書評データベース(2009年度3月分)
■2009年3月に紹介した本■
天空の祝宴 堂場瞬一 PHP研究所
哲学探偵 鯨統一郎 光文社
退出ゲーム 初野 晴 角川書店
私をクレーマーと呼ばないで 多田文明 アスキー新書
私が会社にキレた理由 クマキレ調査委員会編 ソニー・マガジンズ
オリンピックの身代金 奥田英朗 角川書店
庵堂三兄弟の聖職 真藤順丈 角川書店
いつかX橋で 熊谷達也 新潮社
雲仙・島原湯煙地獄 梓林太郎 光文社
エッジ(上・下巻) 鈴木光司 角川書店
哀哭者の爆弾 鳴海 章 光文社
あげくの果て 曽根圭介 角川書店
もういやだ!この疲れた心を休め、甦らせてくれる心の専門家50人
「心とからだの悩み解消プロジェクト」特別取材班編 三楽舎プロダクション
愛しのローカルごはん旅 たかぎなおこ メディアファクトリー
NHK気になることば NHKアナウンス室編 東京書籍
江戸の名奉行 丹野 顯 新人物往来社
あなたの苦手な彼女について 橋本 治 ちくま新書
異端のメス 南淵明宏 講談社
この世でいちばん大事な「カネ」の話 西原理恵子 理論社
官邸崩壊 上杉 隆 新潮社
交渉術 佐藤 優 文藝春秋
金融大崩壊 「アメリカ金融帝国」の終焉 水野和夫 NHK出版
珈琲屋の人々 池永 陽 双葉社
きのうの世界 恩田 陸 講談社
キネマの神様 原田マハ 文藝春秋
公園で逢いましょう。 三羽省吾 祥伝社
【あ行】
<本紹介>
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【ジャンル】サスペンス
【著書名】 オリンピックの身代金
【著者名】 奥田英朗
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2008年11月30日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】昭和39年夏、オリンピック開催に沸きかえる東京で警察を狙っ
た爆破事件が発生。同時に「東京オリンピックを妨害する」とい
う脅迫状が当局に届く。警視庁の刑事たちが極秘裏に事件を追う
と、1人の東大生が捜査線上に浮かぶ。
【満足度】 ★★★★★(文句なし!)
End------------------------------------------------
オリンピック開催に沸きかえる昭和39年の東京で、妨害を企む若きテロリ
スト・島崎はオリンピックの身代金を要求する。この事件は一切報道されるこ
となく、極秘裏に捜査は行われ、警視庁は国家の威信にかけて犯人捜査をして
いく。その犯人である島崎は、将来を約束された東大生だったが、出稼ぎ労働
者だった兄を過酷な現場作業ゆえのヒロポン摂取によって亡くし、貧しいまま
の故郷を離れ上京してきたことを負い目に感じ、自らに激しい肉体労働を課し
ていく。高度成長時代の到来を告げる中、公団住宅の建設ラッシュも、都市人
口の飛躍的な増加の一方で、ヒロポンを打つしかない労働者の過酷な日々や朝
鮮人の裏社会などの格差問題から、島崎は東京各地の爆破を経て、オリンピッ
ク開会式当日を狙った国立競技場の襲撃へと向かう……。
物語は、急速に都市化が進み繁栄する東京と、五輪のため酷使される地方か
らの出稼ぎ労働者を事件を絡めて巧みに描いた作品で、登場人物の背景、当事
の東京の様子なども細かく描写されており、実際にこんな事件があったのでは
ないかとも錯覚するかのような内容でもありました。奥田英朗のこれまでの作
品とはやや異質ともいえるサスペンスでしたが、時代背景も鮮明で、現代にも
通じる格差と事件との繋がりを、見事に表現した作品であるともいえるでしょ
うし、本書の中では、事件の背景として、出稼ぎ労働問題、在日問題、左翼学
生運動など、当事の背景をふんだんに取り入れており、東京オリンピックの裏
