一般社会からズレているという
部分を感じましたし、著者が様々な教師の犯罪に対しての意見を述べています
が、教育者としての自覚というものが全体的に大きく不足していることが伺え
ました。

【な行】

 

【は行】

<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス小説集
【著書名】 犯意 その罪の読み取り方
【著者名】 乃南アサ
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2008年8月30日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】あり得ない事件なんて、ない…。マスコミは報じない犯人の心理
      に至るまでもリアルに描いた12のサスペンス小説集。裁判員制
      度のポイントをわかりやすく紹介した法律解説も収録。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、サスペンス小説に仕立てた「事件」と、その犯人に下す量刑の判断
基準を分かりやすく解説したもの。現実の社会でも起きそうな12の事件をサ
スペンスとして描き、その12編それぞれに甲南大学法科大学院教授で弁護士
の園田寿の法律解説が付いたもので、事件を読んで法的解釈を学び、量刑まで
考えることができ、裁判員制度の理解にもなる一冊です。

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 麦酒(ビール)アンタッチャブル
【著者名】 山之口洋
【出版社】 祥伝社(NON NOVEL)
【初 刊】 2008年9月10日
【金 額】 857円+税
【カバー文】財務省酒税課に出向中のキャリア警官魚崎は官僚の根津に、ある
      秘密パーティに誘われた。そこは非合法の麦酒自家醸造家の集ま
      りで、魚崎も自ら密造に手を染めてしまう。ところが、それこそ
      が根津の狙いだった…。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 「コップ5杯のビールなら、3杯は税金だ」財務省酒税課に出向中のキャリ
ア警官魚崎は、アルマーニを着る変わり種官僚の根津に、ある秘密パーティへ
誘われた。熱気あふれる会場に集う怪しげな紳士淑女。彼らは非合法の麦酒自
家醸造家たちであった。魚崎は、自らも密造に手を染めてしまう。だが、これ
こそ、自称特別捜査官・根津の狙いだった! アンタッチャブルな暴走官僚に
翻弄される魚崎。そして、自ビール愛好家たちとの、妄想だらけの闘争! 悪
夢の脱税取締の行方は!?
 若きキャリア警官の主人公・魚崎が研修先の財務省酒税課で出会った根津は、
なんと禁酒時代のアメリカでカポネとやりあった役人エリオット・ネスに心酔
する男で、その根津はビールを自家醸造する愛好家たちを映画のように颯爽と
取り締まりたいと夢想している。根津は魚崎のことをいつの間にか映画に登場
したちびの会計係ウォレスに同一視し、モデルガンを懐に忍ばせネス気取りで
無茶な捜査を進めてゆく。ところが自ビール推進派の親玉もなぜかカポネの真
似を始め、魚崎の恋人まで誘拐して、ある要求を突きつける……という物語で
すが、これは正にビールのようにキレとコクのある作品で、自家醸造問題にも
鋭く斬りこんでおり、特にビール党の人にはお勧めの一冊です。

<本紹介>
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【ジャンル】短編ミステリ
【著書名】 火村英生に捧げる犯罪
【著者名】 有栖川有栖
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2008年9月30日
【金 額】 1571円+税
【カバー文】とっておきの探偵に、きわめつけの謎を…。作家・有栖川有栖へ
      の不審な電話と、大阪府警に届いた、臨床犯罪学者・火村英生宛
      の挑戦状。名コンビが活躍する全8編を収録。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、火村&アリスシリーズの10作目の短編集で、表題作含む短編4本
と、携帯サイトに掲載された掌編4本の計8本の作品が収録されています。中
編あり、ショートショートありと、それぞれに特徴もあり、どれも読みやすく
て面白く、シリーズの良さも出ています。

