書評データベース(2009年度5月分)

 

■2009年5月に紹介した本■

 海ゴミ              小島あずさ/眞淳平  中公新書
 「諜報的生活」の技術         佐藤 優     講談社
 男道                 清原和博     幻冬舎
 踊るジョーカー            北山猛邦     東京創元社
 イン・パラダイス           渡辺容子     双葉社
 オマワリの掟             鳴海 章     実業之日本社
 煙霞                 黒川博行     文藝春秋
 明日の話はしない           永嶋恵美     幻冬舎
 祈りのギブソン            久間十義     光文社
 アンチエイジング           新堂冬樹     ポプラ社
 とんび                重松 清     角川書店
 太陽の坐る場所            辻村深月     文藝春秋
 トイレのポツポツ           原 宏一     集英社
 短劇                 坂木 司     光文社
 天使の歩廊              中村 弦     新潮社
 徹底抗戦               堀江貴文     集英社
 超簡単 お金の運用術         山崎 元     朝日新聞出版
 治療をためらうあなたは案外正しい   名郷直樹     日経BP社
 乱反射                貫井徳郎     朝日新聞出版
 レッド・デッド・ライン        吉来駿作     幻冬舎
 ロロ・ジョングランの歌声       松村美香    ダイヤモンド社
 北海道 シネマの風景 
          「北の映像ミュージアム」推進協議会編 北海道新聞社
 幕末維新 えぞ地にかけた男たちの夢 北国諒星 北海道出版企画センター
 ひとり呑み 大衆酒場の楽しみ     浜田信郎     WAVE出版
 ポルトガルの四月           浅暮三文     早川書房
 ふたり狂い              真梨幸子     早川書房

【あ行】

<本紹介>
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【ジャンル】新書
【著書名】 海ゴミ 拡大する地球環境汚染
【著者名】 小島あずさ/眞淳平
【出版社】 中公新書
【初 刊】 2007年7月25日
【金 額】 820円+税
【カバー文】漁網が多数漂着する世界遺産・知床。海外からのゴミが流れ着く
      南西諸島…。それらのゴミはなぜ発生し、私たちの生活や生態系
      にどのような影響を与えつつあるのか。求められる対策とは何か。
      忍び寄る海ゴミの脅威の実態に迫る。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 漂流ゴミの問題は今も深刻化していますが、本書は魚網やロープが無数に漂
着する知床岬、海岸一帯に発泡スチロールが散乱する長崎県対馬、ゴミに埋ま
るウミガメの産卵地の瀬戸内海の海岸など、日本の海岸に押し寄せる大量の漂
着ゴミの実態を書いたもの。その日本中の海岸に押し寄せるゴミはどこからや
ってくるのか、生態系や環境への影響はどうなるのか、海のゴミと地球環境汚
染の実態について、長期の取材をもとにしており、改めて環境破壊となってい
る海ゴミについて考えさせられます。

<本紹介>
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【ジャンル】外交
【著書名】 「諜報的(インテリジェンス)生活」の技術 野蛮人のテーブルマナー
【著者名】 佐藤 優
【出版社】 講談社
【初 刊】 2009年1月28日
【金 額】 1300円+税
【カバー文】混乱と野蛮の現代をサバイバルせよ! 「情報力アップ」「人脈
      構築」「危機管理」「窮地からの脱出」といった分野で実用でき
      るインテリジェンス技法を指南するほか、サバイバルのプロたち
      との対談も収録。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は「野蛮人のテーブルマナー」の第2弾で、鈴木宗男、田中森一、筆坂
秀世、村上正邦、アントニオ猪木、夏目ナナらとの対談も収録されています。
中でも、元共産党の筆坂氏との「なぜ蟹工船がリバイバルしたか」という対談
は、その背景として、昔は抑圧された感情が労働・政治運動に向かっていたが、
今は破壊運動にしか向かないところに警告を発し、その最たるものが秋葉原の
殺人事件ではなかったのかと対談で問き、それだけ社会に対する絶望感が蔓延
している点を指摘していますが、この内容は読みごたえがありました。