側をサスペンスとした意欲は大いに買えます。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 庵堂三兄弟の聖職
【著者名】 真藤順丈
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2008年10月31日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】庵堂家は代々、遺体からあらゆる製品を作り出す「遺工」を家業
としてきた。父の跡を継いだ長男とそれを手伝う三男。都会暮ら
しの次男。久しぶりに兄弟全員が集まったとき、かつてなく難し
い依頼が舞い込み…。
【満足度】 ★★
End------------------------------------------------
庵堂家は代々、遺体を加工して食器や家具、石鹸や皮革製品などを作り出す
「遺工」を家業とする家系。長男の正太郎は家業を継ぎ、日夜寡黙に作業に打
ち込む職人気質。次男の久就は、自らだけが父親の子どもではないという疑念
を抱き、家業を避けて東京でコピー機の営業に就いている。三男の毅巳は、数
年前から千葉県茂原市にある実家に戻り正太郎の仕事を手伝っている。父親の
七回忌を目前に控え、久就が久しぶりに実家に戻った。正太郎は先代の旧知と
思われる老人から亡くなった妻の遺工を手がける忙しい毎日ながらも、弟が戻
ってきたことで浮き足立っている。持病の汚言症が再発したまま恋人にプロポ
ーズした毅巳が巻き起こす騒動など、七回忌を控えてますます騒がしくなって
きた三兄弟の周辺。久就の疑惑と三兄弟が請け負った遺工の行方は……。
本書は、第15回日本ホラー小説大賞大賞作でもあるため、ホラー要素の強
い作品だと思っていたのですが、ゾクゾク感のある狂気を感じるような作品で
もありませんし、登場人物の人間ドラマで、ホラーっぽい特殊事情はあるにせ
よ、日本ホラー小説大賞ということから考えると、期待を裏切られた作品です。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 いつかX橋で
【著者名】 熊谷達也
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2008年11月20日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】空襲で一夜にして全てを失った祐輔は、仙台駅北のX橋付近で靴
磨きを始める。そこで彼は、特攻隊の生き残りである彰太と出会
い…。絶望から必死で這い上がろうとする少年たちの力強さを謳
った青春長篇。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
1945年、夏。学業優秀な土屋祐輔は山の手育ちの優しい母・美津子と5
歳のかわいい妹・小枝子と仙台に暮らしていた。だが、17歳の祐輔は空襲で
母と妹、父が残した家までも失い、虚無感にとらわれ、仙台駅北の通称X橋付
近で靴磨きを始める。そこで彼は、特攻隊の生き残りである彰太と出会い、反
目し合いながらも友情を深めていく……。
物語は、終戦直後の仙台で、絶望から必死で這い上がろうとする少年達の友
情と恋を描いた作品。不器用ながら必死に生きようとする主人公の姿には、感
動を覚えますし、終戦直後の様子と時代背景を、うまく物語としています。
<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 雲仙・島原湯煙地獄
【著者名】 梓林太郎
【出版社】 光文社(KAPPA NOVELS)
【初 刊】 2008年11月25日
【金 額】 857円+税
【カバー文】長野県の燕岳で登山者が襲われ、時を同じくして、雲仙市の温泉
街で出版社の編集者が殺された。2つの事件を繋ぐ人物として著
名なミステリー作家が浮かぶ。複雑な人間模様のなかで、道原の
懸命な捜査が真犯人を追いつめる!
