広河原温泉

(野湯)


         広河原温泉

ここの温泉紹介文も、社内報に「ボリューム満点!! 心も体も温まる温泉」として載せた温泉の内の一つです。

そのために文が、長くなっています

広河原温泉は、川俣温泉の奥、湯沢という沢の本流の脇にあるようです。 ここへは、前記の山王林道の川俣温泉に行く数km手前に枝林道があり、そこから入っていきます。

今回、この温泉の他に、その奥にある天然記念物の噴泉塔まで行ってみようという計画です。
 

噴泉塔まで、宿の人に聞くと2時間〜2時間半といいます。枝林道入り口で車を降りると山菜取りに来た地元の人がいて、その人に聞くとやはり2時間半ということです。 もっとも運動不足の私がいるので、3時間あれば着くだろうと、まぁ〜気楽に考えます。

大体の行程は、枝林道入口→登山道→笹倉沢→地図上の温泉マーク→噴泉塔で、広河原温泉は、上記の温泉マークと笹倉沢の間にあるようです。また、笹倉沢は、湯沢に入り込む小さな沢です。

宿の人、山菜取りの人、そして、温泉ウォーキング本と、「笹倉沢の少し先で合流するまで、沢沿いと山沿いと2とおり道があって、沢沿いの道は絶対に行かないように。」と言います。
 

ところが、それが呪文となって実は道を間違えました。

我々が行ったときは、枝林道の入り口には遮断機が架かっていて、先ほどの山菜取りの人は、「道具があれば遮断機があくのに。」と言いますが、正直者の私としては、そんな法に触れることはできません。

まぁ〜ここから歩いても、約30分ほど枝林道を余計に歩くだけです。

枝林道終点手前に湯沢方面に降りていく道があります。 その降り口に噴泉塔までの案内を書いた看板があり、この先の枝林道終点から、山側の道が続いているように見えます。

そして、先ほどの呪文。 「ははぁ〜ん、ここが、例の降りてはいけない湯沢沿いへの道の入り口だな。」と小休止して、3人で相談です。 
 

枝林道終点は、ちょっとした広場になっていて車を駐車するには、ちょうど良いところです。

ここまで、車で来られると楽なのにと思っていると、H氏がきょろきょろと辺りを見まわしています。ここから先の山道は、あまり踏み固められていませんが、赤いリボンが多数あってはっきりしているのになぜ?・・・・と。

ここで、昨日の西沢金山跡温泉の時、H氏の慎重な行動を思い山歩きのベテランの指示を仰げば良かったのですが、なにしろ多数の赤いリボンが「おいでおいで」をしているもので、つい考えなしにリボンにしたがって歩き出しました。

道は、踏み跡がところどころ切れていますが、赤いリボンがあり迷うことがありません。そして、5月の末というのにヒグラシがもう鳴いています。H氏が「ペースが速いよ。」というくらい快調に進みます。 ところが、いつまで経っても沢沿いの道と合流しません。時計を見ると8時45分、歩き出してから1時間以上経っています。行程から考えると、3分の1以上歩いているはず。

そうすると、笹倉沢に出会っていなければいけないはずなのに、沢に出会った記憶がありません。それどころか、赤いリボンが少なくなってきました。 しまいには、岩がごつごつした苔だらけのところになり歩きづらいのです。しかも、苔と落ち葉で、岩なのか岩の隙間なのか分かりません。そしてとうとう私は岩の隙間を踏み抜いて、したたかに左足の脛を打ってしまいました。

やっと苔のところを抜けたと思ったら、今度は小砂利のある崖崩れの斜面を横切らなければいけません。ますます歩きづらく、そして、ついに道しるべになっていた赤いリボンがなくなってしまいました。泣きっ面にハチ状態です。

このとき、すでに9時半を廻っています。歩き始めてから2時間、とっくに噴泉塔についてもいい時間なのに、まだ半分も行っていません。どうも、道を間違えたみたいです。 やはり、最初の入り口のところが違ったのか。あの時、H氏の指示を待てばよかったと後悔してもあと祭りです。3人が山の斜面に広がって、赤いリボンの目印を探しながら歩きます。

しかし、リボンはありません。

もし、道が見つかっても、ここまでに2時間以上かかっているので、噴泉塔に行っても、日暮れまでに戻って来られるか不安です。 しょうがない!! 今日は諦めて、先ほど林道のところにあった案内板の沢沿いへの道に行って、次回のために道の確認でもするかと考えていると、「おーーーい、道があった!!」とH氏の怒鳴り声。

我々は、本来の道よりかなり上を歩いていました。そして正規の道はなんとしっかりしていることか。このような道なら「噴泉塔行っても、今日中に戻れるかも。」と気を取り直し、また、進みます。 しばらく行くと笹倉沢に出会いました。ここで、全行程の約半分です。そうすると、あと1時間ちょっとで噴泉塔かと思い、俄然元気が出てきます。