<本紹介>
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【ジャンル】野球
【著書名】 男道
【著者名】 清原和博
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2009年1月15日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】「目の前に障害物があろうと、真っ直ぐに歩いてきた。それが自
      分の生き方だった」 元プロ野球選手・清原和博が波瀾万丈の野
      球人生を振り返り、誰も知らない本当の素顔を初めて明かす。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、昨年でオリックス・ブルーウェーブを引退した元プロ野球選手・清
原和博が、自身の野球人生を振り返り、少年時代から引退までを書いた自伝。
番長と呼ばれていたイメージとは逆に「チームプレイだからこそ野球が好きだ」
と話し、ドラフト騒動時「僕はあの時、桑田を憎んでいた」と、当時の複雑な
気持ちと共に語られる甲子園の熱戦やプロ野球での活躍など、過去を正直に振
り返っています。巨人から自由契約選手となった時の舞台裏を言葉を選びなが
ら書かれていますが、官僚的ともいえる巨人のフロントの対応の酷さ、その悔
しい思いをピアスに込めたこと、そしてオリックス・バファローズのシニアア
ドバイザーであった仰木彬氏からオリックスに誘われ、オリックス入団に至る
経緯など、本人でしか語れない逸話も多く書かれています。

<本紹介>
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【ジャンル】連作ミステリ
【著書名】 踊るジョーカー 名探偵音野順の事件簿
【著者名】 北山猛邦
【出版社】 東京創元社
【初 刊】 2008年11月28日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】推理作家の白瀬は、とっても気弱な友人・音野の謎解きの才能を
      見込んで、仕事場の一角に探偵事務所を開いた。今日も白瀬は泣
      き言をいう音野をなだめつつ、事件現場へ連れてゆく…。世界一
      気弱な名探偵が挑む5つの難事件!
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 物語は、推理作家の白瀬と、引きこもりがちな音野というコンビが、5つの
難事件に挑む連作の短編ミステリ。これまでの作品とは違って、ユーモアのあ
るバカミスっぽい作品ではありますが、その分読みやすく、ライトノベル感覚
で読める作品です。

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 イン・パラダイス
【著者名】 渡辺容子
【出版社】 双葉社
【初 刊】 2008年11月23日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】小田切可憐は見合い同然で今の夫のもとに嫁ぎ、それなりによき
      妻として振る舞ってきた。そんな可憐の唯一の趣味がパチンコ。
      ところが、仲間の女性のひとりが自殺を遂げる。可憐は、彼女の
      元夫の素人捜査に付き合うが…。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 小田切可憐は、かつて公私ともにパートナーだった桜井勇気を交通事故で失
って以来、希薄な人生を送っていた。現実から逃げるかのように、見合い同然
で今の夫のもとに嫁ぎ、それなりによき妻として振る舞ってきた。そんな可憐
の唯一の趣味がパチンコ。ホールのなかだけの、本名すらも知らない仲間達と
の、あっさりとした人間関係がなによりも居心地がよかった。ところが、そん
な仲間の女性のひとりが自殺を遂げる。死の原因を探りにきた彼女の元夫は、
死んだ桜井と瓜ふたつだった。可憐は、その元夫に惹かれる自分に疚しさを感
じつつ、彼の素人捜査に付き合うのだった…。
 物語としては、設定は凝っているものの、パチンコとミステリを強引に繋げ
た感もあり、元々パチンコに興味がないこともあってか、可もなく不可もなく
といった感じです。