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
長崎県雲仙市から長野県を訪れ、燕岳を登っていた夫婦が暴漢に襲われ、6
1歳の夫・中留浩介が死亡。時を同じくして、雲仙市の温泉街で、東京から出
張で来ていた43歳の編集者・重見竜也が殺された。2人が翌日、雲仙で会う
約束をしていたことがわかり、安曇野署の刑事・道原伝吉は長崎に向かった。
すると、2つの事件をつなぐ人物として、著名なミステリー作家が浮かび上が
る……。
本書は、道原伝吉シリーズの最新作ではありますが、本書だけ読んでも楽し
めるミステリです。長野県安曇野署の刑事・道原の長崎の地での推理も中々冴
えています。
<本紹介>
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【ジャンル】ホラー
【著書名】 エッジ(上・下巻)
【著者名】 鈴木光司
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2008年12月19日
【金 額】 1600円+税(上下共)
【カバー文】2012年11月、フリーライターの栗山冴子は、一家4人が忽
然と失踪した「藤村家失踪事件」の真相を追うことになった。父
の眞一郎が18年前に忽然と姿を消している冴子にとって、それ
は単なるルポのネタではなかった。藤村家の失踪について警察は
事件性なしと判断している。冴子も借金や痴情のもつれ等、あら
ゆる可能性を検討したが謎は深まるばかりだった。さらに世界各
地で謎の失踪事件が相次ぎ、星の消失が観測され、πの値に異変
が生じるなど、未曾有の事態が近づきつつあることが察知される。
はたして近づきつつある危機とは何なのか。人類は存亡の危機を
乗り越えることができるのか。冴子は、父にかつて授かった教え
を頼りに、霊媒師鳥居繁子、物理学者磯貝、恋人でテレビマンの
羽柴などとともに、生き残る道を模索するが……
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
上下巻で約600ページとボリュームのある作品でしたが、ホラーとSFを
ミックスさせた作品。作品のテーマとしては、非常に興味深く、面白いテーマ
であるとは思いますが、上下巻としていることもあってか、説明が回りくどく
て、上巻は目が離せない展開が続くものの、下巻のラストにかけてもまとめき
れていないという印象が強いです。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 哀哭者の爆弾
【著者名】 鳴海 章
【出版社】 光文社
【初 刊】 2008年8月25日
【金 額】 1900円+税
【カバー文】日雇い仕事で糊口を凌ぐワーキングプアの「哀哭者」たちを誘導
し、破壊工作員に仕立てて国家転覆を狙う組織が出現した。大胆
なテロ活動に対し、解散したはずの「サクラ銃殺隊」の面々が秘
密裏に召集される!
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
衣・食・住より大事なものは携帯電話。ネットカフェを住処とし、携帯で探
す日雇い仕事で糊口を凌ぐ若者たち…現代社会の病巣の一端を表わす「ワーキ
ングプア」。将来どころか、目先の生活にも希望が持てない彼らは「愛国者」
ならぬ「哀哭者」であった。そんな哀哭者たちを誘導し、破壊工作員に仕立て
上げて国家転覆を狙う組織が出現した。右翼団体、暴力団に自衛隊まで絡んで
の大胆なテロ騒動に対し、解散したはずの公安警察特殊部隊、通称「サクラ銃
殺隊」の面々が秘密裏に招集された。メンバーの一員として左遷先の北海道警
から警視庁に呼び戻された仁王頭勇斗。凶弾に倒れた僚友への想いを胸に、放
つ銃弾が切り裂くは正か邪か……。
著者の狙撃手シリーズですが、社会問題となっているワーキングプアや派遣
問題と政治とテロ事件とを絡め、骨太の作品に仕上がっています。その物語で
は、ワーキングプアと呼ばれる日雇派遣労働者を集めて、テロリストに仕立て
て、爆弾テロを実行させるという物騒な展開ではありますが、その背後関係な
ども中々面白く、一気に読まされた作品です。
<本紹介>
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【ジャンル】小説集
【著書名】 あげくの果て
【著者名】 曽根圭介
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2008年10月25日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】これが格差社会の末路なのか!? 貧困大国となった日本の、恐
るべき高齢者排除計画。それぞれの理由を抱え、もがく人々に救
いはあるのか。鮮やかに世界を反転させ、人を狂気へと誘う3つ