<本紹介>
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【ジャンル】歴史
【著書名】 北海道「海」の人国記
【著者名】 伊藤孝博
【出版社】 無明舎出版
【初 刊】 2008年7月30日
【金 額】 2800円+税
【カバー文】江戸から明治にかけ、本州から北海道へ移住して、交易や廻船業、
      船舶、造船、海運、港湾、海防、漁業、水産加工など「海の仕事」
      に携わった先駆者たちの物語。北海道と本州の関係史の一端が見
      えてくる人物歴史探訪。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、海を渡って新天地の開拓に夢を馳せた江戸から明治にかけてのパイ
オニア達70余名の人物像を徹底取材し、文献資料を渉猟し、現地を取材し、
読みやすい文章にまとめた、1000枚を超す力作人物伝。知られざる北海道
の歴史の一端が見られ、江戸時代から明治時代にかけての、北海道の海の仕事
の様子が丹念な取材で浮かび上がらせています。郷土の歴史本としても価値あ
る一冊だとは思いますが、価格が少々高いのがやや難点でしょう。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】コラム
【著書名】 バカが国家をやっている
【著者名】 勝谷誠彦
【出版社】 扶桑社
【初 刊】 2008年10月30日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】首相が2代続けて逆ギレ辞任した“お笑いニッポン”。年金や食
      品などの偽装ブームを予見したコラムニストが、バカ政治家&バ
      カ官僚の笑えない罪深さを糾弾! 『週刊SPA!』連載の「ニ
      ュースバカ一代」単行本化・第2弾。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、『週刊SPA!』で連載されている「ニュースバカ一代」の単行本・
第2弾で、約2年半にわたるコラム120本が再録されたもの。その他に、政
権交代を誓う小沢一郎・民主党代表へのインタビュー、ミートホープの内部告
発者である元常務との衝撃対談、長野の聖火リレーに乱入し逮捕された亡命チ
ベット人二世との対話なども収録されています。時事ネタが時系列として載っ
ていますが、鋭いツッコミを入れるだけでなく、自らの持論を展開し、更には
記事やニュースの裏側まで読み出しているところは、著者らしいところです。
本書の冒頭の一部に『本書に収録されているコラムを書いている間に、私たち
の日常はますます不便になった。ATMの前では携帯電話を使えず、後部座席
でシートベルトをしないとつかまる。いずれもバカが不始末をしでかすと責任
を問われる役人どもが、そのせいでオノレの老後の天下り寄生虫人生が失われ
ることを恐れて作った「バカ基準」である。バカにあわせて生活しなくてはい
けなくなるとますます「バカ・スパイラル」は進み、日本国は住みにくくなっ
ていく。』と書いていますが、ホントその通り。農水省の様々な問題を始めと
して、年金問題、拉致問題、北京オリンピックでの数々の騒動、対馬問題など、
数多くの日本の問題を勝谷誠彦が爽快にぶった切っています。

<本紹介>
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【ジャンル】新書
【著書名】 貧格ニッポン新記録
【著者名】 ビートたけし
【出版社】 小学館
【初 刊】 2008年10月6日
【金 額】 720円+税
【カバー文】食品偽装事件、朝青龍騒動、ねじれ国会、納豆ダイエット、裁判
      員制度…。破天荒で超脱したデタラメの中に見え隠れする世間へ
      の鋭い皮肉・風刺が日本人の心に突き刺さる。『週刊ポスト』連
      載から秀逸コラムを厳選した傑作選。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 久々にビートたけしのコラムを読みましたが、昔と比べると毒舌がかなり柔
らかくなったものの、時事ネタに対してうまく吼えています。特に同じ事務所
の山本モナ騒動については、うまくギャグも交えており、皮肉をこめて斬って
いるのは、お見事。また、宮崎県知事となった弟子のそのまんま東に対しても、
「オイラはどんな世界でも芸人としてやっていく…ホントは国民も芸人を政治
家に選んじゃいけないんだ」と批判していますが、弟子に対する愛情も垣間見
え、たけしらしさが出ているコラム集です。

【ま行】

<本紹介>
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【ジャンル】医療ミステリ
【著書名】 まず石を投げよ
【著者名】 久坂部羊
【出版社】 朝日新聞出版
【初 刊】 2008年11月30日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】医療ミスを告白し、遺族に賠償金の支払いを申し出た外科医。こ
      の話に究極の誠意を感じた女性ライターは取材を始めるが、「あ
      れは殺人だった」という手紙が舞い込む。不倫、自殺、墜落願望…。
      現代人の闇を描く医療ミステリー。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 外科医・三木達志は医療ミスを告白し、患者の遺族にみずから賠償金支払い
を申し出た。これに究極の誠意を感じたライター・菊川綾乃は取材に乗り出す
が、「あれは殺人だった」との手紙が舞い込む。不倫、自殺、テレビでの医師
の心理実験、墜落願望。医療ミスは事故なのか、それとも密かな殺人か。医師
の好き嫌いで患者が殺されたら……。
 著者は、在宅医療専門クリニックで診療する現役医師であり、本書は医療ミ
スをテーマとした医療ミステリ。医者の倫理と医療ミスとをうまくミステリ仕
立てとしていますが、重いテーマの割には、展開がやや軽く、ミステリとして
はどことなく中途半端さも感じました。