<本紹介>
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【ジャンル】短編連作集
【著書名】 オマワリの掟
【著者名】 鳴海 章
【出版社】 実業之日本社(JOY NOVELS)
【初 刊】 2008年9月25日
【金 額】 914円+税
【カバー文】帯紐警察署地域課に勤務する坊条力と平和男両巡査長をはじめ、
      ひと癖もふた癖もある警察官が同署管内ところ狭しと東奔西走、
      小事件、難事件の数々をぶった斬る。実録風短編連作集。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 帯紐警察署地域課パトカー乗務員、坊条力と平和男両巡査長はその名前から
“暴力と平和”と呼ばれている。このコンビをはじめ、ひと癖もふた癖もある
警察官が同署管内ところ狭しと東奔西走、小事件、難事件の数々をぶった斬る。
これは使命感に燃えたオマワリが一般市民を守るべく真摯に“悪”に立ち向か
う、著者入魂のポリスストーリー…である。
 鳴海章の警察小説ですが、ノベルズであることもあってか、これまでの警察
小説と比べると、やや軽さが目に付きましたが、主人公の坊条力と平和男両巡
査長のコンビを始めとして、警察管内の内部事情なども交えて、読みやすくか
つ面白い連作となっています。また、舞台が架空の帯紐警察署となっています
が、字を見て分かるように、帯広が舞台となっており、その描写が細かく、帯
広市を知っているだけに、より面白さが伝わってきました。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 煙霞
【著者名】 黒川博行
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2009年1月30日
【金 額】 1667円+税
【カバー文】私立晴峰女子高校では、理事長の酒井が学校法人を私物化してい
      た。美術講師の熊谷と音楽教諭の菜穂子は、酒井に不正の証拠を
      つきつけ、退任と教員の身分保障を求める計画に同僚から誘われ
      る。交渉は成功したかに見えたが…。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 大阪の私立晴峰女子高校では、理事長の酒井が学校法人を私物化していた。
美術講師の熊谷と音楽教諭の菜穂子は、同僚から、酒井を拉致して不正の証拠
を突きつけ、理事長退任を迫る計画に誘われる。酒井と愛人を拘束し、交渉は
成功したかに思えたが、その後酒井たちが失踪。じつは“教育・学校ブローカ
ー”の箕輪に誘拐されていた。結局、熊谷と菜穂子も箕輪に捕まり、酒井から
金塊を奪う計画を手伝わされるが、成功しかけたところで酒井の愛人が金塊を
持ち逃げする。さらに、金塊を積んだはずの車が途中で入れ替わり、金塊の行
方も分からない。はたして誰と誰がグルでこの計画を立てたのか、金塊の行方
は……。
 物語は、誘拐を背景とし、悪党達が駆け回る騙しあい作品でもありますが、
途中までは非常に良かったものの、後半展開が脱線しすぎてしまい、最初から
最後まで目が離せない面白い作品ではありますが、やや欠点も目に付きました。

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 明日の話はしない
【著者名】 永嶋恵美
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2008年10月30日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】小児病棟の子供たち、橋の下のホームレス、定職に就けず暴走す
      る若者たち。「明日の話はしないと、わたしたちは決めていた」
      で始まる3つの別々な話が、最終話で1つになるとき…。現代の
      闇をクールに穿つ書き下ろしミステリ。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 難病で何年も入退院を繰り返し、人生を悲観している小学生。男に金を持ち
逃げされ、一文無しになったオカマのホームレス。大学を中退してから職を転
々として、今はスーパーのレジ打ちで暮らす26歳の元OL。この3人を主人
公に「明日の話はしないと、わたしたちは決めていた」で始まる3つの別々な
話が、最終話で1つになる……。
 物語は、明日への希望が持てないほどに追い込まれた3人の話で、その3つ
の話が最後にまとまった時に「なるほど」とは思いましたが、ミステリとして
は詰めの甘さが見られましたし、登場人物の深い悲しみは、よく表現できてい
たものの、ミステリとして考えると物足りなさがありました。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 祈りのギブソン
【著者名】 久間十義
【出版社】 光文社
【初 刊】 2009年3月30日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】信彦は、中学生のころからいじめに苦しむ清志をずっと助けてき
      た。清志はある日、街角の質流れ品屋で見つけた壊れかけのギブ
      ソン・レスポールを手に入れる。その日を境に2人の間には決定
      的な溝がうまれた…。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 物語は、中学3年の辺見清志が、イジメにあって教室の3階窓から転落。意
識の薄れる中「汝と契約す」との声を聞き、反撃を開始するという話ですが、
イジメをテーマに、そこに悪魔の契約という幻想による思い込みを入れての、
心の闇を描いた作品。久間十義の作品としては、他の作品と比べて、やや奥深
さが足りないかな?と思いましたが、ギブソンのレスポールをアイテムとし、
イジメの心理をうまく表現しています。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 アンチエイジング
【著者名】 新堂冬樹
【出版社】 ポプラ社
【初 刊】 2009年2月17日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】夫は「永遠の若さ」を欲し、妻は「永遠の愛」を求め、手段を選
      ばず「老い」に抗おうとした。幼子のことも省みず。やがて隠し
      切れなくなった…が互いを覆い尽くし、ふたりの絆は崩壊してゆ
      く…。滑稽で純粋な夫婦の情欲の物語。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 ふと鏡を見て、妻は思う。「夫が愛してくれなくなったのは、この皺? 身
体?」 街で女を振り返り、夫は思う。「あと十歳若ければ、俺だって・・・」
  夫婦は、手段を選ばず「老い」に抗おうとした。幼子のことも省みずに。
どうしても愛を取り戻したかった妻と、たった一度の過ちを犯した夫。隠し切
れなくなった嘘がボロボロと互いを覆い尽くし、二人を結ぶ絆は完全に崩壊し
てゆく……。
 物語は、「抗老化」「抗加齢」といわれるアンチエイジングで、夫婦が転落
していく様子を描いた作品。アンチエイジングという割には、裏金融や裏社会
や芸能界についても展開に盛り込み、新堂冬樹らしさは出ていて読みやすいも
のの、もう少し物語に奥深さを追及してほしかったですし、ドラマを見ている
ようで、インパクトとしては少し欠けていたようにも思います。