の物語を収録。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は、表題作を含む3つの作品が収録されており、いずれもホラー要素の
あるブラック作品となっていて、格差社会に対して捻りを加えた作品集といっ
てもいいでしょう。単なるブラック作品集ということでもなく、社会風刺に笑
いも交えているだけに、作品としての巧さと、発想の良さが目に付きました。
<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 愛しのローカルごはん旅
【著者名】 たかぎなおこ
【出版社】 メディアファクトリー
【初 刊】 2008年10月31日
【金 額】 1100円+税
【カバー文】ご当地グルメ、郷土料理、名物、特産品、地域限定商品…。そん
なローカルごはんを思いっきり楽しむ旅をしちゃえ! たかぎな
おこが、いろんな土地に行って、おなかいっぱい食べてきた、く
いしんぼな旅を紹介。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
本書は、ローカルグルメを食べまくり、9都府県の41グルメを紹介したコ
ミックエッセイ。コミックエッセイでもあるため、非常に読みやすく、全国的
にも有名な富士宮やきそばや名古屋の喫茶店のモーニングセットなどを紹介し
ており、その美味しさがイラストからも伝わる一冊です。
<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 NHK気になることば
【著者名】 NHKアナウンス室編
【出版社】 東京書籍
【初 刊】 2008年12月29日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】「ある意味」ってどんな意味? 「朝いち」は何時? 何気なく
使っている日本語の意味をNHKアナウンス室が見直します。N
HKテレビ「お元気ですか日本列島」のコーナー「ことばおじさ
んの気になることば」を元に書籍化。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
本書は、NHK総合テレビ「お元気ですか日本列島」中の「ことばおじさん
の気になることば」で取り上げられた“気になる言葉”についての意味を書籍
化したもので、それぞれの言葉を分かりやすく解説しています。日頃何気なく
使っている言葉の数々にNHKアナウンス室が待ったをかけて、言葉の意味や
書き方や読み方など、言葉を深く掘り下げて分かりやすくしてくれています。
<本紹介>
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【ジャンル】歴史
【著書名】 江戸の名奉行 人物・事績・仕置きのすべて
【著者名】 丹野 顯
【出版社】 新人物往来社
【初 刊】 2008年10月15日
【金 額】 2500円+税
【カバー文】江戸八百八町の花形、お奉行様。町奉行、寺社奉行から牢屋奉行、
火付盗賊改まで、庶民の生活の身近で活躍した名奉行たちを取り
上げ、その生き様と事績、裁判記録を検証する。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は、江戸時代に活躍した名奉行の出自から人物像、そして事績や裁判記
録までを検証した歴史読み物で、江戸八百八町の花形、お奉行様。町奉行、寺
社奉行から牢屋奉行、火付盗賊改など、庶民の生活の身近で活躍した名奉行た
ちを取り上げ、その生き様と事績、裁判記録を紹介しています。非常に興味深
い内容で、雑学的でもあり、興味のある人にはお勧めの一冊です。
<本紹介>
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【ジャンル】新書
【著書名】 あなたの苦手な彼女について
【著者名】 橋本 治
【出版社】 ちくま新書
【初 刊】 2008年12月10日
【金 額】 820円+税
【カバー文】たいていの人に「苦手な彼女」がいるという。いったいそれはど
ういうことなのか? 70年代の高度成長期から平成不況までの
40年の間に、日本の男女関係がたどってきた変遷を、ときに女
帝の時代にまで溯って深く考察する。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
本書は、読み始める前は、対人論かと思いきや、幅広い男性から見た女性論。
本書の中で「男社会」を持ち出す女性達について、「アマチュア社会人」「『男
社会』の居候」と位置付け、口うるさい彼女達の存在が許されたのは、それを
も呑み込んでいられるほど、日本が豊かであったからだと書かれていますが、
男性だけでなく、女性が読んでも賛否両論が大きく分かれそうな内容です。反
フェミニズムとまでは言いませんが、面白い著者の視点での女性論です。