噴泉塔に行くには、何度か沢の本流を渡りますが、私は、沢を渡ることを考えてゴム長を履いてきました。しかし、沢の本流の水量が多く、はっきり言って川です。ゴム長では水が入ってしまいます。

それで、川を渡るときは、靴を脱いで渡ります。ちなみにH氏は、すててもよい使い古しの運動靴に履き替えました。S氏は、膝まであるゴム長なのでかろうじて、靴を脱がずに川を渡れます。そんなんで、私一人遅れます。なんとも、まどろっこしいものです。

川を渡ること数度、しかし、広河原温泉に出会いません。いい加減、靴を脱いで川を渡るのに飽きた頃、溜池のような温泉に出会いました。これが広河原温泉? すごい藻と浮遊物です。うーーーん、さすがの私も入ることができない。

地図を見ると広河原温泉で行程の3分の2です。そうすると、全体が3時間とすると、あと1時間!!

さすがに、気力は萎えます。もっとも、それとは別に、先ほどの崖崩れの斜面を横切ったときに、右足の皮が剥けたようです。左足は、苔のところで脛を打ち、右足は皮が剥けて、これ以上進む気力が起きません。

これじゃ、ボリュームがありすぎて心も体もくたびれる温泉です。 
 
しかし、H氏&S氏は元気です。どんどん先に進みます。H氏は、山歩きになれているから、その理由は分かるのですが、S氏は、何故元気なの? 若いから? 足の皮は大丈夫なのか? やっぱり、皮は厚いんだ!!・・・と一人納得して、先行の二人を追います。

ここから先、温泉ウォーキング本によると、「山側の道は危ない。」と書いてあります。しかし、現状は、最近、道を整備したようで、逆に山側の道が安全です。しばらく進むと、噴泉塔まであと500メートルの標識がありました。

あれ? 先ほどの温泉が広河原温泉とすると随分近い。もしかすると、広河原温泉は、気がつかないでとおり過ぎ、先ほどの温泉は地図上の温泉マークのところか?一体、いつ広河原温泉をとおり過ぎたのか?・・・・・。 そんなことを考えつつ、500メートルを約30分かけて、痛い足を引きずりやっと噴泉塔に着きました。(二人は、とっくに着いていました。)

噴泉塔付近、沢の本流は、水量が多くて、入ったら危ないです。幸いに崖の途中に誰が作ったか知らないが、湯船らしきものが見えます。そこで一風呂と思い、裸になると、他の二人は、こんなところに入るのかと白い目。 野湯に慣れていないH氏の、その心は分かるのですが、「なぜ、S氏まで?・・・」しかし、「ここに入らないで、どこにはいるの?」と思い、取り敢えず私だけは入りました。
 
先ほどの、藻がすごい溜池のような温泉と、噴泉塔の間に、もう一つお湯が湧いているところがあり、そこはお湯がチョロチョロ、川の水量は多いですが、先人の湯船の跡がありました。 昼食を食べながら、その湯船の跡を何とかすれば入れるのではないかと相談がまとまり、湯船を造り直します。一時間ほどで、湯船が出来上がりました。

早速入ってみると、川の水が多量に入って、冷たい!! そして、お湯が流れて落ちている方に行くと熱い!! なんとか、かき回しながら入ります。 「うーーーん。極楽極楽。川の水は冷たいが、心が暖かい温泉だ。」と満足です。 手作りの湯船に満足して、さぁ〜、帰り道です。
 
靴を脱ぐのでいやなのですが、何度か川を渡ると、工事現場でよく使うブルーシートでテントを作っている人達がいます。そして、なにやら宴会の用意をしています。・・・で、そばを見ると、「あれ? 湯船ができている。」

そうです。ここが広河原温泉だったのです。我々は、彼らが造ったブルーシートの湯船に入れさせてもらって極楽気分です。 H氏など、「これが本当の温泉だ!!気持ちがいい!!」と至極ご満足です。

 
道しるべとなっている赤いリボンは、今回の行程では紛らわしく、帰り道もリボンのせいで道を間違え、結局、車に戻ってきたのは、夕方の5時になりました。 朝7時30分に出たので合計9時間半も山の中を彷徨っていたという感覚でした。温泉に行ったというより、単に山歩きをしたという感じでした。

この日のために、5月になると自宅付近を走って体力づくりをしましたが、それをしていなかったらどうなっていたでしょう。 それと疲れているため、歩いているときは、全行程を2時間と思ったり、3時間と思ったりと揺れ、この文中も、その心理状態で書いているので、ところどころ時間が合わないところがあると思います。

実際、帰りの時間から考えると、枝林道の入り口から噴泉塔まで3時間かかると思えばよいと思います。

平成13年 5月26日 入浴   



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