【か行】

 

【さ行】

 

【た行】

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 とんび
【著者名】 重松 清
【出版社】 角川書店
【初 刊】 2008年12月30日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】昭和37年、ヤスに長男が生まれた。幼い頃に親と離別したヤス
      にとって、それはようやく手に入れたぬくもりだった。しかしそ
      の幸福は、突然の悲劇によって打ち砕かれてしまう…。我が子の
      幸せを願う父親の姿を描いた長編小説。
【満足度】 ★★★★☆
End------------------------------------------------
 運送業を営むヤスは結婚して3年目の昭和37年に、妻の美佐子の妊娠を知
る。母親を早くに亡くし、父親は再婚のために音信不通になっており、妻の美
佐子も両親を広島の原爆で亡くしていただけに、子供の誕生は夫婦にとっても
明るい希望となった。しかし、ヤスの勤める運送会社で起きた荷崩れ事故のた
めに美佐子さんが命を落とし、それ以来、ヤスは男手一つで息子を育てて行く。
物語は、昭和37年生まれの息子・旭と、不器用な父ヤスとの昭和と平成にわ
たる長い物語で、不器用ながら父子家庭として、我が子の幸せだけを願いなが
ら悪戦苦闘し、息子を育てる父親の喜びと哀しみの姿が胸を熱くします。

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 太陽の坐る場所
【著者名】 辻村深月
【出版社】 文藝春秋
【初 刊】 2008年12月15日
【金 額】 1429円+税
【カバー文】クラス会で再会したメンバーは、女優になった同級生「キョウコ」
      を次こそ呼ぼうと話し合う。青春時代の苦すぎる思い出を抱えな
      がら…。『別册文藝春秋』連載を単行本化。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 F県立藤見高校旧3年2組。卒業から10年たった彼らは、それぞれに大人
の悩みを抱える年になっていた。欠席している同級生の1人が、女優として成
功を収めていた。その名は「キョウコ」。映画やCMに引っ張りだこの彼女を、
次の同窓会に呼ぼうと盛り上がる。しかし、彼女に連絡をとることで、思い出
される「若さゆえの残酷さ」に彩られた記憶とは……。
 物語は、28歳になった高校の同級生達の、クラス会をめぐる話ですが、嫉
妬や、屈折した恋心。自己嫌悪や見栄を張るための嘘など、女性心理をホラー
っぽく描いたミステリ。大人の女性心理をうまく物語にし、謎を解いても、ま
た新たな謎を生み出す展開は、面白かったです。

<本紹介>
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【ジャンル】連作小説
【著書名】 トイレのポツポツ
【著者名】 原 宏一
【出版社】 集英社
【初 刊】 2009年2月28日
【金 額】 1200円+税
【カバー文】会社は、あなたに誠実ですか。あなたは、仕事に誠実ですか…。
      派遣社員が部長に命じられ、全部員に送信した1通のメール。す
      べてはそこから始まった…!? 中堅食品会社の内実を描く連作
      小説。表題作ほか全6編を収録。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 従業員450人の中堅食品メーカー鴨之木製麺工業の誰もいない営業部で、
派遣社員の白石加奈子が電話番をしていると、田布勢部長が「何だあのトイレ
のポツポツは!」と怒鳴りながら現れた。いったい、「トイレのポツポツ」と
は何か? 物語は、主人公が異なる6つの連作短編によって、鴨之木製麺工業
の実態が少しずつ明らかになっていくというもので、ユーモアを持ちながら、
社会問題にも切り込んだ作品。食品偽装事件にも繋げており、捻りの効いた連
作小説でもあります。