<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 異端のメス
【著者名】 南淵明宏
【出版社】 講談社
【初 刊】 2008年9月29日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】天才心臓外科医が、病院のウソや外科医の質を見抜く方法、心臓
外科医としての様々な経験、「異端の医師」になるまでのエピソ
ードを語る。『週刊現代』連載を修正・再編集して書籍化。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は、大和成和病院院長でもある著者が、現在の医療制度や患者の心構え
などを書き綴ったエッセイで、大学病院や官僚機構の問題など、医療の裏側を
辛辣に批評しています。医師の本音が伺える内容で、様々な医療の問題につい
て正直に書かれており、こういう医師の声こそ、メディアも広く伝えてほしい
とも思います。
【か行】
<本紹介>
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【ジャンル】ノンフィクション
【著書名】 この世でいちばん大事な「カネ」の話
【著者名】 西原理恵子
【出版社】 理論社
【初 刊】 2008年12月10日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】「働く」はもっと、「しあわせ」につながっていい。だから、歩
いていこう。自分の根っこを忘れないために。「貧乏」は、札束
ほどにリアルだった…。切れば血が出る、読めば肉となるサイバ
ラの物語。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
本書は、著者の実体験に基づいた、カネと労働のリアルを見つめたもの。こ
れまでの旅行記やコミックなどでカネにまつわる話は幾つか読んではきました
が、本書はストレートに切々とサイバラ節で語りかけています。生い立ちから
漫画作家として自立するまでの道のり。ギャンブル、仕事、アジアの貧困など
「カネ」を通じて各章で展開していきます。身をもって体験してきたサイバラ
だからこそ書ける話であり、本書の中で「お金について考えることは、人間関
係、仕事関係、つまり、自分と世界との関わりにつながっていくのです」と書
かれていますが、生きていく上でも絶対に大切なお金についてを、経済学書よ
りも分かりやすく、お金を通しての人間観察力も実にリアルで、これは多くの
人達に読んでほしい一冊です。
<本紹介>
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【ジャンル】政治
【著書名】 官邸崩壊
【著者名】 上杉 隆
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2007年8月25日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】手柄争いに明け暮れる「チーム安倍」。自殺、辞任、更迭、次々
と「脱落」していく閣僚たち。そして迫り来る危機に何一つ有効
な手を打てない首相。颯爽と登場した安倍政権で一体何が起きて
いたのか。驚愕の内幕ドキュメント。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
最近テレビでも著者をよく見かけますが、本書は読んでいなかったので、読
んでみましたが、内部情報と的確な評価に基づいており、政権が、成立後わず
か一年に満たないうちにかくも鋭角的に失速したのはなぜか、策源の首相官邸
では何が起きていたのか、安倍内閣はどうして衰退したのか、そして安倍首相
を支える人材に問題があった点についてなど、興味深いエピソードも多く、政
治ドキュメントとしては読み応えがありました。
<本紹介>
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【ジャンル】外交
【著書名】 交渉術
【著者名】 佐藤 優
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2009年1月30日
【金 額】 1667円+税
【カバー文】賢いワイロの渡し方とは? 北方領土交渉の舞台裏とは…? 外
交官として、官僚として、日本政府の中枢でさまざまな交渉を経
験した著者による、スリリングなメモワールであり実用書。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は、外交官として、世界の第一線で活躍した著者が現場で鍛え抜かれた
「交渉術」の理論と実践を一挙に公開したもので、金、セックス、酒、嫉妬、
スキャンダルなど、国と国の交渉の裏側についてを、どう利用し、目的を遂行