【や行】

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 夜の桃
【著者名】 石田衣良
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2008年5月20日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】「お願いします、年上の男の人じゃなきゃ、だめなんです」 空
      虚な日々に流される男が出会った、少女のような女。その隠され
      た過去を知り、男は地獄のような恋に堕ちた。喪失と性愛の極致
      を描いた、衝撃の物語。
【満足度】 ★★☆
End------------------------------------------------
 数億円のローンを組んだ家、高性能なドイツの車、イタリア製のスーツ、ス
イス製の機械式腕時計、広告代理店勤務の可愛い愛人……すべては玩具にすぎ
なかった。幸福にも空虚な日々に流される男が出会った、少女のような女。そ
の隠された過去を知り、男は地獄のような恋に堕ちた。
 物語は、45歳の広告プロダクション社長が、42歳の妻、34歳の愛人、
25歳の部下とのそれぞれの性愛をストレート描いた作品ですが、あまりにも
都合よく描かれすぎで、性を扱ったわりには、まとまりすぎてリアリティがな
く、単なる妄想を描いただけのような感じに受けました。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 夜騎士物語(よるぎしものがたり)
【著者名】 新堂冬樹
【出版社】 双葉社
【初 刊】 2008年8月25日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】飛び交う札束。高級酒の浪費。常人の想像を超えるホストの世界。
      しかしそこには、男と女の本音が潜んでいる。ホスト達の華麗な
      口説きのテクニックと、艶やかな女達の姿をあますことなく描く。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
 これはコミックとの同時作のようでもありますが、ホストの世界を描いた作品
で、王朝宮殿風ホストクラブ「夜騎士」で数十万のボトルが湯水のように消費さ
れ、女たちが刹那の愛を求めて札束を差し出し、金銭感覚と倫理観が麻痺した者
が集う倒錯のパラダイスで、伝説となるべく二人のホストが不夜城・歌舞伎町に
立ち、愛と欲望渦巻く熱き闘いを繰り広げる……という作品でもあるのですが、
新堂冬樹の描く歌舞伎町のホスト世界であれば、人間狂気が描かれているとも思
ったものの、深夜枠の安っぽいテレビドラマのような感じで、展開も甘すぎるし、
作品自体が軽すぎて、他のホストものの作品の後追い作品のようで、特にラスト
はあまりにも中途半端で、欠点ばかりが目に付きました。

【ら行】

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 RURIKO
【著者名】 林真理子
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2008年5月31日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】時は昭和30年代。銀幕にひしめく石原裕次郎、小林旭、美空ひ
      ばり、燦めくようなスターたち。「浅丘ルリ子」としてデビュー
      した少女の、めくるめく恋の日々が始まった…。自分を生きた女
      優の半生を描く、一大ロマン小説。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 昭和19年、新京。ラストエンペラー溥儀を抱え、傀儡国家のそしりを受け
る満州帝国で国務院に勤務する浅井には4歳になる娘がいた。満映の理事長に
して満州の黒幕、甘粕正彦がただ一人気にかけた少女、それが信子だった。天
性の美貌で周囲を圧倒した信子は、日本に引き揚げたのち少女画家・中原淳一
の目にとまり、「浅丘ルリ子」として銀幕に華々しくデビューした。時は、石
原裕次郎、小林旭、美空ひばりなどの大スターを輩出した昭和30年代。スク
リーンに咲いた太陽と大輪の花に、国民は酔いしれ、ルリ子に待っていたのは、
めくるめくような恋と冒険の日々だった。映画スターとの初めての恋。恋人に
疑われ続けた、裕次郎との関係。親友・美空ひばりと、小林旭との結婚……恋
と名声の嵐の中で、ルリ子は超然と、自分を貫く。去る者は追わない、他人の
恋は祝福する。強がりでも負け惜しみでもない、ルリ子そのものだった。スタ
ーがスターであった時代、燦めくような青春を送った男女達の愛の交流を描く。

 本書は、浅丘ルリ子本人らに取材した交友関係をもとに想像を膨らませたフ
ィクション小説のようですが、戦後の日本映画と芸能史の裏側、昭和30年代
の日活映画についてや、当事の時代背景など、興味深い内容でしたし、映画全
盛期の熱気と人間模様が生々しく伝わり、林真理子らしく非常に読みやすかっ
たです。

<本紹介>
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【ジャンル】短編小説集
【著書名】 ラブコメ今昔
【著者名】 有川 浩
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2008年6月30日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】突っ走り系広報自衛官の女子が鬼の上官に情報開示を迫るのは、
      「奥様とのナレソメ」。双方一歩もひかない攻防戦の行方は? 
      表題作のほか全6編を収録。ベタ甘ラブな恋愛小説集。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、前作『クジラの彼』に続く「自衛隊ラブコメ」シリーズで、怖い上
司の若き日の純情模様、自衛官の彼との超遠距離恋愛、飛行機乗りの夫を持つ
妻など、タイトル通り、多彩な恋の今昔を描いた短編集。甘い恋愛話が多いも
のの、自衛隊員と恋愛についてをうまく物語としており、単なる甘い恋愛小説
というだけでなく、自衛隊を舞台にしていることもあって「有事」についても
分かりやすく描いていたのは、評価できます。

【わ行】

 

給料前でお金がない・・ 生命保険の切り替えはココ そろそろ結婚適齢期???
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