<本紹介>
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【ジャンル】短編小説集
【著書名】 短劇
【著者名】 坂木 司
【出版社】 光文社
【初 刊】 2008年12月25日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】憂鬱な満員電車の中で。空き地に掘られた穴ぼこの底で。何かが
      あなたに、話しかけていますよ…。毒があって蜜もある、少しビ
      ターな奇想短編集。「カフェラテのない日」ほか全26編を収録。
      『本が好き!』連載を単行本化。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は26の短編が収録された短編集で、これまでの著者の作風とは違って、
ブラックなストーリーのショートショートです。人間の奥底に潜む心理を、シ
ョートショートとして描いていますが、読みやすさもありましたし、ジャンル
もSF、コメディ、ホラーなど個性的な作品集でもあったので面白く、著者の
新境地を開いた作品とも思います。

<本紹介>
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【ジャンル】SF
【著書名】 天使の歩廊
【著者名】 中村 弦
【出版社】 新潮社
【初 刊】 2008年11月20日
【金 額】 1500円+税
【カバー文】明治・大正の御世。孤独な建築家の笠井は、依頼者が望む以上の
      建物を造る不思議な力を持っていた。亡き夫と過ごせる部屋、永
      遠に住める家…。そこに一歩足を踏み入れた者はみな、建物がま
      とう異様な空気に酔いしれていく…。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 有名な造家師である笠井泉二は、会社組織に属さず、厭世的な生活を送りな
がらも、幻想的で一種の魔力を感じさせる建築物を造り、子爵家や実業家から
の依頼も多い。生きている者と死者をつなぐ円堂、迷路のように階段が複雑に
入り組んだ家、永遠な住むことができる家……など、建物や空間が人を魅了し、
この異形ともいえる偉業は第三者によって次々と語られていく……。
 本書は、第20回日本ファンタジーノベル大賞受賞作で、ノスタルジーとフ
ァンタジーとをうまくミックスさせた作品でもありました。明治・大正・昭和
という時代を舞台に、不思議な家を造り出す建築家を主人公とした味わい深い
作品となっています。

<本紹介>
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【ジャンル】手記
【著書名】 徹底抗戦
【著者名】 堀江貴文
【出版社】 集英社
【初 刊】 2009年3月10日
【金 額】 952円+税
【カバー文】「虎の尾」を踏んだニッポン放送株買収と衆院選出馬、逮捕そし
      て勾留、検察と徹底抗戦…。逮捕から3年、ライブドア事件の真
      相をホリエモンがついに告白する。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、元ライブドア社長である著者が、逮捕から3年が経過し、事件につ
いて自身の視点から初めて語ったもの。ライブドア事件での舞台裏や、拘置所
生活なども交え、現在の心境が綴られており、非常に興味深く読みました。改
めてライブドア事件とは何だったのか?とも考えますが、メディアによる一方
的な報道がかなり強かったですし、本人の言い分がこうして出されること、そ
して日本の司法制度についての著者の考え方というのは、読む価値がありまし
た。ただし、事件の真相は未だ闇の中でもあり、司法がどう判断するのか分か
りませんが、本人の主張が非常に分かりやすく書かれている一冊です。

<本紹介>
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【ジャンル】新書
【著書名】 超簡単 お金の運用術
【著者名】 山崎 元
【出版社】 朝日新聞出版
【初 刊】 2008年12月30日
【金 額】 700円+税
【カバー文】難しいのや面倒くさいのはイヤ。最小のリスクで確実に増やした
      い…。そんな普通の人のために考え抜かれた、究極かつシンプル
      な資産運用法を公開。現実的にお金を運用するなら、これだけ知
      っておけば十分。
【満足度】 ★★★☆
End------------------------------------------------
 本書は、シンプルな資産運用法として、当座の生活に必要なお金(生活費3
か月分程度)を残して、残りは国内外の株式に投資するETFに国内4割国外
6割の比率で投資をし、リスクを軽減したいなら資金は個人向け国債かMRF
とし、大きな支出の必要が生じたら、躊躇無く部分解約するという方法を分か
りやすく説明しているもので、初心者向けの資産運用についての新書です。個
人的には物足りなさも感じましたが、新書としては読みやすく、うまくまとめ
た一冊といえるでしょう。