していくのかが書かれています。中でも、北方領土交渉の内幕を語った後半の
数章は非常に興味深い内容で、外交での交渉の現実が明かされています。
<本紹介>
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【ジャンル】新書
【著書名】 金融大崩壊 「アメリカ金融帝国」の終焉
【著者名】 水野和夫
【出版社】 NHK出版
【初 刊】 2008年12月10日
【金 額】 700円+税
【カバー文】サブプライムローン問題に始まり、“リーマン・ショック”で爆
発した世界金融クライシス。早くから金融バブルの崩壊を予見し
てきたエコノミストが、「資本主義が始まって以来の危機」の深
層と、世界と日本の行方を読み解く。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
本書は、「アメリカ金融帝国」の誕生から崩壊に至る経緯とその理由、そし
て帝国終焉後の世界についての分析をしたもので、新書として非常に読みやす
く分かりやすい内容となっています。グラフを多く取り入れていることもあっ
て、説得力もあり、単に悲観論を解いているのではなく、日本経済の今後の希
望も書かれています。
<本紹介>
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【ジャンル】連作小説集
【著書名】 珈琲屋の人々
【著者名】 池永 陽
【出版社】 双葉社
【初 刊】 2009年1月25日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】東京の下町の商店街にある喫茶店「珈琲屋」。そこは、心に傷を
負った者たちが集まる交差点…。商店街に暮らす人々が「珈琲屋」
で語った人間ドラマを、情感溢れる筆致で描いた7編の連作集。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
「珈琲屋」の主人・行介は、人を殺した。行介の恋人だった冬子は、別の男
性と結婚した。行介が刑期を終えたとき、冬子は離婚した。そんな二人の間に
は、時だけが静かに流れていた……。本書は、商店街で暮らす人々が「珈琲屋」
で語った人間ドラマを7編収録した作品ですが、それぞれの人達の微妙な人間
心理を描いた作品で、珈琲のようにホロ苦い作品集です。過去のある喫茶店
「珈琲屋」の主人ということで、勝手に高倉健をイメージして読みましたが、
コーヒーをきっかけとして語られる話で、コクのある深みを感じる連作でした。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 きのうの世界
【著者名】 恩田 陸
【出版社】 講談社
【初 刊】 2008年9月4日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】塔と水路がある町のはずれ、「水無月橋」で見つかった死体。一
年前に失踪したはずの男は、なぜここで殺されたのか? 誰も予
想できない結末が待っている! 恩田陸が紡ぐ、静かで驚きに満
ちた世界。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
本書は、ミステリー、ファンタジー、青春など多彩な要素が盛り込まれてい
る作品で、恩田作品を詰め込んだ作品ともいえるでしょう。ただし、作品自体
はかなりマニアックで、説明自体非常に難しく、直木賞の選考に選ばれていた
ので読みましたが、何とも評価しにくいというか、恩田作品を知らない人とフ
ァンとでは、評価は真っ二つに分かれるでしょう。展開での中途半端さが目立
ちましたが、読者に丸投げするような形にもなっており、異質の作品です。
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 キネマの神様
【著者名】 原田マハ
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2008年12月15日
【金 額】 1762円+税
【カバー文】40歳を前に、突然会社を辞めた娘。映画とギャンブルに依存す
るダメな父。2人に舞い降りた奇跡とは…? 映画を媒介として
壊れかけた家族が再生していく様を描く、切なくも心温まる長篇。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
39歳独身の歩(あゆみ)は、社内抗争に巻き込まれて会社を辞める。歩の父
は趣味は映画とギャンブルという人で、借金を繰り返していた。ある日、歩が
書いた映画に対する熱い思いを、父が映画専門誌「映友」のサイトに投稿した
ことから、歩は編集部にスカウトされる。だが実は、サイトの管理人が面白が
っていたのは父自身の文章だったことが判明。「映友」は部数低迷を打開する