<本紹介>
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【ジャンル】生活
【著書名】 治療をためらうあなたは案外正しい
【著者名】 名郷直樹
【出版社】 日経BP社
【初 刊】 2008年10月27日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】重度の医療依存症、病気恐怖症、健康強迫シンドロームではあり
      ませんか? 世界標準の医療データに基づいて、「放っておく」
      のも立派な選択肢であることを、13の病状とともに提案する。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、科学的・統計的な手法によって、現在、世界に蓄積されつつある医
療標準データに基づいて提案されており、その基礎になっているのがEBM
(根拠に基づく医療)の考え方。例えば、「胃ガンを放っておいた人が、5年
後に生存している確率は?」「高コレステロールの中高年女性が、心筋梗塞を
起こす割合は?」「肥満糖尿病のインスリン治療には強い根拠があるのか?」
「アトピー性皮膚炎は何%ぐらいの人が自然に治る?」「腰痛のときは安静が
大事?動いた方がいい?」「ガン検診を受けていれば、あなたがガンで死ぬ率
は減る?」などの内容が分かりやすく解説されています。EBMの第一人者で
ある著者が、患者が医者にかかるかかからないかを自分で決断する材料を提供
し、病気になっても「放っておく」というひとつの選択肢を提示しているもの
で、治療の際にも一度目を通しておきたい一冊です。

【な行】

 

【は行】

<本紹介>
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【ジャンル】映画
【著書名】 北海道 シネマの風景
【著者名】 「北の映像ミュージアム」推進協議会編
【出版社】 北海道新聞社
【初 刊】 2009年1月30日
【金 額】 2300円+税
【カバー文】「幸福の黄色いハンカチ」「夕陽の丘」など、北海道で撮影され
      た名作映画76本のロケ地を訪ねる旅。貴重な証言で「映画の時
      代」「映画の現場」がよみがえる。北海道ロケ作品一覧も収録。
      『北海道新聞』連載を単行本化。
【満足度】 ★★★
End------------------------------------------------
 本書は、著者でもある「北の映像ミュージアム」推進協議会のメンバーが
「幸福の黄色いハンカチ」「網走番外地」「鉄道員」など名作76本のロケ地
に赴き、映像作家がどう撮ったか、地元がロケ隊をどう迎え、作品が地域に何
を残したかをルポしたもので、巻末に1932年から2009年までの北海道
に関係する映画の一覧も載っています。北海道のロケ作品のルポに期待して読
み始めましたが、そのルポ自体、深く作品を掘り下げているというまでには至
らず、単なる短いエッセイとなっていたのは、映画ファンとしては物足りませ
ん。ただし、映画と共に、近年までの様々な時代についての道内各所が描かれ
ているだけに、映画だけではなく、北海道の文化資料の意味合いもあるでしょ
うが、個人的には物足りなかったです。

<本紹介>
Start----------------------------------------------
【ジャンル】歴史
【著書名】 幕末維新 えぞ地にかけた男たちの夢
【著者名】 北国諒星
【出版社】 北海道出版企画センター
【初 刊】 2008年10月20日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】山東一郎の情熱、島義勇と兵部省の確執、岩村通俊と黒田清隆の
      対立、松本十郎と樺太アイヌ強制移住問題…。「えぞ地」から新
      生「北海道」誕生へ。幕末維新、男たちの熱い夢と行動のドラマ
      を描く。
【満足度】 ★★★★
End------------------------------------------------
 本書は、「えぞ地」から「北海道」と改称された前後の多くの歴史的事実を
書いたもので、幕府の箱館奉行所による統治から、新政府の統治を推移した中
でのリーダー達の行動を描いています。開拓使を動かした人々など、北海道誕
生の歴史が分かりやすくまとめられています。