ために、また歩は父のギャンブル依存を断つために、父の映画ブログ「キネマ
の神様」をスタートさせた……。
物語は、映画を媒介として壊れかけた家族が再生していく様を描いた作品。
主人公が映画専門誌サイトの編集部にスカウトされ、ギャンブル依存症の父親
が、娘や長年の友人の名画座経営者のために奮闘して、家族の絆を取り戻す様
子は、正に切なくもあり、心温まる展開でもありましたが、脇を固めるアニメ
オタクの先輩編集者や、編集長の息子の引きこもりの天才ハッカーなどの存在
感もたっぷりで、様々な親子関係、友情、仕事が絡み合いながら感動のラスト
へと向かっていきますが、読み終えた後で映画をむしょうに見たくなりました
し、これはぜひ映画化してほしい作品です。
<本紹介>
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【ジャンル】連作短編集
【著書名】 公園で逢いましょう。
【著者名】 三羽省吾
【出版社】 祥伝社
【初 刊】 2008年10月30日
【金 額】 1429円+税
【カバー文】それがどんな種類の腹立たしさであっても、怒った数だけ赦さな
ければならない。何故なら、私もまた赦されているのだから…。
「ひょうたん公園」に集う人々の人生の岐路を描いた連作短篇集。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
本書は、子供連れで公園に集まる母親達の過去と現在を5つの作品として描
いたもの。その公園に集う母親仲間達それぞれの人生が描かれていますが、客
観的な視点で、それぞれのコミュニティが表現されていて、特に小さい子供を
持つ人は興味深く読める一冊だと思います。
【さ行】
【た行】
<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 天空の祝宴
【著者名】 堂場瞬一
【出版社】 PHP研究所
【初 刊】 2008年9月17日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】親友の江藤が巨大一枚岩「ザ・ウォール」攻略中に転落死したこ
とにショックを受け、第一線を退いたフリークライマー・岩本空。
ある日、彼のもとに江藤の妻・夏海がやってくる。江藤の日記を
発見したというのだが…。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
フリークライマーの岩本空は、世界各地を転戦して大会に出場し、ヨセミテ
などでフリークライミングに挑んでいた。しかし、クライミングのライバルで、
親友でもあった江藤が、ヨセミテの巨大一枚岩「ザ・ウォール」攻略中に転落
死した。以来、競技の第一線から退き、義父の店でフリークライミングの教室
を手伝う岩本のもとに、江藤の妻・夏海が突然訪ねて来る。一周忌を前に遺品
を整理し始めたら、江藤の日記が見つかったというのだ。それには、今まで誰
も成功していない「ザ・ウォール」の初見での登攀成功にかける江藤の熱い思
いが綴られていた。そして岩本はアメリカに飛び、江藤の命を奪った巨大岩の
前に立つ。これを登れば、友の気持ちがわかるかもしれない。事故以来、芽生
えていた恐怖を乗り越えて、岩本は壁に挑む……。
物語は、サスペンスタッチで描かれるフリークライミングを題材とした作品
で、クライマー同士の熱い友情と、クライミングへの挑戦が描かれます。最近
の著者の作品は、スポーツを題材とした作品が多いですが、いずれも主人公の
内面もしっかりと描かれ、そのスポーツの良さをうまく引き出していますが、
本書は、フリークライミングについての知識がないためか、緊迫さは伝わるも
のの、現実味というかリアルさが掴みにくく、迫力があまり感じられなかった
のが、少々残念です。
<本紹介>
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【ジャンル】連作ミステリ
【著書名】 哲学探偵
【著者名】 鯨統一郎
【出版社】 光文社(KAPPA NOVELS)
【初 刊】 2008年9月25日
【金 額】 838円+税
【カバー文】警視庁の高島警視と久保主任は、難事件を専門に扱う特捜班に所
属している。事件に行き詰まった彼らはたまたま訪れた競馬場で、
哲学好きで短歌趣味の馬券師と出会う。この男が開陳した、驚く
べき推理とは!?
【満足度】 ★★☆
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警視庁の高島警視と久保主任は、難事件を専門に扱う特捜班に所属している。
鉄壁のアリバイを持つ容疑者、密室に突然出現した死者、細かく切り刻まれた
惨殺死体……。二人がかかわる事件は、解決の糸口すらつかめないようなもの
ばかり。事件に行き詰まった彼らは、たまたま訪れた競馬場で、哲学好きで短
歌趣味で馬券師の男と出会う。男が開陳した、驚くべき推理とは!?