<本紹介>
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【ジャンル】エッセイ
【著書名】 ひとり呑み 大衆酒場の楽しみ
【著者名】 浜田信郎
【出版社】 WAVE出版
【初 刊】 2008年7月17日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】「ひとり呑み」の極意。それは、何もしないこと。ひとり酒場で
      酒を飲む「ひとり呑み」の楽しみ方を紹介するほか、ジャンル別
      の「東京酒場・私的名店ガイド」を掲載する。
【満足度】 ★★★☆
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 本書は、著者自らが飲み歩き、実際呑んだ後にかかった金額も書かれる、ひ
とり呑みのできる酒場の紹介本。立ち飲み、バー、小料理屋など様々な店が紹
介され、店の雰囲気や店主の人間味なども書かれ、大衆酒場の魅力を取り上げ
ています。都内の中央線を中心とした酒場訪問記でもあるため、都心に住んで
いて、ひとりでお酒を呑みに行きたいという人にはお勧めのガイドといえるで
しょう。

<本紹介>
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【ジャンル】ミステリ
【著書名】 ポルトガルの四月
【著者名】 浅暮三文
【出版社】 早川書房
【初 刊】 2009年2月25日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】目覚めると男は記憶を失っていた。そばには炎上するバスと見慣
      れない少年。少年とともに、くさい食べ物を求めてヨーロッパを
      さまよいながら、男は徐々に自分の過去と犯罪を思い出してゆく
      …。奇妙な味のクライムノヴェル。
【満足度】 ★★★☆
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 気がかりな夢から、頭痛とともに目覚めると、男は記憶を失っていた。そば
には炎上するバスと見慣れない少年。さらにそこは言葉の通じない外国だった。
俺はここでなにをしようとしていたのだろう? 少年とともにヨーロッパをさ
まよいながら、男は徐々に自分の過去と犯罪を思い出してゆく。どういうわけ
か、くさい食べ物を食うと記憶が蘇るのだ。味覚と記憶の深淵に切りこむ、奇
妙な味のクライムノヴェル。
 本書は、著者の『五感シリーズ』のラストとなる第6弾で、今回のテーマは
「味覚」。記憶を失くした男がヨーロッパを彷徨いながら、次第に過去の自分
と犯罪を思い出していくという物語ですが、それぞれの章の食べ物が強烈なイ
ンパクトで、奇想的な作品でもあります。

<本紹介>
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【ジャンル】短編ミステリ集
【著書名】 ふたり狂い
【著者名】 真梨幸子
【出版社】 早川書房
【初 刊】 2009年3月25日
【金 額】 1700円+税
【カバー文】私はずっとずっと想ってきた。だからあなたが私を愛さないわけ
      がない…。正常な日常が歪んだ世界へ徐々にずれてゆき、狂気が
      複雑に絡み合う。人が壊れてゆくその瞬間をあぶり出す、連作短
      篇。
【満足度】 ★★★★
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 本書は、「エロトマニア」「クレーマー」「カリギュラ」「デジャヴュ」
「ゴールデンアップル」「ホットリーディング」「ギャングストーキング」
「フォリ・ア・ドゥ」と、心理学用語から想起されるキーワードを題材に、8
つの作品が収録される連作短編集。いずれも女性の狂気の果てを描いた作品で、
ドロドロ感が詰め込まれており、短編での読みやすさもありましたが、連作と
して独特の世界を日常の狂気が上手く表現しています。

【ま行】

 

【や行】

 

【ら行】

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 乱反射
【著者名】 貫井徳郎
【出版社】 朝日新聞出版
【初 刊】 2009年2月28日
【金 額】 1800円+税
【カバー文】幼い命の死。遺された家族はただ慟哭するしかないのか? 良識
      派の主婦、怠慢な医師、深夜外来の常習者、無気力な公務員…。
      複雑に絡み合うエゴイズムの果て、悲劇は起こった…。社会派エ
      ンターテインメント小説。
【満足度】 ★★★★☆
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 ひとりの幼児を死に追いやった、裁けぬ殺人。街路樹伐採の反対運動を起こ
す主婦、職務怠慢なアルバイト医、救急外来の常習者、事なかれ主義の市役所
職員、尊大な定年退職者……複雑に絡み合ったエゴイズムの果てに、悲劇は起
こった。残された父が辿り着いた真相は、罪さえ問えない人災の連鎖だった。
遺族は、ただ慟哭するしかないのか?
 物語は、自分勝手で、無責任で、モラルのない人達の出来事が、悲劇の事件
に繋がる物語で、その事件への結びつけは圧巻です。人々の小さな身勝手が、
不運な事故へと繋がり、登場人物の殆どが事件の犯人とする視点は、お見事で
もあり、現代社会の問題をうまく作品としています。

<本紹介>
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【ジャンル】ホラーサスペンス
【著書名】 レッド・デッド・ライン
【著者名】 吉来駿作
【出版社】 幻冬舎
【初 刊】 2009年2月25日
【金 額】 1400円+税
【カバー文】香港郊外の古い家の地下室で行われる秘密の儀式。集められた4
      人が体に結びつけた赤い糸の意味は何だったのか。そして、この
      儀式のことを誰かが話してしまったとき、死へのカウントダウン
      が始まった…。
【満足度】 ★★
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 「修平君が頼み事を聞いてくれるなら、服、脱いでも良いよ」大学の同級生、
美鈴の頼み事は、香港旅行に一緒に行って欲しい、というものだった。好きな
女の子からの誘いなのに気持ちが複雑なのは、彼女には、難病を抱えた恋人が
いるから。「香港に、どんな不治の病でも治せる人がいるの」…。香港郊外の
古い家の地下室で行われる秘密の儀式。集められた4人が暗闇で体に結びつけ
た赤い糸には、何の意味があったのか?そして、“誰にも言ってはいけない”
と言われたこの儀式のことを、誰かが話してしまったとき、死へのカウントダ
ウンが始まった…。
 物語は、「赤い糸」の伝説をモチーフとしたホラー作品ですが、ホラーとい
うよりも青春小説のような軽さがあり、先の展開も読めるような感じで、ホラ
ーとしてのゾクゾク感を味わえなかったのは残念でしたし、面白い素材をテー
マとしているものの、それを活かしきれていない作品でもありました。

<本紹介>
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【ジャンル】小説
【著書名】 ロロ・ジョングランの歌声
【著者名】 松村美香
【出版社】 ダイヤモンド社
【初 刊】 2009年3月5日
【金 額】 1600円+税
【カバー文】東ティモールで殉死した従兄の後を追い、記者になった菜々美は、
      中部ジャワ地震の被災地の取材で、単純な正義では語れない国際
      協力のオモテと裏を知る。さらに従兄の死をめぐる疑惑が浮上し
      て…。国際協力の実像を描く問題作。
【満足度】 ★★★★☆
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 菜々美は小学生の頃、下宿していた12歳年上の従兄、稔にあこがれを抱い
ていた。「世界は繋がっている」と幼い菜々美に教えた稔は新聞記者となり、
インドネシア勤務中に東チモールの独立紛争に巻き込まれて死亡した。同僚達
は婚約者に同情すると共に、外電頼りの外報部記者が危険な現場に出たことを
訝しがった。菜々美は稔を追うように記者になり、中部ジャワ地震の現地取材
の機会を得る。インドネシア人アグスの協力のもと被災地を取材し、ODA案
件を計画実施する開発コンサルタントの高根守俊と佐々木静雄や、緊急援助を
行うNGOボランティアの歳田礼子に出会う。また、フリー・ジャーナリスト
の久野正史と取材を共にする。久野のギラギラしたところが苦手だったが、付
き合って1年になる恋人の和樹とは違う魅力があった。菜々美は、被災地を取
材する立場と援助する立場の違いが、現場で対立を生むことを知る。更に、国
際協力の泥臭い裏側を垣間見て、正論と現実の深い溝を知る。何を書いたらい
いかわからなくなった菜々美の苛立ちは、和樹との関係にも影を落としはじめ
る。そして取材を続けるうちに、世界への正義を語りながら家族をないがしろ
にしてきた稔の、皮肉な過去と死の真相が明らかになっていく。
 本書は、第1回「城山三郎経済小説大賞」受賞作。世界情勢に紆余曲折する
政府開発援助政策と現場のギャップを主軸に描かれたもので、阻害された貧困
地域まで巻き込む国際政治、利権ビジネスの残酷さを追及しています。日本の
国際経済協力の現場の悩みや問題点も、作品として浮き彫りにしており、外交
問題、開発援助というものを改めて考えさせられました。

【わ行】

 

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