本書は、ミステリではあるものの、哲学と短歌と競馬の雑学などがミックス
されて混じっているだけに、これは評価が大きく分かれそうな作品ですし、イ
マイチ的な作品でした。
<本紹介>
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【ジャンル】連作ミステリ集
【著書名】 退出ゲーム
【著者名】 初野 晴
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2008年10月30日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】弱小吹奏楽部のチカとハルタは、音楽教師・草壁信二郎先生の指
導のもと、廃部の危機を回避すべく日々練習に励んでいた。だが
変わり者の先輩や同級生のせいで、校内の難事件に次々と遭遇す
るはめに…。表題作ほか全4話収録。
【満足度】 ★★★★
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本書は、化学部から盗まれた劇薬の行方を追う「結晶泥棒」、六面全部が白
いルービックキューブの謎に迫る「クロスキューブ」、演劇部と吹奏学部の即
興劇対決の表題作「退出ゲーム」など、高校生ならではの謎と解決が冴える、
爽やかな青春ミステリ。友情や恋物語など、高校生ならではの悩みが数多く描
き込まれ、鮮やかで心温まる謎解き作品です。本格ミステリというわけではあ
りませんが、ライト感覚で読める作品集で、青春ミステリという表現が非常に
相応しく、心理戦なども読み応えがあり、学園モノとして楽しめました。
【な行】
【は行】
【ま行】
<本紹介>
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【ジャンル】カウンセリング
【著書名】 もういやだ!この疲れた心を休め、甦らせてくれる心の専門家50人
【著者名】 「心とからだの悩み解消プロジェクト」特別取材班編
【出版社】 三楽舎プロダクション
【初 刊】 2008年10月25日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】薬に頼らず、じっくり相談者の話を聞いてくれる、全国の50人
の心の専門家を徹底取材。プロフィール、得意とする相談内容、
手法、料金、連絡先を収録する。
【満足度】 ★★★★☆
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様々な心の問題が増えている現代ですが、本書は、心理カウンセラーとして
の心の治療家50人をピックアップし、それぞれのカウンセリング内容を始め
として、事例や治療方法、そして気になる料金や連絡先について、ポイントを
絞ってうまくまとめた一冊となっています。昨今の派遣切り問題や内定取消問
題もそうですが、雇用不安や経済不安や将来不安など、いざ問題に対面し、そ
の結果悩みを抱える人も増えているとも思いますが、心の余裕が持てない現代
において、心の病を乗り越えるきっかけを与えてくれる書だとも思います。ま
た、本書の心の治療家の中でも、かつて心の病に苦しみ、自分が救われたこと
による体験を交えている方もおり、自分だけでは決して解決することのできな
い心の問題を探る手助けにもなるはずです。また、心の専門家50人それぞれ
に住所やホームページやメールアドレスなどの記載もありますから、気軽な相
談もできるでしょうし、自分に合ったカウンセリングも探しやすく、様々な問
題で悩んでいる人にとって光明が射す内容になっています。
【や行】
【ら行】
【わ行】
<本紹介>
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【ジャンル】新書
【著書名】 私をクレーマーと呼ばないで
【著者名】 多田文明
【出版社】 アスキー新書
【初 刊】 2008年9月10日
【金 額】 743円+税
【カバー文】複雑怪奇な携帯電話料金、アヤしい副業商法、理不尽な駐車違反
取締り…。体験派ルポライターが、あなたに代わって文句を言っ
てみたところ…? 企業のホンネを見破り、我が身を守るための
「正しいクレームのつけ方」を伝授。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
「クレーマー」が横行する昨今ではありますが、本書は、正当なクレームは
些細なことでも積極的に訴え、社会の改善につなげるべきだとして、著者の体
験や実例をもとにして書かれたもの。消費者問題も増える現代ですが、消費者
が業者に苦情を言おうにも、窓口をたらい回しされたり、クレーマー扱いされ
たり、泣き寝入りを強いられたりと、ケースによっても様々なではありますが、
その自分の要求を述べるクレームにも、言い方=クレーム力が必要であるとい
うことを著者は解説し、その方法についても記しています。
<本紹介>
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【ジャンル】ビジネス
【著書名】 私が会社にキレた理由
【著者名】 クマキレ調査委員会編
【出版社】 ソニー・マガジンズ
【初 刊】 2008年9月20日
【金 額】 1100円+税
【カバー文】使えない上司、やりたい放題の社長、会議はむだに長くて意味が
ない、給料は年々下がる…。キレないほうがおかしい、それが私
たちの日常です! OL1000人アンケートで浮き彫りになっ
た怒リアル・オフィスライフ。
【満足度】 ★★★
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本書は、全国1000人に調査したアンケートからの、赤裸々なOL白書で
もありますが、そりゃキレるだろう!と思うこともある反面、身勝手な意見も
多く、共感できるものとできないものとが半々という感じです。でも、ギレる
度合いは昔に比べると遥かに高くなってきているようにも思いますし、むしろ
ワガママだと思うところも増えてきている気もしますが。。。
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